今月の建設市況と今後の見通し
話題を変えて(変えたくて)……
コロナの第三波が押し寄せており、私たちの行動も相変わらず一部制限されています。4~9月のゼネコン大手の利益も大幅に減少し、建設業界は辛い時期が続いています。早くワクチンや治癒薬の開発が進むと良いですね。
さて、ここ数ヶ月コロナ絡みの話ばかりでしたので、少し目先を変えた話題を一つご紹介したいと思います。自給率が上がってきている「国産木材」活用についてです。
国の利用促進策で公共建築物を中心に木造化が進んでいますが、オフィスビルなど民間の中高層建物にも木製構造材が使われ始めました。林野庁によると、日本で建材や燃料、製紙などに使う木材のうち国産材の割合が2002年時は18.8%だったが2019年には36.8%と4割近くまで高まったそうです。無駄な森林伐採は許されませんが、計画的な森林の成長計画は豊かな自然を維持していくためにも必要な事です。
最近では耐火性能を備えた木材が開発され、三井不動産さまと竹中工務店さまが2023年には17階建ての木造ビルの着工を計画しているそうです(2020年11月7日「日経新聞」)。
その他の事業者も数件計画されていることと思います。課題はやはりコストだそうで、10~15%割高になるとのこと。でも需要が伸びて技術が進歩すれば、木造による中高層ビルが頻繁に見られるようになる時代もそう遠くないかもしれませんね。 期待したいところです。
さて、下記に先月のコスト状況をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は先月横ばい傾向でしたが、一部、上昇傾向に転じています。
RC系資材は先月に引き続き、横ばい傾向です。
建築費指数はS造、RC造とも先月は横ばい傾向でしたが、上昇傾向に転じました。
中国に輸出している資機材による乱高下が多少影響しているのかもしれません。
2.都市間格差の傾向
今回はS造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしています。
大きな傾向は変わらず、ホテルにおいては札幌が一番高く、オフィス、店舗は東京が一番高い傾向にあります。
低い傾向(90以下)にあるのはこれまでと変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
上昇
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
鉄骨造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌
鉄骨造 店舗の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 東京、札幌