お茶にはどの程度の『タンニン』が含まれて、身体の鉄分に影響があるのか気になりませんか?
『タンニン』には、金属と結合しやすいという特徴があるため、緑茶を飲んでいると緑茶のタンニンと食事の中に含まれる鉄分が結合してしまい、せっかく鉄分の多い食事をしてもカラダに吸収されなくなっているのではないか? ということが心配になります。
緑茶やコーヒーの成分では、カフェインを気にされる方が多く、特に女性や小さいお子さんなど、ノンカフェインやデカフェのお茶を選んで飲んでいる方も増えていますが、貧血気味の女性の方は、お茶に含まれる『タンニン(カテキン)』も気になる成分の一つです。
『タンニン』はカテキン?
ではタンニンとはどのような成分でしょうか?
煎茶や抹茶などの緑茶には、お茶のポリフェノールである『カテキン』が含まれています。
カテキンには、抗酸化作用や、免疫力アップ、脂肪燃焼など多くのメリットがあることはすでによく知られています。
実は、そのお茶のポリフェノールカテキンは、別名『タンニン』とも呼ばれています。
『タンニン』と聞くと、強烈な渋みのもとで渋柿を連想しますが、コーヒー、ワイン、緑茶、紅茶などに含まれている成分です。
『カテキン』はとても良いイメージなので、カテキンとタンニンが同じと聞くと少しびっくりしませんか?
最近はペット緑茶でも、カテキンが多く含まれるトクホ茶なども販売されているので、知らず知らずにタンニン(カテキン)が影響していないか気になってしまいます。
お茶やコーヒーのタンニン含有量はどのくらい?
では、お茶にはどの程度のタンニンが含まれているのでしょうか?
文部科学省の日本食品標準成分表を見てみると、緑茶や紅茶、コーヒーにどの程度、『タンニン』が含まれているか確認できます。
品目 | タンニン含有量 | 葉量、抽出条件 |
---|---|---|
玉露 | 230mg | 茶10g、60°C 60mL、抽出2.5分 |
抹茶 | 200mg | 茶2g、80°C 60mL |
煎茶 | 70mg | 茶10g、90°C 430mL、抽出1分 |
ほうじ茶 | 40mg | 茶15g、90°C 650mL、抽出30秒 |
玄米茶 | 10mg | 茶15g、90°C 650mL、抽出30秒 |
番茶 | 30mg | 茶15g、90°C 650mL、抽出30秒 |
烏龍茶 | 30mg | 茶15g、90°C 650mL、抽出30秒 |
紅茶 | 100mg | 茶5g、熱湯 360mL、抽出1.5分~4分 |
コーヒー | 250mg | コーヒー粉末10g、熱湯150mL |
コーヒーのタンニンは緑茶より多く、緑茶の中では、玉露、抹茶にタンニン(カテキン)が多く含まれます。
また、玄米茶、番茶、ほうじ茶は少なめなのがわかります。
日本食品標準成分表:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
お茶『タンニン』の鉄分への影響は少ない?!
緑茶や紅茶の『タンニン』が栄養としての鉄の吸収に及ぼす影響については、海外や日本の研究機関でも研究されています。
緑茶系飲料の投与がラットの鉄および亜鉛栄養状態に及ぼす影響(関西大学の食品工学研究室)
http://www.jtnrs.com/sym27/27_060.pdf#search=’%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%B3+%E9%89%84%E5%88%86′
この関西大学の論文を読んでみると、米国の研究結果としてこのような事が書かれてます。
鉄の摂取が十分な成人では茶の飲用が鉄の栄養状態を低下させる明確な証拠はなく、鉄欠乏のリスクを持つ人において茶を食間に飲用するか、食後1時間控えることで十分であるとしている。
また、関西大学の食品工学研究室のラットを使った研究の結果として、こう書かれています。
茶系飲料の鉄栄養に及ぼす直接的な影響はきわめて小さい。バランスのとれた食事で一般的な飲容量であれば神経質になる必要はない
この研究論文を読む限り、普通に飲んでいる程度であれば、鉄分の吸収にお茶の『タンニン』の影響をそれぼど気にする必要ななさそうです。
それでも『タンニン』が気になるなら
それでも『タンニン』は気になるけど、やはりお茶は愉しみたいという時は、飲むお茶の淹れ方や種類、飲むタイミングを調整しましょう。
タンニンの少ないお茶、含まれていないお茶を
食事といっしょに飲むのであれば、タンニンの少ない玄米茶、ほうじ茶や、タンニンの含まれていない麦茶。
緑茶であれば水出ししたものを飲むようにしましょう。緑茶はお湯で淹れるより、水出し(低温抽出)する方がタンニンやカフェインの抽出量を減らすことができます。
温かい煎茶や抹茶を飲みたい場合は、食後1時間以上たってからか、食間に飲むようにしましょう。
鉄瓶や鉄鍋で沸かしたお湯でお茶を淹れる
鉄瓶で沸かしたお湯には鉄分が溶け出しているので、お茶を淹れるときは、鉄分を摂取しやすくなる鉄瓶や鉄鍋で沸かしたお湯を使うのもおすすめです。
鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかになり、お茶にも甘みがでるので、お茶の専門店でも鉄瓶を使用しているところを多く見かけます。
わざわざ鉄瓶を持つのは・・・という場合は、『鉄玉』を普段使用しているケトルに入れて沸かす方法もおすすめです。
多くのメリットも持つお茶のタンニン(カテキン)。飲み方を工夫をしながら上手にお茶を愉しみたいものです。
<※鉄欠乏等で治療を受けている場合は、必ず医師の指示に従ってください。>
今日もお茶で愉しい、一日を。