今月の建設市況と今後の見通し
建設市場 先行き不透明な国内景気
先月は大規模建物の二次部材に使う電炉材(鉄スクラップが主原料)の鋼材が3年ぶりに値下がりしたことをお伝えしましたが、2019年7月26日付日経新聞の記事に、主に鉄筋コンクリート造に用いる棒鋼(いわゆる異形鉄筋)の価格が2年ぶりに値下がりした記事が載りました。1%の値下がりですが…。
それでも当社が担当するプロジェクトでも一時期と比べて落ち着きを取り戻している事実と合致するところがあり、記事でも「都市部で旺盛だった建設需要の変調を映している。内需をけん引してきた鉄鋼市況が力強さを失ってきたことで国内景気の先行きに不透明感が強まってきた」と言及されていました。工事費が安くなる傾向については歓迎しますが、国内景気の停滞と聞くと不安になりますね。
さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は下落に転じています。
RC造(鉄筋コンクリート)系は合板のみ下降しています。
ただし、建築費指数はS造、RC造とも上昇しました。
ここ最近に比べると大きな上昇です。(RC系は0.4ポイント、鉄鋼系は0.9ポイント上昇)
労務(人手不足)の影響かもしれませんね。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●鉄スクラップ H2 東京
下降
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
下降
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数により示します。
今月はS造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしています。
前回からの大きな変動はありません。
傾向はかわらず、東京が一番高く、低い傾向(90以下)にあるのはどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
鉄骨造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
鉄骨造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
鉄骨造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京