今月の建設市況と今後の見通し
建築費は高止まり傾向、労務単価の動向に注視
この建設市況レポートを今月から担当することになりました、事業創造推進本部 第一部の鴨下と申します。宜しくお願い致します。
前担当のようなスポーツなどの時勢を取り入れるか思案中ではありますが、皆様のお役に立つコスト情報を提供できれば幸いです。
さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系はしばらく上昇傾向でしたが2月は安定しました。鉄スクラップは3ヵ月連続で下降していましたが上昇に転じました。RC系資材はしばらく安定している状況です。概ね高止まりの傾向といえるでしょう。
ただし以前にも記述しましたが鉄骨造に用いられる高力ボルト不足が深刻化していきそうです。大きな施工会社でもボルトの入手に苦慮しているようなので今後も注視していく必要があります。
建築費指数は、鉄骨造が微増、RC造は横ばいです。
話はそれますが、3月から適用される公共工事設計労務単価が発表されました。
前年度18,632円→19,392円 4.1%増(全職種平均)
また、設計業務委託等技術者単価も更新されて、主任技術者は65,500→68,800円 5%増になりました。
需要と供給のバランスに加え、労務力不足は建設業界も例外ではなく、ここ数年数パーセントアップの状況が続いており、事業費および建設費全体のアップ要因になっています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。
今回はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしています。
傾向はかわらず、東京が一番高く、低い傾向(90以下)にあるのはどの用途も「名古屋、金沢、新潟、高松、福岡」の4都市です。特段する程の大きな動きはないですが、どの都市も横ばい・微増する中、仙台のみが下降傾向なのが気になりますね。
RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
株式会社山下PMC
事業創造推進本部 第一部 部長
鴨下 清(かもした・きよし)
大学院では、テンセングリティ構造や展開構造物について研究。山下PMCに入社し、大規模研究施設のCM業務を担当。現在は、基本計画~竣工・引渡しまでワンストップでプロジェクトを推進する案件を多数担当。特に、性能発注方式を活用したマネジメント経験が豊富。