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2020年4月23日(木)
新型コロナ “介護崩壊”を防げるか

新型コロナ “介護崩壊”を防げるか

新型コロナウイルスの感染拡大によって、大きな危機に直面しているのが「介護」の現場だ。デイサービスなど「通所介護」を中心に、感染リスクを恐れた事業者が休業に踏み切る動きが拡大。従来のサービスを受けられず、高齢者が心身の機能を低下させるケースもある。また介護の負担増に直面する家族も増加。通所介護の代わりとして役割を増す「訪問介護」もヘルパーや支援の不足に悩まされている。介護を取り巻く危機の現状と対策を探っていく。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから ⇒https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/

出演者

  • 高野龍昭さん (東洋大学ライフデザイン学部 准教授)
  • 牧野裕美さん (訪問介護事業所 責任者)
  • 武田真一 (キャスター) 、 小山 径 (アナウンサー)

サービス突然休止 利用者・家族に限界が…

認知症の父と暮らす、鈴木りかさん。
新型コロナウイルスの影響で、介護の負担が増す事態に突然直面しました。

緊急事態宣言が出された翌日、それまで利用してきたデイサービスが2週間の休業を決めたのです。

父を介護する りかさん
「この2週間どう対応すればいいんだろうって、パニックになりました。デイサービスに行くことで健康の維持もできていましたし、それが崩れる日が来ちゃうんだなと思って。」

デイサービスが休業し、自分の部屋にこもるようになった武二さん。数日後から行動に変化が表れました。

(叫び声をあげる武二さん)

りかさんも見たことがない姿でした。
さらに…。

りかさん
「チョキチョキしようね、パパ。」

武二さん
「嫌だよ、こんなの。気持ち悪いよ。嫌だ嫌だ、やめた。嫌だよ、こんなの。こんなの嫌だ。」

りかさんに強く声を荒げるようにもなりました。

それまで週5日デイサービスに通っていた武二さん。朝から夕方まで体を動かしたり、ほかの利用者と交流を楽しんだりすることで落ち着いた様子を見せていました。

りかさん
「父も楽しんでいましたね。だんだん朗らかになりました。デイサービスを利用することで、リズムがとってもよく動いていたのに全くなくなる。私の不安は(認知症が)進んでしまうのではないかということ。」

しかし、いま突然1人で外出する恐れもあり、りかさんは24時間 気が張り詰めたままだといいます。

りかさん
「父がカチャって出たりすると、『あっ何か』って心配になります。私が“介護うつ”みたいな形になるのではと精神的負担が大きい。」

りかさんはケアマネージャーに相談し、自宅にヘルパーに来てもらうことになりました。しかし、介護をしてもらえるのは1日30分が限界です。

以前のような生活リズムは取り戻せず、家族以外の人と話す時間はほとんどありません。

担当ケアマネージャー 旭 晋史さん
「(ヘルパーに)1日2回ないし3回入ってほしいと思うんですけど、なかなか量的にも調整が難しくなっている。家族だけでは介護が行き届かなくなってしまって、負担も大きくなって、介護が続けるのは難しくなると思います。」

りかさんは、デイサービスの休止による影響が長引くことを懸念しています。

りかさん
「こんなにデイサービスの効力、恩恵に浴してきていたんだ私と思って。だから、長くデイサービスがないのは しんどいですね。」

いま、りかさんのように、介護サービスの休止という事態に直面する家族が増えています。感染のリスクに直面し、休業に踏み切った事業所はデイサービスなどを中心に883件。

全国に広がっています。
介護施設で集団感染がおき、利用者が死亡するケースが相次いでいることが背景のひとつにあります。

“感染リスク”で利用自粛 健康損なうケースが…

デイサービスに通わなくなったことで体の機能が低下し、けがをする事態も相次いでいます。

都内で1人暮らしをしている角宗重さんです。
感染のリスクを恐れ、デイサービスに行かなくなって僅か4日後、ベッドから立ち上がろうとしたときに転倒し、そのまま起き上がれなくなってしまったのです。筋力が低下したためと見られています。

運よく訪問した看護師に発見され、早めに救急搬送してもらうことができましたが、4日間の入院を余儀なくされました。

角 宗重さん
「コロナがはやっていて、周りからいろいろ聞いて、怖いから休んでいました。転んで膝を打ったから痛かったんです。」

退院してからも足と腰に痛みが残り、長い時間歩くことができないでいます。
今も感染への不安を拭えないという角さん。しかし、“これ以上筋力を低下させるわけにはいかない”とデイサービスに再び通い始めました。

角 宗重さん
「足腰が弱って困りました。やっぱり(デイサービスに)来ないとだめだと思います。」

“感染リスク” “物資・人手不足” 苦悩する現場

サービスを継続している介護事業者も限界を迎えつつあります。

大きな壁になっているのが、感染リスクへの対応です。デイサービスの休業が相次ぐ中、国は、ヘルパーが自宅を訪れる「訪問介護」で対応していくよう求めています。

この日、訪ねたのは83歳の男性。
脳梗塞の影響で体にまひがあり、寝たきりの状態です。週3回の介護では、体を拭く、排せつを処理する、床ずれにならないよう体を動かすなど、いずれも じかに接触することが避けられません。

感染の予防にはマスクや消毒用のアルコールが欠かせませんが、行政から支給されず、底をつきかけています。

「物がない、もうギリギリですね。」

これまで3人のヘルパーが交代で対応していましたが、担当のヘルパーを固定し、接触する人数を極力減らして対応に当たっています。

男性の妻
「目いっぱいは見てやれない、話し相手にもなってやれない。だいぶ違いますね。助かりますよ。」

介護ヘルパー
「帰るともうヘトヘトで疲れ果てちゃいますね。もし かかったときの影響が大きすぎるということが、ものすごくプレッシャーになっています。」


さらに、以前にも増して深刻になった“人手不足”が現場を追い詰めています。
16人のヘルパーが所属するこの事業所。

責任者の牧野裕美さんです。
この日、相談を受けたのは80代の女性について。
女性は前日、自宅の風呂から立ち上がれなくなり、1時間以上もがいていたといいます。

急きょ、担当者と話し合い、“訪問の回数を増やせないか”検討することになりました。

ケアサービスひかり 牧野裕美さん
「(今までは)お風呂オッケーだったじゃないですか。外出てないし、やっぱり筋力低下ですよね。厳しいですよね、どうしましょう。」

しかし、慢性的な人手不足に加え、子どもの休校などの影響で、いま活動できるヘルパーは16人中10人。今すぐに訪問の回数を増やせず、浴槽の中に福祉用のいすを設置することで当面をしのぐことにしました。

ケアサービスひかり 牧野裕美さん
「葛藤しています。『はい』と言ってあげたいです。デイサービスに行けなくなったら『大丈夫、大丈夫、私たちがいるから』と言ってあげたいです。でも、今それは言えない。人も足りない。『どうしようか』と一緒に悩むしかない。」

いま介護の現場で何が足りないのか。どんな支援が必要なのか。
スタジオでさらに掘り下げます。

いま何が必要? 現場からの訴え

武田:まさに介護現場の危機。国はどう対応しようとしているんでしょうか。

小山:新型コロナウイルスで亡くなる方の年代別の割合が、60代、70代、80代以上と、やはり高齢者の死亡リスクが高くなっているんですよね。その高齢者が利用する介護の現場は、もう介護職員の負担は限界に達しているということでした。そこで国は今月、介護現場での感染予防マニュアルを策定しました。具体的には、消毒を小まめにすること、密集や間近での会話を避けることなどを盛り込んでいます。

武田:これに対して、現場からは実践できないよという声も上がっているわけですけれども、VTRにもご出演いただいた、訪問介護事業所の責任者の牧野さん。この感染リスクに直面している中で今、皆さんがいちばん必要だと思うこと、求めていらっしゃることはどんなことでしょうか。

ゲスト 牧野裕美さん(訪問介護事業所 責任者)

牧野さん:私たちは今、最後のとりで として訪問介護の仕事をしております。その訪問介護の私たちの最後のとりでが医療等につながる、そういった受け皿が欲しいと思っております。

武田:医療への受け皿というのは、具体的にはどういうことでしょうか。

牧野さん:きょうちょっとお熱があるとか、ちょっといつもと様子がおかしいんですがというような、感じたこと、私たちが受けとめたことを医療につなげられるような、先生につなげられるような仕組みが欲しいと思います。

武田:何らかの仕組みということですね。皆さんは何か特別な手当みたいなものというのはあるんですか。

牧野さん:いえ、いま医療や看護の現場には報酬があるようなんですが、私たちのほうは特にはございません。欲しいと思っております。

小山:そして、介護の現場では物資不足も深刻な状況なんです。もうマスクも洗って再利用するような状況。国は都道府県に対して、備蓄しているマスクを介護事業所などへ出すように求めているんですけれども、現場からは、“自治体間に差がある”、“介護は後回し”になっているのではないかという声が上がっています。

そもそも介護職というのは慢性的な人手不足だったわけなんですが、そこに新型コロナウイルスの流行で、職員が勤務しづらい状況になっています。これに対して国は、都道府県も含めてなんですけども、系列の施設から職員の応援を求めて対応してほしいと言っているんです。しかし、現場からは、“そんな余裕はない”という声が上がっています。牧野さん、物も人も足りない状況は本当に厳しいですよね。

牧野さん:そうなんです。何度も行政からアンケート調査はあるんですが、現実的にアルコール等のものが届かないんです。また、私たちはもう、人手不足は今に始まったことではないんです。それに追い打ちをかけるように休校になっています。スタッフも、家に置いてきた子どもを案じながら仕事をしている、正義感と責任感で仕事をしているという状態で、私も管理者として、とても切なく思っております。

武田:現場からは“介護は後回しになっているんじゃないか”というような声もあったということですけれども、今、利用者とその家族を守るために、いちばん求められていることはどんなことでしょうか。

牧野さん:私たちはやはり、おっしゃるとおり後回しになっていると思います。私たちの仕事は高齢者の暮らしを守ることです。医療につなげないように守ることです。私たちが、介護の問題が崩壊したら、今ある医療現場の崩壊にもつながるんです。もう少し目を向けていただきたいです。

武田:ありがとうございました。
厳しい状況が続く介護現場。一方で、家族や利用者を支えようと、ぎりぎりの模索も続いています。

家族・事業者が今できることは?

都内の介護事業所です。
デイサービスを来月5月から休止することを決めました。突然休止するのではなく、準備期間を設けることで利用者と家族の不安を和らげようとしています。

この施設は、100人以上が入所する「特別養護老人ホーム」も併設。もし誰かが感染すれば、“メガクラスターが発生しかねない”と休止という決断に至りました。

デイサービス管理者 三浦康介さん
「特養とかのお客様は介護度が高い方が多いので、感染したら命の危険にさらしてしまう。本当に休止するのは残念。」


サービス休止で、介護の負担が重くなるのではないかと不安を感じている、宮崎みちこさんです。隣町に住む、姉の吉住文子さんを週3回デイサービスに通わせてきました。

姉を介護する 宮崎みちこさん
「熱はかった?」

姉 吉住文子さん
「はかってない。」

姉を介護する 宮崎みちこさん
「(デイサービスに)行っていれば、お風呂入って、ごはん食べて、夕方に帰ってくるパターンだから一番よかった。(デイサービスがないと)疲れちゃいますね。」

ただ、休止までの準備期間ができたことで、今後の介護プランをケアマネージャーと相談することができました。

ケアマネージャー 永森啓正さん
「ヘルパーさんがいるときはヘルパーさんが全部対応しますので、みなさんの体の負担も減ると思うんですよ。」

ケアマネージャーが注目したのは、これまで受けていた訪問介護を有効活用すること。

回数は増やせないものの、1回当たりの時間を30分だけ延ばしてもらい、デイサービスで受けていた入浴介助を頼むことにしました。

ケアマネージャー 永森啓正さん
「(準備期間で)代替案を考える余裕がある。家族とも検討していける余裕がある。」


デイサービス休止を決めた事業所も、別の形で支援を行うことにしました。

「火曜日と土曜日でいいですか。」

「吉住さんは1日1回、9時~12時。」

姉の住吉さんの家に妹のみちこさんが通う日数を減らせるように、毎日電話をかけて健康状態を確認することにしました。

なじみの職員が話し相手になることで、認知機能の低下も防ごうとしています。

姉を介護する 宮崎みちこさん
「長くなりそうだから、(支援を)お願いしたほうが安心です。」

デイサービス管理者 三浦康介さん
「少しでも希望にこたえられるように、体調確認だけではなくて、世間話をさせていただいたり、家族の方が元気なのかとか、気をつけてやっていきたい。」


利用者と家族からの切実な声を受け、必要度の高いサービスだけを維持しようと模索する事業所もあります。
80人の高齢者が通う、大阪にあるこのデイサービス。

“入浴介助”にしぼってサービスを継続することにしました。自宅の風呂には介護に必要な設備がなく、足腰の悪い高齢者が使うと転倒の危険などもあるからです。

施設の責任者 田中 将さん
「独居の家庭も多いですし、ご夫婦で住まれている所になりますと老老介護になってくる中で、やはりご自宅での入浴を家族で提供するというのは正直難しいところがあったので、休止するのではなくて、デイサービスを入浴だけでも続けていただきたいというご要望が多数あった。」

感染リスクを徹底的に抑えるため、接触する人数を減らす工夫を行っています。
まず、送迎するのは一度に2人までに限定。さらに、入浴する時間を3回に分けて、施設に一度に人が集中しないようにしました。

これによって希望する人は全員、お風呂の利用を続けることができています。

利用者
「家のお風呂は入っていませんよ。こっちにきて入れてもらっているからいいです。」

「広いし、お湯がたっぷりあるし、いちばん楽しみです。」

利用者の妻
「去年2回ほど入院して、ちょっと弱っているんです、体が。それで助けていただいたら、すごく助かっているんです。」

個々の現場の努力に頼るだけでなく、社会全体でどんな仕組みが必要なのか、スタジオでさらに深掘りします。

いま何が必要? 国や自治体は?

武田:VTRにありましたように事業者もさまざまな工夫をしていますが、高齢者と家族を守るために、いま必要なことについて、高齢者介護の専門家の高野龍昭さんは「家族会議」だと言います。高野さん、これはどういうことなんでしょうか。

ゲスト 高野龍昭さん(東洋大学ライフデザイン学部 准教授)

高野さん:「家族会議」というと いささか大げさに聞こえるかもしれませんが、これだけ新型コロナウイルスの感染が広がってる中で、最悪のことも想定しておかなければいけないということだと思います。例えば、介護を担っているご家族が感染したりしたときにどうするのか。あるいは、利用している介護サービスの事業所が休止したら代替策はどうするのか。あらかじめご家族やご本人さんで一緒に考えておく。そのための「家族会議」。ただし、それを高齢者やご家族だけでお考えになるのは かなりつらいことだと思いますので、介護サービスの事業所の介護職員の人ですとか、担当してくれているケアマネージャーの人たちと一緒に相談しながら、そうした事態に備えておくための会議、協議の場をあらかじめ設けておくほうがいいのではないかというふうに思っているところです。

武田:先ほど訪問介護の現場からは、感染の不安もある中で何の手当てもないんだという声がありました。これは何とかならないのでしょうか?

高野さん:もちろん、いわゆる金銭的な手当てへの対策も必要だと思いますが、私が最も気になるのは、医療従事者よりも介護従事者のほうが、感染症対策が決して得意ではない人たちだということなんですね。もちろん毎年のようにインフルエンザがはやっていますから、感染症対策は一定程度ほとんどの介護職員は勉強しているんですけれども、今回のような相当積極的な対応が必要な感染症対策は、多分今まで経験したことがない。そうした対策に不慣れな中で大変戸惑っている実態がある。したがって、介護職員も不安とストレスをため込んでいるという状況が先ほども映像で出てきました。そういう感染症対策のアドバイス、あるいは、分かりやすいガイドラインをかみ砕いて伝えるというような支援が、まずもって必要なんだろうなというふうに思っています。

武田:現場の、本当に「最後のとりで」という声もありました。ここを支えるということは非常に大事だと思います。

高野さん:この間の動きを見ていて少し感じているのは、介護サービスのいちばん弱いところに、今回の新型コロナウイルスのしわ寄せが来ているなというふうに思っていることですね。具体的に言いますと、VTRで出てきた「訪問介護」と「デイサービス」というのが介護保険制度の中でいちばん多くの高齢者が利用しているサービスで、なおかつ、いちばん多くの介護の費用が使われているサービスなんです。したがって、財政が厳しい中で、何回かの介護保険制度の改正の中で、いちばん多くお金が使われている「訪問介護」と「デイサービス」の介護報酬の見直しを厳しく続けてきました。分かりやすく言うと、実質的なマイナスを報酬上 行ってきたということなんですね。そのために、介護職員も処遇が改善されない。経営体力も乏しいという中で、新型コロナウイルスが流行して、3つの密を避けることができない介護サービスですので、いちばん先にその2つの介護サービスに休止とか職員の負担などという問題が出てきて、高齢者ご自身にも悪影響が及んでいる。結果的に、そういうふうな介護報酬の切り下げとか、経営体制を乏しくするような周囲の環境が、今回の新型コロナウイルスでいちばん大きく悪影響が出ていると。したがって、高齢者に対しても非常に問題が生じている。だから、ここの改善策も講じていかなければ、そもそも論のところなんですけれども、問題は改善しないのではないかというふうに考えています。

小山:この先、さらに大変なことが待ち受けているという指摘もあるんですね。業界団体が介護事業者に行った緊急調査なんですけれども、新型ウイルスの経営への影響をすでに受けている、あるいは、受ける可能性があると答えたところが合わせて9割にも上るということです。この状態が長期化しますと、介護の受け皿そのものがなくなりかねないという状況なんですよね。

武田:まさに今、抜本的な対策が求められているように思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。

高野さん:ひと言で結論から言いますと、国、自治体からの経営上の支援がまず必要だと思います。ここで言う経営というのは、お金の問題もありますが、人材確保や感染症のノウハウ、あるいは、介護職員のストレスに対する対策ということですよね。特に介護サービスというのは、ほかの業種と比べて人件費率が高いという特徴があります。事業が休止して収入が減ったり途絶えたりすると、事業経営そのものがいちばん早く難しくなる業種だというふうに考えられます。また医療もそうですけれども、介護サービスというのは、今これだけ人口が高齢化している中で、高齢者にとってもご家族にとっても社会的なインフラとなっている。そうしたところが崩壊してしまわないような経営上の支援策を早く適切に講じなければ、この先、新型コロナウイルスの問題が収束した後も、介護サービスが提供できない、介護サービスの体制の崩壊ということが現実味を帯びて課題となっていく、そんな懸念を持っています。

武田:ありがとうございました。

2020年4月22日(水)
“イベント自粛”の波紋 文化を守れるか

“イベント自粛”の波紋 文化を守れるか

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、全国各地で音楽コンサート、演劇などのイベントの中止が相次いでいる。中止・延期となったイベントの数は少なくとも81000。5月末までにライブ・エンタメ市場9000億円のおよそ4割が消失するという試算もある。多くのアーティスト、イベントを支えるスタッフたちが生活困窮に追い込まれ、文化の衰退を危惧する声が各界の著名人から発信されている。どうすれば事態を打開できるか。ネットを駆使し新しいイベントのあり方を模索する音楽プロデューサー・つんく♂さん。安全を確保しながらコンサートを行うためのモデルケースを作り始めた音楽プロダクション…。番組は、苦境に追い込まれた現場を取材、文化を守るためにいま何が必要か考える。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから ⇒https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/

出演者

  • 平田オリザさん (劇作家)
  • 合田 文さん (WEBメディア「パレットーク」 編集長)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

新型コロナ “イベント中止”の波紋

去年、2年連続で紅白出場を果たした純烈。
新型コロナウイルスの影響で、2月末から一度もライブを行っていません。
純烈のリーダー、酒井一圭さんは悩んだ末にライブの中止を決めました。

純烈 リーダー 酒井一圭さん
「やっぱりお客さんのことを考えると、健康と命が一番大事なので。純烈である前に、人としてという部分で判断させていただいて。」

90年代後半から、CDの売り上げが低迷している音楽業界。収入の柱になっているのがライブです。
純烈も全国各地のスーパー銭湯などで、ファンとの触れ合いを大切にしながらライブを開催してきました。

収入の中心がライブだった純烈の事務所。大きな損失を受けています。

純烈 マネージャー 山本浩光さん
「(2月27日が)最後の、お客様の前でやらせていただいたイベントの最後ですよね。あとはこんな感じで、赤字のところは中止、もしくは延期。もうダメージは計り知れなく大きい。コンサートとかディナーショーがなくなる、イコール、収入がなくなる。事務所的にもやっぱり厳しくなってきます。」

ファンからは、再開を心待ちにする手紙が数多く寄せられています。

純烈 リーダー 酒井一圭さん
「励みですよ。SNSのメッセージもそうですし、ファンあっての純烈なので。」

しかし、この状況が続けば、グループの存続すら危ういと感じています。

純烈 リーダー 酒井一圭さん
「純烈を続けていくというストーリーと、純烈を続けていけないストーリー、いま自分はふたつ走っているっていう状況。当然、純烈を続けたいっていう思いはあるんですけど、僕らも収入がないと生きていけなくなっていく。その時に家族を守るっていうことを考えると、できなくなりますよね、必然的に。」


新型コロナウイルスの影響は、イベントを支えるさまざまな企業にも及んでいます。

イベント音響会社 取締役 藤岡正博さん
「こちらが音響機材ですね。現場がないので、全部 倉庫に残った状態です。」

コンサートや舞台の音響システムを請け負う会社です。
ほとんどのイベントが中止になり、売り上げは9割以上減りました。

休ませている15人の社員の給料は、資金を切り崩して何とか払っています。

イベント音響会社 取締役 藤岡正博さん
「本当にこの状態だと、半年はしんどいと思いますね。転職を考えている人もいると思いますし、われわれの業界自体も人が減少していく、大きい損失だと思うんですよ。」

相次ぐ音楽ライブや演劇などの中止。
この状況が5月末まで続けば、市場規模9000億円のおよそ4割が失われるという試算もあります。


エンターテインメントを担う業界団体のトップたちも、かつてない危機感を抱いています。

コンサートプロモーターズ協会 会長 中西健夫さん
「現実的な解釈としては、どんなに早くても6月いっぱいまではできないだろうなって。(経営が)もたない会社の数は半端なく出てくると思うんですよね。」

日本音楽事業者協会 会長 / ホリプロ 社長 堀 義貴さん
「エンターテインメント全体がもう、ちょっときついな。」

コンサートプロモーターズ協会 会長 中西健夫さん
「本当に産業として、膨大なジャンルの方々が関わっているんで、そのことまで含めると、どうしていいか分からないぐらいの広い範囲で、今やれないことが増えているということです。」


相次ぐイベントの中止によって、文化そのものが廃れかねないという懸念も広がっています。

その一つが、オーケストラです。
50年近い歴史を持つ、新日本フィルハーモニー交響楽団。

このホールで毎月公演してきましたが、2月末から一度も行っていません。
この状況が続けば、楽団を解散せざるを得ないといいます。

新日本フィルハーモニー交響楽団 専務理事 林 豊さん
「(公演する)場すらなくなるということですから、消滅するという話ですよね。そういった文化がなくなる、文化もなくなるということですよね。」


演奏者たちも、これまで経験したことのない事態に追い込まれています。
パーカッショニストの石橋知佳さん。これまでのように練習ができなくなりました。

パーカッショニスト 石橋知佳さん
「集まっちゃいけない、人と接する機会を減らさなきゃいけないので。だけどオーケストラって たくさんの人数で、真逆なんですよね、今の状況と。」

オーケストラは楽器が奏でるハーモニーを大切にするため、演奏者たちが集まって練習を行います。しかし、感染のリスクがあるため、それができないのです。

自宅での練習を余儀なくされている石橋さん。ほかの演奏者と息を合わせることができず、技術が落ちないか不安を抱えています。

パーカッショニスト 石橋知佳さん
「ちゃんと復帰できるかどうかとか、そういった悩みとか かなり強くあります。考えるだけで胸が押しつぶされるような状況なので、自分たちとしては技術が落ちないように待つしかない状況。」

1人で練習せざるを得なくなった演奏者たち。それぞれが自分の演奏を撮影し、1本の動画に編集。インターネットで配信しました。

オーケストラの文化が失われかねないことを知ってほしい。
演奏者たちの思いです。

イベント中止の波紋。
どうすればよいのでしょうか。


武田:ステージであれほど輝いていた人たちが、今、笑顔を失っている現状に衝撃を受けました。今夜は劇作家の平田オリザさんに中継で伺います。平田さんご自身の劇団も公演が中止に追い込まれたということですけれども、当事者として、今の現状をどう受け止めていらっしゃいますか。

ゲスト 平田オリザさん(劇作家)

平田さん:演劇を始めて35年たつんですが、初めての経験ですね。私たちの劇団も3月のフランス公演を皮切りに、もう7会場ほど公演中止になりました。演劇は最低でも1か月、2か月稽古しなければならないので、準備期間も含めてのことなので。私が聞いている範囲では、10月ぐらいまで公演中止が決まった劇団もあります。1~2週間とか1か月我慢しろという話でもない。半年公演がなくなってしまうということですね。

武田:経済的な打撃だけではなくて、文化がなくなってしまうと訴える声もありましたね。本当にそういうふうになってしまうんでしょうか。

平田さん:経済と文化は連動していまして、今回、小規模の劇団なんかですと、借金を300万とか500万 全部を劇団主宰者が負わなきゃいけない。演劇をやめる人も出てくるでしょうし、先ほどVTRにあったスタッフの方なんかでやめる方も出てくると。私たちは長い文化の営みの中で、連続性を持ってやっているわけですね。例えば、カラオケでストレスを解消するにしても、そのカラオケは何かの楽器で演奏されて、それが楽譜によって記録されて、長い営みの中で大衆文化もあるので。最終的に社会全体の文化がやせ細っていってしまうということなんですね。

武田:みんながその文化の恩恵を受けている、それが途絶える危機にあると。

平田さん:気が付かないうちに、文化って非常に広い範囲なんですよね。

栗原:今回分かった中止や延期となったイベントの数、8万1000件。これは1か月前に集計したものなので、実際はもっとはるかに多い数になっているとみられています。影響が及んでいるのは音楽や演劇だけではありません。例えば、来場者70万人を超える漫画やアニメ文化の祭典、コミックマーケットも中止になりました。また、地域で受け継がれてきました、伝統文化、京都の祇園祭のハイライトとなる山鉾巡行や青森のねぶた祭も中止になっているんです。さらに、イベントが中止されたことで、周辺のホテルや飲食店などへの打撃も大きく、その経済的な損失は計り知れない状況になっています。

武田:もう一方、ウェブメディアの編集長を務め、ベンチャー企業の経営もされている合田文さんにもコメンテーターとして加わっていただきます。合田さんは、このイベント自粛によって、経済的にも文化的にも今、危機に陥っている現状をどうご覧になりました?

ゲスト 合田 文さん(WEBメディア「パレットーク」 編集長)

合田さん:演劇や音楽って、作品を楽しむだけじゃないんじゃないかなと私は思っていて。同じ思いを持った人たちが気持ちを共有し合うようなものだと思うんです。ライブも一体感があったりだとか、そういったイベントだけでなくて、例えば、ジェンダー平等を掲げる「国際女性デー」のイベントであったり、性的マイノリティーの人たちがもっと自分らしく生きられる社会を掲げる「東京レインボープライド」なんかも、オフラインでは中止せざるを得なくなってしまったんですね。そうなると、そういったイベントで語り合ったりだとか、エンパワーメント(湧活)し合ったりという機会を失う人も多くて、経済的だけではなく精神的に傷ついてしまったり、孤独感を感じてしまう人も多かったりするんじゃないかなと思っています。

武田:こうした現状に、国はどんな支援を考えているんでしょうか。

栗原:国が取りまとめている主な支援がこちらになります。感染対策のために「文化施設にサーモグラフィーを設置する費用」や「中止になった公演をインターネットで動画配信をする費用」などの助成を行うことにしています。しかし、文化活動に関わる人たちの生活を支えることに特化した策というのは、今のところ用意されていないんです。個人や中小企業向けの給付金などで対応する形になっています。

では、ヨーロッパはどういう状況なのか。ヨーロッパでは各国、アーティストの生活を支えるためのさまざまな支援策が打ち出されています。イギリスでは最大で34万円。フランス最大30万円。ドイツでは、一部の州で すでに24万円を支給しているんですね。

平田さん、こうして比較してみますと、ヨーロッパでは手厚い支援が行われているように感じるんですけれども、この違いはどんなところにあるのだと思いますか。

平田さん:もともと日本の文化予算は先進国平均の4分の1。先進国で最もGDP比では低いと言われていて、もともとが少ないんですけれども。ヨーロッパでは劇場とか音楽ホールというのは教会に準ずるような、人々の社会生活を支える、社会的なインフラの一つとして考えられています。あるいは、人々がそこで集まって議論する、民主主義を支える場としても意識されているんですね。それから、アーティスト個人で言いますと、例えば、フランスは「アンテルミタン」という保障制度があって、ふだんから年間900時間ぐらい働くと、残り働いていない月でも最低所得保障が20万円ほどあります。これはふだんからあるので、こういうことになってもあんまり慌てないで済むんです。アーティスト、才能のある人が、経済的な理由でほかのジャンルに行かれることは国益を損ねるという、社会的なコンセンサスがあるというのが前提になっていますね。

武田:本当に苦しんでいる方がたくさんいらっしゃる中で、どうしていくかということなんですけれども、合田さんはどう考えますか。

合田さん:SNSでもかなり話題になったんですけれども、「クラウドファンディング」、民間から基金を集めてミニシアターを守ろうという基金があったんですけれども、本当に数日で1億円ぐらい集まって、国内最速記録だったそうで。自分たちが応援している企業に民間からお金を集めるのはすばらしいと思いつつも、こういった自粛の体制をどう整えていくかというのは、民間ではなく、あくまで国でやってほしいなと思っています。

武田:このイベント中止の波紋、危機をどう乗り越えていけばいいのか。現場でも模索が始まっています。

“イベント中止”文化は生き残れるのか

ライブを活動の中心に据えてきた、BiSH(ビッシュ)です。
新型コロナウイルスの影響でライブを中止しています。
BiSHが所属する音楽事務所です。

「換気して。」

感染が収束したとき、いち早くライブが再開できるよう、アイドルたちが練習に取り組んでいます。感染を防ぐため、歌は歌いません。振り付けの練習を何度も繰り返します。

豆柴の大群 ハナエモンスターさん
「パフォーマンスでお客さんに元気になってほしいというのもあるので、そのためにも私たちは、今こうやって練習をしています。」

BiSH セントチヒロ・チッチさん
「収束して、またライブができたときは、それまでの思いを全部ぶつけるしかない。(コロナを)ぶっとばす気持ちでやります。私たちは変わっていないんで。」

この音楽事務所の代表、渡辺淳之介さんです。
ライブの再開に向けて、感染リスクを徹底的に抑える方法を考えています。

WACK 代表 渡辺淳之介さん
「(いつ再開できるか)分からないから、準備していないと どうしようもない。メンバーをアクリル板に入れた中で、マスクしたり消毒したり。2000人規模のところを30人くらいならいけるんじゃないか。状況が落ち着いてきた段階では、こういうこともできるのかもしれない。」

渡辺さんは、これを足がかりに、以前のようなライブに戻していきたいと考えています。

WACK 代表 渡辺淳之介さん
「やっぱり絶やせない、絶やしちゃいけないと思っているので、そこは採算が取れまいが何しようが、やっぱり続けていく姿勢を見せることが希望になっていくと考えている。」


がんの手術で声帯を摘出した、音楽プロデューサーのつんく♂さんです。
今、新しいイベントの形を作ろうと模索しています。

6年前から母校・近畿大学の入学式のプロデュースを任されてきた、つんく♂さん。コンサートさながらの派手な演出で新入生たちを楽しませてきました。

しかし、ことしは会場に人を集めることができません。
そこで、つんく♂さんはインターネットで8000人の新入生に向けて、入学式を生配信することにしました。さらに入学式の後、トーク番組を配信。つんく♂さんと近畿大学OBのお笑い芸人が、SNSに寄せられた新入生たちの声を紹介しました。

“おうちで入学式”
“さすが近大 やることがちゃうわー”
“ある意味 特別な入学式やった”

お笑いコンビ 霜降り明星
「『今日出会うはずやった友人がおったのにな』『早く大学生活をおう歌したい』」

音楽プロデューサー つんく♂さん
「出会うべき人はいつか出会う!」

新入生がそれぞれの思いを自由に発信できる、これまでにない入学式になりました。

全国で相次ぐイベントの中止。
つんく♂さんは“アイデアを出せば できることはまだたくさんある”と考えています。

音楽プロデューサー つんく♂さん
「自粛の要請という枠組みの中で、どう判断していくか。なんでもかんでもストップするのではなく、例えば現場に人が来られなくても、楽しめるアイデアも並行して考えていくべきだと思います。このような状況でも我々クリエーターはもの作りを止めてはいけません。」


栗原:新しいイベントの形としては、こうしたものも今あるんです。

今、音楽業界では無観客のライブをネットで有料配信する動きが広がっているんです。あるバンドがライブを中止したかわりに有料配信をしたところ、5000人以上がお金を払って視聴しました。もともと予定していたライブよりも8倍集客ができて、予想以上の結果になったということなんです。ネットを活用した新しいビジネスモデルの誕生が期待されています。

武田:平田さんは、こうしたアイデアいかがですか。

平田さん:映像化を嫌う演出家の方もいらっしゃるんですけれども、私は、あんまりアレルギーがないほうで。実は、うちの5月の北米ツアーのニューヨーク公演も中止になってしまったんですけど、プロモーターの方が私の過去の作品に英語の字幕をつけて世界に向けて発信をしてくださったりしていて。今のバンドのように、やっぱりインターネットを通じてのほうが広がりますのでね。チャンスでもあると思うんです。映像配信というと、ニューヨークの「メトロポリタン・オペラ」が非常に力を入れていて、ライブビューイングもやっていて、非常にクオリティーが高いんですね。ただアンケート調査を取ると、9割の人が「本物が見たくなった」というふうに答えるんですね。ですから、私たちステージに生きる人間としては、最終的に、いろんなネットとかを駆使しながら、やっぱりこのウイルスが収束したら本物を見に行きたいよねって思わせるようなコンテンツを作るというのが、私たちのやらなきゃいけないことだと思っています。

武田:こうした現状を知って、何かできないかと思うファンも多いと思うんですけれども、私たちにできる事ってないんでしょうか。

栗原:中止になったコミケですけれども、今回、販売される本の印刷会社が窮地に陥りました。そこで、ファンたちが始めたのが「エアコミケ」というバーチャルなイベントなんです。会場で売られる予定だった本をネットで買おうと呼びかけているんです。

ふだん文化や芸術を楽しんでいる人たちが支えようということも大切かと思うんですけれども、合田さん、私たちにできる支援はどんな形があると思いますか。

合田さん:バーチャルというのもあると思うんですけど、コロナの影響で食品の買い占めとかがあったじゃないですか。もしも余裕のある方がいらっしゃったら、1~2週間後とか直近のことじゃなくて、コロナが終わった後の先の楽しみに投資するような形のお金を払っていく。そして、企業もその受け皿を作っていけたらいいんじゃないかなと思っています。

武田:いつ再開するか分からないけれども、今お金を払える仕組みを作るということですね。平田さん、同じ空間で感動を共有する体験が今できなくなっていますけれども、こうした中で私たちが心に留めておくべきことってどんなことでしょうか。

平田さん:もちろん命は大切ですよね。それから例えば、お金とか、なくてはいけないものというのは議論がしやすいと思う。だから10万円給付とか30万円給付という話になるんですけど、文化というのは人々それぞれ大事にするものが違うので、音楽が本当に大事な人もいれば、演劇で救われた経験がある人もいれば、スポーツが生きがいの人もいれば、何か映画を見た後に友達といいお酒を飲むのが大好きという人もいると思うんですね。一人一人違うから、その違う楽しみを理解する、相互理解する、寛容になるということがとても大事だと思うんですね。実は、この他者理解、異なる文化とか異なる価値観を持った人の気持ちを理解するのも芸術の役割なので、そういう皆さんが今、ストレスがたまっていると思う。ぜひ私たちが、それを早く届けたいというのが本当に一番の願いです。

武田:私も本当にそういうふうに思っています。命も大事で経済も大事なんですが、私たちの心を救ってくれるようなさまざまな表現も絶やしてはいけないなというふうに思います。きょうはどうもありがとうございました。
最後に、演出家の宮本亞門さんが作った この動画をご覧ください。


俳優・アーティストなど600人が歌った「上を向いて歩こう」。
社会に閉塞感が広がる中、少しでも前向きになって欲しいと企画された。
感動や勇気を与えてくれる“音楽の力”が必要。
宮本さんは考えた。

演出家 宮本亞門さん
「一番危険なのは、芸術家、工芸家たち、あらゆる文化に関わる人たちが自分で自分を否定してしまうことです。踏ん張っていきたい。なぜなら、その後 最も必要になるのが、演劇・アート・音楽・文化だと思うからです。今とても試されている、次の生き方を。文化は最も必要なものだと思っています。」