命に別条なし
5日午後5時12分ごろ、金沢市武蔵町の百貨店「金沢エムザ」地下1階の書店で、「女が刃物で男性を刺したようだ」と従業員が110番通報した。駆け付けた金沢東署員が殺人未遂の疑いで、金沢市松村2丁目、無職大田紀子容疑者(68)を現行犯逮捕した。刺された金沢市の50代男性は市内の病院に搬送されたが、命に別条はない。
2人に面識なく
金沢東署によると、2人に面識はなく、いずれも1人で書店に訪れていた。本を見ていた男性の背中を、背後からナイフでいきなり突き刺したとみられる。大田容疑者は男性と周りの人に取り押さえられた。暴れる様子はなかったという。
逮捕容疑は5日午後5時ごろ、店舗内で男性の背中を刃渡り15センチのナイフで1回刺して殺害しようとした疑い。「背中を切り付けたことに間違いないが、殺すつもりはなかった」と供述している。
金沢東署によると、ナイフは持参したとみられ、ほかに凶器のようなものは持っていなかった。同署は2人の間にトラブルがなかったか、直前の行動や動機について調べる。
「けが人おるんか」騒然
金沢エムザの周囲には多くのパトカーが止まり、刺股などを持った捜査員が慌ただしく店舗に出入りし、地下街には立ち入り禁止の規制線が張られた。一部の店は臨時休業となり、買い物客や店員は不安げにたたずんだ。60代の女性店員は「警察官が『場所どこや』『けが人おるんか』と叫んでいて、騒然としていた」と振り返った。
容疑者とみられる女が警察官に抱えられているのを見た野々市市の会社員男性(23)は、「生々しくて怖かった」と話した。現場近くの飲食店で食事をしていた横浜市の女子学生(20)は「突然警察官が走ってきて何事かと思った。まさか人が刺されたなんて」と声を震わせた。