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1年前とは違う“重症”の現実 感染症専門医が第5波に警鐘

1年前とは違う“重症”の現実 感染症専門医が第5波に警鐘

"コロナ重症"1年前とは違い

1年前とは違う“重症”の現実 感染症専門医が第5波に警鐘

インタビューに答える国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長=スクリーンショットから

 新型コロナウイルスの感染者の確認が全国で連日1万人を超え、東京都では31日、4000人を上回る新規感染者が確認された。国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「1年前に比べ感染のリスクは高まっている。屋外屋内を問わず、マスクを外して会話することは絶対に避けてほしい」と呼びかける。押し寄せる第5波の現状を聞いた。【聞き手・金秀蓮】

 公衆衛生や医療のいろいろな場面が回らなくなっている。保健所はすごく大変だ。陽性者が出ると、保健所の人たちは全員に連絡し状況を聞き取り、自宅療養かホテル療養、入院するかを決める。入院が必要であれば入院先を決めるが、東京都で1日に2000人、3000人の陽性者が出ると追いつかない。手が回らず、悲鳴が聞こえてくる。

 保健所の手が回らないというのは、陽性者に目が届いていないということだ。陽性が判明した人の中には、検査は受けたが、医師と会って病状の評価を受けていない人が山ほどいる。不安は強いだろうし、中には悪化する人も出てくる。

 ワクチン接種が進み高齢者の新規感染者や重症者が減ったのは事実だが、感染者が爆発的に増え、40代、50代の重症者は増えている。医療が必要なのに、病院に入院できない人がいる。高齢者の重症者が減っているからといって、その事実を軽く捉えていいかというと違う。

デルタ株、広がりやすいのは明らか

 東京都の重症者は80人以上で推移している。ほかにも高濃度の酸素を必要とする人は多い。この1年半、治療法が変化し、人工呼吸器ではなく鼻から酸素を送り込む「ネーザルハイフロー」という呼吸療法を使うケースが増えた。これを使う人は、重症者にカウントされないが、酸素が足りずに身動きもとれない状況にある。重症者と同じように苦しんでいる人が、重症者の何倍も存在する。1年前と同じ感覚で重症者数だけを見て、「少ない」と言うのは状況の過小評価になる。

 第5波のピークがいつなのか、正直分からない。置き換わりが進むデルタ株は、他国の状況をみても広がりやすいのは明らかだ。この難局は、生半可なことでは越えられない。昨年春の第1波の時ぐらいに社会全体が行動変容をしないと越えられないのではないか。すでに感染後の治療や療養に至るまでの流れが滞ったり、一般医療でも手術予定が後回しになったりしている。自分のこととして考えてほしい。

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