今月の建設市況と今後の見通し
祭りの後の静けさ…?【建築編】
新国立競技場が無事に完成しました。過去のホスト国ではオリンピック開催の寸前まで工事を行っていたことを考えると、期限を守り、万全な状態でオリンピックを迎えようという日本の物づくりに対する姿勢は誇らしいと思います。
また、先月はスポーツ関連(ラグビーW杯や野球プレミア12)に対して「祭りの後の静けさ…」というタイトルでしたがを挙げましたが、今月は建築業界に関しても言えることかな、と思い再びタイトルにしました。
オリンピック・パラリンピックに関する「祭りのような建築ラッシュ」も落ち着きはじめ、マラソンの開催地変更などがありますが、なんとか順調に進捗しているようです。その影響のためか、建築コストを上昇させる理由が減少し、高止まりの状況から少しずつではありますが減額に向かっているように思え、建築業界のお祭りが一服した感があります。
一方、11月末の日経新聞に「生コン値上げ表明相次ぐ」という記事がありました。生コン協組が首都圏で5~7%の値上げを表明したとの事。もちろん買う側のゼネコンが受け入れるかは別になりますが…。
また、相変わらず鉄骨ボルトは手に入りづらく、既成コンクリートなどの生産も納期に時間が掛かる状況が続いているようです。コストだけでなくスケジュールに対しても注視していく必要がありますね。
今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系資材は一部上昇傾向ですが、多くは横ばいの傾向です。
RC系資材は先月に引き続き横ばいです。
建築費指数はS造、RC造とも先月上昇しましたが、今月は減少傾向に転じています
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
下降
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数により示します。
今回はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしています。
東京が一番高く、低い傾向(90以下)にあるのはどの用途も「名古屋、金沢、新潟、高松、福岡」の5都市です。
直近の傾向として、大阪、札幌の建築費指数が上昇傾向です。
RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京