今月の建設市況と今後の見通し
資機材UPと総工事費
日本では、期待するワクチン接種がなかなか進んでいませんが、イギリスでは半数の方の接種が進み、感染数が激減しているようです。
直前までのロックダウンも作用した効果のようですが、早く日本でも接種が進むと良いですね。
さて、建設資機材の市況について、4月1日の日経新聞に「42種の原材料の価格UP――前年同月(3月)と比較すると紙・板紙以外は軒並みUPしている」との記事がありました。
特に石油は36%、非鉄は49%も上がっているようです。
それを裏付けるように、4月17日の記事には、「道路舗装材のアスファルトが3月比で12%UPとなり6年ぶりの高値にある」とありました。
一方、建物全体の工事費は、首都圏の再開発や一部の製造系メーカーの設備投資を除いて、オリンピック・パラリンピック関連の建設も終わっていることから下降傾向にあると言えます。
資機材がUPしているのに総工事費は下がっているということは、ゼネコン・サブコンの方々の利益と職人さんの賃金が圧迫されていることになります。
発注者側としては総工事費が下降傾向にある事は喜ばしいのですが、建設業界全体としては必ずしも喜べない状況になりつつあり、難しいコスト交渉が増えてくるかもしれませんね。
さて、下記に先月のコスト状況(4月初旬発表)をお伝えします。
1.資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材は横ばいになりましたが、グラフにはない構造用の鋼管は上昇しています。
RC系資材は生コンが21か月振りに上昇傾向となりました。
建築費指数は先月に引き続き、S造、RC造とも上昇傾向です。
2.都市間格差の傾向
今回はS造の工場、物流、倉庫をピックアップしています。
大きな傾向は前回から変わらず、どの用途も札幌が一番高い傾向です。
低い傾向(90以下)にあるのは変わらずどの用途も「金沢、新潟、高松」の3都市です。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
下降
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
S造 工場の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 物流の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京
S造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移
- 東京
- 名古屋
- 大阪
- 広島
- 高松
- 福岡
- 金沢
- 新潟
- 仙台
- 札幌
指数比較(今月)
- 金沢、新潟、高松 < 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 < 札幌、東京