独自のシステムを開発した片岡さん。「下野新聞」と話してもらうと、パネルにはまず「下野」と表示された

 【小山】新型コロナウイルス感染対策のマスクによって会話が聞き取りにくい状況が増える中、小山高専5年片岡優也(かたおかゆうや)さん(20)は、会話を文字に変換し電子パネルに表示する独自のシステムを開発、総務省などが主催するコンテストで入賞した。聴覚に障害がある人や外国人にも役立ち、小売店のレジなどで活用してもらうことにも期待を寄せている。

 総務省と情報通信研究機構(NICT)主催の「多言語音声翻訳コンテスト」(1月)に出品するため開発した。NICTの翻訳ソフトを使って社会の課題を解決する製品、サービスを開発することがテーマだ。

 「マスク越しだと相手の言葉を聞き取りにくい」と感じていた片岡さんは、「マスク着用時代にスマートに会話ができるシステムの開発」を目指した。「口元が見えないことで、とりわけ聴覚障害者や外国人は不安が増大したはず」とも考えた。

 システムは横約20センチ、縦約10センチの発光ダイオード(LED)パネルと小型コンピューターで構成され、マイク機能がある端末を接続して使う。ストレスのないコミュニケーションを促すため、会話を素早く理解できることを重視し、単語ごとに約0・5秒ずつ表示するのが特徴。日本語と英語の相互翻訳も可能だ。

 コンテストでは2部門計4賞のうち、8点の応募があった「試作品部門」のNICT賞に輝いた。技術力のほか「今の社会状況にマッチした作品だ」と評価された。片岡さんは「ろう学校などの教育現場をはじめ、さまざまな場面で応用が利く」と胸を張った。