今月の建設市況と今後の見通し
先月に引き続き、全体的に落ち着きつつも微増
この建設市況レポートを始めたのが昨年の10月でしたので、早いもので1年がたちました。最近はこの建設市況レポートをご覧になった方からお問い合わせをいただくこともあって、少しずつですがみなさまのお役に立てていることを実感する場面もあり、大変励みになっております。ありがとうございます。たびたびの原稿の入稿遅れで担当メンバーに迷惑をかけておりますが、今後もご愛顧いただけるよう継続してまいりたいと思います。
さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、鉄スクラップのみ下降、その他は先月から変わらずですが、グラフには載っていない高炉品、角管が上昇しています。RC系は人工軽量コンクリートのみ上昇、その他は先月から動きがありません。
建築費指数は、先月と同様に、鉄骨造オフィスは微増、RC造オフィスは変わらず。資材価格も建築費指数もおおむね落ち着いていますが、傾向としては増加側に振れています。下がる要素がないため、今後もこの傾向が続くものと思われます。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
上昇
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月は鉄骨造の工場、倉庫、物流施設をピックアップしました。この3ヵ月でいずれの用途も東京に対して大阪の格差指数だけは上がっていますが、その他の都市の格差指数は下がっています。東京、大阪といった大都市と、その他地方都市の建築需要の差があらわれています。
鉄骨造 工場の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 物流の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)
1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。