疥癬とは
疥癬とはヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)というたいへん小さなダニが人の皮膚に寄生(きせい)しておこる、かゆみを伴う皮膚の病気です。
この病気には通常疥癬(つうじょうかいせん)と呼ばれるものと他の人に感染する力が強い角化型疥癬(かくかがたかいせん)と呼ばれる2つの種類の病型(びょうけい)があります。
ヒゼンダニとは
ヒゼンダニは、たいへん小さなダニなので直接目で見ることはできません。卵からかえって幼虫になり、若虫、そして成虫(オス、メス)になります。
卵は3~4日でかえり、そのライフサイクルは10~14日間です。
メス成虫はオス成虫と交尾をした後、手首や手のひら、指の間、肘、わきの下、足首や足の裏、外陰部などに疥癬トンネルと呼ばれる横穴を掘り、卵を産みつけます。
ヒゼンダニは人の体温がいちばん生活に適しており、人の肌から離れた場合、長くは生きられません。また、高熱や乾燥に弱く、50℃以上の環境に10分以上さらされると死ぬことがわかっています。通常疥癬と角化型疥癬の違い
通常疥癬と角化型疥癬はどちらもヒゼンダニが原因ですが寄生しているヒゼンダニの数が大きく違います。そのため感染力に大きな違いがあります。
感染経路
通常疥癬から感染する場合と角化型疥癬から感染する場合があります。感染する力の強さが違うので注意が必要です。
通常疥癬
■直接経路
長い時間、肌と肌が直接ふれることで感染します。少しふれる程度であれば感染することはほとんどありません。
■間接経路
疥癬の患者さんが使用した寝具や衣類などを交換せずに、すぐに他の人が使用することで感染することもまれにあります。各化型疥癬
感染する力が強いので短い時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します。また、皮膚からはがれ落ちたあか(角質)にも多数のダニが含まれており、感染の原因になることがあります。
潜伏期間
通常疥癬から感染した場合、潜伏期間と呼ばれる症状の出ない期間が約1~2ヵ月あります。ただし、角化型疥癬から感染した場合には、感染する力が強いために通常疥癬から感染した場合よりも早く症状が出始めることがあるので注意が必要です。
皮脂欠乏症の進行
治療にはヒゼンダニを殺すことを目的とした塗り薬または飲み薬が使われます。塗り薬が使われる場合には、塗り残しがないように通常疥癬では首から下の全身に、角化型疥癬ではかおも含めて全身にくまなく塗る必要があります。特に手や足、外陰部には念入りに塗ってください。かゆみに対してはかゆみ止めのお薬が使われます。
お薬の使い方ややめる時期については、必ず先生の指示にしたがってください。ご家族が疥癬と診断されたら
通常疥癬と角化型疥癬では感染する力の違いからそれぞれ対応が異なります。
通常疥癬の患者さんに過剰な対応をとらないことが大切です。
(1)通常疥癬
1.介助時
長い時間、肌と肌が直接触れないようにしてください
2.就寝時
個室で布団を並べて寝ないでください
3.入浴時
入浴時にタオルなど肌に直接触れるものを一緒にしないでください
4.接触後
患者さんに接した後はきちんと手を洗うようにしてください
(2)各化型疥癬
1. 個室管理
なるべく個室を用意してください
2.接触時
感染力がとても強いので、患者さんに接するときは予防着や手袋を着用してください
3.衣類・寝具・リネン
衣類やシーツなどはこまめに交換し、取り扱いは他の方とは別にしてください
4.洗濯時
洗濯物は他の方とは別に扱い、乾燥機を使用するか、50℃以上のお湯に10分以上浸した後に洗濯してください
5.トイレ
洋式トイレなどから感染することもあるので注意してください
6.掃除
ベッドマットなどは掃除機で表面を丁寧に掃除してください
7.入浴時
入浴はできるだけ毎日行い、そのときには飛び散らないように厚くなったあか(角質)をしっかりこすりおとしてください
8.掃除
患者さんから落ちたあか(角質)で感染することもあるので、お部屋は掃除機で丁寧に掃除してください
9.室内消毒
患者さんがいるお部屋には、治療を始めたときと治療が終わったときの合計2回殺虫剤を使用してください