今月の建設市況と今後の見通し
コロナに振り回される建設資材
ここのところ、コロナ関連の出来事をご紹介し続けており、みなさん飽きてしまっているかもしれませんが、今月もコロナ起因の記事を一つご紹介します。
9月15日の日経新聞に「建設資材回復遅れ鮮明」という記事がありました。記事には「建設鋼材などは例年秋が需要期だが、今年は建設が延期・中止になるビルやホテルが相次ぐうえ、工事も遅れて出荷が滞りそう。原料高(鉄鉱石や鉄スクラップなど)に苦しむメーカーでは値上げを打ち出す動きもあるが、流通市場の反応は鈍い。」とのこと。H型鋼の8月末の在庫は7月と比べて(%減、7カ月連続の減少、かつ価格も2019年末と比べて11%も安く取引されているそうです。また、生コンクリートも低調とのことでした。
翌日の日経新聞には、「メーカーの鋼材価格を一部値上げする」との記事がありましたが、それに対して、鋼材を購入する側の大手ゼネコン幹部は「受注競争が激化しているので容易には応じられない」と話しているようです。
メーカーにとっては、しばらく厳しい状況が続きそうですが、建築主からするとこれまで高額だった建設費が下がる要因につながるので、一方的に悪い話ではないと思いました。苦しむ人がいれば喜ぶ人もいる、という2つの局面がありますね。
さて、下記に先月のコスト状況をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系およびRC系資材とも先月に引き続き、横ばい傾向です。
建築費指数はS造は先月に引き続き横ばい傾向ですが、RC造は上昇傾向に転じました。
RC造の上昇については、想定になりますが職人さんが減少していく現状(コスト上昇要因)に加えて、コロナの影響で人の確保が難しくなった影響かもしれませんね。
2.都市間格差の傾向
今回はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしましたが、大きな変化は見られません。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京
RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京