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元AIUDSのマリアです。投稿は不定期です。


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みなさんこんにちは。AIU(国際教養大学)3年生のマリアです。ツイッターだと文字制限があるのでブログを書いていきます!引用を明示していないものに関してはすべて私個人の主観だと思ってください。

いろいろなトピックについて書けたらいいな、と思ってますが、特にEquity(エクイティ)についてたくさん書きます。まずはこれから数回に分けて

 

1.そもそもEquityってなんだ?

2.日本におけるEquityの現状/オーソリ問題

3.ジェンダー/MotionのEquityについて

4.Equityの部内への導入方法

を一つずつ書いていこうかなと思っています。

 その前に、お前偉そうに誰やねん?感が強いので前提として私のEquityに関するバックグラウンドを書いておきます。

私は学部二年から三年までの一学年間、Equity Policy 発祥の地、カナダのトロント大学に交換留学生として派遣されました。

トロント大学のディベート部Hart Houseはカナダではディベートの実績がトップでありCUSID(日本のJPDUを10倍くらいにパワーアップしたイメージ。カナダのパーラディベート協会)のみならず北アメリカ全体とWUDCにおけるEquityの取り決めにも大きな影響力を持っています。

トロント大学自体もEquityを学部の専攻にすることができるなど学問としても体系化されており、日本とかなりEquityについての議論をする前提が違うように感じました。

 

 私個人としては大学のEquityプログラムの中でジェンダーや人種に関する授業をいくつかとり、NAUDC(北米大会)NAUW*DC(北米womxn’s)などの大規模なEquityに関する会議に参加させていただいたりしながらEquityについて勉強しました。

ただ、日本のEquityに関しては一年生を秋田の僻地で過ごし日本ディベート界の問題に触れる機会が少なく、ちょっとこのコミュニティやばいこといっぱいありません?!と気が付いたころにはすぐ留学に行き、帰国前からしばしばEquityに関する議論で炎上を起こしてきたので、日本(特に関東)におけるEquityの歴史や風潮を完全に理解しているとは言えません。ということを踏まえて読んでいただけると幸いです。

 

前置きが長ーーーくなりましたが、早速1つ目!Equityってそもそもなんやねーん?!というところから見ていきましょう。

 

1-1  Equityとは

 ディベートにおける“Equity”とは“公正さ“を意味します。ディベートという競技から不当に排除されない環境を作ろう(≒Accessibility)ということですね。社会における構造的差別に直面する女性、ジェンダーマイノリティ、セクシャルマイノリティ、障がいを持った方、貧困層やESL/EFL等はしばしばディベートにおいても不当な扱いを受けることがあります。格差を是正するため、問題の周知(エジュケ/教育)と被害者救済、再発防止等がEquity制度の主な役目です。例えば、ディベートの試合中に”黒人は暴力的だ”などという発言があり、それが看過されてしまった場合、尊厳を傷つけられたり、その場にいることに不安を覚えたりすることで黒人のディベーターにとって大会に参加するハードルが上がったり、試合に集中して全力を発揮することが難しくなってしまうかもしれません。この例は極端かもしれませんが、私がジャッジした大会の中には“女性は男性よりも感情的だから子育てをすべき”という主張があったり、試合と試合の間に女性ディベーターの容姿を馬鹿にする発言があったり、大沙汰にされにくい細かい差別発言などは現状でも多く存在します。

 

 構造的差別が存在する社会で生まれ育つ人が差別意識や偏見を無意識に内在化させてしまうのは至極当たり前のことです。私自身も自分の偏見に気づかされることが多くあります。だからこそその内在化された差別をシステム的に周知し対策をする(≒Equity)ことが、多様なバックグラウンドやアイデンティティを持つ人がともに安心できる環境でディベートをする上で必要不可欠なのです。

 

 では具体的にEquityはどのように運用されるのでしょうか。一般的には大きく分けて二通りあります。まず第一に部内/コミュニティ内でのEquity制度。各大学/コミュニティの男女比や、経済格差の程度、部員の多様性を配慮した部内のEquity Policy(ルール/規約。AIUでは入部時にサインをする)があり、Equity担当の役員が部内でEquityに関するエジュケや問題解決をサポートします。第二に、大会における運用があります。大会の特徴を踏まえた独自のEquity Briefing(説明会)があり, Equity Officerが主にEquityに関する問題の相談を受け付け、解決をサポートします。それぞれのより詳細な運用方法やAIUで利用しているエジュケの資料公開はまた今度します。

 

1-2  Equityの歴史 (Learning Leaders FBページより)

 Equityという概念やそれがディベート界において制度化したのは比較的最近のことです。

引き金となったのは、2001年。カナダのCUSIDがディベートにおける女性差別の実態を文書化して公開しました。2002年にはCode of Conductという、いわゆる現在のEquity Policyに近い文書も続けて公開され、Equityという概念が主に英語圏のディベートコミュニティに広まりました。WUDC(大学生ディベートの世界大会)でも初めてEquity OfficerというEquityの担当者を設ける制度が導入され、ディベートにおける不公正に対して正式な対応ができるようになりました。特に、WUDCのブレイクラウンドでの多様性の欠如(女性と非白人ディベーター)が問題視され、多くの国でEquityに関する議論が起こり始めました。

 

 このころにオーストラリアの強豪校Monashがディベートにおける女性差別の実態やジャッジによるバイアスの傾向をまとめた文書を相次いで公開しています。

 

 2007年のワールズはカナダで開催され、Equityの運用を大きく進展させました。WUDCにおいてEquity Officerが必ず指名されることや、その仕事の範囲をWUDC憲章に正式に追加したからです。その後もEquityの議論はWUDCが開催されるたびに活発化し、現在ではジェンダーバランスを担保するためのAffirmative Actionが導入されたり、非シス男性特有の問題に関して話し合いや政策の導入をするWomen’s Forumが開催されるなどしています。WUDCで導入される政策はWUDCにのみ適応されますが、特定の国に対して声明を発表したり、出場を制限することができます(これに関してもまた今度詳しく書きます)。

 

 日本でのEquityについての議論も近年活発化しているものの、制度的な改革にはさまざまな壁があり、Awarenessをあげることが重要だといえるでしょう。

 

というわけで今日はEquityとは何ぞや?ということについてザックリ書きました。次回は日本におけるEquity の現状や問題について書き書きしていこうと思います。感想や質問、批判等あれば気軽にDMください。

 

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