鉄ちゃんの育て方
国算社理すべての問題が鉄道がらみ! 電車好きの子が自ら勉強したくなるドリルが誕生
2020.12.04
特急「サフィール踊り子」の「プレミアムグリーン」では1列に2人が座れます。4列使うと何人が座れますか――。国語、算数、社会、理科のすべての問題のモチーフが鉄道という、電車好きの子どもにとって夢のようなドリルができました。
「好き」は勉強にも生きる
4年生の社会「都道府県の様子」は、新幹線の路線が示された日本地図を見て答える問題。東京~博多間で通過する都道府県や、新幹線の駅が一つもない地方といった、中学入試の問題で頻出の知識も学べる。
2年生の詩の問題は、和田さんが図書館で片っ端から詩集をめくって題材を探し、童謡「いぬのおまわりさん」の作詞で知られる佐藤義美の「まんいん電車」という作品を見つけた。4年生の短歌は石川啄木、俳句は夏目漱石や正岡子規による鉄道を題材とした作品を取り上げた。鉄道写真を専門とする写真家集団「レイルマンフォトオフィス」による写真を1冊あたり100点以上掲載。教材作りに実績のある編集プロダクション「カラビナ」のスタッフも含め、「ノリノリで資料を探してくれました」。
ふろくにはペーパークラフトやシールを付けるなど子どもが喜ぶ工夫も。一方で、マニアックな豆知識のコラムも掲載し、鉄道にある程度詳しい子どもにも満足してもらえるようにした。和田さんは「『好き』を突き詰める探究心や集中力は、長い目で見れば勉強にも生きてくる。勉強が嫌いな子に『これならやりたい』と思ってもらえれば」と期待する。
監修を務めた谷和樹・玉川大学教職大学院教授は、授業の指導法を研究する教員団体「TOSS」の代表代行。TOSSではJR東海と協力し、リニアや新幹線を題材とした小・中学生向けの教材を作った経験があり、「優れた工業製品という意味では社会科の、働いている人のドラマは道徳の教材にもなる。新幹線は教材として非常に優れていると分かった」と話す。学校で使われている教科書にも、算数の速さや長さ、大きな数といった単元で鉄道が登場することは多い。
家庭で使う際は、やり方を親が指示するのではなく、子どもが学びたいと思うところを自由に取り組ませてほしいという。「乗り物が好きな小さい子どもが楽しく勉強できるのはもちろんだが、高学年の子が読んでもいい。1~2学年下の復習から始めると、むしろ面白く感じるかもしれない」という。「最近は『学びの個別最適化』が大切とさかんに言われている。いろいろなドリルがある中で、選択肢の一つにしてほしい」