SCP-959-JP
アイテム番号: SCP-959-JP
オブジェクトクラス: Anomalous Safe
特別収容プロトコル: SCP-959-JPはサイト-81██の低脅威度物品収容ロッカーに生活空間から隔離して保管し、半径約███m圏内では季節家電及び空気の流動(風と呼称)を発生させるものは使用しないでください。新たにSCP-959-JPと思われる物品が発見され、さらに近隣に住民が存在した場合は、住民にクラスB記憶処理を行い適切なカバーストーリーを流布してください。
説明: SCP-959-JPは模様のあるガラス製の風鈴です。鐘にあたる外見のガラス部分が約6cm、短冊は約8cmであり、吊るした際の全体の長さは約18cmになります。現在まで同様の物品は発見されておらず、後述する異常性の他に非異常性の風鈴との差異は確認されていません。
SCP-959-JPの異常性は、SCP-959-JPを中心とした半径███m圏内の平均気温が摂氏25°C以上であること、且つ0.3m/s以上の風によってSCP-959-JPが揺動していることを条件に発現します。この間同圏内は当該オブジェクトの影響が及ぶ領域(SCP-959-JP-aに指定)に変化し、SCP-959-JPから遠ざかるにつれて次第にSCP-959-JP-a内の影響力も弱まることが判明しています。
実際にSCP-959-JP-a内で及ぼされる影響は以下の通りです。これらは全ていかなる状況に於いても共通して報告されたもので、SCP-959-JPが非活性化するとともに収束します。
- SCP-959-JP-a外の気温に対する無関心化
- 摂氏20℃までの気温・室温の低下
- 作動しているエアコン・扇風機・空気清浄機・除湿機・ヒーター等季節家電に分類される電気機器の不調1
- 発汗の抑制
合計██時間以上SCP-959-JP-aが継続すると、継続時間に比例してSCP-959-JP-a内の気温は知覚が困難な速度で低下していきます。この下限は不明であり、継続時間の解消は可能なものの、低下した気温は上昇せず恒久的に維持されます。また同様の時間以上SCP-959-JP-a内に滞在した人物(曝露者に指定)は暑気に対して平均よりも高い耐性を獲得し、主に日本国内での6月から8月までの期間について通念化している動作や概念等の記憶を過去に渡って喪失2します。耐性の回復はクラスB記憶処理によって可能ですが、この段階まで到達した場合影響の自然な収束は見込めません。
SCP-959-JPは当初、実際に納涼効果を齎す風鈴として暫定的にAnomalousアイテムへ分類されていました。しかし20██年7月に実施された実験後、実験担当者であったAO管理者2名が曝露する事案が発生し3、その後複数回行った調査とインタビューにより現在の異常性が判明しました。これらの結果とSCP-959-JP-aが狭隘なことを踏まえ、当該オブジェクトはSafeに再分類されました。SCP-959-JPが普及している場合、SCP-959-JP-a内にて最終的に特定期間内の記憶の喪失と気温の不可逆的な低下が引き起こされることから、延いては広範囲でこれまでに定義されていた夏と呼称される概念の消失に繋がる可能性があるため、SCP-959-JPと推測されるものは引き続き捜索されます。