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国民に一度でも銃口を向けた者に、政治家をやらせて良いのか?/倉山満

国民に一度でも銃口を向けた者に、政治家をやらせて良いのか?

 そんな最中に、西村大臣の大暴言が飛び出した。7月8日、西村大臣は記者会見で、「酒類を提供する業者には金融機関を通じて働きかける」と宣言した。金融機関からは「我々に自粛警察をやれというのか?」との声が上がったし、さすがに与党自民党内からも反発が起こり、即座に撤回に追い込まれたが、それで済む話ではない。  端的に言えば、「現職大臣の公開大量殺人予告」だ。国民に一度でも銃口を向けた者に、政治家をやらせて良いのか?

西村大臣はコロナを理由に好きに権力を振り回している

 そして、いつもの護憲派が何も言わないので、私が代わりに言おう。西村大臣の言った通りのことが起きていれば、以下の条文に違反する。  酒類の提供の禁止は、憲法22条「営業の自由」の侵害。当然、売り上げが減るので、29条「財産権」の侵害。行政手続きに則らずにやろうとしたので、31条の「適正手続き」の侵害。酒類を提供した業者の情報を金融機関に渡すなど、35条「捜索に関する保障」の侵害であり、個人情報を保護しないと憲法13条「幸福追求権」の侵害である。  西村大臣自身の国会答弁によると、事前に内閣法制局に照会していなかったとのことだ(7月14日内閣委員会閉会中審査。日本維新の会足立康史議員への答弁)。杜撰、極まりない。「コロナだから」と、普段なら当然守るべき手続きを踏まず、政府の一部の人間たちが好き勝手に権力を振り回しているだけだ。  中には西村大臣への同情論もあった。西村一人でそんな大それたことを決められるはずがないだろう、と。そして菅内閣全体への責任論へと飛び火した。
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菅内閣を糾弾する前に、最も重要な人物を忘れている!
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