米東部のクラスター、4分の3がワクチン接種者 当局分析
マスク再着用推奨の理由
【ニューヨーク=野村優子】米疾病対策センター(CDC)は30日、東部マサチューセッツ州で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)についての分析結果を公表し、感染者の4分の3がワクチン接種者だったことを明らかにした。インド型(デルタ型)は感染力が強く、接種者でも感染したり他者に感染させたりする可能性があると指摘。この分析が接種者のマスク着用を促す方針への転換につながったと説明した。
CDCは27日、感染が広がっている地域で、ワクチン接種を終えた人も屋内でマスクを着用するよう勧告した。これまで接種者はマスク不要としていたが、感染力の強いデルタ型の流行を受けて方針転換した。ただ、その根拠となるデータが示されていないとの批判がでていた。
マサチューセッツ州バーンスタブル群で7月に発生したクラスターを分析した。感染者469人のうち、74%がワクチン接種を終えた人だったという。デルタ型に感染したワクチン接種者からは、未接種者と同等のウイルス量が確認されたとして、デルタ型は感染力が強いと指摘している。同郡では7月初旬、数千人の観光客が訪れた大規模イベントが開催され、その後に感染者数の拡大がみられた。
CDCは感染状況によって各地域を4段階で評価し、上位2段階の地域ではワクチン接種者もマスクを着けるよう推奨している。マサチューセッツ州のワクチン接種率は対象者の7割にのぼるが、バーンスタブル群は州内で唯一、感染レベルが最も高い地域に分類されている。
CDCのワレンスキー所長は声明で「ウイルス量の多さは感染力の強さを示唆している。他の変異ウイルスと異なり、デルタ型に感染したワクチン接種者は他者に感染させる可能性がある」と表明した。さらに「ワクチン接種者へのマスク着用の推奨につながる重要な分析だった。無意識のうちに未接種者や免疫の弱い他者に感染させないため、マスク着用を推奨した」と説明した。
【関連記事】
米紙ワシントン・ポストなど主要メディアは、CDCがまとめた内部資料の内容も報じている。これによると、デルタ型は水ぼうそうと同水準の強い感染力を持ち、一般的な風邪や季節性インフルエンザ、天然痘などに比べて感染力が強いという。