CULTURE 2017.7.29

当てはまる人は要注意!立派な事業計画書は不要です

起業しても失敗しやすい人の特徴6タイプ

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素敵な女性社長が増加の一途を辿っています。起業に憧れることもありますよね。自分で事業を始めるなら、絶対に失敗はしたくないもの。人気ビジネス書作家の午堂登紀雄氏によれば、なんと起業して失敗しやすい人には共通点があるそうです。どんなタイプが失敗しやすいのか、起業に成功する秘訣は何か、公認会計士の午堂登紀雄氏にご指南いただきました。

あなたも「自分の経験や趣味を生かして起業してみたい」と思ったことはありませんか? ただ、昔よりも低リスクで始められるようになったとはいえ、やはり起業には“失敗”がつきもの。

米国公認会計士でビジネス書作家でもある午堂登紀雄氏によると、(1)最初に立派な事業計画書をつくる人、(2)最初に法人をつくる人、(3)最初にミッションやブランドづくりから入る人、(4)最初に組織づくりから入る人、(5)最初から商品ラインナップを広げて欲張る人、(6)本人の使命感や熱意がもてる分野ではなく、儲かりそうだからやる人、は失敗しやすいそうです。

それぞれ、どのような問題点があるのか? また、起業に成功するにはどのような秘訣があるのか? 午堂氏に解説していただきました。

起業で成功するには?
起業で成功するには?

■1:最初に立派な事業計画書をつくる人が失敗する理由

起業するにはまずは事業計画書から……と考える人は多いのでは? しかし、午堂氏によれば、最初に立派な事業計画書をつくる人は起業に失敗しやすいとのこと。

「典型的な例としては、“3年後に黒字化”など、事業をまだ始めてもいない段階から、なんら根拠のない数値を出しているような例が挙げられます。

起業セミナーなどで、そうした書き方を推奨していることもあるようなのですが、商品やサービスがどれくらい売れるか、どれくらい利益が出るのかは、実際にやってみないことにはまったくわかりません。

いくら本人のなかで緻密な計画を立てたつもりでも、いざ事業を始めてみるとその通りにいかないことだらけなので、立派な事業計画書をつくる人ほど、起業が“夢物語”に終わりやすいといえるのです。

また、飲食店をやるなら流行のオーガニックで、店舗はこんなふうにして……など、自分のビジネスモデルに陶酔して、肝心の“集客”という視点がまったくない。こういうパターンも計画倒れに終わりやすいといえます」

午堂氏によれば、形から入りすぎるのはよくないようです。では、逆に、起業して成功しやすいのはどんな人物かというと……?

「たとえば、実際にあった例として、発展途上国にボランティアに行っていた人が、現地の人のニーズに応えようとしているうちに、事業に発展していったというケースもあります」

はじめに“計画ありき”ではなく、趣味やボランティアが結果的に事業につながり、それが成功するようなこともあるのですね。

■2:最初に法人をつくる人が失敗する理由

“法人のほうが、個人よりも信用度が高いので融資が受けやすい”……そんな説を聞いたことがないでしょうか? この点について、午堂氏は以下のように異を唱えています。

「スタート時点では法人のほうが融資を受けやすい、なんてことはありません。また、法人をつくることと事業の成否とはまったく関係ありません。最初に法人をつくる人は、ただ起業や社長に憧れているだけの“起業ごっこ”をしてみたい人に見られるパターンです。法人をつくるのは、事業を始めて軌道に乗ってからでも十分、間に合います」

具体的にはどのようなタイミングで法人をつくるのが適切なのか?についても、教えていただきました。

「ひとつには、事業が好調で人を雇う必要が出てきたときですね。雇われる側の一般的な感覚としては、個人よりも法人のほうが安心感がありますので、人材の募集をかけたときに、人が集まりやすいと考えられます。

もうひとつは、事業の利益が1,000万円を超える規模になったときです。これくらい利益が出ると、個人にかかる累進課税よりも法人税のほうが低く抑えられるので、節税の観点から法人化するのに適したタイミングだと思います」

■3:最初にミッションやブランドづくりから入る人が失敗する理由

「これから事業を始める、あるいは事業を始めたばかりの人が、Facebookに自分の社会的ミッションを書き連ねているのを一時期よく見かけたことがあります。立派なビジョンを並べているのだけれど、どんな事業をやっているのかというと、さっぱりわからない……。ただ事業家となっている自分を夢見ているだけの自己陶酔タイプです」

では、“ミッション”や“ブランドづくり”よりも、起業において大切なこととは?

「まずは売り上げを上げること。“商品やサービスが売れる=買ってくれるお客様がいる”ということは、それが誰かの役に立ったり、人をハッピーにしたりするからこそです。とすれば、逆に事業がもうかっていないということは、商品やサービスが誰の役にも立っていない、人をハッピーにするものではないということになります。

社会貢献よりも、まずは目の前のお客様の“ありがとう”を集めることが先なのではないでしょうか。企業の社会的ミッションのようなものは、事業を続けていくうちに、おのずと気づいていくものだと思います」

 
 

■4:最初に組織づくりから入る人が失敗する理由

「はじめに立派な容れものだけつくっても、中身が空っぽ。つまり、商品を売りたい、サービスを提供したいということよりも、まずは組織づくりから入って、結局、売り上げがさっぱり上がらず解散……という失敗パターンがあります。

“まず組織ありき”という姿勢ではなく、“事業の成長に合わせて組織づくりをしていく”ことが、大切だと思います。事業を始めてみて、それが軌道に乗り始めると、おのずと人手が足らなくなる。そこで初めて人を雇う必要が出てくるわけです。

さらに、人員が増えてくると、より効率的に事業を回すために、部署などをつくったほうがいい、ということになるかもしれない。このように、組織というのは、あくまで事業を行うための“手段”であって、それが目的化しては事業はうまくいかないでしょう」

■5:最初から商品ラインナップを広げて欲張る人が失敗する理由

牛堂さんの著書『33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金ゼロにした理由 使うほど集まってくるお金の法則』によれば、最初から商品ラインナップを広げると経営資源が分散し、全部中途半端になるとのことです。逆に、商品ラインナップを絞って成功した具体例を挙げていただきました。

「たとえば、飲食店を始める場合、ただの“健康食レストラン”とするのではなく、“ごま料理”に絞る。“エスニック料理”や“タイ料理”とするのではなく、“パクチー料理”に絞る。身近な一例を挙げさせていただくと、私の妻はボイストレーニングスクールをやっていますが、これは従来のよくある“ボーカル”レッスンではなく、“ビジネスマンの話す声”に特化したものです。

このように商品ラインナップを絞ると、小規模で始めることができますし、またその商品を必要としているターゲットにも届きやすいというメリットがあります」

■6:本人の使命感や熱意がもてる分野ではなく、儲かりそうだからやる人が失敗する理由

同書では、本人の想いが強くないと、ちょっと壁にぶつかるだけで頓挫しやすいと述べられています。つまり、起業に成功するには「使命感や熱意」が不可欠な要素であるようです。

「起業で成功するケースのほとんどは、本人の情熱だと思います。もちろん、例外的に、ものすごくセンスがある人なら、自分の熱い想いから始めるのではなく、儲かりそうという感触でビジネスに参入して成功させるというパターンもありますが……。

ただ基本的には、本人が好きな分野、楽しめる分野だからこそ長く続けることができて、結果的にうまくいくものなのだと思います。

起業すれば困難なことがたくさんありますが、はじめはうまくいかなくても、好きなことであればあきらめずに続けられる。その過程でたくさん失敗を重ねれば、経験値が貯まっていきますので、成功の可能性が高くなると考えられます」

まさしく“好きこそものの上手なれ”ですね!

午堂氏の解説によると、“起業して失敗しやすい”人というのは、事業の形にばかりこだわり、具体的な行動に移そうとしない、という問題点があることが見えてきました。また、具体的な行動を起こせないのは、「この商品、サービスでお客さんに喜んでもらおう!」という熱い想いに欠けているためであるとも考えられます。

逆に、ビジネスへの情熱があり、まず自分のできる範囲でアクションを起こしていく……。そういう人ならば、さまざまな失敗を重ねつつも、長い目で見ると成功をつかむことになるのかもしれませんね。

PROFILE
午堂登紀雄(ごどう ときお)

米国公認会計士。東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

『33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金ゼロにした理由 使うほど集まってくるお金の法則』午堂登紀雄・著 日本経済新聞出版社刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美
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日本HP 宮野安理さんのバッグの中身
CULTURE 2021.4.16

仕事も人生もパワフルに生きる女性にインタビュー

女性リーダーのバッグの中身を拝見!|日本HP 本部長が出社日に持ち歩くアイテム5選

日本HP 本部長の宮野安理さんのお仕事バッグとその中身を拝見! 現在はほぼリモートワークという宮野さんが、貴重な出社日に持ち運ぶものとは…? 営業職、そして女性リーダーらしいグッズや、アクティブな素顔が垣間見られるアイテムが登場しました!

日本HP Eコマース事業本部 リテールビジネス本部 本部長の宮野安理さんに【キャリア編】【リモートワーク編】のインタビューに続き、お仕事バッグとその中身を見せていただきました。

コンシューマー向けの営業組織を総括する宮野さんは、現在ほぼ在宅で業務をこなし、お客様ともリモートで商談することが多いのだとか。そんな宮野さんが貴重な出社日に持ち歩くものとは? 本記事では、その一部をご紹介します。

キャリア_1,インタビュー_1
 
宮野 安理さん
日本HP Eコマース事業本部|リテールビジネス本部|本部長 HP公認団体Women Impact Network Japan代表
(みやの あんり)ホテルマンとしてキャピトル東急ホテルやリッツカールトン東京での勤務を経て、2010年に日本HPへ派遣社員として入社。2014年に正社員採用後、パーソナルソリューションズ&プリンティング事業部内のリテール営業部にてトレードマーケティングを担当。2019年6月より現職。Eコマース事業本部にてコンシューマー市場の開拓、 担当する営業及び企画部門をマネジメントしている。また、ダイバーシティ&インクルージョンの取組みとして、HP公認の女性活躍促進団体「Women Impact Network Japan」を立ち上げ、女性の働き方改革に力を入れている。

働き方が垣間見える!日本HP 本部長のバッグの中身5選

キャリア_2,インタビュー_2
右上のポーチにはメイク直しアイテムを。その左はノート。意外と手書き派なのだとか。

■1:ゴルフボール&グローブ

「自宅に程近い練習場で、毎朝7時から50分のレッスンを受講しています。一日のスタートをゴルフレッスンから始めると頭がスッキリして、そのあとの仕事がはかどりますよ!」

大ファンだというNBAボストン・セルティックスのポーチに入れて、ケーブル類と共に持ち歩いてるそうです。

■2:酒井レオ著『NY式「超一流の営業」の基本』(朝日新聞出版)

「日系アメリカ人で現在は日本で英語のビジネススクールを開催されている、私がメンターと慕っている酒井さんの著書。何度も読み返しています」

世界標準の営業の基本が学べる一冊。コンシューマー向けの営業組織を総括する宮野さんらしい愛読書ですね。

■3:レターセット

「お客様に手書きの手紙を書くと珍しいみたいで、とても喜ばれます!」

個人向けのプリンターやPCの事業展開の営業責任者、というイメージからすると意外性のある、アナログなコミュニケーション。他と違う手法は印象に残り、相手に覚えてもらいやすいのかも。

■4:不織布のマスク

「お客様に差し上げるために、常時携帯しています」

出社日はコミュニケーションの日、としているという宮野さん。せっかく対面で会えるチャンスをお互い嫌な思いをすることなく活かしたい、という配慮が感じられます。

■5:眼鏡

「大阪にある『ICHIICHI』で作ったのですが、とってもお気に入りです。この眼鏡をかけることで集中力が高まり仕事がはかどります!」

キャリア_3,インタビュー_3,メガネ_1
ブラウンのフレームは、宮野さんのパーソナルカラーにもぴったり!

カーブしたテンプルがスタイリッシュな眼鏡。パールがあしらわれ、横顔を華やかに演出してくれます。

バッグはこちら!

キャリア_4,インタビュー_4,バッグ_1
「もう修理に出さなくては…」と宮野さん。使い込んだレザーが貫禄を醸しています。

PCだけでなく、ゴルフグッズやハードカバーの本が2冊も収まったバッグはかなりの重量。鮮やかな赤がシックなワーキングスタイルにアクセントを加えます。


ビジネスから趣味まで多岐にわたる宮野さんのバッグの中身。時間を効率的に使い、充実した毎日を送る様子が目に浮かぶような内容ですね!

この記事の執筆者
立教大学法学部卒。ドイツメーカーにパーチェイサーとして勤務後、2009年に渡米し音楽修行。ジュリアード音楽院、マネス音楽院にて研鑽を積む傍ら、2014年ライターデビュー。2018年春に帰国し、英語で学ぶ音楽教室「epiphany piano studio(エピファニーピアノスタジオ)」主宰。ライターとしては、ウェブメディアを中心にファッション、トレンド、フェミニズムや音楽について執筆している。
公式サイト:epiphany piano studio
EDIT&WRITING :
神田朝子
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