捜査当局は、一味が少なくとも4年前から北朝鮮の指令を受けて活動してきたとみて、捜査を拡大している。参考人として調査対象になっている人物だけでも数十人に上り、このうち一部は容疑者に切り替えられる可能性もあると伝えられている。国情院などは4日、身柄を拘束した3人に対する取り調べを拘置所で行おうとしたが、3人は供述拒否権を行使しているという。今回の事件を「文在寅政権のスパイ捏造(ねつぞう)事件」だと主張してきたソン容疑者は、本紙の電話取材に対し「拘束令状が請求されるや突然辞任届を出した民弁(民主社会のための弁護士会)の弁護士を、弁護士法違反で告訴したい」と語った。
青瓦台(韓国大統領府)と与党は、一味が先の大統領選挙において大統領候補特補として活動したという疑惑について「初めて聞く話だ」という立場だ。選挙キャンプに大勢の人が行き来している状況で、誰が特補として活動したかなどを確認するのは困難だという。一味が与党の大物議員と会ったという疑惑に関して、与党の中心人物は「議員のオフィスには市民運動をやっている人々が1日に何度もやって来て、記念写真を撮って帰っていく」とし「この人々もそうしたレベルではないのか」と語った。
尹錫悦・前検察総長は、今回の事件についてフェイスブックに「韓国にまだ『組織的スパイ活動』が存在しているという事実が判明した、極めて重大な事案」と書き込み「文在寅政権は災害支援金支給などに回すため、F35A配備予算を削減するなど国防予算を5600億ウォン(現在のレートで約533億円)減らした」「これが、このスパイ事件について徹底した真相究明をぜひとも必要とする理由」と主張した。