今月の建設市況と今後の見通し
生コンクリート、普通合板の上昇がRC造建物に今後影響
サッカーワールドカップが目前に迫ってきましたが、日本代表メンバーには誰が入るのか。35人の予備登録メンバーはすでに提出されており、どういったメンバーが最終登録メンバーの23人に入ってくるのか、楽しみです。
さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は異形棒鋼、グラフにはない大径角形鋼管は上昇していますが、鉄スクラップは下降しています。これは高値への反動がきたものと思われますが、鉄スクラップの価格は長いスパンでとらえると、上昇基調を保っています。コンクリート系は、先月のレポートでも触れたように、生コンクリートが上昇しています。他にも人工軽量コンクリート、普通合板も上昇しています。RC造の建物への影響が次第にあらわれると考えられます。
建築費指数は、今月も鉄骨造オフィス・RC造オフィスともに継続して上昇基調にあり、働き方改革や所得環境の継続的な改善等もあり、今後も引き続き上昇基調と予測されます。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼
5.5×8×200×100ミリ
東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
上昇
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●PHCくい 300ミリ×8メートル 東京
- ●コンクリートパイル 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月は鉄骨造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしました。いずれの用途も東京が一番高く、低いのは「金沢、新潟、高松」の3都市です。目を引くのは、仙台がこの4ヵ月で上昇しており、ホテルでは広島を逆転しています。
鉄骨造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)
1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。