高演色照明を求めて

物体を照明で照らして目で見るとき,その照明の「演色性」の違いにより,たとえ照明の色が同じであっても照らされた物の色の見え方が変わってきます. 演色性の良い照明を使用することで,屋内であっても太陽光の下で見たときと近い色の見え方を得ることができます.

数年前から高演色照明をいろいろ試していて,最近だいぶ数が増えてきたので,ここでその情報をまとめておきます.

背景

数年前に今の家に入居したとき,部屋の天井に LED 照明がサービスで付けられていました. 引っ越し前まではずっと蛍光灯を使っていたので LED 照明は初めてだったのですが,この LED 照明の下で生活していると,立ちくらみしたときように周りの物が色あせて見えたり,部屋が暗いのにまぶしく感じたりというような不快な感覚がありました. 最初は LED 特有の問題なのかと思っていたのですが,調べてみるとこれは「演色性」の違いによるものだということがわかりました.

「演色性」は,その照明に照らされた物体の色の見え方を表す概念で,演色性が良いほど,太陽光に近い色の見えが得られるとされます. たとえば,白熱電球の「電球色」と LED 電球の「電球色」は,照明の色自体はほぼ同じですが,演色性は異なっており,照明に照らされた物体は白熱電球のほうがより自然に,太陽光の下での見え方に近く見えます. 極端な例では,黄色いレーザー光と青いレーザー光を混ぜると白い色が作れますが,その照明の下で物を見ると,白い色は普通に見えるのに,赤や緑の物はどちらも暗い黄色に見える,という不思議なことが起こります.

演色性は,照明の分光スペクトルがなめらかなほど良く,ギザギザしているほど悪くなる傾向があります. 蛍光灯は原理上,放電による鋭いスペクトルの山を持つため,LED 照明よりも演色性が劣ることが多いのですが,そのへんのスーパーに家庭用として売られている蛍光灯は演色性の良い高級品ばかりであることと,わたしがずっと蛍光灯を使ってきたという慣れもあったりして,LED 照明に違和感を感じたようです.

では,蛍光灯に慣れているからといって LED 照明を捨てて蛍光灯に戻せばいいかというとそういうわけにもいかず,蛍光灯はもう時代遅れでどのメーカーも生産終了・在庫のみになっており,いずれは LED に乗り換える必要があります. しかたないので,LED 照明の中で演色性のよさそうなものを探すことにしました.

演色評価指数

演色性の良さを定量的に示す指標はいくつかあるのですが,もっともよく知られているものが「演色評価指数 (CRI: Color Redering Index)」です. これは,特定の分光特性を持つカラーチャートに対して,太陽光の下で見た場合と対象の照明の下で見た場合の色の差を求め,それを 100 から引くことで得られます. 照明のカタログスペックなどには,CIE(国際照明委員会)によって決められた8つの中間色に対する指数 (R1 - R8) の平均値 (Ra) が載っていることが多いです.

また,これに加えて,より鮮やかな色や肌の色などを想定して定められた特殊演色評価指数 (R9 - R14) もあり,中でも R9(濃い赤)の値が重要と言われています.

いずれにしても,それぞれの値のわずかな違いよりかは,R1 - R14 の中で大きく劣る値がないかどうかが重要になります.

色温度と色偏差

色に関する照明の特性としては,演色性以外に,色温度と色偏差があります.

色温度はいわゆる「電球色」とか「昼光色」とか言われるもので,電球色が 2700K, 昼白色が 5000K, 昼光色が 6500K というように,色温度の値が大きいほど青白く,小さいほど赤っぽく見えます.

色偏差は色合いの緑・紫方向のずれを表していて,値が 0 より大きくと緑っぽく,マイナスだと紫っぽく見えます.

照明の色合いは用途や好みによって決めればよいですが,高演色照明はだいたい色温度が 5000K(昼白色),色偏差は 0 をターゲットに作られているものが多いようです.

参考: 色偏差(DUV)の違いで光色のイメージが異なりますか。 - テクニカル照明 - Panasonic

測定機器

今回は,分光センサーの中ではもっとも安価と思われる i1Studio を使用して,スペクトルと演色評価数を測定しました. この i1Studio は,本来は画面や印刷物のカラーマネジメントに使われる測色センサーですが,Argyll CMS というフリーソフトと専用のデバイスドライバを使うことで,分光スペクトルを計測することができます. ちなみに,カラーマネジメント用の測色センサーには i1Display などのもっと安い機器もあるのですが,そちらはカラーフィルターを使って色を計測しているらしく,ディスプレイの RGB 値(色温度と色偏差に相当)はわかっても,分光スペクトルを計測したり演色評価指数を求めたりすることはできないようです.

参考:i1Studio for Calibration and Profiling | X-Rite

参考:Argyll Color Management System Home Page

測定条件

このページに載せているデータはすべて,自宅の部屋や廊下にすでに照明が取り付けられた状態でそのまま測定しています. よって,別の日・別の部屋・別の壁紙の条件で測定されたものを含んでいます. 壁紙はすべて白で統一していますが,完全に同じ物ではないので多少の差がある可能性があります. あくまで目安としてご覧ください.

また,光源までの距離もバラバラなので,照度の絶対値は参考になりません.

測定結果には,Argyll CMS の spotread -a コマンドの出力をそのまま載せています.各値の詳細については Argyll CMS のドキュメントを参照してください.

参考:spotread

実験1 東芝ライテック マルチカラー シーリングライト 8畳 (LEDH81718X-LC)

商品詳細:LEDH81718X-LC | 商品情報検索(商品データベース) | 東芝ライテック(株)

高演色照明を求めて最初に購入したのが東芝のマルチカラー シーリングライトでした. この機種は,よくある暖色系白色 LED と寒色系白色 LED のブレンドに加えて,赤・緑・青の LED も搭載しており,リモコンで「キレイモード」を選択すると,それらの LED が絶妙なバランスで組み合わされて Ra95 の光が得られます. キレイモードの他にも,背面についてる暖色 LED だけが点灯して間接照明になる「シアターモード」や,色が段階的に次々変化する用途不明の「カラーモード」などが搭載されており,異様に高額な価格設定にも納得の商品です.

購入当時 (2019 年),家庭の引っ掛けシーリングに工事不要でポン付けできる高演色照明としては唯一無二の存在でしたが,現在はこの商品は在庫限りの生産完了品になっています.

購入して取り付けて「キレイモード」にして使ってみるとたしかにきれいで,家に最初から付いていた照明と比べると想像以上の違いに驚きました. 特に,食事のときに食べ物がおいしそうに見えるので,食欲は上がるように感じました(逆にダイエットしたい人向けには,この照明の場合緑色 LED を混ぜることによって食欲を落とさせる,という使い方も紹介されていました). ただ,色温度はスペック上では 4200K となっており昼白色と比べると色が赤めなので,慣れるまでは違和感がありました.

測定結果です.

spectrum_tlt.png

 Result is XYZ: 411.540366 394.902658 273.070660, D50 Lab: 167.352995 20.742303 18.054462
 Ambient = 394.9 Lux, CCT = 3893K (Duv -0.0054)
 Suggested EV @ ISO100 for 394.9 Lux incident light = 7.3
 Closest Planckian temperature = 4044K (DE2K -7.6)
 Closest Daylight temperature  = 4093K (DE2K -10.6)
 Color Rendering Index (Ra) = 94.4 [ R9 = 75.4 ] (Caution)
  R1  = 96.3  R2  = 96.7  R3  = 94.8  R4  = 94.9  R5  = 95.4  R6  = 93.0  R7  = 93.9
  R8  = 89.9  R9  = 75.4  R10 = 90.4  R11 = 94.4  R12 = 74.6  R13 = 96.7  R14 = 97.0
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 88.8 (Caution)
 IES TM-30-15 Rf = 89.18 Rg = 101.50 CCT = 3893 Duv = -0.005437 (Caution)

Ra はスペックの 95 を若干下回っています.また R9, R12 が低めです.色偏差がそこそこあります.

上記の結果はキレイモードで明るさを最高にした場合の結果ですが,この照明の場合,明るさを下げると演色性が変わります. この照明は複数種類の LED を混ぜ合わせることで演色性を高めていますが,輝度制御の精度が悪いのか,明るさを変えることでそのバランスが微妙に変わり,演色性が変わってくるようです. 以下は,キレイモードで明るさを落とした場合の結果です.

spectrum_tlt_low.png

 Result is XYZ: 96.583586 91.444729 60.801250, D50 Lab: 96.592868 14.968023 13.463924
 Ambient = 91.4 Lux, CCT = 3717K (Duv -0.0065)
 Suggested EV @ ISO100 for 91.4 Lux incident light = 5.2
 Closest Planckian temperature = 3898K (DE2K -8.9)
 Closest Daylight temperature  = 3936K (DE2K -11.6)
 Color Rendering Index (Ra) = 96.6 [ R9 = 93.2 ] (Caution)
  R1  = 98.3  R2  = 98.3  R3  = 93.8  R4  = 96.6  R5  = 98.4  R6  = 94.1  R7  = 96.3
  R8  = 97.2  R9  = 93.2  R10 = 94.2  R11 = 94.7  R12 = 76.1  R13 = 98.3  R14 = 96.0
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 91.4 (Caution)
 IES TM-30-15 Rf = 90.25 Rg = 102.69 CCT = 3717 Duv = -0.006522 (Caution)

先ほどよりも赤のピークが相対的に強くなり,演色評価指数も全体的に上がっています.

演色性の数値で見るとこの後に紹介する他のもののほうが優れていますが,家庭用シーリングライトとしては機能が盛りだくさんなのは長所だと思います.

実験2 エコリカ 直管形 LED 高演色タイプ 20 形 昼白色相当 (ECL-LD2EGN-L3A)

エコリカ直管形LED高演色LEDタイプ

よりよい高演色照明を求めて次に買ったのが,エコリカの高演色 LED でした. こちらは直管形蛍光灯を置き換えて使うもので,新規に取り付けようと思うと,蛍光灯用の灯具を入手し,さらに片側給電 LED 用に改造する必要がある(しかも改造には電気工事士の免許が必要)という少々面倒な代物です. インターネットで探すと,引っ掛けシーリングに取り付け可能なライティングダクトと,片側給電用のレールソケットを組み合わせることで,免許不要で取り付ける方法が紹介されていましたが,一般家庭用として部屋の真ん中に取り付けて部屋全体を照らすという用途だと少し難があります.

幸い電気工事士の免許は昔取っていたので,昔ながらの 20W 5 灯の四角い灯具を入手し,片側給電 LED 用に改造して取り付けました.

商品詳細 [OL001743]|商品情報・検索|オーデリック株式会社

使ってみた感想としては,色温度が昼白色よりも若干高めで,家でくつろぐにはちょっと青白すぎるかなという印象です. 演色性はかなり良く,部屋に飾ってあるタペストリーやフィギュアなどが非常に色鮮やかで鮮明に見えました. 特に驚いたのが唐辛子の赤で,このランプの取り付け後に最初に唐辛子の入った食品を食べたとき,以前よりも非常に色鮮やかに見え,商品の中身か製法が変わったのかと思いました(別の部屋に持って行ったらいつも通りの色でした).

測定結果です.

spectrum_ecorica.png

 Result is XYZ: 393.828066 405.947789 373.225992, D50 Lab: 169.046716 1.635038 -11.744092
 Ambient = 405.9 Lux, CCT = 5362K (Duv 0.0011)
 Suggested EV @ ISO100 for 405.9 Lux incident light = 7.3
 Closest Planckian temperature = 5323K (DE2K 1.7)
 Closest Daylight temperature  = 5439K (DE2K -3.2)
 Color Rendering Index (Ra) = 97.7 [ R9 = 93.9 ]
  R1  = 97.7  R2  = 99.1  R3  = 98.5  R4  = 95.3  R5  = 97.6  R6  = 97.0  R7  = 98.4
  R8  = 97.7  R9  = 93.9  R10 = 97.4  R11 = 92.6  R12 = 89.6  R13 = 97.9  R14 = 98.6
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 99.1
 IES TM-30-15 Rf = 95.73 Rg = 102.24 CCT = 5362 Duv = -0.001631

Ra はスペック通りで,R9~R14 も良好です.色温度はスペックでは 5000K ですが,実測ではそれよりもかなり高めになっています. さきほどの東芝のシーリングライトと異なり調光(明るさ調整)はできず,取り付けのハードルも高いですが,そこさえ許容できればかなり良い選択肢だと思います. 20W 形ならこれ一択です.40W 形の場合は,後に紹介する東京メタル工業のものも選択肢に入ります.

実験3 コイズミ 太陽光 LED シーリングライト 6畳 (AH51221)

太陽光スペクトルLEDシーリング|コイズミ照明株式会社

2020 年に新発された比較的新しい製品です. 家庭用なので,引っ掛けシーリングに工事不要でポン付け可能,明るさ調整,タイマー,常夜灯などの基本的な機能も一通り備わっています. 正直,最初からこれが売っていれば迷わずこれを買っていました.

取り付けて点灯してみると,一目でわかる演色性の良さで,灯具全体で見たときの光の均質性も良いため,家の中にいるのに曇りの日の屋外にいるように感じました.色はすこし黄色(緑色)っぽく感じます.かなり快適です.

測定結果です.

spectrum_koizumi.png

 Result is XYZ: 246.992216 256.535446 205.226576, D50 Lab: 142.796326 -0.332223 2.784362
 Ambient = 256.5 Lux, CCT = 4912K (Duv 0.0038)
 Suggested EV @ ISO100 for 256.5 Lux incident light = 6.7
 Closest Planckian temperature = 4800K (DE2K 5.3)
 Closest Daylight temperature  = 4897K (DE2K 0.9)
 Color Rendering Index (Ra) = 98.7 [ R9 = 90.9 ]
  R1  = 99.2  R2  = 98.8  R3  = 98.9  R4  = 98.8  R5  = 99.2  R6  = 99.5  R7  = 98.4
  R8  = 96.7  R9  = 90.9  R10 = 98.1  R11 = 98.0  R12 = 95.1  R13 = 98.5  R14 = 99.0
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 98.6
 IES TM-30-15 Rf = 97.46 Rg = 99.57 CCT = 4912 Duv = 0.002711

Ra はスペック以上の値で,R9-R14 も良好,スペクトルも青のピークが低く平坦で,かなりいい感じです.一般のご家庭にはこれ一択ではないでしょうか.

実験4 東京メタル工業 高演色性 直管 LED 40W 相当 (LDFK40RA98TM)

高演色性 直管LED40W相当蛍光灯 LDFK40RA98TM | LED直管蛍光灯 | 東京メタル工業株式会社

物置に取り付ける用に 40W 直管形の照明がほしいと思って探していたときに偶然見つけた物です.最近出てきた商品なのでしょうか.

取り付けて点灯してみると,こちらも一目でわかる演色性の良さで,ランプを上向きにして間接照明のように取り付けると,部屋全体が均質な光に包まれ,家の中にいるのに曇りの日の屋外にいるように感じました. 色温度は少し低めに感じますが,色偏差は少ないようで,赤っぽかったり緑っぽかったりすることもなく非常に自然な色合いでした.

測定結果です.

spectrum_tokyometal.png

 Result is XYZ: 1078.408885 1103.497114 928.839183, D50 Lab: 242.254793 5.004110 -3.005643
 Ambient = 1103.5 Lux, CCT = 4952K (Duv 0.0009)
 Suggested EV @ ISO100 for 1103.5 Lux incident light = 8.8
 Closest Planckian temperature = 4923K (DE2K 1.4)
 Closest Daylight temperature  = 5022K (DE2K -3.4)
 Color Rendering Index (Ra) = 98.4 [ R9 = 97.5 ]
  R1  = 98.7  R2  = 98.7  R3  = 98.9  R4  = 98.4  R5  = 98.6  R6  = 97.8  R7  = 97.9
  R8  = 98.2  R9  = 97.5  R10 = 97.1  R11 = 97.5  R12 = 92.5  R13 = 98.1  R14 = 98.9
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 99.0
 IES TM-30-15 Rf = 97.14 Rg = 100.28 CCT = 4952 Duv = 0.000579

Ra はスペック通りで,R9 が 97.5 と非常に優秀,R10-R14 も良好,スペクトルも平坦,色温度もほぼ 5000K,Duv も 0 に近く,ほぼ完璧ではないでしょうか.全部屋にこれを取り付けたい.

実験5 パナソニック 美ルック 小型シーリングライト 昼白色タイプ (LGB52700 LE1)

美ルック(ミルック)|小型シーリングライト|住宅用照明器具 | Panasonic

部屋の照明を高演色にしたら廊下の照明の残念さが気になってきたので,そちらも高演色のものにしようと探して見つけたものです.

spectrum_milook.png

 Result is XYZ: 575.967632 565.304049 508.054169, D50 Lab: 190.642043 16.522803 -10.325815
 Ambient = 565.3 Lux, CCT = 4803K (Duv -0.0062)
 Suggested EV @ ISO100 for 565.3 Lux incident light = 7.8
 Closest Planckian temperature = 5006K (DE2K -8.0)
 Closest Daylight temperature  = 5104K (DE2K -11.2)
 Color Rendering Index (Ra) = 94.5 [ R9 = 75.8 ] (Caution)
  R1  = 92.3  R2  = 94.9  R3  = 98.6  R4  = 95.8  R5  = 93.5  R6  = 92.7  R7  = 96.6
  R8  = 91.5  R9  = 75.8  R10 = 91.8  R11 = 94.0  R12 = 72.4  R13 = 92.2  R14 = 97.5
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 98.2 (Caution)
 IES TM-30-15 Rf = 90.59 Rg = 101.67 CCT = 4803 Duv = -0.007002 (Caution)

Ra はほぼスペック通りで良好ですが,R9 が低いのはちょっと惜しかったです. ただ,家庭用として廊下に設置するのであれば十分な値だとは思います.

一つ気になったのが明るさで,上の測定結果は照明直下の階段の手すりにセンサーを置いて測定したものなのですが,照度 565 ルクスとかなり明るいです. 天井の高い家や吹き抜けでも十分な明るさを意識して作られたのだと思いますが,一般的な一軒家やマンションなどの天井の高さではかなりまぶしく感じます. 購入前にメーカーサイトで光束の数値を見て,廊下用の照明にしては明るいなと思っていましたが,実際に取り付けてみると想像以上でした. これは気をつけたほうがいい点かもしれません.

実験6(おまけ) 家に最初から付いていた謎シーリングライト

具体的な名前は伏せますが,入居時に最初から付いていた,某低価格家電メーカーの特に演色性についてなにも書かれていない機種です.試しに測定してみました.

spectrum_unnamed.png

 Result is XYZ: 375.875465 393.226441 430.274973, D50 Lab: 167.093205 -2.278583 -31.173879
 Ambient = 393.2 Lux, CCT = 6475K (Duv 0.0023)
 Suggested EV @ ISO100 for 393.2 Lux incident light = 7.3
 Closest Planckian temperature = 6357K (DE2K 3.2)
 Closest Daylight temperature  = 6532K (DE2K -1.5)
 Color Rendering Index (Ra) = 82.2 [ R9 = 1.4 ]
  R1  = 80.2  R2  = 87.2  R3  = 91.2  R4  = 81.7  R5  = 81.3  R6  = 81.1  R7  = 86.9
  R8  = 68.0  R9  = 1.4  R10 = 69.3  R11 = 80.6  R12 = 59.5  R13 = 81.9  R14 = 96.7
 Television Lighting Consistency Index 2012 (Qa) = 66.3
 IES TM-30-15 Rf = 80.24 Rg = 94.41 CCT = 6475 Duv = -0.000993

Ra が 82.2 なのでカタログスペックとしてはそこまで悪くないように見えますが,よく見えると R9 が 1.4 というすごい数値になっています. パルックなどの家庭用の蛍光灯はもっとまともな値のはずなので,蛍光灯からこの LED 照明に置き換えたときに違和感を感じるのは当たり前です.

まとめ

というわけで,ここまでをまとめると(2021 年7月時点),

  • LED 照明はなにも考えずに安いのを買うと基本的に演色性は悪い
  • 高演色照明は選択肢が少ないので,取り付け場所によって選択肢はほぼ一択に決まる
  • 40W 直管形・片側給電が取り付けられるのであれば東京メタル工業の高演色性 LED が最強
  • 家庭の引っ掛けシーリングに工事不要で取り付けるのであればコイズミの太陽光 LED シーリングが無難

でした.参考にしてください.

技術系 > その他 | comments (0) | trackbacks (0)

コメント

コメント投稿






トラックバック