今月の建設市況と今後の見通し
日建連の週休2日制移行方針により工期・コストに影響あり
11月は来年のサッカーワールドカップ・ロシア大会の組み分けが決まったり、大谷翔平選手のエンゼルス入団が決定したり、スポーツファンは胸躍るニュースが多くありました。平昌五輪も間近に迫り、来年もスポーツから目が離せません。
さて、11月中旬に日本建設業連合会(日建連)が2022年3月期までに施工現場を週休2日制に以降する方針を固めたとの報道がありました。これまでは日曜のみ休工とし、土曜・祝日も工事を行っていた現場が多かったかと思いますが、週休2日制に移行することにより工期・コストに大きな影響を与えることになります。すぐに影響が出る訳ではありませんが、今後建設プロジェクトを計画するにあたっては要注意です。
今月の建設資材の動向ですが、先月同様、鉄鋼系は引き続き上昇基調です。コンクリート系は型枠に用いられる合板が今月も上昇しており(4ヵ月連続)、そろそろ見積に反映されてもおかしくない状況です。
建築費指数は、今月も鉄骨造オフィス・RC造オフィスともに上昇基調にあります。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
上昇
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●PHCくい 300ミリ×8メートル 東京
- ●コンクリートパイル 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしました。いずれの用途においても、東京が一番高く、第二グループとして「札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡」、低いのは「金沢、新潟、高松」の3都市となっています。傾向としては、この3年で東京と地方都市との差が若干開きつつあり、2020年東京オリンピック・パラリンピック関連や大規模再開発による工事量が多い東京とその他の都市との差が現れてきているものと考えられます。
RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)
1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。