さらに、研究者たちは中国の検索エンジンである「バイドゥ」で「咳」と「下痢」が武漢でどれほど検索されていたか、を調べた。その2語は、同じ9月と10月にピークに達していた。「新型コロナと同じ症状の病気が武漢で広がっていた」状況を示唆する有力な証拠である。
衛星画像や検索エンジンを調べて、感染状況を観察するとは、素人には思いもよらない方法だ。犯罪捜査でいう「デジタル・フォレンジック(法医学)」の手法に近い「デジタル疫学」と言ってもいい。
2019年10月18日から武漢で「大イベント」が始まった。第7回軍事スポーツ世界大会(MWGs)である。これは「軍人のオリンピック」だった。世界109カ国から9308人の選手が集まり、27種類の329競技で競った。中国政府は23万6000人のボランティアを募り、90のホテルを用意した。
参加したカナダの選手は「街はロックダウン状態だった。私は到着後、12日間、熱と悪寒、吐き気、不眠に襲われ、帰国する機内では、60人のカナダ選手が機内後方に隔離された。私たちは咳や下痢などの症状が出ていた」とカナダ紙に証言している。
報告書は、この大会が「新型コロナを世界に広げた原因」とみている。競技会場も、6つの病院も、さらには大会参加後に体調不良を訴えた選手がいた場所も、すべて武漢ウイルス研究所の周辺に位置していた。
報告書は参加国のうち、イタリアとブラジル、スウェーデン、フランスの4カ国について、具体例を示しながら「2019年11月から12月にかけて、国内での感染発生を確認した」と記している。帰国した選手から感染が国内に広がったのだ。
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