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【パンデミックと東京五輪】医師が緊急提言「早急に仮設病院を設置せよ」 菅首相の〝棄民宣言〟への怒りも~第10回女性たちの抗議リレー

東京オリンピック・パラリンピックに反対する女性たちが6月から続けている抗議リレー「私たちが止めるしかない東京オリパラ」の第10回が3日夜、インターネット上で行われた。抗議リレー呼びかけ人の1人である青木正美医師が、体育館のような広い場所を「仮設病院」にするよう提言。菅義偉首相が表明した重症者以外の自宅療養方針を「堂々とした〝棄民宣言〟だ」と厳しく批判した。次回配信は10日20時。五輪は間もなく終わるが、司会の松尾亜紀子さん(フラワーデモ)は「あきらめず女性たちの声を届け、反対を表明していく」と改めて話した。
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【急激な重症化への懸念】
 医師で、公益社団法人「日本女医会」理事の青木正美さんは、強い口調で仮設病院の必要性を訴えた。
 「コンベンションホールのような広い場所を借り上げてベッドを並べ、大規模な仮設病院をいち早く立ち上げていただきたい。そうすれば少ないスタッフでも見渡せて、急変した人に対応出来ます。その一角でPCR検査をどんどんできるようにして、陽性だったらそのまま入ってもらう。このことが、自宅療養の末に亡くなる人を減らす唯一の方法なんです。患者さんが誰にも発見されないで自宅で亡くなってはいけない。医師として耐えられないですから」
 菅首相は2日、重症者以外は入院せず自宅療養とする方針を表明した。青木さんはこれに大変驚いたという。
 「軽症者や中等度者は自宅待機してください、とは驚きました。堂々と〝棄民宣言〟したのです。あなたたちの命は保障できかねます、という大宣言です」
 一方で、重症化を阻止するための「抗体カクテル療法」(2種類の抗体を点滴で同時に投与する)の推進も菅首相は表明している。しかし、本来の投与対象である軽症者や中等度者に自宅で投与することなどできない。青木さんは急激な重症化を懸念しているからこそ、大規模病床が必要なのだと強調した。
 「SARS-CoV-2が私たちの体内に入って肺炎になって重症化する以外に、もう一つ、肺炎症状のない軽症者が『免疫血栓』と言って、ウイルスを取り囲んで血が固まってしまって脳や心臓に行く。それで急激に軽症から重症、危篤になってしまうという、そういう特徴があります。一気に死に至らしめる。まったくの無症状からも重症化し得る。だから、海外では多くのPCR検査をやり陽性反応があったら、陽性者をなるべく1カ所に集めるのです。あらゆる国で大規模病床を設置しています。『パンデミック下の五輪』という人類のタブーを冒しておいて、なぜ日本政府はそれができないのか」

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五輪反対の記者会見も開いた医師の青木正美さんは、抗議リレーで「コンベンションホールのような場所を借り上げて、大規模な仮設病院をいち早く立ち上げていただきたい」と訴えた

【「ロックダウンできる」】
 「これから必要になるのはハードロックダウンと補償です。いま一大事が起こっているんです。ちゃんと国会を開いて審議してください」と語気を強めた青木さん。現行法下でもハードロックダウンは可能だと話した。
 「日本は強い私権制限ができないからハードロックダウンはできないというのが枕詞になっています。でも、これは違います。日本国憲法下でハードロックダウンは認められています。憲法12条に規定されているのは『公共の福祉』。25条は『生存権』。他人の人権、つまり公共の福祉を鑑みなくてはいけない。自分の人権と他者の人権を同じように尊ぶことで生存権が保証される。その時には公衆衛生が重んじられる。パンデミック下で誰かに病をうつす可能性があるのなら、自分と他者を守るために分けて人命を守るということが公衆衛生の基本中の基本。憲法など変えなくても現行法で十分対応できます。でも、自民党がハードロックダウンをしないのはなぜか。補償をしたくないからですよ」
 そしてこう締めくくった。
 「イベルメクチンは重症化させない予防にも使える薬です。『パンデミック下での五輪』は全力でやってしまうくせに、認可されていない薬は駄目だと言う。五輪を強行したせいで、施設も人手も割かれてしまったものがたくさんある」
 しかし、依然として国会は閉じたまま。参院議員で社民党党首の福島瑞穂さんも「国会を開いて説明責任を尽くすべき」と語った。7月16日には野党4党で臨時国会召集の要求書を衆院議長に提出したが、菅首相は応じていない。
 「憲法53条には、『いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば内閣は招集を決定しなければならない』と規定しています。私たちは憲法53条に基づいて臨時国会の召集を要求しました。でも内閣は国会を開かない。本当に酷い。手を打たないと自宅で亡くなる人がたくさん出てしまう。国会を召集して何ができるか議論するべきです」

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10回を数えた抗議リレー。毎回司会を務める松尾亜紀子さんは「責任の所在を明らかにするためにも、あきらめず女性たちの声を届け、反対を表明していく」と改めて語った

【「家庭内感染増える恐れ」】
 医師で前日本女医会長の前田佳子さんは「東京の場合は特に重症者の定義がダブルスタンダードになっているのがすごく問題です。人工呼吸器やエクモを使っている人だけを『重症者』と呼んでいます。国の定義には『集中治療室(ICU)などでの管理が必要』との一文があります。これが入るか入らないかで恐らく8倍から10倍くらい違っています。そこに含まれない人たちが今後、自宅にいることを強要されるということが起こるのではないかと懸念しています」と指摘した。
 「感染している人を見つけて隔離するということが基本です。集中治療室の管理も遠隔でできるシステムも確立していますので、少ない医療者で多くの患者さんを管理することが現実的になっています。あとは検査。何度も話題になっていますが、PCR検査の件数を増やさない。検査できる能力と実際に行われている数とがあまりにも違います」
 そして、自宅待機に軸足を置いた政府方針をこう批判した。
 「感染が拡がる場所として最も多いのが職場や家庭と言われています。自宅待機をすることで、より家庭内感染を拡げる可能性が増えるわけだから絶対にやってはいけない。(感染リスクを)家庭に持ち込ませようとすること自体、間違っている」
 精神科の訪問看護をしている宮子あずささんも、「医療のひっ迫」を実感しているという。
 「熱中症で調子の悪い方は、これまではすぐに入院させてくれていたんです。ところが、そういう人が帰宅させられてしまう。東京都は『通常診療を抑制してパンデミックに対応するように』と通達を出しました。一方で、福祉保健局長は『いたずらに不安をあおるようなことはしていただきたくない』とメディアに言っているんですよね。どの口が言うんだと思います。現実に通常診療を抑制しろと言った翌日にそういうことを言っている。明らかな矛盾で、本当に腹立たしくてなりません」



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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