沖縄県立中部病院の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)公表遅れ問題を巡り、県専門家会議の委員で同院の高山義浩医師は5日夜の会議で、委員を辞任する考えを表明した。
出席者によると、高山医師は辞意の理由について「新たな感染症への対策には信頼関係が大事だ。会議の委員としてさまざまな情報発信をしてきたが、今回の件で自分の発するメッセージがそのまま伝わらない感覚がある。委員継続は適切でないと考えた」という趣旨のことを述べたという。
県立病院を所管する県病院事業局は、病院側がクラスター公表の記者会見を取りやめたきっかけとなった同局の6月10日のメールに関し、高山氏の「公表基準を満たさない」とする助言が関係したと説明していた。
一方、高山医師は7月5日の県議会文教厚生委員会で「基準を満たさない」ことと同時に、公式ホームページや県保健医療部の記者会見で速やかに公表すべきだとも助言していたと説明。 高山氏は「なぜ公表基準に関する発言部分だけが切り取られるのか、何らかの意図があるのではないかと不安に思う」と述べた。その上で「私自身の発言がきっかけになって公表が遅れたことは事実だと思うので、私にもその責任はあり、残念に思う。公表基準を作るところのお手伝いまで、専門家と名乗る以上やる責任があったと反省している」と語った。