今月の建設市況と今後の見通し
生コンクリートの東京の取引価格が10ヵ月ぶりに上昇
この1ヵ月のスポーツシーンのハイライトといえば、なんといっても大谷翔平選手の活躍とハリルホジッチ監督の解任でしょう。前者の方は、うれしい限りですが、後者の方は、なんともいえない後味の悪さがあり…。ハリルホジッチ監督でロシアW杯を戦った場合の答え合わせが出来ないもどかしさはありますが、西野ジャパンに期待しましょう。
さて、今月の建設資材の動向ですが、先月同様、鉄鋼系は引き続き上昇基調です。異形棒鋼、H形鋼は先月と変わりませんが、その他の鉄鋼系資材、グラフにはない大径角形鋼管等は上昇しています。コンクリート系は、グラフは先月から変動していませんが、先日、生コンクリートの東京での取引価格が10ヵ月ぶりに前月比200円/m3(1%)上昇しました。原料のセメントもメーカーが4月出荷分から1,000円/ton(約9%)値上げを打ち出しており、今後上昇する値動きがあるものと思われます。
建築費指数は、今月も鉄骨造オフィス・RC造オフィスともに上昇基調にあり、衰える気配はありませんが、米中貿易戦争の行方次第では、グローバル市場に影響し日本に飛び火する可能性も否定できません。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●PHCくい 300ミリ×8メートル 東京
- ●コンクリートパイル 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月は鉄骨造の工場、倉庫、物流施設をピックアップしました。工場では、札幌が東京よりも高く、倉庫もほぼ同等というのがこの2年くらいの状況です。低いのは、「金沢、新潟、高松」の3都市で、構造種別・用途問わず、その傾向にあります。
鉄骨造 工場の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 物流の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡、札幌 < 東京
鉄骨造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)
1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。