人間、すごい。科学者さん、すごい。
みなさん、CERNと聞いて何を思い浮かべますか? 超巨大な機械ですごい実験してる施設? 『シュタインズ・ゲート』に登場する研究機関? さまざまだと思います。僕はすごい施設ということだけはわかる、でも専門知識がなくて何がすごいのか理解できていなかったのが正直なところです。しかしこの度、とんでもない機会が飛び込んできまして…。
なんとスイス大使館の招待で、この夢のような研究施設CERN(欧州原子核研究機構)に行ってきました! CERNの中はどうなっているのか?その姿をご紹介します。
そもそもCERNってなに?
CERNの日本での正式名称は欧州原子核研究機構。世界最大規模の素粒子物理学の研究施設です。
CERNの実験では、荷電粒子(電荷を帯びた粒子)を加速する装置である加速器を使い、粒子を標的や別の粒子に衝突させ、その衝突のエネルギーから生成された粒子を調べています。ちょっと難しいですけど、簡単にいうと、私たちの住んでいるこの宇宙の秘密を解き明かすために日夜研究しているんです。
もしSFチックな巨大な円形の施設をイメージしていたとしたら、それは衝突実験によって生成された粒子を精密測定する検出器。加速器は、スイスとフランスの国境にまたがった全長27kmの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)というものが使われています。
上空からの写真を見るとわかりやすいと思います。そう、この赤い線で表した円が加速器のサイズなんです。規模感がすごい…。
それではCERNの施設の様子を写真と動画でお見せしましょう。
ALICE検出器
今回メインで訪れたのが、ALICE検出器。ALICE検出器は、高エネルギー重イオン衝突実験のために作られた検出器です。このが実験がどういうものかというと、ビックバン直後の宇宙初期に存在していたとされる物質相「クォーク・グルーオンプラズマ(QGP)」 を生成し、その性質の解明を目的としています。要はビッグバンを再現する的なことですね。
上の画像の大きな建物が入り口で、ALICE検出器はこの建物の地下56mの場所にあるんです。
建物に入って右手にあるのがコントロールルームです。ここでは加速器による一回一回の衝突の様子をモニターしています。もちろん今は実験をしていないので人もいません。次の実験は2021年とのこと。
このモニターに映っている一本一本のカラフルな線が衝突によってでてきた粒子に相当していて、どれくらいの勢いで動いていたか、何の粒子だったか、衝突の時に起こった反応などを調べています。
コントロールルームをでて、奥に進むとそれっぽい通路が…。
道中の通路は地下56mまで吹き抜けになってました。上から覗き込むとこんな感じ。こりゃ完全に秘密基地だわ…。
案内されたのは大きな部屋。ここはどうやら見学に来たお客さん向けにのオリエンテーションルームのような場所で、施設の役割をプロジェクションマッピングなどを使って説明してくれます。
説明が終わったら、また来た道を戻ります。さっき通りすぎたところに地下へのゲートがありました。このゲートでは、放射能の量を測ります。というのも、衝突実験を行なうと放射線がでるので、万が一被爆した時に備えてこのゲートがあるとのこと。もちろん僕らは問題なく通過できました。
ヘルメットが配られ、いざゲートを通ります。ちなみにヘルメットにはCERNとALICEの文字。めっちゃ欲しい。
ゲートを通ると、エレベーターがあって、ここから一気に地下56mまでおります。
約30秒で到着。ここからいかにもな通路を通っていきます。なんていうか、完全にエイリアンの世界。上からネチョネチョの液体が垂れてきて、見上げたら即脳みそ貫通みたいな。そういう世界観です。
そうしてずーっと通路を歩いて、階段を少し登っていくと…。
ううぉおおおお! 出てきました。これがALICE検出器!!
でかい…でかすぎる。こんなの見たことない。SF映画より全然すごい…。
現在は2021年の実験に向けてメンテナンス&アップデート中とのこと。
ちなみにALICE検出器のまんまえでは、職員が安そうなテーブルと椅子で監視していました。シュール。
裏側も見せてくれましたよ。いや、もう正直なにがなんだかわからない。
とにかくコードがたくさんある。どれか一本でも切っちゃったらやばいんだろうな…(絶対ダメ)。
最後に動画でもお見せしましょう。