市民団体「学校教育を語り合う教員と市民の会」とNPO法人「えん」(ともに岐阜市)が三十日、県教委幹部らと面会し、学校の制服を着用義務のない「標準服」と定めるよう求めて集めた約二万人分の署名を提出した。県教委側は制服着用について「百パーセント義務ではない」との認識を示した。 (安福晋一郎)
「教員と市民の会」代表の高校教諭、西村祐二さんによると「学校で制服を着ない自由はありますか?」と掲げ、一月からオンラインで署名活動を開始。今月二十三日現在で一万九千二百七十一人分が集まった。
併せて県教委に出した要望書では、公立学校では着用義務のある制服か、着用義務のない標準服かを明らかにするよう求めたほか、校則の記載を制服から標準服に修正することや、校則の原則を示したガイドラインを作るよう要望した。
県教委の幹部らと面談した県内の中学三年の女子生徒は、制服への違和感が一つのきっかけで不登校になった、と訴えた。違和感を「言葉に表せなくて戸惑った」としつつ、制服を見るたびに気分が沈むようになったと説明。先生に「教室に入るなら制服を着た方がいい」と求められ、登校がおっくうになっていったという。「なぜ制服を着なければいけないのか分からなかった」と語った。
県教委の回答は非公開で行われ、面談後、高橋宗彦教育次長は「現状はよく理解できた。制服は百パーセント着用義務ではない。いろんな考え方があり、個々に対応している」と説明。学校側には既に伝えてあるとして、改めて方針を転換するものではないとした。
西村代表は「制服が百パーセント義務ではないと踏み込んだ発言に驚いた」と語った。女子生徒は「安心したけれど、生徒側まで伝わっていない。制服や私服などの選択肢を学校が出してほしいと思う」と話した。