5歳園児熱中症死亡事件 園側の“不備”次々明らかに

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福岡2021.08.03 10:32

福岡県中間市の保育園で5歳の男の子が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡した事件です。保育園側の安全確認の不備ともいえる対応が、次々と明らかになってきました。

中間市の双葉保育園では門の近くに多くの花が手向けられ、手を合わせる親子の姿も見られました。

大好きだった人気アニメのまねをする倉掛冬生ちゃん(5)は、7月29日、双葉保育園の送迎バスの中に取り残され、熱中症で死亡しました。

8月1日午後、執り行われた告別式では、多くの人が冬生ちゃんの突然の死を悼みました。

安全であるはずの保育園のバスで命を落とすことになった冬生ちゃん。これまでの取材で園側の安全確認の不備ともいえる対応が明らかになってきました。

7月29日の午前8時ごろ、母親に連れられてバスに乗った冬生ちゃん。バスは女性園長が運転し、ほかの職員は乗っていませんでした。園児がバスに乗る際に「バスカード」を受け取ることになっていましたが、園長は受け取っておらず、出席確認がおろそかになってしまいます。さらにバス内の点検も十分にされていませんでした。バスが保育園に到着したあと、園長は運転席を降りて、ドアから1歩、2歩入り座席を見渡しただけでした。

女性園長は「バスを外から施錠した。冬生ちゃんを降ろしたと思っていたが、確認をしたわけではない」と話しているということです。バスを出迎えた職員も車内を確認しておらず、冬生ちゃんは発見されるまで約9時間も取り残されたことになります。その間、園長と担任の保育士との間で冬生ちゃんの姿が見えないことについてのやり取りはなかったということです。担任保育士は「休みだと思っていた」と話しているということです。

園側は7月31日、冬生ちゃんが死亡した経緯について保護者たちに直接、説明しました。

■双葉保育園の園長
「この度は私の確認不足と職員間の連携がうまくいっておらず、そのことが原因で、この度冬生くんの大切な命を奪ってしまう重大な事故を起こしてしまい誠に申し訳ございませんでした。」

説明会の冒頭、謝罪のことばを述べた園長。園にバスが到着した後の確認が不十分だったことについて、こう説明しました。

■双葉保育園の園長
「冬生くんがいつもバスが到着すると、冬生くんがいつも最初に降りてきてくれます。(別の)小さい子が泣いているのをあやしてたんですよ。冬生くんが亡くなった日は、その子をあやして降ろさなきゃいけなくて、そっちの方に神経がいって。」

ほかの子に気を取られ冬生ちゃんがすでに降りたと思っていたと釈明しました。その上で、いつもは忘れ物がないかバスの奥まで確認していたと話します。

■双葉保育園の園児の保護者
「荷物の確認はいつもしているということですか。」

■双葉保育園の園長
「荷物の確認と…。」

■双葉保育園の園児の保護者
「じゃあなんでその日は、できてないんですか。」

■双葉保育園の園長
「そこに関しては…。」

■双葉保育園の園児の保護者
「わざとですか。」

■双葉保育園の園長
「わざとでは。本当に確認をしていない。なんで確認していないのかと言われたら、本当に申し訳ないと思います。」

さらに、バスカードを回収しなかったことについては…。

■双葉保育園の園長
「かばんの中に入ったままバスに乗車させています。バスカードがあれば確認ができた。私の責任です。」

■双葉保育園の園児の保護者
「普段回収しよったんですか。」

■双葉保育園の園長
「申し訳ありません。回収できていない家庭もあります。」

■双葉保育園の園児の保護者
「回収していたら防げた事故。」

バスカードの回収もできていなかったと認めましたが、その理由についてはあいまいな答えに終始しました。

■双葉保育園の園児の保護者
「今まで話の中ではやっていました。いつもならやってたんですけれど、たまたまその日やってないんです。みたいなばっかりだったんです。」

■双葉保育園の園児の保護者
「普段の保育園の怠慢がこの事件をまねいたんじゃないか。」

■双葉保育園の園児の保護者
「起こるべきして起こったような事件やな。」

同じように子ども預かる施設では、どのような安全確認をしているのでしょうか。

北九州市小倉北区の栄美幼稚園では出欠について4つのチェックをしているといいます。

■栄美幼稚園・廣常智子主任教諭
「①朝、お休みの際の電話連絡がひとつ、②連絡を受けた先生が黒板にこのように貼っていくというチェック、③バスに乗ってこられるときに(保護者からの)健康チェック表が3つ、④そして、お部屋での出席確認4つ目です。」

また送迎は必ず運転手と幼稚園教諭の2人で行い、到着したあとも忘れ物や園児の降ろし忘れがないか、車内を隅々まで確認するということです。

■栄美幼稚園・廣常智子主任教諭
「今までやっていたことが当たり前にならないように常に緊張感を持っていかなければいけないなと思いました。もう絶対二度と起こらないでほしいので、私たちもそれを起こさないように気をつけてまいりたいと思います。」

■岩崎記者
「保育園に特別監査が入ります。」

2日午前9時半ごろ、双葉保育園には福岡県と中間市の職員約10人が特別監査に入りました。

警察も1日、保育園に家宅捜索に入り、職員の体制表や就業規則に関する資料などを押収しました。園の安全管理が十分でなかったとみて、業務上過失致死の疑いで調べを進めています。

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