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思考迷惑
思考迷惑
遺自伝・思考迷惑 - 思考迷惑の小説 - pixiv
遺自伝・思考迷惑 - 思考迷惑の小説 - pixiv
194,682文字
遺自伝・思考迷惑
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2021年7月24日 08:03

これは、思考迷惑の物語だ。

 幼いころの私。 私は、蟻を踏みつけた。だが…。 (どうして潰れないんだろう)ぐちゃ、ぎゅちゃ、ずりずり。  跡形がなくなって、不思議だった。



 とある小学校の入学式。新入生の私は、席に座りながらうつむいていた。私の左右の隣には、私の父親と母親が座っている。会場が、私たち一家を中心に何やら騒がしい。「なにあれー」「ママ、あれすごーい」そんな、子供たちの純粋な声が、私の耳に届く。  父の顔には、顔全体をキャンバスとして、虎が描かれていた。タトゥー。 父に集まる視線を、声を、私は感じ、受け取っていた。  それはとてもつらいことだった。

 入学式を終え、新入生の子供たちはそれぞれの教室へ向かう。  みんなが席に着いたところで、先生は出席番号順に子供たちに自己紹介をさせる。  私の番が回ってくる。私は、緊張しながら、小さな声で、その名前を発表した。 「僕の名前は、下環です。よろしくお願いします」

 友達はすぐにできた。私は元気で、活発だった。当時は、誰とでもうまく話すことができた。

 ある日、学校の休み時間。私は、友達たちと階段で、追いかけっこをしてはしゃいでいた。そしたら…。  突然、友達たちの笑い声が消える。私は、それがどうしてだかわからなくて、彼らがいた下の階を覗く。そしたら、みんなは、誰だか知らない先生に一か所に集められていて、大声で怒られていて、私はとっさに隠れる。私は追い詰められた。このまま隠れて先生の叱責から逃れたい気持ちで体が動かなくなり、しかし後でばれたらどうしようという恐ろしさもあって、体と頭はどうしたらいいかわからなくなって、不安で、恐ろしくて、いっぱい考えて、追い詰められて、そして、そして…。  出ていくことにした。「あ、おーい!あなたも早くこっちに来なさい!」 「ねえ君たちさあ、ここってみんなが通る場所なんだよ?ねえ聞いてる?階段ってさあ、落ちたり転んだりしたら危険なんだよ?わかってる?」  私は、生まれて初めて、大人に怒られた。大人の声は大きくて、言葉は強くて、表情は怖くて、だから、当時の私にとって、大人はとっても恐ろしいものだった。

 ある日。私と、父、母、兄、姉の、家族全員でショッピングモールに買い物に来ていた。店内には人がいっぱいいて、そのすれ違う一人ひとりが、父の顔をじっと見つめていた。それだけじゃない。こちらに指を指している。こっちを向いて、何かを話している。そして、笑っている。 それが、とっても、つらかった。  私と姉は、父から離れて歩いた。顔にタトゥーの入った男性と、家族だと思われたくなかったからだ。

 父はバスケが好きだった。だから、私をよくバスケットボールクラブに連れて行った。 そこで私は、部員の練習を見学をしたり、バスケの練習を体験をさせられたりした。バスケの練習は、いつも大変で、すごく、疲れた。 コーチの人は私にやさしく接してくれた。けれど、部員のみんなには大きな声を出して、顔を鬼のようにして叱るのが、怖かった。

私がバスケクラブの見学に行くと、上級生の女の人から、よく「かわいい~」と冷やかされた。テレビでよく見るヒーローのポーズをしてみてとお願いされて、私は恥ずかしながらそのポーズをした。そして、その姿を、また「かわいい~」と冷やかすのだ。

 兄と私は仲がよかった。兄にはよくゲームを貸してもらった。姉とはよく一緒に遊んでいた。  でも、兄と姉はあまり仲がよくないってことを、私が少し成長してから知った。

 二年生に進級した。担任の先生は、若い男の人だった。

 ある日、学校の休み時間。私はクラスのみんなと、校庭でサッカーをして遊んでいた。私にパスされたボールは、私の背後にまわる。私はそのボールを、右足で後ろ蹴りした。かかとがボールにインパクトを与えた瞬間、ボールを蹴った右足の足首に激痛が走った。  休み時間が終わり、足の痛みに耐えながら校舎のほうへ戻る。靴を脱ぐときにも履くときにも足首には鋭い痛みが走る。足を引きずりながら歩く。でも、廊下に先生がいる時は、足の痛みが先生にばれないように痛みをこらえながら平然を装い、歩く。   私は、先生に足首の痛みを相談することができなかった。なぜなら、私は先生と話すのが嫌だったからだ。いや、私は先生と話すことができなかったのだ。先生の前だと、声がうまく出せない。絞りだしてやっと出せた声は震えている。それがコンプレックスだった。だから、先生と話すという状況になるのを徹底的に避けていた。  授業が終わり、下校する。右足を、引きずりながら、痛みに耐えながら。  家に到着し、母に左足の足首の痛みを相談した。母は心配し、病院へ行くことになった。  「アキレス腱の断裂ですね」足首の骨や筋肉の模型を取り出して、「こことここが、こうなっちゃってる」と、お医者さんはわかりやすく説明してくれた。あまりよくわからなかった。お医者さんは続ける。「明日からはこの、松葉杖を使ってみてください。」  翌日。学校は、母に車で送迎してもらうことになった。学校に到着する。私が先生とうまく話せないので、母についてきてもらい説明してもらう。車を降りて、私は、松葉杖を使いながら、学校に入っていく。廊下で、私にすれ違う子供たちの視線が、私はとても気になって、母に松葉杖を使わなくても何とか歩けることを説明したけど、「ちゃんとお医者さんの言う通りにしてなきゃ」と願いは取り下げられて、結局、私は母の後ろに隠れて、うつむきながら先生のいる職員室へ向かうことになった。  母が担任の先生に説明をする。先生は驚く。そして、私の心配をした。けがの心配ではなく、足の痛みを先生に相談しなかったことに対しての心配。母も、先生も、大人に相談してもいいんだよと教えてくれるけど、私にはそれが無理なのだ。  廊下を、注目を浴びながら歩いて、教室に着く。教室に入ると、みんなの視線が集まった。「なにそれー」と話しかけられて、私は「松葉杖っていうんだって」と説明する。でも、何度説明しても、また誰かが私のそれがなにかを聞きに来て、また説明しなければならなくて、私は、疲れてしまった。  クラスでは先生が、私が足首をけがしたこと、そして、松葉杖を使うことについての説明をみんなにしてくれた。  休み時間、クラスのみんなが私の席のもとへやってくる。もちろん、興味は松葉杖。松葉杖を持つ者、使ってみる者、そして遊ぶ者。私は、みんなの興味が自分じゃなくて松葉杖のほうに行ってくれて、安心した。  学校が終わって、下校。母が車で迎えに来てくれてた。私は母に「○○くんとか××くんとかがね、松葉杖で遊んでた」と伝えた。それを聞いた母は…。  家に着いて、母が私の連絡帳に何やら書き込む。そして「先生に連絡帳、渡してね」と私に連絡帳を渡す。  翌日。先生に連絡帳を渡し、席に着く。相変わらず松葉杖はみんなのおもちゃだ。…  朝の会。先生は真剣そうに言う。「先生からね、みんなに大切なお話があるよ。みんな、下環君にとってその松葉杖がどのくらい大切なものか、わかる?下環君はその松葉杖がなかったら歩けなくなっちゃうんだよ。だからね、みんな、松葉杖で遊んじゃダメなんだよ。」みんなは「はーい」と答える。  私は恥ずかしかった。私の話をみんなの前でしてほしくなかった。母のせいだと思った。母が連絡帳に何か書いたからだと思った。  朝の会の後から、みんなが私にやさしくするようになった。階段で補助をしてくれたり、落ちたものを拾ってくれたり、ほかのクラスの子からのからかいから守ってくれたり。私はそれがあまり、うれしくなかった。「私にやさしくしよう」みたいな空気が、嫌だった。みんな、私にやさしくすることで、調子に乗れるようだった。そんなみんなが嫌だった。  足をけがしたおかげで、バスケに連れていかれても簡単なことしかやらされなくなった。そのことは、うれしかった。  このけがは、2か月くらいで治った。この2か月は、とっても長い二か月だった。

 ある日、下校中、いつもの帰り道が工事で通れなくなっていた。私は少し遠回りをして、横に水路がある狭い道を通って帰ろうとした。道の脇には一台の車が停まっていた。  水路の深さは、当時の私の身長の高さくらい。水路には当時の私の膝の高さくらいの水が流れていて、水面には、きれいなお花が流れていた。私はその花が取りたくなった。その日は傘を持っていたので、傘を開いて、片手に持ち、掬うように取ろうとした。でも、うまく取れなかった。  私は、手づかみで花を取ろうとした。すこし先回りをして、地面に膝立ちをして、上半身を傾けて、徐々に右手を水面に近づけた。そして、指が水面に触れる瞬間、体の重心が一気に前に出る!膝が水路の崖から滑り落ち、右手の手のひらは水路の底を踏み、肘までが水に浸かっている。足の甲で何とか体が水路に落ちることを防いではいるが、体を支えている右腕はもう限界だ。追いかけていた花が、顔の前を通っていくのを、ただ見ているしかなかった。腕が、もう、崩れてしまう…。その時、道の脇に停まっていた車のほうから女性がやってくる。「大丈夫?」問いかけに答える余裕もなく、私の腕は、力を失い、体は水路に落ちていった…。  女性に手を引いてもらい、体は水路から抜け出すことができた。もう、全身びしょ濡れだ。「怪我はない?」「…はい」「おうちはこの辺?」「…はい」「じゃあよかった」女性は車に乗り込み、どこかへ出発した。  帰り道、いとこの青ちゃんにびしょ濡れになった姿を見られた。私は何も言わずに青ちゃんの前を通った。私がびしょ濡れになったことを、青ちゃんが親戚のみんなに広めてしまうのではないかと思うと、不安になった。  帰宅。母が出迎える。「お帰りー。って、どうしたの!早く着替えなさい!」着替え終わった後、母に聞かれる。「一体どうしたの?」  私はこう答えた。「いつもの道が工事中で、あの川のある道を通ったら、車が向こうから走ってきて、避けようと思ったら、川の中に落ちちゃったの」  私は、助けてくれたあの人を悪者にして、自分が花を取ろうとして川に落ちたことを、誤魔化した。

 ある日。私は姉とリビングで追いかけっこをして遊んでいた。私は姉に部屋の角に追い詰められた。  当時の私は、3000円くらいの貯金があった。3000円とは、いつも買っている漫画雑誌が、6冊も買える金額だった。私は自分のことをお金持ちだと思っていた。私は、詰め寄る姉に、「1000円!1000円あげるから!」と言った。姉は「え、いいの!?」と喜び、そのあと、私は1000円札を姉に渡した。  その日の夜、私は姉にあげた1000円札について考えた。その1000円が、今の貯金の何割を占めるのか。その1000円があれば、おもちゃがどれくらい買えるのか。私は、その1000円札をあげたことが、すごく、すごく、惜しく感じた。  翌日、私は1000円札をやっぱり返してほしいと思い、母に相談した。「姉ちゃんに1000円取られた」  母は怒って姉に怒鳴る。姉に有無を言わせないほどの勢いで。「1000円札を下環に返しなさいっ!!」私は泣いてしまった。私は、姉を怒ってほしいわけじゃなかったのに。ただ、1000円札を返してほしかっただけなのに。姉は、私のほうをにらみ、しぶしぶ私に1000円札を返した。  この事件の後、私は少しの間、姉から怒られるのが怖くて、ずっと母の近くにいた。

 ある日。学校。給食の準備中。私は、ハラハラドキドキしながら、人目を盗み、適当に選んだ机の、上に置いてある歯ブラシを抜き取って、それをまた適当な机を選んで、その机の引き出しの中に入れた。  クラスではこの歯ブラシ移動事件が騒ぎになった。クラスでは、誰がやったのか、犯人探しが始まった。憶測で犯人を決めつけたり、喧嘩したり。私は、そんな彼らを心の中で笑って見ていた。  学級の時間、先生はみんなを机にうつ伏せになるよう指示し、「やったのは誰ですか、手を挙げなさい」とみんなに伝える。私は手を上げずに、ただ笑っていた。  結局、この事件はうやむやのまま、自然に忘れられていった。

 ある日。私は、水道の蛇口の口を上に向けて、その中にダンゴムシを入れた。その水道を使った人が、びっくりしているところを想像すると、面白かった。

 ある日。私は兄の部屋に遊びに行った。兄はこちらを見向きもせず、真剣そうな表情で、ベッドの上でノートパソコンを開いて何かゲームをしていた。私は兄にちょっかいをかけることにした。ベッドの上に乗っかり、兄の横に立ち、持っていた水筒を、紐を持ってぶら下げて、振り子のようにぶらんぶらんと揺らして、兄の顔に近づけた。  突然、兄は、その水筒を私から奪って、その水筒で私の足を、殴ろうとした。当たる寸前で水筒は止まり、兄は大きなため息をした後、水筒を床におろして、不機嫌そうな様子で、扉を大きな音を出して閉めて、部屋を出て行った。私は、ぽかーんとした。

 ある日。その日のことは、あまりよく覚えていない。私は、コーンフレークを食べようとして、容器にフレークを注いだ。でも、冷蔵庫を確認したら牛乳が無かった。私は、食器によそってしまったコーンフレークを、ゴミ箱に捨てた。  その様子を見た母は、怒った。母は私を叱った。「袋に戻せばよかったじゃない」と。そして母は私の頬を勢いよくぶった。ただ、それだけ。 その日、母は機嫌が悪かったのかもしれないし、私の態度が反抗的だったのかもしれない。ただ、私は、母に顔をぶたれたことがある。そのことを、一応、記しておこうと思った。

 三年生に進級した。担任の先生は、50代くらいの男の人だった。

 三年生になってからは、父にバスケットボールクラブに入部させられて、毎日、バスケの練習に行かされるようになった。  バスケの練習、大変だった。先生や先輩が怖かった。つらかった。やめたかった。行きたくなかった。

 私は父が怖かった。父は、怒ると怖い。大声で怒鳴る。昔は一緒に遊んだりもしたのに、いつからか、何がきっかけなのか、思い出せないけど、私は、父が、怖くなっていった。  バスケが休みになったある日、私はリビングで兄に貸してもらったゲームをしていた。そしたら父が「おいバスケ休んでんだからゲームやめろよ」と私に言ってきた。でも、そのゲームは途中でセーブができなくて、だから、次のセーブポイントまで行ったらやめようと思って、ゲームを続けていた。  そしたら、「ゲームやめろって言ってんだろ!!」と父が、怒鳴った。私は急いでゲーム機の電源を落として、ゲームをやめた。  怖かった。

 ある日、クラスの女子から、こんなことを聞かれた。 「お父さん、やくざ?」  私は、俯いて、黙ってしまった。  父は、顔に虎のタトゥーがあるだけの、工場で働き、家で酒を飲み、怒ると怖くて、目立ちたがり屋で、あまり口数の多くない、そして、たまに優しい、普通の、お父さんだった。だから、やくざじゃ、なかった。  この日以来、みんな、あまり私の父のことを触れてこなくなった。私の父の話をすることは、タブー的な扱いになった。

 猫が、好きだった。好きになるきっかけは覚えていない。ただ、ある日、私は猫の可愛さに気づいたのだ。  図書館で、猫の本を借りて、学校の休み時間に、いつも読んでいた。いつも、日直のスピーチでは、本を読んで得た、猫についての知識を披露した。「猫博士」というあだ名もつけられた。私が猫が好きなことは、学年中に広まった。  猫を飼うのがあこがれだった。母に、「猫を飼いたい」と相談した。でも、「世話が大変だから」と、何度も断られた。(世話なら、俺がいくらでも頑張るのに)そう思っていた。だから、納得ができなかった。

 「ほら見てこの人!ハゲてるよ!ははははっ」姉にそう言われて、一緒に笑い合う。  姉はよく、テレビで自分が好きなアニメや音楽、面白い動画を、私に見せてくれた。

 でも、いつも、私と姉がテレビで動画を見ている途中なのに、父はリモコンを要求し、私と姉はそれにやむを得ずそれに従って、父はテレビの番組を変えてしまう。  父には、誰にも逆らえなかった。

 ある日。学校。休み時間。私は、一人、姉が見せてくれた動画の音楽を口ずさんでいた。そしたら、私の近くにいた、クラスメイトの女子、伊子が、私の横に立ってきて、その曲の続きのメロディーをささやいた。私と伊子は、一緒になってその曲の続きを口ずさんだ。 伊子は、自分の家が猫を飼っていることを教えてくれた。(うらやましい」と思った。  伊子が、よく、話しかけてくるようになった。話しかけてくるというよりは、からかってくるのほうが、正しかった。「おい猫好き下環」そう呼んでくる。私は、別に嫌じゃなかった。  私は女子が苦手で、相手が女子だとうまく話すことができなくて、でも、伊子は、私に積極的に話しかけてくれた。

 私はかわいいものが大好きだった。だから、猫や犬、なんだかよくわからない生物のぬいぐるみをよく集めていた。そして、いとこの青ちゃんといつも一緒に人形遊びをしていた。  「クラ」という名前の、犬のぬいぐるみがお気に入りだった。姉がいつも枕代わりに使うから、クラ。  私は、そのぬいぐるみを枕に使う姉に、「かわいそうだからやめて」と、言うことができなかった。

 ある日、私は青ちゃんと、私が集めたかわいいぬいぐるみたちで、人形遊びをしていた。私の母と、青ちゃんの母に見守られながら。私の母と青ちゃん母は仲良しだ。母親たちは会話を楽しんでいた。その会話の中で、私の母は、こんなことを言っていた。 「将来が不安よねぇ~」  青ちゃんも私も、男の子だった。だから、人形遊びなんて、男の子らしくなかったのかもしれない。  子供は、聞いている。

 クラスでは、毎日のように喧嘩が起こっていた。一人と一人の喧嘩、男子と女子の喧嘩など、シチュエーションは豊富だった。  私は、常に中立の立場でいることを心がけた。  喧嘩で、泣いてしまった子が出てしまった。先生はその子のもとに駆け寄り、話を聞く。みんなはその子を心配する。 その時、誰かがこう呟いた。 「あれ絶対嘘泣きだよね」  私は、泣いたらそう言われるんだって、学んだ。

 悪いことをしたら、すぐに先生に通報されて、怒られる。だから私はいい子だった。

 私はよく、母に学校での出来事を話していた。面白かったこととか、嫌だったこととか、楽しかったこととか。それは、ただの、日常の、何気ない会話のつもりだった。  でも母は、私のことを過剰に心配して、私の連絡帳に、さっき話した嫌だった出来事を書いて、私に「これを先生に渡しなさい」と連絡帳を私に渡す。私は嫌だった。先生と話したくないし、そんなに重大なことでもなかったから。でも、嫌だと言っても、「駄目」だと、「いいから渡しなさい」と断られた。  次の日、私は先生に連絡帳を渡さなかった。  学校から帰ってきて、母はちゃんと連絡帳を先生に渡したかを聞いた。私は渡してないと答えた。そしたら、「ちゃんと先生に渡すの!」と何度も、何度も私に命令した。  次の日、結局私は先生に連絡帳を渡した。母が書いた、私が話した嫌だった出来事を、見せた。  先生は連絡帳に書いてあった生徒を呼び出し、私に謝らせた。そして私は「いいよ」とすぐに答えて、仲直りの握手をさせられて、それが、本当に、嫌だったんだ。  こんなことが何度も、何度も何度も続いた。母と会話して、母は過剰に心配して、連絡帳に書いて、それを渡すよう私に強要して、先生はその生徒を私に謝らせて、私は恨んでもいないのに許したふりをして、最後和解の儀式をさせらせる。  いつしか私は、母に、自分のことを話さなくなった。

 学校が終わった後、バスケットボールクラブの練習に連れていかれると思うと、朝起きるのが辛くて、学校の授業に集中できなくて、下校が近づくたびに不安になって、家に帰るのが怖くて、おうちで父の帰りを待つ時間、心臓がドクドクうるさくて…。

 ある日。その日は、一人で、おうちの庭でバスケットボールを使って遊んでいた。ボールをバスケットゴールにシュートしようとしたら、手元が狂ってボールがでたらめな場所へ転がって行ってしまった。そして、勢いよく転がっていくボールは、プレハブの壁にぶつかった。その瞬間、ボールが当たった場所の、上部にある窓が、割れた。  私は、(ボールが窓に当たって割れたわけじゃないから、だから、俺のせいじゃない)と、そう思って、すぐにそこから立ち去った。

 ある日。おうちで、家族そろってご飯を食べていた。そしたら、姉が、私に向かって「行儀が悪い」と言ってきた。私は、食器を手に持たずに、ご飯を食べていた。そのことを、「犬でも持って食べるよね」と母と姉は、私の行儀の悪さを話題に盛り上がった。私はその、「犬でも持って食べる」という言葉が気にいって、「猫でも持って食べる」という言葉を作った。そしたら姉は、「それって猫を下に見ているって意味だよ」と教えられて、しょんぼりした。

 ある日。姉と母と私がいるリビング。母はテレビを見ていた。でも、私は見たいテレビ番組があった。だから、私は母に「テレビ変えていい?」と聞いて、母が「いいよ」と答えてくれたので、テレビを変えようとした。  その瞬間、姉が「私に聞いてないでしょ!」と私を強く叱った。  結局、私は、番組を変えることができなかった。見たい番組、見れなかった。

 私は、お菓子を食べることが我慢できなかった。おうちにあるお菓子は、私が全部食べつくした。  姉は怒った。「私の分も食べた!」って母に言いつけた。でも母は私を怒らない。母はやさしいから。だから、姉の怒りはおさまらない。  姉の怒りは数日経てばおさまる。そしてまた、私は懲りずにお菓子を食べつくす。

 ある日、姉にゲームを貸してもらった。ゲームを貸してもらう前、「ここから先には進まないで」と、姉から言われた。  ゲームをしていると、私は、先が気になって気になって、仕方がなかった。だから、私は、姉との約束を破って、先に進んだ。  謎が解けてすっきりした私は、ゲームで先に進んだことがばれないように、工夫したけどだめだった。ばれた。怒られた。隠ぺいしようとしたこともばれて、もっと、怒られた。

 姉の、テレビで動画を見る方法をよく観察して、私は一人で動画を見ることができるようになった。よく、バスケに行く前とかに、テレビを自分で操作して、動画を楽しんでいた。  ある日、突然だった。姉から、「もうテレビで動画見ちゃだめ」と言われた。  どうしてだかわからなかった。なんの、脈絡もなく、突然、姉によって、私の、一番の、楽しみだったものが、奪われた。

 それでも私はテレビで動画を見ることをやめられなかった。姉が自分の部屋にいるときや、姉が部活で遅くなるときなど、姉がいないときを狙って、動画を見た。  姉がリビングに降りてくる音が聞こえる。私は急いで動画を隠す。  …が、ばれてしまう。姉は怒った。不機嫌になった。私を怒鳴った。「どうして動画を隠すの!」私は泣いてしまう。それでも姉の怒りは収まらない。姉の厳しい追及。なぜ動画を隠したか、私はうまく答えられない。私は、どうして姉が、私が動画を隠すのがなぜかわからないのかが、わからなかった。私は、黙ってしまう。そうして、母が助けてくれるのを待つ。「そうやっていつもママたちが助けに来てくれるのを待つ!」姉は怒鳴る。私は、泣き続けた。  それでも私は隠れて動画を見るのがやめられなかった。だって、退屈だったから。そして、いつも怒られる。懲りずに怒られる。私は姉におびえる。母が助けてくれる。その、繰り返し。

 ずっと、退屈だった。兄に貸してもらったゲームは飽きてしまった。新しいゲームが欲しかった。母にお願いした。「ゲーム買って」って。  願いが、叶った。私は、母に、ゲーム機とゲームを買ってもらったのだ。「ゲームしてると怒るから」と、父には内緒で買ってもらった。  私はそのゲームに夢中になった。学校から帰ったら、すぐにゲームを始めた。そして、夜遅くまでゲームをした。私にとって、ゲームは、すごく、夢中になれるものだった。

 ある日。父がこんなことを私に聞いてきた。「プレハブのガラスが割れてたらしいんだけど、下環がやったの?」私は何も知らないと答えた。「前、お前が外で遊んでるときガッシャーンって音してたけど…」どうやら、おじいちゃん、おばあちゃん、父、みんなが私を疑っているらしい。私は知らないと答えた。  母は、私に疑いがかかっていることに不満を漏らした。「下環が違うって言ってるのに」私が犯人なのに。私は、ガラスを割ったことを隠し続けた。

 学校。その日は、午後の授業で、みんなで校庭の周りの落ち葉拾いをすることになった。  みんなよりも早く作業を終えた私と友達の米地馬は、みんなとは一足先にクラスに戻ろうとしていた。私は作業で使った軍手を、丸めて、ポーン、ポーンと高く上に投げながら歩いていた。そして、トイレの前を通り過ぎるとき、その軍手が、「トイレ」と書かれた室名札に引っかかった。  私は軍手をジャンプして取ろうとした。私はバスケをやっていたからか、ジャンプ力があった。だから、室名札に手が届いた。でも、なかなか取れなくて、そして、次こそと、勢いをつけてジャンプする。その手は、軍手に届き、そして、その勢いのまま、  私は室名札を破壊した。  「…どうしよう」私は追い詰められた。米地馬は、「ちゃんと先生に言ったほうがいいよ…」と私に言い残して先に教室へ行ってしまう。私は、焦って、怒られるのが怖くて、そして、折れた室名札を持って、トイレの中へ入る。私は、手に持ったそれを、  トイレの一番奥の個室に隠した。  急いで米地馬のもとに向かう。でも、隣り合って一緒に歩いても会話はできず、そのまま教室に到着する。黙ったまま席に座り、私はうつむいた。何も、考えられなかった。  だんだん教室が騒がしくなってくる。みんな作業を終えて帰ってきたのだ。先生も戻ってきて、教室がいつも通りの騒がしさに戻りつつある。あとはまだ作業を終えてない子を待つだけだ。  …なにやら、クラスの男子たちが廊下から騒いで教室にやってくる。私は顔を上げて、彼らのほうを向いた。  彼らの腕には、あの、壊れた室名札が抱えられていた。  クラス全員が集まり、先生は言う。「誰がこれを壊したんですか。壊した人は手をあげなさい」私は手をあげることができなかった。ずっと、怯えていて、手をあげることができなかった。そのまま、クラスは沈黙が続いて、そして、その沈黙を壊したのは、椅子を引く音だった。それは、  米地馬が立ち上がる音だった。  米地馬は先生のもとへ向かい、先生に耳打ちで何かを話す。もう、私は何を話しているのかがわかった。もうあきらめた。そして、  私は手をあげた。でも、みんなの視線がこわくて、顔を上げることができなかった。先生が、遠くから私を責める。「あなた、米地馬君が来てから手をあげて…!」私はそれを聞いて泣いてしまった。「顔を上げなさい!」私は正面を向く。みんなこっちを向いていた。それが、つらかった。  職員室へ連れていかれる。廊下で、泣きながら歩く私に、視線が集まる。その視線が、嫌で、嫌で、私はまた立ち止まって強く泣いてしまった。  職員室へ着いて、教頭先生の前へ連れていかれる。先生がいっぱいいて、怖かった。だから、なんとか泣くのをこらえようとした。「自分が何をやったのか、教頭先生に話しなさい」と言われ、説明しようとすると、また涙が出てきて、うまくしゃべれなくなって、トイレの室名札をなんて言うのかわからなくて、だけど、なんとか説明して話し終えることができた。  「今日のことをお父さんとお母さんに話すように」そう言われて、うなずいて、やっと私は解放される。私はなにも考えられない状態のまま下校した。  家に帰って、私は、いつも通りを装って「ただいま」と言った。そして、いつも通りに手を洗い、うがいをし、二階に行って、今日のことを忘れるように、ゲームをした。  翌日。私が教室に入ると、みんな黙って、教室が静かになった。私は席について、不安な心持ちで、心臓がバクバクして、そして、時間がたって、先生が教室に来る。そして、いつも通りに朝の会を初めて、次の授業は音楽の授業で、音楽室で授業をするのだけど、先生は「下環君は教室に残るように」とみんなの前で言って、そして朝の会が終わった。  みんなが音楽室に向かった後、私は先生のもとに残って、話をした。途中から音楽室に入るのいやだなぁと思っていたので、授業が終わるまで長引くといいなと思った。  「それで、親御さんに、あそこの看板壊しちゃったこと、言ったの?」私はうまく答えられなくて、そしてなんとか絞り出して、「…言ってない」と答えた。先生は「言わなかったのっ!?」と驚いて、「どうして言わなかったの?」と質問してきた。私は、うまく答えられなくて、いっぱい考えて、それでもよくわからなくて、私は、黙ったままずっと先生の口元を見ていた。  先生の口には、白いねちゃねちゃしたものが付いていて、それをずっと観察していて、それをみていると、気持ち悪くなってきた。立っていられなくなり、椅子に座る。時計を見たらもう40分も経っていて、もうさすがに音楽の授業に行かなくてもいいよねと安心した。だけど、先生は私に、「遅れちゃったけど、音楽の授業に行ってきなさい」と言った。私は、そこでまた、泣いてしまった。  泣きながら、廊下を歩く。誰かに見られていないか不安になりながら。教室入るのいやだなぁと、思いながら。廊下は、授業中で誰もいなかったから、思いっきり泣くことができた。そして、音楽室の前。私は涙を、何とか泣き止ませることができた。そして、緊張しながら扉を開ける。  みんなの視線が私に集まった。私は、その視線が、いやで、いやで、いやで、私は、また泣いてしまった。私が泣いている中で、誰かが言った。「下環君が泣いてる!」そこでチャイムが鳴る。私は、せっかく教室まで着いたのに、音楽の授業を受けることができなかった。  音楽の先生に、なぜ自分が遅れて音楽室まで来たか、説明しようとしたけど、うまく話せなかった。けど、先生は納得してくれた。  その日は、私は、頭が真っ白の状態で授業を受けた。  授業を一通り終えて、先生に「親御さんに昨日のことを自分から教えるように。今日、ちゃんと教えたか、確認の電話をします」と念を押されて、学校を終えて、下校した。「お帰り」と出迎えてくれる母に、私は「昨日学校のもの壊しちゃって。この後先生から電話来る」と短く伝えて、部屋に向かった。そして、すぐにゲームをした。  壊れた室名札は、取り換えられた。  新しくなったトイレの室名札の前を通るたび、私はなんて言っていいかわからない気持ちになった。  米地馬とは、もう、話せなくなった。

 母は、私がゲームのやりすぎで、目が悪くなって、眼鏡をかけるようになることを危惧していた。だから、私のゲームの使用時間に制限をかけた。  姉は眼鏡をかけているが、それは「読書のしすぎ」で目が悪くなったと本人は言っているらしい。 私は納得できなかった。

 私は、時間制限を守らず、ゲームをし続けた。母がゲーム機を隠しても、探し出してゲームをプレイした。  私のゲームやりすぎを、母は、姉に相談した。  姉は私のゲーム機を没収した。  私は泣いた。(ママが、姉ちゃんにちくったからだ)そう思って、私は「ママのせいだ!」と母を責めた。でも姉は「ママのせいじゃなくて自分のせいでしょ!」と私を責めた。  私は、ゲームを失って、もう、なんにも、楽しいことが、なくなった。

 四年生に進級した。担任の先生はどんな人だったか、覚えていない。

 私はバスケに行きたくなかった。放課後が迫ってくるにつれて、不安が強くなっていく。この不安の前に、私は抗えない。  毎日、不安に押しつぶされそうになった。でも、父には、抗えない。

 いつもは父に送迎してもらうのだが、その日は母が車で私をバスケに連れていくことになった。車が体育館に近づいていくにつれ、恐怖が、私の心の支配を強めていく。  母に、練習行きたくないことを伝えた。母の前でなら、私がわがままでいることが許される。だけど母は困ったような反応をして、でも、車を止めることなく会場に進んでいく。そうやって、いつも、うやむやな反応だけして、私の願いを、受け止めてくれないのだ。  車が、近づいていく、近づいていく。苦しい。  とうとう、車は会場に到着した。母に「バスケしたくない」と、最後のお願いをする。母は困ったような反応をして、それでも母は、車のドアを開けて、「行こう?」って私を練習に行くように説得してくる。  …私は、泣いてしまった。泣きながら、「行きたくない…」と訴える。  これで、今日は、練習を休むことができるだろうと、心の奥でそう思っていた。でも、それでも母は、私が泣き止んでからも、練習に行くよう説得を続けた!私は、(もうだめだ)と、あきらめた。(行くしかないんだ)  私は、涙が出てくるのを抑えながら、母に練習に連れていかれた。  しばらく、母への不信が続いた。でも、それも、時間の経過が、元通りにしてしまう。  泣く泣く練習に行かされた翌日、私は父と一対一で話すことになった。母が、昨日の様子を父に伝えたらしい。  父の前だと、うまく声が出ない。だから、父の質問には「うん」とうなずいて答えた。どんなことを話したか、あまり覚えていない。でも、 「バスケ…行きたくないか?」「…うん」そう答えた。  やっと、私は、バスケから解放された。

 バスケットボールクラブには、射香出という、同じ学年の人がいた。  バスケクラブを抜けてからは、私と射香出はあまり仲が良くなかった。  あまり記憶は残ってないけど、ある日、休み時間に、廊下で歩いていた射香出の足を蹴って、逃げたこともあった。

 寝るときは母と同じベッドで寝る。自分の部屋が、まだ無いからだ。  私は、あまり寝つきが良くなかった。だから、ベッドに入って電気を消しても深夜までよく起きていた。だから、寝つくまで私がなにをしていたかというと、「妄想」をしていた。  当時読んでいた少年向け漫画のヒロインのエロい妄想をして興奮したり、自分以外のすべての人間が、ロボットだったらとか、そんな益体のないことを、妄想していた。  夜、眠れないで妄想をしている時間が、すっごく楽しかった。

 とあるゲームの動画を、また姉に内緒でテレビで動画を見ているときに見つけた。そのゲームは、私が今まで見てきたゲームの中で最も、惹かれる要素を持ったゲームだった。そのゲームは私が毎月購読している漫画雑誌でも紹介され、私は、もう、そのゲームがやりたくて仕方がなかった。  私は母に相談した。そのゲームがやりたいと。  母は私に協力してくれた。私はおこずかいを貯めた。母に借金を作った。  そして、父と姉には内緒で、母と兄と私だけの秘密で、私は、そのゲームと新しいゲーム機を購入することができたのだ。

 ゲーム機の設定は兄がしてくれた。ゲーム機をインターネットにも接続してくれた。  私はゲームに夢中になった。飽きることなんて、なかった。 インターネットに接続されているので、たくさんの面白いことを検索して調べることができた。ゲームの攻略サイトを見たり、アニメを見たり、「あなたは18歳以上ですか?」の警告を、緊張しながら、ドキドキしながら、「はい」を押して、アダルトサイトに入ったり、架空の生物が虐待されている漫画やイラストが投稿されているサイトにはまったり、インターネットは、未知の世界で、楽しかった。

 インターネットに接続したことで、顔も知らない人と、一緒にゲームができるようになった。私は、他のプレイヤーとゲームでやってみたいことがあった。だから、「ゲーム、一緒にプレイしませんか?」と募集している人を招待して、一緒にゲームをした。  私は、ゲーム内で、招待した無防備な相手プレイヤーを、一方的に、殺し続けた。相手が何度も復活してきて、そして私から逃げ回るのが、すごく面白くて、追いかけて、攻撃して、倒して、追いかけて、攻撃して、倒して、すごく、楽しかった。  相手プレイヤーが、ゲームから抜けて、私にチャットアプリで話しかけてきた。「なんでこんなことするの?」そう質問されて、「楽しいから」そう返した。  結局、その人は、私を許してくれた。そして、次からは一緒に、普通に遊ぶようになった。

 ある日、私が兄の部屋でゲームを遊んでいた時、兄はパソコンの画面を見ながら、突然、いくつかのアニメのタイトルを、呟いた。その中には、少しエッチなアニメの名前も含まれていた。兄はにやけながら、私のほうに顔を向けた。当時の私は、意味が全く分からなかった。

 数か月後、兄は家を出て行った。ずっと前から予定していたことだったらしい。都会のほうへ、引っ越した。  兄が使っていた部屋は、私のものになった。ずっと、自分の部屋にあこがれていたから、うれしかった。  今まで、母と一緒に寝ていたので、ゲームを夜遅くまでプレイすることができなかった。でも、自分の部屋を手に入れて、私は、ゲームを自由に遊ぶことができるようになったのだ。

 多い日は、深夜の三時まで徹夜してゲームをしていたことがある。それを、学校のみんなに自慢して、優越感を感じていたことも、ある。

 ある日、作文を書いて、それを班になって発表しあう授業があった。作文のテーマは、たしか、「自分が思っていること」だったと思う。私はその作文に、夜、妄想していたことを書こうと思った。  発表日。席が近い人同士で班を組むことになって、そしてできた班は、私が当時仲が良かった人たちしかいなかったので、安心した。  みんなが自分の作文の発表を終えて、いよいよ自分の番が来た。私は、作文のタイトルを読んだ。 「もし、自分以外のすべての人間が、ロボットだったら」  発表は、緊張した。全員分の発表を終えて、次は感想をみんなで言い合うことになった。  班のみんなが、私に向けて感想を言う。私はすごくドキドキしながらそれを聞いた。 一人目「独特な発想で面白いと思いました」「ははっ、なんだそれ」 二人目「えっと…。独特な発想で面白いと思いました」「またそれかっ」 三人目「…独特な発想で面白いと思いました」「はははっ、全員それかよっ」  私は、自分の考えていたことが、独特だと言われて、それが、とっても、まるで自分が特別であるような感じがして、気持ちよかった。

 発表会を終えて、学校から帰って、私はゲーム機のインターネットで、「自分以外のすべての人間がロボットかもしれない」という感覚について調べてみた。  調べていくうちに、「哲学的ゾンビ」という話が出てきた。  周りから見た限りでは全く普通の人間、話し方も、反応も、普通の人間。だけど、実はその人は意識や心を持っていない、ゾンビである…みたいな話。当時もよくわからなかった。  私は、もっと深く知りたいと思った。  「哲学的ゾンビ」の、「哲学」についても調べてみた。これがまた、難しいことばっかりかいてあって、よくわからなかった。  でも、(いつも夜、考えていたことは、哲学っていうのか)そう思うと、なんだか、自分が、小学生なのに難解な言葉を使う、すごく頭がいい人になったような気がして、気持ちよかった。  (考えることが、哲学なのか)  友達に、「哲学って知ってる!?」と聞いてみた。友達は(哲学って何?)みたいな反応をして、それが面白くって、気持ちがよかった。  私は哲学が好きになった。寝る前の布団に入ってからの妄想が、いつもより一層楽しくなった。(今、自分は、哲学をしてるんだ)そう思うと、うれしくて、気持ちがいい。

 インターネットで気になったことを調べたり、見つけたりするのが、趣味だった。  ある日、私はインターネットで「ベジタリアン」を知った。菜食主義。動物のお肉を食べず、野菜しか食べない人たちのことをいうのだと、当時はそのように理解した。  私は、彼らの考え方に共感した。確かに、動物の命を取って、お肉を食べるのは残酷で、動物がかわいそうなことだと思った。  私もベジタリアンになりたいと思った。でも、(学校で、「お肉をは食べない」なんて言ってしまうと、みんなから変に思われてしまうから、大人になったらベジタリアンになろう)そう思っていた。  でもある日、ベジタリアンについて調べていると、こんなことが書いてあった。「ベジタリアンってばかだよな。植物にだって命があるのに」  この言葉に、深く、考えさせられた。

 またある日、私は「猫の去勢、避妊手術」を知った。猫に、子供を作らせないように手術をすることだと理解した。  (なんて残酷なんだ)(猫がかわいそう)そう思った。

 ある日。インターネットで以前から交流のあった人を、ゲームに招待した。  「ここで待っていてください。」とチャットを打つが、しかしその人は勝手に歩き回ってしまう。命令を聞かないので、何度も殺した。  その人はゲームを抜けて、今度はあちらからゲームを招待してきた。ゲームを始めた途端、その人は私を一方的に殺そうとしたので、殺される寸前、とっさにゲームを閉じた。  そしたら今度は、相手からひどい暴言が書かれたチャットが送られてきた。でも、そんなにショックは受けなかった。その人はそのまま放置した。

 ねおという、学校で仲のいい友達がいた。ねおは、六年生を迎える前に転校してしまうのだが、それまではよく一緒に遊んでいた。ねおと私は猫が好きだという共通点があった。でも、二人とも猫を飼うことができない家だった。  ある日、いつも遊んでいる公園で遊ぼうということで、ねおとその公園に向かった。ねおは先に公園に着いていた。ねおは興奮していた。「ちょっとこっち来て猫がいるっ!」私はすぐにその場へ向かった。  そこには、一匹の子猫がいた。人懐っこい子猫だった。私たちはその子猫を触ったり、抱きかかえたり、「子猫が強くなるために」と言ってボールを転がしてぶつけたりした。  そこには、一匹の子猫がいた。人懐っこい子猫だった。私たちはその子猫を触ったり、抱きかかえたり、「強くなるために」と言ってボールを転がしてぶつけたりした。  そろそろ帰らなければならないという時間。私たちは猫を公園に置いて帰ろうとした。でも、帰ろうとしても子猫はついてきてしまう。もし、子猫が道路に出て、車に引かれたら大変だと、私たちはどうやったら子猫を公園にとどめることができるか考えた。私たちは、公園にあったドーム型の遊具のてっぺんに子猫を置いて、時間稼ぎしようと考えた。でも、子猫はすぐ降りてきてついてきてしまう。だから、再び遊具の上に載せて、私たちは全速力で、後ろを振り返らず走った。  少し離れたところで、立ち止まって振り返ってみる。子猫はついてきてなかった。  数日後、また子猫がいるかもしれないと公園に集まった。子猫はいなかった。近くを調べてみた。公園の周りのおうちの前に、「子猫探してます」と張り紙が貼ってあった。写真は、まさしくあの時遊んだ猫だった。

 ある日、私は、宿題のプリントを忘れてしまった。焦った。どうしようと。怒られたり、注目を浴びるが怖かった。  だから私は、クラスメイトで友達の、山田の席から、プリントを盗むんだ。  山田とは、仲のいい友達だった。だから、勝手に机の中をまさぐっていても別に許されると思った。休み時間、山田が席を離れている時を狙って、みんなの視線を意識しながら、山田の席に寄って、そして、自然に、机の中に手を入れて、ファイルを見つけて、取り出す。そしてファイルの中のプリントをぱらぱらとめくり、そして、目的のプリントを見つけた。そして、プリントを取り出し、ファイルを元に戻し、平然と席を離れる。そして、自分の席について、名前の部分を書き換える。文字の書き方の癖でばれないよう、一問ずつ解答を書き換える。  プリントの答え合わせの時間。山田は「あれっ、ないっ、ないっ」と騒ぎ、注目を浴びる。私は盗んだことがばれないか、すごくドキドキした。山田は、普段から活発で、みんなから人気がある。だから、プリントを忘れたくらいで、陰口を言われたりなんかしない。結局、山田はちょっとだけ先生に怒られただけで、そのあとは普通に授業が始まった。

 君楽風という女子のクラスメイトがいた。誰とでもへだたりなく接することができる子だった。なので、私にもよく話しかけてくれた。でも、私は女子が苦手なので、うまく話せなかった。  いつからか、クラスの一部の男子が、君楽風のことをからかうようになった。彼女が触れたものを、「君楽風菌がついた」といって、汚いものとして扱ったり、「菌」がついた手を、誰かに押し付けて、やられたほうが嫌がったり。「菌」を付けられたほうは、それを他の誰かにまた押し付けることで、解除できるという仕組みだった。  私はその「菌」の押し付け合いに巻き込まれたくなかった。でも、「菌」を押し付けられることがあった。私は「菌」を、友達に、気づかれないように押し付けるふりをした。友達は押し付けられたことに気づいてないので、これで一旦は騒動が治まる。  君楽風に話しかけられる。でも、そばにはみんながいて、だから、私は、君楽風を無視をした。君楽風は、「もう…」と不満そうな声を出した。

 その日は、いつものように、自分の部屋で、明かりをつけて、夜遅くまでゲームをしていた。そしたら、突然姉がノックもなしに扉を開けてきて、「こんな時間まで起きてるの?早く寝たほうがいいよ」と私に言った。心臓が止まるかと思った。私はとっさに布団の中にゲーム機を隠して、「うん」と答えて、布団のなかに潜った。姉はドアの近くにある電源ボタンをオフにして、部屋の明かりを消す。  すると、暗闇の中、布団の中からゲーム機の画面が、光を発している。  「なんか光ってる!」と姉は電気をつけて、こちらに迫って来る。私は、もう、何も考えられなくなった。姉は布団をめくり、ゲーム機を発見した。  姉は怒った顔をして、不機嫌そうに、部屋を出て行った。私は、呆然とした。非現実感というか、とにかく、その日は、無心のまま、明かりを再び消して、眠ることにした。  翌朝。早くに起きてしまったけれど、リビングに降りるのが怖くて、そのまま二度寝した。布団の中で、目をつぶって、心臓のドクドクを抑えようとした。  それでも、リビングに降りなくちゃいけない。でもそしたら、姉に怒られるかもしれない。でも、勇気を振り絞って、私は、姉のいるリビングに降りた。  …姉は、昨日のことについて何も言ってこなかった。でも、どこか不機嫌そうだった。姉は、いつも通りに、朝食を食べて、身支度して、私より先に登校した。  何も言われなかったことに、私は、心から安心した。  数日間、私は姉を恐れて帰ったら部屋に引きこもっていた。姉に怒られる。そんな覚悟なんて、私にはできない。怖いものは、怖い。   …数日後、私は母から、姉が、母に「下環がゲームしてたよ!」そう怒っていたらしいことを聞いた。

 五年生に進級した。

 五年生になってからは、今まで特別支援学級で授業を受けていた浦上と岩下が、通常学級のクラスの子たちと、たまに、一緒に授業を受けるようになった。みんな、彼らを歓迎していた。優しくしていた。特別に、接していた。

 飯塚という女子のクラスメイトがいた。彼女を筆頭に、一部の女子から「かわいい」とからかわれることがあった。私は、彼女たちの私を観察するような視線が嫌だった。  だから、私は、少しだけ、彼女らに嫌われることにした。  私は彼女らの、私に対する印象を変えるため、いろいろなことをした。彼女たちが見ている前で、誰かにいたずらしたり、友達に向かって「バカ」って言ったりした。  結果、飯塚は私のことを「腹黒い」と呼ぶようになって、からかいはされなくなった。

 ある日、母からこんなことを聞いた。前に母が兄に、私がずっと前に姉にゲームを取り上げられたことを伝えたらしい。そしたら、兄は「あいつうぜぇな」そう言ったらしい。

 私は、夏休みの宿題を最後の日まで手を付けない性格だった。この性格は今でも変わらない。夏休み期間中は、宿題のことなんてまるっきり忘れて休日を謳歌する。いつも、母から「夏休みの宿題は早くに終わらせておいたほうがいい」って言われるのに。  そして、夏休み最終日、私は溜まってしまった夏休みの宿題に追われていた。この量は、終わらないかもしれない。だから、母に相談してみた。  母は私を叱った。「だから宿題を早くやっておいたほうがいいよって言ってたのに!」厳しく私を叱った。母の、その態度が、怖くて、私は泣いてしまった。そこに、母は、  「ほら、宿題をやってなかったから今、泣いてるんでしょ!」それは違うと思った。私は(ママが怒るから、泣いてるのに)と思ったが、母の叱責は鳴りやまず、思いを口にすることはできなかった。  (相談しなきゃよかった)

 その日は、給食の時間の前に、習字の授業があった。私は給食当番だった。なので、手についた墨を落とすために、水道でよく手を洗った。でも、手についた墨はなかなか落ちなかった。私は、(こんなに洗っても落ちないのだから、給食当番の時に墨が落ちてどこかに付くことはないだろう)そう思った。  給食当番は二人一組でやる。私は手に墨がついたまま、二人で給食の食缶を運び、先に食器に給食をよそった。  給食を半分よそった私は、相方に仕事を交代した。  給食の準備が終わって、いただきますの号令を待つ。そしたら、誰かが「食器に墨がついてる!」と大きな声を上げた。みんな、自分に配られた食器に墨がついてないか確認する。そしたら何人かが、同じく墨がついてると報告した。みんな、新しい食器に交換を求めた。  私は自分の手のひらを見た。私の手のひらは湿っていて、墨が、少し落ちていた。  私は恐ろしくなった。食器に墨が付いたことを、責められて、怒られて、見られて、憎まれて。  「この給食よそったの誰?」誰かがそんなことを声にした。相方が、手を挙げた。でも、私は、手を挙げることができなかった。  みんなが相方の手を確認する。  …相方の手のひらには、墨が付着していた。だから、全部相方のやったことになった。  相方は、クラスで人気があるやつだった。だから、そんなに責められたりはしなかった。  私はばれるのが怖かった。手を机の下に隠して給食を食べた。相方が、私も給食をよそったことをばらさないか、不安で、給食がうまく喉を通らなかった。  九蛇という、同じクラスで仲がいい人がいた。そいつとは、給食の時、同じ給食班だった。  九蛇は、給食中に、墨の付着事件のことを話題に出した。「給食当番って二人組だったよね!実は下環がやったんじゃないの!」九蛇はそう言った。私は、もう、駄目だと思った。うつむいて、黙って、絶望した。でも。  同じ給食班だった、伊子が、こう言ってくれた。「いやでも下環よく手ぇ洗ってたよ」言ってくれた。  九蛇はそれで納得したのか、話題は次に移っていった。  休み時間、私は全力で手の墨を落そうとした。それでも墨は落ちなくて、どんなに石鹸使っても落ちなくて、水は冷たくて、手がうまく動かなくなって、でも、それでも墨は落ちなかった。  やっと落ちたのは、三日後くらい。

 ある日。その日は、朝からずっと体調が悪かった。それでも、私は学校に行った。  教室で、ずっとうつむいていた。そしたら、いつのまにかクラスには自分を含めて数人しか残っていなかった。残った人たちは慌てた様子で教室の外へ出ていった。私は体を動かしたくなかったけれど、それでも頑張ってみんなについていった。  校庭には学年のみんながすでに集まっていて、みんなこっちを見ている。だから、走って遅れたみんなは走ってみんなのほうに向かうけれど、私は気持ちが悪くて、走りたくなかった。けども、走った。  全員が集まって、座ったところで、先生はみんなの前で遅れた人たちに向けて説教した。私は、先生のほうを向いて、体調が悪さを顔で訴えた。それでも気づいてくれなくて、私は(遅れたのは体調がわるかったからなのに)と、悔しく思いながら、黙って説教を聞いていた。  話が終わって、みんな教室に戻る。そして、教室で、先生が来るまで自由に過ごす。私はずっと、席に座って、悔しい思いをこらえて、うつむいていた。 先生が来て、先生はすぐに朝の会を始める。先生は、私が体調が悪いことに気づいてくれない。それが悲しくて、ずっと、私は涙をこらえていた。  朝の会が終わって、先生のもとに向かう。「先生、体調が悪いです」そう言い終えたあと、私はこらえていた涙があふれてしまった。泣いた私をみんな、注目した。それも、嫌だった。  先生は私を保健室に連れて行ってくれた。そして、一時間くらい、休んで、体調の悪さは回復していった。  そのあと、先生は私に授業が受けられるか聞いた。私はうなずいた。(早退させてくれないんだ)そう思って、ショックを受けた。

 山川という同級生の友達がいた。山川は面白くてお調子者で人気だから、友達が多かった。山川は「ブタ」というあだ名でみんなから呼ばれていた。私もそう呼んでいた。  その日は山川の家で、何人か集まって、お菓子を食べたり、ゲームで遊んでいた。私は、前にインターネットで見たことがある面白い動画をみんなに見せてやろうと思った。でも、私はゲーム機を持ってこなかった。ほかに、このゲーム機を持っている人がいないからだ。だから、山川のタブレットを盗んで動画を見せようと思った。  山川のタブレットは、充電中だった。私がタブレットの電源をつけると、山川は「充電してんだからさわんな」と言ってきた。  山川は、いじられキャラ的な扱いをされてきた。私は山川に対して、強く当たることができた。  私は、山川の言い方が、気に入らなかった。だから、私は、床にまとめられていた、大量のお菓子の、ゴミ袋を、山川の頭に、振りかけた。  場の空気が一瞬止まったような感覚がした。私は、あざ笑うかのように、いやらしく笑う表情をした。山川は、何も言ってこなかった。  そこから、どうやって仲直りしたのかは覚えていない。多分、お互いに、忘れていってしまったのだろう。

 当時、私は女の子みたいになりたかった。それはなぜか。姉から、「男の娘」という属性があることを教えてもらって、そこから、女の子みたいになって、人気になりたかったのかもしれない。どうして女の子みたいになりたいと思ったのか、正確なことはわからない。  そのために、私は女の子の真似をしてみた。膝と膝をくっつけて座ってみたり、女子の真似をして腕を広げながら走ったりしてみた。  でも、ある日。クラスの男子が、私のことをこう呼んだ、気がした。  「あの女」  その言葉には、軽蔑的な意味が込められているように感じた。  私は、女の子を目指すことを、やめてしまった。

 いたずらをよく友達にしていた。消しゴムを隠すとか、そんなことばっかりしていた。私がいたずらをすると、みんな笑ってくれた。  でも、たまに、相手の気分を損ねることがあった。  山川の椅子と、九蛇の椅子を、交換してみた。そして、後でそのことをばらして、またいつもみたいに笑いあおうと思っていた。でも、九蛇にネタばらしをしたら、「いいかげんにしろよ~」そう言われて、山川にネタばらしをしたら、無言で九蛇と椅子を交換しに行った。  「またお前か~!」って、笑ってくれると思っていた。

 いつからか、ゲーム機の充電がうまくいかないことがあるようになった。何度も充電器を買い換えたけれど、この症状は改善しなかった。  ゲーム機が、充電できなくなった。ゲームが、遊べなくなった。

 やってみたいゲームがあった。以前、動画を調べてみたことがあって、その動画を見て、そのゲームが、すっごく面白そうだったのだ。  ある日、友達の渡辺がそのゲームを持っているという話を聞いた。奇跡だと思った。私は渡辺の家に遊びに行って、そのゲームを遊ばせてもらった。 すっごく面白いゲームだった。ずっと、遊んでいたかった。帰るのが惜しいくらいに。私はそのゲームに夢中になった。

 六年生に進級した。

 私が渡辺の家で夢中になって遊んだあのゲームは、友達たちの間でも、すぐに人気になった。人気になったから、そのゲームはみんなで交代して遊ぶようになった。でも、私は自分がそのゲームを遊ぶ時間が減ってしまうことが、嫌だった。だから、なんとかしてそのゲームを独占できないか、考えていた。

 また、九蛇にいたずらをした。でも、九蛇は、あまりいい反応をしてくれなかった。九蛇は不機嫌になった。そんな彼に対して、私はこう言った。  「やられたほうがわるいんだよっ!」

 今度は山田の家で、またあのゲームをやりに遊びに行った。山田の家には、九蛇も遊びに来ていた。九蛇もまた、そのゲームをプレイしに遊びに来たらしい。でも、私はそのゲームを九蛇に譲らなかった。「やりたいんだけど」と迫る九蛇に、私は「俺、ガチ勢だから」と、とにかく九蛇にゲーム機を渡さなかった。  その日は、友達の家で一日中そのゲームを楽しんでいた。

 「ほんとあいつさ、ふざけんなよ。こっちが順番待ってるのにそれも守らないしさ、なにがガチ勢だからだよ。あいつ、よえーのに。」  翌日、学校の休み時間、九蛇は黒板の前に人を集めて、私が教室で席について座っている、その前で、昨日のことをみんなに話していた。  九蛇の、容赦のない言葉。私の前で、みんなに、私の悪いところを言いふらされている状況、私は、どんな表情をすればいいのかわからなかった。ただ黙って、うつむいて、それを聞いていた。

 それから、肩身の狭い学校生活が始まった。休み時間、一歩も歩かずに、ただ、次の授業の準備をして、次の授業が始まるまで教科書を読んでいた。給食の時間、うつむいて、いつも大きな声で誰かと何かを話している九蛇が、私のことを話していないか不安で、耳を傾けて、いつも、暗い気持ちでご飯を食べていた。  そして昼休み、私は、ずっと一人で静かに席に座っていた。そしたらまた、九蛇が私のことをみんなを集めて話していた。私がいたずらをしたこと、そして私が「やられたほうが悪い」と言ったこと、すべて、話していた。  もう、どうすればいいのか、わからなかった。  私からは、以前のような活発さはなくなってしまった。九蛇が私の悪いところを言いふらした人の中には、ずっと前から仲がよかった人もいた。けれど、その人とは、もう、話せなくなってしまった。

 私は九蛇のことを、憎んだ。一日中、どうやれば九蛇に復讐ができるかを考えていた。  私は、給食の時間、みんなの目を盗んで、九蛇の机に食器を配るふりをして、九蛇の筆箱を机から落とした。そして、その筆箱を、何度も、何度も踏みつけた。そして、何事もなかったかのように、その場から立ち去る。そんな行為を、何回も繰り返した。

 理科の授業、理科室で班に分かれて、授業を受けていた。  隣の席に座る、渡辺と、一緒に話していたのを、同じ班の女子に注意された。私は、渡辺に、「うるせぇばーか」と呟いた。  渡辺は、その注意してきた女子に、「うるせぇばーかって…」と話した。

 クラスメイトに、右近雄という、柔道を習っていて、体が大きい、男の子がいた。私とは、一緒に遊んだことはないけれど、たまに話すことはあった。  いつからだったか、九蛇は、右近雄の悪口を陰で言うようになった。それも、彼に聞こえる距離で。「デブ」だとか、「馬鹿」だとか、そんなことを。  ある日、私がトイレで掃除をしているときに、廊下から、なにかクラスで喧嘩が起こっているという噂が聞こえた。掃除を終えて、教室に戻る。席に座って、私はみんなの会話に耳を傾けていた。  「右近雄が九蛇のこと、投げ飛ばしたらしいよ」どうやら、喧嘩になっていたのは右近雄と九蛇だったようだ。右近雄が九蛇を投げ飛ばした、それを聞いて、私はスカッとした。やっと、天罰が落ちたと、思った。  …でも、右近雄が悪者みたいな空気になったことは、納得がいかないことだった。

 体育の授業で、野球をやることになった。そこで、私は、九蛇と同じチームに割り振られてしまった。九蛇はクラブで野球を習っていた。だから、野球がうまかった。  私は、運動が苦手だった。だらか、バットにボールを当ててもうまく飛んでいかない。まったく飛んでいかないボールを見て、九蛇は大きな声で「あーあ」そう呟いた。  そして、野球が得意な子の順番が回ってくる。その子が試合で活躍すると、九蛇はその子のことをほめる。「いいね~××君!ほんと、誰かさんとは違って」そう、笑いながら、呟く。  体育の時間が、すごく、嫌だった。憂鬱で、まいってしまう。

 ある日。また右近雄と九蛇が喧嘩になった。右近雄が九蛇を、扉を押さえてトイレに閉じ込めたらしい。「またか」と思った。  またある日、また、右近雄と九蛇が喧嘩になったらしい。  九蛇と右近雄の喧嘩は、合計三回あった。

 ある日。道徳の授業があった。その授業では、水俣病という病気についてのドキュメンタリー番組を見た。その映像の中で、こんなシーンがあった。  猫に、その地域の魚を無理やり食べさせて、毒があるか、実験している映像。猫が、ぴくぴくと、痙攣する。そして倒れる。そんな、シーン。  もう、なんて言っていいか、どんな反応をしていいか、わからなかった。  授業が終わって、私はぼーっと、何も考えられずにいた。そんな私のほうを向いて、誰だったか、もう覚えていないけれど、三人くらいの男子が、集まって、こんなことを話していた。  「さっきの映像やばかったよな…。猫が魚食って苦しむところ。」「あ、そういえばさ、昨日だったかな、一昨日だったかな、あそこの交差点に、猫が車に轢かれて死んでたんだよ!骨が飛び出てた!もう内臓飛び散ってて、めっちゃグロかった!」「マジ?」にやにやと、笑いながら、私のほうを向いて、話していた。

 卒業が近づいてくる。そこで、「卒業まであと何日カレンダー」というものをクラス全員で描くことになった。出席番号順に、卒業までの日数を担当して、カレンダーを描いていくというもの。そしてその日になったら、みんなの前に出てきてカレンダーをめくり、一言何か言わなくてはならない。  私の順番が回ってきた。私は、緊張しながらみんなの前に出る。そして、黒板に貼り付けられたカレンダーをめくろうとした、その時。私はそのカレンダーを落としてしまった。みんなの描いたカレンダーが床に広がってしまう。私はしゃがみこんで、落ちたカレンダーを一枚一枚拾い上げる。その時、クラスの一人が、大声でこんなことを言った。  「あれ!泣いちゃった!?もしかして泣いちゃった!?はははっ!」クラスに笑いが巻き起こる。  私は黙々とカレンダーを拾い上げていた。そこに、さっきまでみんなで笑っていた人たちが、「拾おうぜみんな!あははっ!」と、調子に乗って、こちらにやってきて、カレンダーを拾うのを手伝う。  みじめだった。

 漫画でキャラクターが爪を噛むシーンがあった。真似してみた。 爪を噛むことが、癖になった。

 毎日、毎日、九蛇のことを憎んでいた。九蛇に、復讐しないと気が済まなかった。  そこで私は、こんなことを計画した。  (あいつの机にマジックペンで大きく死ねって書いてやろう)  でも、卒業式が近づいていく中、そんな事件を起こしたら卒業ムードが台無しになってしまう。そう考えて、私は、(中学に入ったら、絶対に実行しよう)そう計画した。

 卒業式。みんなが、浮かれる日。私は、父が視線を集めて、それが、とても恥ずかしくて、卒業式が、早く終わってほしいと思っていた。

 小学校を、卒業した。



 小学生時代入学していた毛里田小学校と、それほど距離が離れておらず、毛里田小の卒業生のほとんどが新たに入学するのが、毛里田中学校だ。基本、毛里田小に通っていた人たちは、みんな毛里田中に行くことになる。  私は、毛里田中学校に入学した。

 私の所属することになったクラスの担任の先生は、琉心雄先生という、若い男の人で、人から好かれそうな雰囲気の、少しゆるい感じの人だった。 クラスには私の友達も結構いたので、安心した。  そしてなにより、九蛇と別のクラスだったのが、よかった。  中学に入ってからは、小学校では特別支援学級に所属していた、浦上と岩下が通常学級に入って、一緒になって授業をすることになった。浦上は、私と同じクラスに入った。  クラスのみんなが、彼と同じクラスで授業が受けられることを、歓迎していたように思う。そして、みんな、彼に優しく接するようにしていた。

 中学に入ってからは、この学校のしきたりで、朝読書を毎朝やることになった。私は教室に置いてあった適当な本を選んで、それを読むことにした。その本の名前やどんなストーリーだったかは覚えていないが、だが、うろ覚えだけど、とても印象に残っているシーンがあった。  鹿の狩りを生業とする男が主人公だった気がする。そしてこの男は、「鹿を銃で撃って殺すなんてかわいそうだ」という意見に対して、「鹿は数が多すぎると餌を取り合って、餌がなくなって餓死する。餓死は、鹿にとって苦しい死に方だ。対して、銃で殺せば鹿は一撃で死ぬ。鹿にしてみれば、銃で撃たれて死ぬほうが楽な死に方なのだ」そんな考えを持っていた。 この考え方は、当時の私にとっては、斬新だった。

 放課後。私はマジックペンシルを握る。そして、九蛇の机が置いてある隣のクラスへ向かう。今、この教室には誰もいない。廊下にも誰も人は通っていない。そして、私は…  (もし誰かが今、この教室に走って物を取りに来たら…もしテレビの企画とかでこの教室に監視カメラが隠されていたら…もし、このペンを使ったってことが精密鑑定でわかったら…)考えて、足が止まる。妄想して、体が動かなくなる。もしものリスクに、不安になる。  結局、私は九蛇の机に、「死ね」と書くことができなかった。

 廊下で九蛇とすれ違った。九蛇は、とくにリアクションすることなく、私を素通りしていった。もう、九蛇は私に興味を失ってしまったのだと、安心した。

 この中学校では、生徒は部活に必ず入らなければならないという、空気を感じた。私は、運動が苦手だった。だけど、文化部は女子の入る部活だという空気を感じた。だから、なるべく楽そうな部活がよかった。そこで選んだのが、卓球部だ。  卓球部には、渡辺や、山川、ほかにあと二人くらいの友達が、入ろうとしていることを、前に本人たちから聞いた。だから、私もそこに入りたいと思った。  でも、ある日。「パパはね、下環をバスケに入れさせるつもりだよ」母からそう告げられた。私は、「じゃあ、どうすればいいの」そう聞いて、母は「パパにお願いするの。卓球部に入りたいですって」と答えた。  父がリビングでテレビを見てくつろいでいる。私は父の横に立とうと、したけれど、無理だった。わからない。謎の抵抗があるのだ。とにかく、父に卓球部に入りたいなんて言うのが、無理なんだ。  部活入部届提出日まであと一日。私は母に助けを求める。「えーもうママ知らないよ。さっさと話してくればいいじゃない」そう言って扉を閉められる。私は、母に見放されたように感じた。  私にできる唯一の手段。私は手紙を書くことにした。私は慎重に、よく言葉を吟味しながら手紙を書いた。そしてそれを、父が寝た後、父のテーブルに置いて、私は不安を抱えながら眠りについた。  私は父が仕事に出発した後に、部屋を出た。不安で、押しつぶされそうだった。  母が、教えてくれた。「よかったね下環。パパ手紙読んでくれて、卓球部入っていいって納得してくれたよ。手紙、よかったよ。」私は胸をなでおろした。  父が帰ってきて「…下環、卓球部がいいんだな。…んじゃぁ、がんばれよ。」と言われた。  私は卓球部に入部した。

 今年の一年は卓球部を選択する人が多かった。11人。運動ができてクラスでも騒がしい、6人。地味で控えめな、私を含めた5人。それぞれAグループとBグループという名前が付けられた。Bグループは、渡辺や山川など、私と仲がいいやつらが集まった。でも、私は、運動のできるAグループの方とはあまり仲が良くなかった。Aグループの中には、昔仲が良かった山田や、幼い頃一緒に遊んでいた榊とかがいたけれど、九蛇が私の悪かったところを言いふらしたあの事件を境に、あまり話さなくなってしまった。私はそのAグループの中でも、特に須下が苦手だった。でも、Bグループの私以外の他の4人は、そのAグループの人たちとは誰とでも仲が良かった。だから、一年生全員で集まった時、私一人だけがおとなしくなる。  Bグループでの活動は楽しかった。私は、人を笑わせるのが得意だった。シュールさを演出したり、誰かをいじったり。  卓球部では、卓球台の数に限りがあるので、一年は、三年生が引退するまで、先輩たちが休憩する間しか卓球台を使わせてもらえなかった。卓球台が使えない間は、みんな筋トレをして過ごしていた。

 中学に入ると、みんな、テストでいい点数を取るのに必死になった。みんな、テストの順位を競いあっていた。私は、なぜみんなテストにそんなに必死なのか、わからなかった。  私は、常に中間ぐらいの順位でいられればいいかなと、そう思っていた。順位が高すぎても、低すぎても、目立ってしまうと、考えたからだ。

 よくある日常。ある日のこと。「よお猫好き下環」廊下を歩いている時、そんな声が背後から聞こえても、私は振り返らない。  「おいっ!無視すんな!」ドンッっと背中を押される。体勢を崩した私は、数歩前に転倒しかける。本気で押してくるのだ。伊子は。私は顔を半分だけ伊子の方に向けて、「なに?」と尋ねる。伊子は「別に」とだけ答える。そう、伊子は特に理由もなく私に話しかけてくるのだ。私は「…そう」とだけ呟いて、元の進んでいた方向へ歩む。  そんな、よくある、日常的なやりとりが、とても嬉しくて、彼女に会うたびに、口角が、思いっきり上がってしまう。私は、果たして、自分の恥ずかしいほどの笑顔を、伊子に、隠し通すことができただろうか。  (中学卒業するまでに、伊子に、絶対に告白しよう)そう、思った。

 ある日。休み時間。教室で活発な男子たちが遊んでいる。「おい何やってんだよブタ!デブ!」「なんだとボケ!」いじめでは、なかった。仲のいいもの同士の、口の悪い会話だった。特に不愉快というほどでもなかった。

 夏休みが始まった。

 夏休みには、卓球の大会があった。その日は、二人一組の、ダブルスの大会だった。私も同じBグループの人とコンビを組んで参加したけれど、一回戦で負けてしまった。この大会では、負けた選手は次の試合の審判をすることになっている。次の試合は、二年の○○先輩と小林先輩のコンビが出場することになった。  私はその試合の審判で、ミスをしてしまった。点数を、間違えてしまった。そしたら、先輩たちはあからさまに不機嫌な雰囲気な様子で、試合を続けた。  私は、先輩たちとあまりうまく関係が結べなかった。

 ある日。卓球の大会が遠くの場所であって、それで学校に集合して当番の人に車で送って行ってもらうことになっていた。私は予定表を確認し、その書いてある時間よりかなり早めに学校に到着した。  そこには、もうすでに部活の全員が集まっていた。遠くから「あ、来た!」「早く!こっち!」と呼ばれる。私は、どういうことだかまったく理解できなかった。走って、手招く先生のもとへ向かう。先生は私に、「ねえ、昨日と一昨日さぁ集合時間が早くなるっていったよねぇ!君は話を聞いていなかったの?」と話した。私は、何も答えることができなかった。私は何も考えることができぬまま、導かれるままに送迎当番の人の車に乗った。  その日は、一言も発することができなかった。みんなの顔も、見ることができなかった。みんな私に、何も言ってくれなかった。  でも、車で送迎されている時、Aグループの、幼い頃一緒に遊んでいた、榊が、私に寄りかかって寝てくれたことを、ここに記しておく。

 夏休みの宿題に、作文を書くことになった。テーマは覚えていない。私は作文を書くのが苦手なので、後半には大量の空白ができてしまう。その空白のマス埋めに、私はこんなことを書いた。  「クラスで、射香出君と〇〇君が、ブタとか、デブとか、バカとか、ボケとか、言い合ってました。そうゆう言葉を使うのは、いけないことだと思いました。」

 夏休みは終了した。中学一、二年の夏休みは休んだ記憶が全然ない。部活が、とても忙しかった。

 ある日、私は担任の琉心雄先生に放課後呼び出された。私は何の要件か見当もつかなかった。  琉心雄先生は私にこう聞いてきた。「ああ、下環ね、夏休みの宿題の…作文読ませてもらったんだけどね、うちのクラスの射香出と〇〇が、バカとか言い合ってたっていう…。あのさ、なんていうか、いじめだとか、そんな感じだった?それとも、遊びだとか冗談みたいな感じで言ってたか?」私は「はい遊びだとか冗談とか…です…」と答えた。  「ああそう…あのさ、先生からあいつらに注意しておくからさ、もちろん下環が書いたとか絶対にいわないからさ、うん。」「はい…」  翌日、朝の読書の時間、私が作文に書いたあの二人は、先生に廊下に呼び出された。  私は、作文に書いてしまったことを後悔した。

 体育祭の季節になった。この学校の体育祭、目玉競技は、「大縄跳び」だ。大縄跳びとは、一本の長い縄を回して、その中に、回す担当の人以外のクラス全員が入り、どれだけの回数を連続して飛ぶことができるかを学年で競い合う競技だ。  この競技、やってみるとなかなか難しくて、例えば、うまく縄を回すことができなかったり、体力的にきつかったり、そしてなにより、一人が失敗すると、もうそこで縄が止まって記録が止まってしまうのが、この競技の一番のポイントだ。  誰かが縄に引っかかると、全体の雰囲気が悪くなる。そして、その引っかかった人を特定しようとする人が現れたりする。自分が引っかかったことを何か言われるのがいやで、失敗の擦り付けが起きる。この競技は、相当意地悪な競技だ。  誰かが失敗して、喧嘩して、クラスの雰囲気が悪くなる。この調子だと、記録も伸びない。けれど、そんな状況を立て直すために立ち上がったのは、担任の琉心雄先生だった。  先生は道徳の授業かなんかの貴重な一時間を使って、私たちに説教をしてくれた。普段はおっとりしている先生から、熱い叱咤激励が送られる。  クラスメイトの一人に、田村という小柄な女の子がいた。その子はいつも本を読んでいて、おとなしい印象で、周りの女子から少し浮いているような子だった。でも、悪い子ではなかった。  先生は、説教の最中、突然田村に向かって大声を出す。なにかと思ったら、田村は先生の説教中に、本を読んでいたらしい。先生は田村を厳しく非難する。怒涛の迫力での叱咤は、叱られている対象が自分でなくても、怯えてしまう。  チャイムが鳴っても、叱咤は鳴りやまない。一体いつまでこの時間が続くんだと、憂鬱になった。でも、さすがに次の授業までには先生は叱咤をうやむやな感じで終わらせて、先生は次の授業の場所へ向かった。そのまま、次の授業の先生が来て、次の授業が始まった。  授業が終わって、私は教室を出た。居心地が悪かったからだ。それに、もし自分がこうして叱られたとき、あまりジロジロと見られるのが嫌だから、だから私は意識して見ないようにしていた。だから、叱られた田村がどんな様子だったか、知らない。  次の体育の授業、私たちのクラスは、少なくとも前のときよりは声を出し合って、団結を強くして大縄跳びの練習に挑めたと思う。私は、それが、あの先生の叱咤激励が、もうみんなうんざりだから、こうやって、団結したのだと思った。  一部の女子は、田村の陰口を言っていた。「あそこで本を読んでるなんて、ありえないよね」そう、団結なんて、していない。すべて、見せかけなんだ。  結局この団結したふりのままで体育祭を迎え、私たちのクラスは大縄跳びで、なんと優勝してしまった。順位発表の時、みんな喜んだふりをしていて、みんな演技がうまいなぁと思った。  いつからか、田村は学校を休むようになった。

 卓球部。三年生が引退したことで、卓球台に空きができ、一年生の私達は、いよいよ本格的に卓球がプレイできるようになった。  卓球台を使っての練習は、最初のほうは、楽しかった。

 射香出のことが、ひたすら、憎かった。廊下ですれ違うたび、笑われているように感じた。でも、多分、それだけじゃなかった。どうしてそんなにも憎かったのか、あまり覚えていない。  ある日、私は、決心した。射香出に、復讐をしようと。そこで思いついたのは、「射香出の上履きを隠す」ことだった。  いつもより早い登校。まだ誰もいない時間帯。下駄箱の前に立って、射香出の上履きを探す。そして、見つける。だが、私は臆病で、射香出の上履きを隠し通せるか、犯人探しに耐えられるか自信がなくなって、だから私は、結局、上履きを持ち去ることができなかった。  でも、上履きを隠すことはした。誰も使っていない下駄箱に、上履きを片足、入れておいた。たかが、それだけのことで、私の心臓はバクバクが止まらない。  教室で、席について、ドキドキしながら射香出を待つ。  そして、射香出が教室にやってきた。「俺の上履きがなぁいっ!」  混乱した。すぐに見つけられるだろうと思っていたけど、まさか見つからずにやってくるとは思ってもいなかった。  教室で誰かが「いじめじゃね!?」と射香出を囃し立てる。教室は射香出の上履きの話題で賑わっていた。私は相当焦っていた。この時点で犯人探しをされていたら、一発で犯人だと見透かされていたと思う。  射香出はもう一度下駄箱に確認しに行った。そして帰ってきた。「なんか一番下の下駄箱に入ってたわ」  射香出の上履きには名前が書いていなかったことで、誰かが落ちていた射香出の上履きを適当な場所に入れたのだろうということになった。  まさか、こんなことになるとは思わなかった。

 社会の先生が嫌だった。社会の授業が嫌だった。社会の授業では、席順にプリントの解答を発表したり、教科書を音読したりする。私は、解答がわからなかったときや、音読で間違えて読み上げてしまった時の、先生のからかいがすごく嫌だった。  「水田」を、「みずた」と読み上げてしまったことがある。そのことを、先生は笑った。「みずただってよ!ははは!」次の授業、私は先生に、「みずた君」と呼ばれた。そのあとも、先生は笑った。  社会の授業の前は、言葉にならないような不安の感じが訪れた。無気力感。社会の授業の日は、学校に行きたくなかった。嫌だった。憂鬱で、登校前はギリギリまで布団の中に入って心を落ち着けていた。

 ある日。部活動中。私は、同じBグループの仲間である、中尾と卓球台で練習をしていた。けれど、中尾のもとに、小林先輩がやってきて、先輩は中尾に話しかけた。中尾は私との練習をそっちのけで、小林と、何かアニメの話をして、盛り上がっていた。  私は、私たちの練習を妨害した小林に、ちょっとむかむかした。私は、小林に対してサーブの球を放った。小林は、中尾との話に集中しているので、私のサーブに気づかず、放ったサーブの球はコロコロと小林の腹に当たった。  そしたら、小林が私のほうを向いてきた。その表情は、私を睨んでいた。

 ある日。部活動で、他の学校で練習試合を行うことになった。自分たちの学校に集合して、そして自転車でまとまって走っていくことになった。私は列の最後尾を走っていた。前には、丸々先輩と、そして小林先輩が並列走行で、こちらをちらちら向きながら、会話をしながら走っていた。彼らはこんなことを話していた。私に、聞こえるように。  「先輩とかさ、上司とか上の人に従えないとかさ、…」「社会に出たときにさ、やっていけないよね」にやけながら、笑いながら。  会場に到着して、練習試合が始まる。そして、私の試合中。丸々先輩と小林先輩が、私のプレイを私の正面から、何かを呟きながら見ていた。私は、視線が、声が、気になって気になって、仕方がなくて、悔しくて、恥ずかしくて、その試合、まったく力を出すことができなかった。

 (学校も、部活も、行きたくないなぁ)そう思った。

 私は、人を笑わせるのが得意で、人を笑わせるのが好きだった。でも、笑われるのは、嫌だった。  このころ、クラスメイトで同じ卓球部で幼いころからの友達である、禄話のことが、とてもうざく思うようになった。理由は、禄話が、私が禄話に対して言った面白おかしいことを、ほかの誰かに言いふらすようになったからだ。「さっき、下環がこんなこと言ってたんだよ」そうして、禄話はみんなから笑いを取る。私は、相手が禄話だから、面白いこと、おかしいことを言えるのだ。だから、それを誰かに聞かれて、笑われるのは、すごく、嫌だった。  私は、禄話を注意しようと思った。「禄話君って、すぐに俺が言ったことほかの誰かに言いふらすよね」そんな感じで、さりげなく、言ってみた。

 禄話に話しかけようとすると、禄話は私を避けるようになった。最初のほうは特に何も思わなかったけれど、それが何度も続くと、だんだん、うざったく感じるようになった。  卓球の準備中。一年生が集まって、それぞれラケットをクリーニングしたり、何か趣味のことについて話し合っていたりしていた。その日も、私は禄話君に話しかけようとした。「ねえ禄話君!」  禄話は、また、私を無視して、私から遠ざかろうとした。私は、いつのまにか、何も考えずに、ただ、禄話の顔を、右手をグーにして、殴っていた。   殴った後から、私が禄話に対して、相当イラついていることを、自覚した。殴られた禄話は私に背を向けて、特に騒がず、廊下の奥のほうに歩いて行った。  一応、目撃者はいたらしい。山田だ。山田は私が禄話を殴った後、ちょっと慌てたような声を出して、でも、特に何も騒いだり、誰かに話したりせずに、すぐに卓球場のほうまで行ってしまった。山田は、そうゆうやつなのだ。  私もBグループのやつを一人誘って、そのまま卓球上で練習をしに行った。しばらくして、我和佐が私のほうにやってきて、私に禄話が泣いていることを報告してきた。私が殴ったことを伝えて、我和佐は私に、禄話に謝ったほうがいいと勧める。このまま、禄話が泣いたままで、それが先生に見つかって、面倒なことになることは避けたかったので、私は我和佐の提案に従うことにした。  確かに、禄話は泣いていた。でも、壁の隅っこで、こちらを背にして泣いていたので、ぱっと見ただけでは禄話が泣いているとはわからなかった。禄話の近くには中尾がいた。中尾は禄話と何かを話していて、そのあとこちらを向いて、「完全に下環のほうが悪いでしょ…」と呟いた。禄話は一体どんな言い分をしたのか、私は余計に腹が立ってきた。私は泣き続けたままの禄話の、横に立って、さまざまなことを話した。「骨、筋肉、あご、頬、顔、口、歯、鼻、目、骨折、打撲、切り傷、擦り傷…」しばらくしたら、禄話は泣き止んできて、私は「はい、じゃあ卓球しよう」と言って、禄話とともに卓球場へ向かって、一緒に卓球をした。  禄話は、私が禄話に対して言ったことを、誰かに言いふらさなくなった。そして、無事、仲直りしていった。

 休日。私は母と一緒に車で買い物に出かけていた。そして帰り道、おばあちゃんから電話がかかってきた。話を聞いていると、どうやら母は、おじいちゃんの愚痴を聞かされているらしい。  ばあちゃんは、スーパーで買い物をしてきようと、一番安いけどちょっと遠いところに行こうとしたら、じいちゃんが「一番近いほうでいいじゃないか」と言ってきたらしい。その話を聞いて、母は、  「男は1円でも安いほうにってのがわからないのよねぇ~」と、話していた。

 ある日。卓球の大会で、大きな会場に来ていた。  会場の席に、帽子が落ちているのを見つけた。「あれ、誰の帽子だろう?」私は指をさした。「ねえ、あれみてあれ」」私が指をさしたのは、髪の毛が無い男の人だった。「あの人のじゃない?ハゲてる」「あっはははは」

 姉が、公務員試験に合格したらしい。すごく喜んでいた。母も、私に公務員試験に合格することがすごいことだと教えてくれた。

 ある日、姉が、ものすごく不機嫌な様子で帰宅してきた。母の話によると、今日は姉の高校の卒業式で、その卒業式に父が来て、そして、父がその顔のタトゥーで注目を集めてしまったらしい。  ちょっとだけ、姉に同情した。

 よく、休み時間、隣のクラスの岩下が、同じくクラスメイトにからかわれているのを、見ていた。  岩下は、あまりクラスに馴染めていないようだった。

 小学校では特別支援学級で授業を受けていた浦上は、特にクラスで浮いたりいじめられたりすることもなく、クラスになじんでいた。それは、担任の琉心雄先生の手腕のおかげでもあるだろう。みんなで笑いあって、楽しかった。けれど。  修了式の、前日。浦上と、クラスの女子、飯塚が、大喧嘩をした。浦上の体が吹き飛んだらしい。前から、この二人の喧嘩は多かった。でもそれは、小さなものばかりで、そのくらいの喧嘩なんて、すぐに解決して仲直りできるものだった。  次の、英語の授業。もうすぐ修了式があって、このクラスで最後の、英語の授業だった。英語担当にして、このクラスの担任の琉心雄先生は、授業の後半の時間に、皆を厳しくしかった。このクラスが、こんな最後でいいのかと。「駄目だろ!」だから、せめて最後の授業に予定していたレクリエーションを楽しんで、きれいに締めようと。  結局、最後はクラスのみんなでレクリエーションを無理やり楽しんで、ハッピーエンドみたいにした。

 二年に進級した。新しいクラスでは、友達が我和佐ぐらいしかいなかった。担任の先生は数学の授業を受け持っていて、まだ若い、女性の先生の、富山先生だった。 また、浦上とは同じクラスになった。

 まず、このクラスでの最初の活動が、自己紹介だった。ほとんどの生徒が、小学生時代から同じ学年なのに、なぜ今更自己紹介なんてそんな恥ずかしいことをしなければならないのかと、中学に入ってからずっと思っていた。多分、みんな同じことを思っていたと思う。  私は、自分の番がくるのを緊張して、そして、頭の中で、自己紹介、どんなことを言おうか、必死に考えていた。  自己紹介は、私の番が来るまでは、何事もなく終わるものだと思っていた。でも、なんか、空気が異質だった。  浦上が、自己紹介を始める。と、不自然に教室がシーンとなる。そして、浦上が自己紹介を終えた後、何か、空気がおかしかった。一人の自己紹介が終わったら、それを拍手するのが決まりというか、ルールだった。でも、浦上の自己紹介の後に、みんな、ほとんどの人が、拍手をするふりというか、そう、みんな、拍手をすることをためらっているのだ。(どうして?なにか暗黙のルールがあるのか?どうして急に?去年までは何にもなかったのに)中には顔を見合わせて苦笑いのような表情をしている人もいた。私はみんなの作った、「浦上の自己紹介に拍手を送らない」という普通と、「誰かが自己紹介をした後は拍手をしましょう」という普通の中間をとるように、その、乾いた拍手を送り続けた。  私はこの空気の中での自己紹介に、かなり緊張した。でも、難なく、普通に終わった。(俺の自己紹介なんて、誰も興味がないんだ)と、自分に言い聞かせて、心を落ち着かせる。

 このクラスが結成されて数日たってみて、わかったことは、クラスのある特定の人たちが、浦上を避けていることだ。たとえば、浦上の近くの席の人。浦上の机から、離れて座っている人たち。  そして、残りの、私のような、空気を構成しない、ただ、空気に流されるだけの人たちは、その空気に従って、同じく浦上のことを、避けていた。でも、一応、浦上は休み時間は一人で過ごしているわけではなく、同じ剣道部の仲間とか、ちゃんと友達はいるようだった。

 この学校には、月に一回、いじめ調査アンケートというものが配られる。あなたがいじめられていないか、そして、誰かがいじめられているところを見たことはないか、記入しなければならない。  私は、あの、浦上を避ける、このクラスの空気が、いじめと呼んでいいものかわからなかった。  だから、私はいじめ調査アンケートに、いじめはありませんと、記入した。

 私は、自分に後輩ができるのが楽しみだった。卓球の実力も上達して、右も左もわからない新入生たちに、卓球の技術を教えることができる。嫌な先輩たちもあとちょっとで卓球部から卒業する。私は新しい環境に、期待していた。  卓球部に、新入生が入ってきた。人数は11人くらいだったような気がする。  その新入生の中には、卓球経験者が二人いた。そのうちの一人に、連妃という男がいた。  連妃は、入部してそうそう、卓球部の二年や三年を卓球で圧倒した。その実力に、みんなが注目した。「今年の一年はすごいのが来た」と。  ある日、私と、同じ卓球部二年Bグループの佐藤が、ペアを組んで、連妃と、もう一人の卓球経験者の新入生、和泉のペアと、ダブルスという二対二の形式で試合をすることになった。  私たちは連妃たちに序盤、まったく手も足もでなかった。試合の中盤、連妃は私たちに、ボールを高く上げた、スマッシュを返しやすい、チャンスボールを私たちに出してきた。私はそのチャンスボールをスマッシュで返した。連妃たちは、顔を見合わせて笑っていた。相方の佐藤は「あいつら、絶対俺らのことなめてるよね」そう言った。私は連妃たちの、その態度に腹が立った。だから、私は…。  連妃は、また私たちにチャンスボールを出してきた。私は、そのチャンスボールを、さらにチャンスボールで返した。相手の挑発を、挑発で返した。  そのチャンスボールに、連妃はスマッシュで返した。そして、試合はこちらの負けでゲームセット。私はぞんざいに「ありがとうございました」と試合後の挨拶をした。その時に連妃の顔を見た。あいつの顔は、うっすらと笑っていた。

 それから、連妃と泉は私たちの卓球台を使った練習に参加することになった。  連妃たちが使う台は、私たちBグループが使う台の真後ろにあった。  連妃は、私の背中に、何度も、何度も、ボールをぶつけてきた。そして笑い声が聞こえてくる。  そんな状況が、毎日続いた。  この文章を書いている今、ちょっと気分が悪い。だから、あまりうまく書けない。多分、これから書く文章も、うまく書けない。だから、ご了承ください。

 休憩時間、禄話と練習をしていた。隣の台では連妃と泉が、なにかを話していた。連妃はこちらに向かってスマッシュするふりをして、泉はそれにうなずく。  そして、泉が高く、緩やかなチャンスボールをだして、それを、連妃は、私に向かってスマッシュを打ってきた。  …その球は、私に当たらなかった。私はびくびくと震えながら、連妃に向かって笑いながら拍手をした。連妃は私のその姿を泉と一緒に笑った。

 「浦上って、気持ち悪いよね」そんな陰口を、聞いた。  浦上への、いじめが起こるようになった。  浦上が触るものを、汚いものとして扱って、浦上が触ったものを、浦上がいる前でゴミ箱に捨てて、それを笑いあったり、そんなことが、何度もあった。その様子を、私は横目で見ていた。  それでも、当時の私は、それがいじめかどうか、わからなかった。

 また、一か月たって、いじめ調査アンケートが配られた。  私は、先生に浦上へのいじめを告発するのを、躊躇した。なぜなら、告発したことがみんなにばれてしまったら、そう思うと、怖くなったからだ。だから、いじめはないですと、書いた。

 月に一回くらい、日直の仕事が回ってくる。その日直の仕事には、帰りの会に、何か好きなテーマを選んでスピーチをしなければならないというものがあった。そのスピーチが、怖かった。日直の前日は、どんなスピーチをすればいいか、友達にいっぱい相談した。日直当日は、学校に行くのが嫌だった。頭が帰りの会のスピーチのことでいっぱいで授業どころじゃなかった。体が本当にびくびくした。辛かった。  私は、その日、自分の家族のことについてスピーチした。母は優しい。父は少し怖い。そして、顔の入れ墨が、恥ずかしい。兄とは仲がいい。姉はすごい。  その日のスピーチは、成功できたと思う。みんなの反応も良かった。だからその日は、なんとか、やりきった。

 小林先輩と試合をすることになった。私は、その試合で、まったく本気を出さなかった。適当に打って、適当に終わらせた。  試合が終わって、「ありがとうございましたー」と適当にあいさつをした。小林先輩は何も言わず、中尾のもとに行って、「本気を出していない」と愚痴を言っていた。私は、それに結構傷ついた。

 卓球部。夏休み最後の大会が終わって、とうとう三年生は卓球部から引退だ。  やっと、あの小林先輩と丸々先輩がいなくなるんだと、すごく、安堵した。

 ある日、母が、最近姉が仕事の上司に嫌なことを言われ続けて、現在職場に欠勤気味になっていることを私に話してくれた。確かに、当時は姉の様子が少し元気がなさそうだった。病院にも行くようになった。  少し、気の毒に思った。

 六月に、母がタブレットを買った。私は、よくそれを借りて、インターネットを見て楽しんでいた。  インターネットで閲覧していたサイトに、こんなことが書いてあった。「あるある!許さないって決めたのに、明日になったらもう忘れて一緒に遊んじゃう!あるある!」確かに、その通りだと思った。  卓球部。練習中。練習相手の我和佐は、友達と関係ないことを話していて相手にならない。私は、そのことに、イライラした。…自分だって、よく練習中に友達と関係ないことを話しているのに。  そして、この言葉が頭の中に浮かび上がった。  (許さない…)  私は我和佐をにらんだ。そして、私は他のテーブルに移って練習を再開した。  私は我和佐を避けることにした。だって、許さないって決めたから。だから、我和佐に話しかけられても無視して、我和佐との練習を拒否した。  そうした中で、さすがにみんなも、私が我和佐を一方的に憎んでいることに気づいて、何とか仲直りさせようと声をかけるが、私はそれが鬱陶しかった。  我和佐は人気者だ。だからいつでも周りに人がいる。我和佐は誰とでも仲がいい。だから、我和佐の周りには大きな輪ができる。  だから、我和佐を避けるということは、一人になるということだった。  それでも私は我和佐を許さなかった。  だって、「絶対に許さない」って、決めたから。

 また、いじめ調査アンケートが来た。私は、我和佐を無視したり、避けていることを、我和佐にこのアンケートに書かれないか、心配だった。  数日たっても、特に先生が私を呼び出して、お話をしたりとかはなかったから、多分、書かれなかったのだと思う。

 連妃からのボールぶつけは、続く。私は、それに怯える日々だった。  三年生が引退して、卓球台に余裕ができた。だから、連妃、泉以外の他の一年も卓球台を使った練習をするようになった。  ちびと、屑と、ゴミが、連妃と泉の台に入った。  そいつらも、私にボールを当ててくるようになった。

 (学校行くの嫌だなぁ)

 卓球部で、他行へ自転車で遠征に言って、帰っている場面だった。  禄話と別れて、私が、のんびり自転車で帰ろうとしているときに、一年のやつらが、私のことを「遅い」と、笑って、私の周りを囲んできた。私は自転車を勢いよく漕いで、少し進んだところで「死ねっ!」と叫んだ。

 私が、卓球台で練習をしているとき、連妃が、私の足元に、ボールをばらまいて、それを、一年は、みんなで、笑ってた。

 その日の私は、イライラしていた。私の我和佐を避ける態度を見て、周りが「いい加減にしろよ」とか、「さっさと仲直りしちまえよ」だとかうるさくなってきて、「なんでそんなに嫌いなの」って聞かれても、「許さないって決めたのに、明日にはすぐ忘れて許してるよねってインターネットに書いているのを見たから」なんて説明できなくて、私の態度にみんなイライラしていることが伝わってきて、でも我和佐を許してしまったら、許さないと決めた自分を裏切ってしまうことになって、そして、もう、そんな毎日を、全部我和佐のせいにしていた。  そして私は、そのストレスを、我和佐のピンポン玉と卓球ラケットを踏んで解消した。  ピンポン玉は潰れた。その後、誰が我和佐のボールを潰したのかという話になったかが、結局うやむやに終わった。

 卓球部。その日も私は我和佐を避けていた。空いてる卓球台もなく、入れそうなグループもない。そして居場所がなくなったので、ラケットの手入れを装って練習を抜け出していた。 でもそれも長くは続かない。だから、先生に不審に思われる。なので、卓球台の近くに寄って、みんなの練習を見学していた。それでも、私が一人だということが先生にはばれて、呼び出された。なんで一緒に練習をしないのかと聞かれた。私は答えることができなかった。

 ある日、我和佐が卓球部の練習の休憩中、私以外の同じ二年生に、こんなことを話していた。  「連妃がボールぶつけてくる…」  我和佐にも連妃の被害が及んでいることを、知って、私は、これがチャンスだと思った。我和佐が、連妃のことを先生に言って、連妃が怒られてくれればいいなと、思った。

 私は、連妃の顔をじっと見つめた。連妃はそれに気づき、こちらの顔を見てくる。  私は、笑った。連妃に、笑って、抵抗した。

 卓球部。ある日、連妃にスマッシュボールをぶつけるチャンスが訪れたので、私は、連妃の背中に、思いっきり、ボールをぶつけた。  またある日、みんなの目を盗んで、私は、丸々に近づいて、頭に、ボールをぶつけてやった。  気分なんて晴れなかった。むしろ、報復されるかもしれないと、怖くなった。

 一年の、私に対するボールぶつけは、続いて、終わらない。  連妃たちに、ボールをぶつけ返してしまったことで、余計に、先生に相談できなくなってしまった。

 我和佐は、連妃に対して、よく話しかけるようになった。連妃は最初、嫌がっていたが、どんどん、二人の距離は近づいていった。連妃と我和佐は、どんどん和解していった。

 浦上へのいじめは続く。  浦上の鼻息が荒いと笑いあう女子たち。私は、息をひそめた。  浦上が近づくと、咳をする。  浦上が触った食器を、汚いものとして扱って、配膳を断ったり、誰かに押し付けたりする。浦上本人に聞こえるぐらい大きな声で反応する。  浦上には、給食を少ない量で配る。食器に給食を、どのくらい少なく盛るかで、盛り上がる。  給食の時、浦上の机から自分たちの机を離して配置する。  浦上が、テスト中に、カンニングしてたとかで、盛り上がる。浦上を陰で罵倒する。  授業で何人組かになることがあった。「浦上を一人にしようぜ」そんなひそひそ話が聞こえる。私は、浦上と一緒のグループにならないように立ち回った。そうして、浦上は一人になった。

 林というクラスメイトがいた。その子は、いつも学校に遅刻して来る。学校に来ない日も頻繁にある。だから、クラスで、少し浮いていた。  浦上と林は、二人まとめて、陰で臭いと笑われていた。  ある日、私は林に話しかけてみた。だけど、林は、私が話しかけてもあまり反応してくれなかった。

 ある日、先生に呼び出された。どうやら、教室の後ろの壁に飾る「二学期の目標」みたいなことを書くカードで、私はそれに順番を間違えて書いてしまったらしい。でも、特に気にしていなかったので、そのまま掲示することにした。  またある日。休み時間中、私は席に座ってぼーっとしていた。私は視線を感じたのか、後ろを振り返った。林と、クラスの女子が、何かを話していた。教室の後ろに掲示されている、それぞれ二学期の目標を書いたカードの前で。私のほうを向いて何かを話す林。私は、それが、私の陰口を言われているように感じた。  (せっかく話しかけてやったのに)そう思った。

 私はこの学園生活の中で、ひたすら、目立つことを恐れた。「影が薄い」そうからかわれることさえ恐れた。注目を浴びるのを恐れた。  誰かの陰口を聞くたび、その対象が自分になることを恐れた。

 理科の授業は、先生の質問に対し手を挙げると、ポイントが入る。ポイントは、直接通知表へ影響する。だからみんな率先して手を挙げていた。私は、目立つのが怖くて手を挙げられなかった。  先生は普段手を挙げてない人の名前を挙げて、挙手を促す。でもそれでも私は手を挙げられない。そして、ほとんど私以外のすべての人が、一度は手を挙げた状態になった。  サービス問題として、誰でも解ける簡単な問題が私に対して出された。でも私は、手を挙げることができなかった。だって、みんなが私に注目してるから、そのせいで、うまく、腕が動かないのだ。なんで手を挙げないの?みたいな視線が、たまらなく辛かった。私は、ひたすら迷った。手を挙げて注目を浴びるか、手を挙げないで注目を浴びるか。  結局、行動する力がない私は、現状維持を選んだ。私は、最後まで手を挙げることができなかった。  理科の授業がある日は、いつも胸がどきどきして気持ちが悪くなった。理科の授業が終わった後の自由時間は、席から動かずじっと、教科書を周りの音が聞こえないくらい集中して読んでいた。でもそれはブラフで、本当はずっと、周りの声に集中していた。

 テストがあった。試験監督には、普段、あまり関わったことのない、すこし大人しいような印象の先生が来た。  テスト中、一人の生徒が机からペンを落とした。テスト中に落としたペンや消しゴムや答案用紙は、先生が拾うことになっているので、その子は手を上げて、先生にペンを拾わせる。  それが、合図のように、何度も何度も、ペンを、音を立てて落とす、クラスメイトたち。テスト中に生まれる、連帯感。誰かがペンを落とすたびに、誰かの小さな笑い声がささやかれる。  テストが終わって、先生は小声で何かを呟いて、すぐに教室を出ていった。その姿を、笑い合い、感想を交換する、クラスメイトたち。

 須下。須下は私のクラスメイトで、同じ卓球部に所属していて、彼はAグループに所属していた。私は、彼のことを恐れていた。須下は、浦上や山下をいじめているグループに所属していた。だから、今度は私が標的に定められないように、適切な距離を保とうとしていた。  卓球のラケットは意外と高い。一万、二万、五万、十万は普通にいく。だから卓球部はみな、自分のラケットを大切に扱う。  ある日、私は須下のラケットをふっとばしてしまった。  卓球部の練習中、ラケットを振って相手とボールを往復させる須下の近くを通って、自分の練習台へ向かおうとした。そしたら、その須下のラケットが、私の腹にぶつかった。瞬間、私は何があったか、理解できなかった。気づいたら、須下のラケットが部室の奥へ、移動していたのだ。私はすぐに何があったのかを理解して、須下に謝ろうとした。けれど須下はため息を吐いた後、私を無視してラケットを取りに行って、再び練習を再開した。私は、何をすればいいのか、何て言えばいいのかわからなかった。おどおどしながら、「ご、ごめん…」とだけ呟いて、私はその場を去った。  その日は、ずっと、須下のほうに耳を傾けていた。須下が、私の陰口を誰かに言っていないか、監視していた。気が、休まらなかった。

 この中学校の行事に、年に一回、全校生徒が参加する、合唱コンクールというものがある。クラスごとに合唱を発表し、学年内でどこのクラスが一番になるかを競い合う行事。  合唱リーダーという役割がある。クラスの中で男女一人ずつ選ばれるこの役割は、文字通り、合唱コンクールに向けて、クラスの合唱をまとめる、重要な役割だ。  その合唱リーダーを決める時間が授業で設けられた。男子の合唱リーダーをまず、決めることになった。合唱リーダーの決め方は、まずは立候補。そして、誰も手が挙がらなかったら、みんなで話し合って決めることになる。  「誰か合唱リーダーに立候補する人はいませんか」そう問いかけられる。けれど、誰も手を挙げない。ざわざわと教室が騒がしくなる。そのまま、話し合いに進むかと思いきや、一人、ひそひそと手を挙げる者がいた。  「は、はい」手を挙げたのは、浦上だった。  教室のざわつきが一層強くなる。笑い声も聞こえる。「はい、じゃあほかに立候補する人…」ほかの誰も、手を挙げることはなかった。  「はい、じゃあ、合唱リーダーは浦上くんに決まりました、拍手!」パチパチパチ…と、乾いた拍手が、浦上に送られる。

 先生がいない間、合唱リーダーは前に立って、皆に指導をする。「では、この部分をやってみましょう!…はい、せーの!…」  でも、誰も歌い始めない。誰も、合唱リーダーの指示に従わない。居心地の悪い、なんとも言えないような空気が流れる。  結局、一度も合唱を行うことなく、練習の時間を終えることになった。 またある日。「ここを、こうしたらいいと思います!」  でも、「どうやればいいんですかぁ?」「やってみてくださいよ」そんな声が広がる。そうして、浦上は一人で歌うことになる。その歌声を、顔を見合わせながら笑う人たち。  浦上は一生懸命だった。でも、「そもそも、リーダーが駄目なんじゃない?」いよいよ、そんな声まで出るようになった。最悪の空気。私は、黙ってその空気に流されることしかできなかった。

 ある日。また、合唱の練習があって、みんなで決められた場所に立って、先生の指示に従って練習をしていた。  浦上の隣に立つのは、富地というクラスメイトだった。「お前、浦上みたい」「似てる似てる」そんなことを言われて、富地はからかわれていた。そんなからかいを富地は、  「ふざけんなよ。あんな障害者なんかと比べてんじゃねーよ」  富地は、浦上が隣に立っているにもかかわらず、そんなことを、浦上にも聞こえるような声の大きさで、呟いた。  「うっせーよっふざけんなクソゴリラ野郎がよぉぉ!!!」瞬間、浦上が怒鳴り、富地に殴りかかった。  私は、吹き出してしまった。「クソゴリラ野郎」という言葉に、笑ってしまった。その笑いを周りに隠すのに、必死だった。 そこからの喧嘩を、私は目撃していなかった。  喧嘩が起きたら、誰かが先生を呼ぶ。先生が来たら、やっと、喧嘩に仲裁が入り、お互いに落ち着くことができる。  喧嘩している二人を引き離す。そしたら、富地が、呟いた。  「これだから障害者はな」  再び激昂する浦上。だが、今度はお互いに押さえつけられてるので、殴り合いの喧嘩は起こらない。  落ち着いて、先生に廊下に連れ出される二人。教室に残された私たち。一瞬の沈黙の後、「さっきのやばかったよね(笑)」そんな話し声が、いくつも並列して聞こえるようになる。  結局、二人が先生とどんなことを話したのかはわからないし、その後の二人がどんな関係になったのかもわからない。この事件は、クラスだけにとどまらず、学年の他クラスにも広まった。  私はこの事件を機に、浦上へのひどい当たりようが少しでも改善されるかもしれないと、期待していた。でも、実際は、悪化しただけだった。余計に、クラスの、学年の、浦上に対しての距離は、遠くなってしまった。

 いまだに、いじめ調査アンケートには、浦上のことが書けずにいた。だって、いじめかどうか、わからなかったから。

 ある日、学年の先生が学年集会でこんなことを話した。  「いじめを見て見ぬふりもいじめですよ」  でも、じゃあ、どうすればいいんだ。  私は、きっかけになるのが怖かった。自分がきっかけで誰かにいじめが起こるのも、自分がきっかけで誰かのいじめが止むのも、怖かった。

 ある日。掃除の時間。私は、教室掃除の黒板担当。私は、黒板の掃除を終えて、机運びの手伝いをしていた。この学校には、決まりというか、暗黙のルールがあって、それは、「机運びは一人一列を担当して運ぶ」というもの。私は、まだ誰も担当していない、残された一列を運ぶことにした。机を四つ運んで、残りはあと一つ。そのあと一つを運ぼうとした直前、私は黒板の溝の掃除をしていなかったことを思い出した。もともと机運びは私の担当ではなかったし、私はその黒板掃除のやり残しを掃除しに向かった。  残された一つの机は、本来の机運び当番の藤平が運んだ。  私は、掃除をマメにやっていると、いつも先生たちから褒められる。私は、掃除を真面目にやっていた。だけど。  黒板の溝を掃除している時に…須下の話し声が、私の耳に入ってきた。  「下環、あいつさ、浦上の机の直前で止まって藤平に運ばせやがったぜ」  (え?)知らなかった。意識していなかった。あの残された机の列に、浦上の机があったことを。残した一つの机が、浦上の机だったことを。  私は、硬直した。(どうしよう…)(どうしよう)心が嫌な感じになった。  私は、固まったまま、彼らの話し声に耳を傾けていた。「へぇ、あいつもするんだね。差別」あいつは差別をするやつだ。そんなレッテルを、貼られてしまう。心が、重くなって、動けない。  私は焦った。そして、どうすれば誤解を解けるのかを考える。(会話に乱入する?)駄目だ。余計に話を広めさせてしまう。駄目だ。どうしよう。頭が回らない。  もう、掃除どころじゃなかった。胸の嫌なドキドキが、思考を乱す。会話に耳を傾けることに集中しすぎて、手も足も首も、動かない。  先生が来て、掃除をさぼって話をしていた須下たちはそれぞれ掃除担当場所へ向かう。やっと、彼らの会話が終わった。それでも、心は、落ち着かなかった。  誤解を受けてから学校が終わって帰って夕食を食べてお風呂に入って眠るまで、私の心の嫌な気持ちは一度も離れていかなかった。ずっと、考えていた。どうやって、誤解を解くか。どうすれば、誤解を広められないか。須下を呼び出して誤解だということを一から説明しようと考えた。とりあえずはそうすることに決めて、早く心を休ませたかった。  明日が来るのが怖かった。明日、私は、クラスメイトから、学年のみんなから、どんなふうに見られるのだろうか、どんなことを思われるのだろうか。想像すると、絶望して、胸がドキドキして、そのドキドキを抑えようと必死になって、動けなくなる。眠ることが怖かった。明日が訪れることが、最悪だった。つらかった。  眠れない。いつからか、夜、眠りにつきにくくなっていた。寝たいのに、眠れないのことに、悶々とする。いつかは眠れるけれど、それが今じゃないことが、すごく悔しい。また、雑念で頭がいっぱいになる。そして私を、苛むのだ。…いつかは、眠れる。けれど、そのいつかを待つことが、つらかった。  翌日。朝、早く目覚めて、時間の余裕を確認して、再び布団に入って目を閉じて、学校嫌だなという気持ちをなだめる。…時間が経つことの、なんと残酷なことか。じりじりと迫る登校時間は、私の心を圧搾していった。朝食を、ぼちぼちと食べる。母のタブレットを借りて、エロ画像を見て自慰をする。再び布団に入る。時間が経つ。登校準備をする。玄関に向かう。靴を履いて、扉を開く。これが、絶望のルーティーン。  学校に向かうことが、校門に入ることが、自転車の駐車場に向かうことが、玄関で上履きに履き替えることが、廊下を歩くことが、教室に入ることが、どれも、高い壁で、疲れて、息が切れて、頭が真っ白になって、私の正常を奪ってしまう。  教室に入る。自分に向けられる視線を、意識する。…特に視線は、感じなかった。まずは、一安心した。須下はまだ教室に来ていないようだった。私は、席に座り、最低限の準備をして、須下が来るのを待った。待つ間は、ひたすら誤解を解くための計画を反芻して確かめていた。  須下が教室に現れた瞬間、焦った焦った焦った。まずは話しかけることだ急げ動け早くしろ…体が動かない嫌だ話しかけたくない怖い動きたくない。  じっと、席から動けなかった。何度も、話しかけようとしたけれど、私は臆病で、立ち上がれなかった。  何度も、チャンスを見ては話しかけようとした。けれど、無理だった。私は、臆病で、怠慢だから。  掃除の時間。誤解を払拭するチャンスが来た。私は自分の担当している掃除分担を早く終わらせて、教室が机運びの時間になったら、率先して浦上のいる列の机を手に取った。  …須下のほうを見る。須下は、自分が本来の机運び当番なのにもかかわらず、こうして私がボランティアで机を運んでいるにもかかわらず、掃除をさぼって、どこかに行ってしまった。浦上の机を触り、両手で掴んで、運ぶ。…誰も、見てくれていない。誰も、誤解だったと認めてくれない。  私は須下を憎んだ。すべての元凶、お前さえいなければと、思った。  それでも数日経って、チャンスが来た。そして、私は須下の前で浦上の机を運ぶことができた。私は須下の方向に聴覚を集中させて、「下環、浦上の机運んでた」と誰かに話すのを待った。でも、一向に話す気配がない。憎い。須下が、ひたすら憎かった。  数日経って、特に、特別な視線を感じたり、私が噂されているところを聞いたりすることはなかった。いつもと、変わらない、日常。おかしくなったのは、私だけ。

 (学校行きたくないなぁ)毎晩、そんなことを思って寝る。毎朝、そんなことを思って起きる。心が、すり減っていく日々。  私たちの学年は、不登校の生徒が多い。5人ほど、いた。彼らの欠席する理由は、知らない。誰かに聞くのも、本人たちに失礼かと思って、誰にも聞いたことがなかった。  ある日。教室で、誰かがの話し声を聞いた。いや、聞こえてしまった。  「学校来ないのずるいよね」

 私は、誰かに相談できなかった。  家族には、相談できない。心配されるのが、嫌だった。  先生には、相談できない。対応が不安だった。話を大きくされるのが、嫌だった。  友達には、相談できない。自分と友達との間にある空気を、崩したくなかった。  そもそも、なんて説明すればいいのか、わからなかった。陰湿な攻撃を、証拠もなく、偶然の可能性を残して、誰かに説明することが、どれほど難しいことか。  私には、苦しいこと、つらいことを、誰かに告白することが、みじめで、恥ずかしいのだ。

 ある日、卓球部の活動で、大きな体育館に他校の人たちと集まって、練習会を開くことになった。  一通りリーグ戦を終えて、自由時間となった。あちらこちらで、選手が「試合しましょう」と話しかけあっている。私は誰かに話しかけるのが苦手だから、誰かが話しかけてくるのを待った。  「いいですか?」やっと、話しかけられて、試合が始まった。  試合は、こちらの劣勢。けれど、試合なんかどうでもいい。  須下と連妃が、こちらの方を向いて、何かを話しているのだ。それは、考えうる限り、最悪のコンビだった。  彼らが何を話しているのか、そのことに、意識が向いて、集中できなくて、恥ずかしくて、私は、試合どころではなかった。ミスを連発して、試合を早く終わらせて、私はすぐに退散した。泣きそうだった。

 またある日、卓球部の二年は電車で大会に向かうことになった。  大会が終わって、また電車に乗って帰ることになる。電車の中には、一応部活員全員が座ることのできるスペースが残っていて、そこでみんな集まって座ることになった。  電車の、奥のほうに、何やら騒いでいる男性がいた。誰彼構わず話しかけたり、電車の揺れを実況したりして、騒いでいた。  私は、額を膝につけて、顔を伏せた。そして、ひっ、ひっ、ひっ。と、しゃっくりをするみたいに体を小刻みに震わせた。  私は、電車の中で騒ぐ彼を見て、笑っているかのように、演技をした。  どうしてそんな演技をしたのか。おそらく、それは周りに見せつけるためのものだと思う。なんのために?わからない。思い出せない。  空気に耐えきれなかったのだ。あの、空気に。  でも、やっぱり、わからない。どうして、私は、笑うふりをしたのか。それとも、笑うふりではなく、もう、笑っていたのかもしれない。(あの人、おかしいよね)そんな空気を感じて、それに乗っかっただけなのかもしれない。でも、やっぱり、真実は、わからない。

 教室で、一人、うつむいて、笑う。心が、追い詰められたときには、笑ってしまう。

 「おい下環!」後ろから伊子のそんな声がして、私の腰に、伊子が、抱きつく。笑顔になってしまって、隠すのが大変。ずっと、このままでいたい。通りすがりの女子が、「え、二人とも付き合ってんの」と聞いてきて、伊子はあやふやに「いや、付き合っては…」と呟く。ちょっと、ショックだった。  私は、伊子のことが好きだった。だが、伊子は、私のことをどう思っていたのだろう。

 給食の時間。私は、席の近くに話す人がいないから、いつも黙り込んで給食を食べている。給食は班になって食べる。机を合わせて、食べる。  須下と私は、同じ班だった。だから、彼と私は近い場所で給食を食べていた。だから須下の話し声が聞こえる。「この学年で一番ブスなの誰だと思う?…だよな!伊子とか!あはっははは」

 私はよく、人がどんなことを話しているかを聞いている。だから、伊子のうわさ話も、よく耳にする。「○○って、伊子と付き合ってるらしいよ~」「え、マジ!?もうヤッたのかな!?」とか、そんなうわさを。 その付き合っているとうわさされているやつと、伊子が一緒にいるときは、いつもは見つかるだけでちょっかいをかけてくる伊子が、あまり話しかけてこなくなるように感じた。  少しだけ、伊子と、距離ができてしまったように、感じた。

 私が小学三年生の時に、姉に没収されたゲーム機を、覚えているだろうか。そのゲーム機を、今頃になって、返してもらうことに成功したのだ。  母によると、姉は「返してほしい」と私が直接言ってきたら、ゲーム機を返してやるつもりだったらしい。それを聞いて、私はゲーム機を返してもらうため、姉の部屋に押しかけようとした。  一時間くらい、躊躇した。姉に、ゲーム機を返してということは、私にとって、とても緊張して、怖くて、勇気がいることだったのだ。でも、思い切って、覚悟を決めて、姉の部屋にノックをして、入室した。  …意外とあっさり返してもらうことができた。拍子抜けだった。

 数年ぶりのゲーム機に、私は夢中になった。新しいゲームを買って、熱中した。  母のタブレットを借りて、動画を見たり、面白いことを調べたりした。  レンタルビデオ店で気になるアニメを借りて、感動して、そのアニメのファンになった。  家にいる時間を、思いっきり楽しむ。楽しむことが許された時間。存分に楽しまなきゃ、損だ。

 学校にいる時間は、一人で、ひたすら好きなことを考えていた。アニメの考察をしたり、昨日見た面白い動画のことを思い出したり、くだらない妄想をしたり、そして、猫のことを思ったり。

 猫が好きだ。幼い頃から大好きだ。飼ってないけど、大好き。猫はとってもかわいい。猫の動画に癒される。猫が好き。猫が大好き。猫のことだけを考えていたい。猫が、幸せであってほしい。  だから、そんな、猫が、ニュースで、虐待されていることを知ると、とても悲しくなる。なによりも、悲しい。どんなことよりも、悲しい。  猫に、幸せになって、もらいたかった。

 数日後、日直が回ってきて、私は教室の前に出てスピーチをしなければならなくなった。私がスピーチなんてしたら、どんなことを思われる?どんなことを言われる?どんなことをされる?そんなことで、頭がいっぱいになった。  現実から逃避するように、母のタブレットで面白い動画を見る。面白い動画。人が、笑いものにされている動画。  私は、お笑い芸人と、ただ、笑いものにされている人たちの区別が、つかなかった。

 スピーチの日は、じりじりと近づいてくる。近寄れば近寄るほど、心臓のバクバクが激しくなって、他のことが手につかなくなってしまう。スピーチのネタは、もう、尽きてしまった。もう、何をスピーチしたらいいか、わからない。私は、願う。何かの幸運があって、スピーチが中止になることを。車に轢かれて入院する。誰かが死んで学校が休みになる。隕石が落ちてきて学校が潰れる。強盗がクラスに侵入してスピーチどころではなくなる。…どれも、不謹慎な、神頼み。  「スピーチどうしよう!」卓球部の、禄話とか、仲のいいBグループの我和佐以外のみんなに、いつもスピーチのネタに困ったときに、相談する。でも、真剣に取り合ってくれない。だから結局、一人で悩むことになる。  (スピーチどうしよう…。何をスピーチしたらいいんだろう…)胸が圧迫されているような感じが、私の思考を鈍らせる。スピーチ、したくない。とにかく落ち着けと、気持ちを抑えようとする。でも、妄想してしまう。乾いた拍手、ヒソヒソ声、嘲るような視線、そして、自分がみんなから、どう思われるか。想像する。そんなの、耐えきれない。絶対に、嫌だ。だから私は、どうすれば、いいかを、考えた。そして、考えた末に、諦めた。  (もう、これでいいや)

 私は、インターネットで見つけた面白い人を、いや、笑いものにされている人を、紹介した。「これ、面白いですよ。ぜひ見てください」って。そう、私は、誰かが馬鹿にされているのを、一緒になって馬鹿にしようって、スピーチしたのだ。スピーチ中のヒソヒソ声。つらかったなぁ…。どう思われたんだろうな…。スピーチが終わった後の、乾いた拍手。先生必死にフォローしてたなぁ。「誰にでもストレスがたまるから、そのストレスを発散させることは大切」とか、先生はそんなこと言って、私をフォローした。  スピーチが終わって、私は不安と緊張から解放された。そのあとは、難なく日直の仕事を終えて、すぐに下校した。  スピーチを終えて、そこからいつも通りの日々が始まる。私はもともとクラスでは空気だったから、とくに、スピーチをする前とした後で変化したことはなかった。休み時間は、寝ることが増えた。寝たふりだけど。クラスの話し声や小さなささやきを、猫のことを思ったり、アニメのことを考えたりすることで、聞こえないようにしていた。

 いつからだっただろう。私は、こう思うようになっていた。  (死にたい)

 それでも、また、次のスピーチがやってくる。今年度最後のスピーチ。また。まただ。もう、次は、どうすればいいのか、わからなかった。  ある日。体育の授業。この授業では、他クラスとの合同で授業が行われた。競技はそれぞれが選択することができた。でも、どれもこれも複数人になって行う競技ばかりで、私は一緒に練習ができる人を探していた。  他クラスに、禄話がいた。禄話を誘ってみようと思った。禄話は、他の「誰か」を誘っているところだった。  その「誰か」とは、浦上だった。  みんなが、避けている、浦上を、関わったら、全て終わる、そう思っていた、浦上を、禄話は、そんなこと、一切無視して、まるでなにも知らない純粋のように浦上に声をかけていた。(すごい、禄話君、すごい)本当に素晴らしいと思った。すごいすごいすごい。驚きがあふれてくる。やばい。やばかった。  どうやら禄話と浦上は共にバトミントンをやることにしたようだった。私は、禄話に話しかけた。「やあ、禄話君。混ぜてくれないかな」

 次のスピーチをなににするか、決める。これなら、きっと大丈夫。

 そして、スピーチが訪れる。私は、禄話のことを話した。幼馴染で、いつも一緒に遊んでいて、友達が多くて、面白くて、誰とでも、隔てなく接することができる。そんな彼のことを、私はすごいって思っていると、スピーチした。  あの日、私が禄話に感じた感動を、みんなに、伝えたかった。  禄話が友達だと示すことが、生き残るための戦略だった。  反応は、結構よかったように感じた。前回みたいなことにならなくて、安心した。

 修了式が行われた。長く、苦しい一年だった。やっと、このクラスから解放される。春休みは、好きなことをして楽しんだ。新しいクラスでは、うまくやろうと、思っていた。

 この頃、私には蟻を虐める趣味があった。蟻を虐めることが、楽しかった。

 三年に進級した。禄話と一緒のクラスになれた。あのスピーチのおかげだ。  担任は一年のころ、担任だった琉心雄先生。  クラスには、私の苦手な須下もいた。小学生のころ、嫌いだった九蛇もいた。絶交中の我和佐もいた。そして、浦上もいた。 でも、禄話がいれば、それ以外どうでもよかった。禄話さえいれば。

 新しいクラス。新しい環境。私は、変化を期待していた。  何も変わらなかった。いじめは、ある。眼路委は、また、いつもみたいに、避けられる、蔑まれる。眼路委の自己紹介が終わった後の、あの空気だけで、もう察した。何も、変わってなどいない。むしろもっとひどくなったように感じる。より陰湿に、より、面白おかしく。眼路委の近くに座っている人はみな、眼路委から席を離す。そして、眼路委がなにかするたびに、顔を合わせて笑いあう。私はそれを、見てるだけ、聞いてるだけ。助けられない告発できない、気にかけるふりすらもできない。また、この空気の中で、生きていかなければならないのだ。一年は長い。ずっと、このまま。また、怯えなくてはならない。不安に耐えて、登校しなければならない。  でも、禄話がいる。禄話が、いるから、よかった。

 一年生は二年生になって、二年生は三年生になった。  卓球部には、新入生が来た。新入生の世話は、基本的に二年が行うことになっているので、三年はあまりかかわらない。二年の、いつも私にボールをぶつけたり私のほうを向いて笑ってくる人たちが新入生たちの監督に行ってくれて、私には好都合だった。  …どうせ、二年が新入生たちになにか私の悪口とか吹き込むんだろうなと、思った。後輩には、何も期待しない。

 スピーチは、やってくる。  (どうしよう…どうしよう、どうしよう)一人で、ひたすら頭を抱えていた。(…ここは無難に最近の趣味をテーマにして話そう。最近の趣味といえば…蟻を観察することを話そう)  こうして、スピーチ原稿は完成した。

 母と、会話をする。その会話の中で、さりげなく、伝える。  「学校、さぼりたいなぁ~。休みたいなぁ~」  でも、母は、「え~授業に置いてけぼりになっちゃうから駄目だよ~」と答えて、私の願いを断つ。

 (日直当日。私は、誰よりも早くにクラスに登校した。そして、誰もいない教室で、黒板に「スピーチが嫌。あと、眼路委と如何良香がいじめられている」と、大きく書いた。そのあとは、家から持ってきた丈夫で細い縄を教室の天井の丈夫そうな場所に括り付け、天井から垂れた縄で頭が入るくらいの大きさの輪っかを作る。そして、机に乗っかり、その輪っかに頭を通し、首を通して、そして、机から、落ちる。数分後、登校してきた誰かが私を見つける。その子は慌てて他のクラスにいる子たちを呼び出し、冷静な誰かは職員室へ向かい、臆病な誰かは目を背ける。先生たちが慌ててやってきて、私の死体を丁寧に輪っかから外した後、人口呼吸や心臓マッサージを試みる。でも、私は蘇らない。誰かは職員室に救急車を呼ぶように連絡をし、誰かは廊下を通行止めし、誰かは蘇生を試みる先生を応援する。…数分後、救急車が来る。担架に乗せられて、廊下に並ぶ生徒たちに私の無残な有様を見られながら、救急車に駆けていく。病院で、蘇生手術を受ける。けれど、生き返らない。死んだ。そして、ニュースになる。中学三年生が教室で自殺。黒板にはメッセージが。ニュースになる。学校が休みになる。眼路委と如何良香へのいじめが終わる)  そんな妄想をした。

 (他人からどう思われようとも、禄話くんのことだけを考えてれば、大丈夫だ)  (嫌われたい…誰にも話しかけてほしくない…避けられたい…無視してほしい…もう、禄話くんさえいれば、大丈夫だから…)  そして、スピーチ当日。  私は、蟻を足で踏みつぶしたり蟻の足をもいだり蟻の巣に水を流したり蟻を蜘蛛の巣に付けたりして遊ぶことを趣味にしているとスピーチした。何も考えず、ただ文字を読み上げた。スピーチが終わって、拍手はほとんど発生しなかった。何も考えずに、ただ、(終わった。終わった。終わった。終わった。終わった…)と頭の中で唱えていた。スピーチが終わって席に着いたら、先生が「かわいそうとかって…思わないの?」って聞いてきて、私は何も考えずに「はいっ」って答えた。日直の仕事である日誌を集中して書いた。日誌を書くことだけに集中した。先生が話を終えて、帰りの会の終了のあいさつ、「起立、礼」の号令をするとき、もう、全部諦めてぶっきらぼうに号令したら、一部の女子たちが「え、やばくない」と、ちょっと騒いだ。何も考えない。何も考えない。何も考えない。帰りの会が終わったら、みんなが帰ってクラスに人が少なくなるまで、ずっと、一人で、日誌を書いていた。  …  (もう、誰の目も気にしたくない)

 登校したくない。死にたい。気持ち悪い。動けない。でも、禄話くんがいるから。禄話くんがいるから、登校できる。生きていける。我慢できる。動ける。  禄話は、希望だった。

 禄話は、憧れだった。人の視線や場の空気を気にせず、立ち振る舞うことができる、禄話がすごいと思った。禄話みたいになりたいと思った。  スピーチをした、あの日から、私は変わった。誰かの視線も、思いも、全部知らない。禄話くんみたいになりたい。そう意識することで、私は変われたのだ。  廊下で、一直線上に向こうから人が歩いてきたとする。私は、いつも道を譲ってしまう。だけど、向こうも道を同じ方向に避けてしまうと、私と相手はぶつかってしまう。だから、お互い逆の方向に避けるか、または、どちらかがそのまま、道を譲らずに歩かなければならない。  私は、道を譲らないことを覚えた。  …でも、それでも、たまに、他人が自分のことをどう思っているか、考えてしまう時があって。でも、そんな時は、ただひたすら、(禄話君すごいなぁ)とか、好きなアニメの事とか、猫のこととか、無理やり考えて、考えて、耐えしのいだ。

 卓球部。その日もまた、私は我和佐を避けて、そして、どのグループにも入ることができず、だから、休憩しているふりをして、卓球をさぼっていた。そして、また、顧問の先生に呼び出された。  我和佐を避けていることを先生に伝えた。「どうして避けてるの?」という質問に、私はなんて答えればいいかわからなかった。「絶対に許さないって決めたから」なんて、説明できない。だから、「我和佐が練習中に関係ないことを話していたから」と、言った。自分だってよく練習中に関係ないこと話してるのに。先生はその理由に納得し、私を解放して、今度は我和佐を呼び出した。  「我和佐君に注意したから、仲直りすることはできる?」私はそれに頷いてしまう。あれだけ、許さないって決めたのに。私は、自分を裏切ってしまった。そのことが、悔しかった。  その日から、練習を一緒にしたり、どうでもいいことを話したりと、我和佐と徐々に和解して、元の、絶交前の仲にまで戻ることができたと思う。

 学校の休み時間は楽しかった。いろいろな人たちが集まって、人狼ゲームをしたりして、遊んで、盛り上がった。一緒に遊ぶ人の中には、射香出もいた。射香出は、意外にも、私に気さくに話しかけてくれた。ゲームを通じて、射香出とも、仲良くなることができた。  人狼ゲームでは、私が、市民陣営であろうと人狼陣営であろうと、まともなコミュニケーションをせず、嘘ばかりつくので、いつも狂人と呼ばれて、真っ先に疑われていた。でも、楽しかった。

 母のタブレットを使って、チャットアプリで一部の仲のいい友達と友達登録して、学校外でも話すことができるようになった。宿題を教えてもらったり、明日の集合時間を教えてもらったり、いろいろと便利だった。卓球部のグループチャットや、クラスでいつも私と遊んでいる人たちが集まったグループチャットに入れさせてもらったりした。

 ある日、我和佐と二人で益体のないことを話していた。そして、我和佐にあることを話した。  「卒業したら、この中学校のみんなとは縁を切る」我和佐は「え~さみしいぜ~!」と大げさな反応をした。  友達というのは、一緒にいると、楽しいけれど、いやな事もあったり、人間関係があったり、空気があったり、疲れる。

 禄話は、人気者だった。禄話のもとに、いつも、みんな寄ってくる。禄話は、誰とでも仲良くできた。須下や、九蛇、連妃とか、誰とでも、いつも仲良く話している。だけど、私にはそれが複雑だった。なぜなら、そいつらと話していると、禄話の素晴らしさに、何か悪影響があると思ったからだ。どうにかして、禄話から悪影響を遠ざけたい。そう思って、禄話に悪影響が近づけないようにする、壁を作ることにした。

 また、スピーチが訪れる。選んだテーマは「尊敬する人」。誰を尊敬しているかは、もちろん禄話。  スピーチ当日。私は、禄話の尊敬できるところを発表した。頭がいいところや、やさしいところ、誰とでも隔たりなく話すことができるところなど、禄話の魅力を思いつくだけ紹介した。  禄話のためのスピーチだった。禄話がこれからも人気者でいられるように。私が、禄話の近くで、ずっと、禄話を悪影響から守れるように。

 私が禄話と一緒に話していたり、遊んでいたりすると、私たちのほうを見ながら、「あの二人ってあれだよね」と、何やら盛り上がる女子たちがいる。小学生のころ、私をかわいいとからかってきた人たち。  「私と禄話が特別仲がいい」と思われることは好都合だった。なので、むしろ、見せつけるように、禄話と接するようになった。

 禄話が、話しかけても、反応してくれることが少なくなった。話しかけても、ずっと本を読んでいたり、本を読んでいなくても、相手にしてくれなかったり。  でも、いつも禄話の家で遊んでいるゲームの話になると、禄話は食いついてきてくれるので、いつもそのゲームの話をしていた。

 体育の授業でサッカーをやった。  相手チームが勢いよく蹴ったボールを、腹で受け止めてしまった。  一瞬の沈黙。そこから、「ナイスブロックっ!」って、笑いながら放たれた声が、聞こえた。  これが、私の、今の立場。

 同級生のみんなは、テストでいい点数、いい順位を取ろうと必死になって勉強している。友達から話を聞くと、みんな、受験を有利にするために、少しでも評価を高くするたに、頑張っているようだった。  私は、たかをくくっていた。というよりも、わからなかったのだ。普段のテストが、受験にどのような影響を与えるか。そもそも、なぜ受験しなければいけないのかさえ、わからなかった。  「一番最後のテストで、オール百点を出して、先生から、『ああ、この子は本気出せばすごいんだな』って評価を受ければいいんじゃね」って、禄話に話した。

 前にやった国語のテストが採点されて返却された。採点ミスだと思われるところが二箇所あった。「採点ミスがあったと思う人は前に出てきてください」国語の先生は授業でそう促す。  私は教室の前に出るのが苦手だ。先生と接するのも苦手。さらに、二箇所も採点ミスがあることを報告することが、先生に申し訳ないと思って、私は採点ミスを提出しなかった。「はい、じゃあもういいですか~。…はい、じゃあ、締め切りです」先生はそういって、受け付けを締め切る。  家に帰って、私が採点ミスを報告しなかったことを母に話した。  母は、そのことに過剰に反応した。「え、じゃあ、先生に見せないと!」と母は言う。だが私は「別に点数は気にしてないよ。だから大丈夫」と言い返す。が、母は、私が採点ミスを報告しなかったことを許さない。ついには、「あなたが言わないのなら、ママが学校に電話する!」そう、私を脅してまで、採点ミスを報告するように迫った。私は、たかがそれくらいのことで、学校に連絡されるのが、すごく嫌だった。だから、私は、ちゃんと自分で先生に報告するよう、母と約束した。  翌日。国語の授業があった。けれど私は、「どうして締め切りがすぎた後に報告するのか」とどうせなじられることが想定できたので、結局先生に採点ミスを報告しなかった。  家に帰って、母に「先生に報告したけど、締め切りがすぎた後だったから、駄目だった」と報告した。なにやらそれにもまだ不満そうだったけど、一応は納得してくれた。

 ある日、母のタブレットで、友達とオンラインゲームをして遊んでいたら、いきなり姉が勢いよくドアを開けて部屋に入ってきて、「そのタブレット私が使うってさっき言ったんだけど!」と私に怒鳴る。私は友達にゲームを続けられないことを告げて、すぐに姉にタブレットを差し出した。姉はタブレットをひったくるように取り上げて、ドアを勢いよく閉めて出て行った。

 ある日。私は上履きを学校に持ってくるのを忘れてしまった。その日は社会の授業があった。社会の李治威先生は、よく、上履きを忘れてきてしまった人を、みんなの前でおちょくる。私は、それが、嫌で、どうにかできないか考えた。  私は、不登校気味で、普段あまり学校に来ない、林の、下駄箱に置いてある上履きを取り出して、履くことにした。  その上履きのサイズは私には小さかった。履き続けると、足の指が、窮屈で痛くなる。けれど、それでも、私は部活の朝練を、我慢して、自然を装って、行った。  練習が終わった後、「上履き忘れちゃって、今林の上履き履いてるんだけど、どうしよう」と、我和佐に相談した。でも、相談したことは間違いだった。我和佐は、同じ卓球部三年Bグループの一人に、私が林の上履きを履いていることをばらした。二人は「その上履きをもとに戻したほうがいい」と説得するけど、でも、社会の李治威先生に、いじられるのが、すごく嫌だってことは、わかってくれない。  どうしてだろう。不登校気味で、めったに学校に来ない林が、その日は、学校に来たのだ。林は上履きを履いてない状態で教室に入ってきた。どうしようかと思った。今すぐ上履きを返して、李治威先生にいじられるのか、それともこのまま、我和佐や中尾にばらされるのを恐れながら、上履きを履き続けるのか、この選択に、追い詰められた。  そして、結局、私は、そのまま上履きを履き続けることにした。  結局、ばれなかった。ばらされなかった。ずっと、怖かった。

 卓球部。相変わらず、二年は私にボールをぶつけてくる。去年と変わったことは、二年に扇動されるがままに、一部の一年も、そのボールぶつけに加わるようにことだ。  悔しかった。練習、行きたくなかった。卓球部、やめたかった。

 妄想する。卓球部の部室に放火をしたら。  …そんなことしたら、犯行を隠し通せる自信がない。だから、できなかった。

 ある日。廊下を歩いていたら、如何良香と先生が、何かを話していた。…こう聞こえた。  「先生、連妃にいじめられた~」  (…どこまで腐ってるんだ?連妃ゆうと)

 妄想する。連妃の上履きに、「死ね」と落書きをしたら。  …もし、玄関に防犯カメラがあったら?普段は見つからないだけで、隠しカメラがあったら?犯行をするところを誰かに見られたら?あらゆるリスクを考慮した。だから、できなかった。

 卓球部。二年と混ざって練習をしなければならない時間があった。私は、いつもボールをぶつけてきて、いつもふざけていて、いつも掃除をまじめにやらない二年のことが嫌いだった。だから、その嫌悪の意思を、「二年と練習するときは、まじめにやらない」という形で表現した。  二年と練習をするときは、いつもサーブをミスする。レシーブを逸らす。ラリーをさせない。そんなふざけたプレイで、二年の相手をしていた。  ある日、私と一緒に卓球をプレイしていた二年が、休憩中、連妃と会話しているのを、私が聞いた。いや、多分、私に聞こえるように言っていたのだろう。  「あいつふざけてプレイしてる…」連妃は、私に聞こえるように、こう言った。  「クズじゃん」

 妄想する。連妃を殺す妄想。  殺害方法を、ひたすら、思いついては、反芻する。 「誰もいない校舎、背後からナイフで刺す」誰かに見つかったら?凶器はどうする?返り血は? 「階段から突き落とす」ダイイングメッセージに、関係のない人の名前を書くことで、疑いを逸らすトリック。 (そうだ、殺した現場に、須下の名前をダイイングメッセージとして書こう。連妃が殺されて、須下が疑われて、一石二鳥)  (でも、須下のことを恨んでいる人の犯行だって、ばれちゃう?)  (じゃあ、全く関係ない子の名前を書けば) もし殺し損ねたら?顔を見られたら?痕跡が残ったら? 「給食に毒を入れる」警察の尋問に、耐えられる?  殺害方法を思いつくのと同時に、その殺害方法のリスクも思いついてしまう。本気で殺そうと思うほど、躊躇して、殺せなくなってしまう。  憎い。連妃が、憎い。連妃がいなくなれば、一体どれほどの人が救われることか。連妃が、憎い。

 夏休みが始まった。三年の、最後の大会に向けての練習が始まる。  禄話と練習をしている時、連妃がボールを取りに私の近くに寄ってきた。その時、私は連妃に聞こえて禄話に聞こえない程度の声量でつぶやいた。  「顔やば」

 卓球部三年の、最後の大会が、幕を閉じた。そして、三年は、卓球部を引退する。とても、辛くて、長かった。「そうだ、もう部活ないんだ」その気づきで、心が穏やかになる。  やっと、終わったんだ。

 夏休み。部活も引退して、練習だらけだった夏休みに、やっと本当の休日が訪れる。  「明日、花火大会行かない?」近所で花火大会があった。どっちから誘ったのか、覚えていない。私と禄話は、二人で、それを見に、花火がよく見えるショッピングモールに行った。  「…飽きたね」花火って、ずっと見ていると、どんなに派手でも、飽きてしまう。花火は10分くらい見て、そのあと私と禄話は、持ってきたゲームで、一緒に遊んだ。  ゲームで結構遊んだ後は、そのまま帰ることにした。帰り道、手をつないで歩いている男女がいた。「あれはリア充!?」私がそうつぶやくと、「違うだろあれ夫婦だろ」と禄話がツッコミをいれる。私がボケて、禄話がツッコミをいれる。いつもの、そんなやりとりに、私は、思わず爆笑してしまう。私の爆笑につられて禄話もちょっと笑う。これも、いつものやりとり。

 夏休みの宿題は、夏休みが終わる前日まで、まったくやる気になれない。いや、やる気になれないというより、できないのだ。ペンが動かない。思考ができない。机に向き合えない。だから、できない。できないから、代わりにゲームをする。  夏休み最終日。私は解答集を開いてワークの空白を埋めていく。でも、その作業すらも苦痛で、私には、うまくできない。だから、効率は悪いだろうけど、面白い動画を母のタブレットで見ながら、徹夜をして、ペンを走らせた。  それでも、結局、すべての宿題を終わらせることは無理だった。だからせめて、怒ると怖い先生が出している宿題だけは終わらせて、比較的優しい先生が出している宿題は後回しにした。  徹夜をして、翌日を迎える。私は、数学の宿題を、終わらせることができなかった。けれど、数学の先生は、私が二年生の時の担任で、普段、優しくて、どんなゲームが好きか、給食の時に話したことがあって、だから、怒られることはないと、安心していた。  数学の授業。生徒は、夏休みの数学の宿題を提出しなければならない。けれど、私のクラスでは、かなりの人が宿題を提出できない状態だった。その日の先生は少しピリピリしていた。「宿題を提出できない人は並びなさい」と、かなりの人数が並ぶ。そして、先生は叫ぶ。一人ひとりに、大声で叱りつける。隣の教室にも響くくらいの大声で。私の番が来る。先生は、私に「いつもゲームばかりしてるから駄目なんでしょぉ!」と、叱った。  ただ、無心で、先生の叱咤を聞いていた。

 部活を引退して、じゃあ次は、受験に集中しよう。そんなムードがあった。  私は、いまいち、受験の大切さが、伝わらなかった。未来の受験よりも、今の学校生活のほうが、よっぽど、大事だった。

 母はよく、「お金がない」を、口癖にしていた。「お金に困った」「お金があれば…」そんなことを、よく、私のいるところで、つぶやいていた。

 母と父が、何やら、言い争っているのを聞いた。父は母にこう言っていた。  「私立なんて行ったら俺は金払わねえぞ」

 学校説明会があった。私は複数の学校の説明会に行くことになっていた。普段は母と二人で学校説明会に行っていたのだが、その日は父もついてくることになった。  父に、視線が集まる。父を話題にした話し声が聞こえる。  私は、その日、学校説明会に行った学校を、志望校候補から外した。

 中学校生活最後の体育祭が訪れようとしていた。そのために、今年も大縄跳びで一位になるための練習をみんなですることになる。クラス団長は九蛇がやることになった。九蛇はみんなから人気で、先生たちからは気に入られていた。  朝練をするかクラスで話し合うことがあった。その時は、「やりたくない」「今年は受験生だから、勉強のほうを優先するために朝練はやめたほうがいい」とか、そんな意見が出て、中止の方向で話がまとまっていった。  でも、先生がそれを許さなかった。クラスの一時間授業分を使って、みんなで先生に説教された。「体育祭にそんな態度で挑んでいいのか!」みたいなことを言って、九蛇が、「じゃあやりましょう!」と声を上げて、結局、先生のゴリ押しで朝練をすることになった。  体育祭が始まって、終わった。大繩跳びは他クラスに負けたように覚えている。体育祭が終わった後、赤団、青団、黄色団別に写真撮影をすることになった。その時、その写真を撮影する係が、私の父だった。顔に虎のタトゥーを入れている、父が。一番立派なカメラを持っている、父が。連妃は父の顔に指を指して笑っていた。私は、ひたすら、他学年に、あのタトゥーの男性が私の父であることがわからないようにと、祈っていた。

 ある日。また、眼路委を対象にした陰口を聞いた。「やばいよね」とか、「気持ち悪い」とか。  その陰口を言っていたのは、普段、眼路委と一緒にゲームのこととかを話している、私が眼路委の友達だと思っていた人だった。  誰かの悪口、陰口は、誰かと仲良くなるためのコミュニケーションなのだ。

 ある日。学校。体育の授業で外から教室へ戻ってきたとき、その教室の中に、大きなトンボが飛んでいた。私はコンパスを取り出し、針が小指の方にいくように逆手に持った。そして、トンボが近づいてくると、私は反射的にコンパスをトンボめがけて思いっきり振った。体の横まで振り切った。そしたら、コンパスに、背後の何かが当たった感触があった。何に当たったのか、確認するために振り向くと、それは、須下の首だった。  私は頭が真っ白になった。私をにらみつけ、自分の首を押さえたまま無言で自分の席に歩いていく須下を、黙って、見守っていた。どうすればいいかわからなかった。須下が、近くの席にいる人に私の方を向いて嫌悪の表情で何かを話しているのを、私は見逃すことなく見つめていた。やがて私は席に着き、少し、落ち着いて思考をし始める。次の授業が始まる。だが、授業よりも、よっぽど重要で大切なことを思考する。(どうすればいいのか)を考える。けれど、(どうなるのか)という思考がそれを邪魔する。もし、このことを、須下が、誰かに言いふらしたら、私は、もう、どうしたらいいか、わからない。どうすればいいのか、…やがて、(須下に謝ろう)という結論に至った。では、次は、どうやって須下に謝るのかに思考を移し替えていく…。  授業が終わり、休み時間。教室を出ていこうとする須下を、私は呼びかけ、食い止める。そして、謝る。「須下君さっきの大丈夫だった?」「え…うん」「うん、ごめんねっ」私は頭を下げながら去っていく。別れ際に、須下の顔を見た。薄く笑っていた。  頑張った。うまくしゃべれなかったけど、それでも頑張った。よくやった。達成感で、いっぱいだった。  その日の掃除の時間。廊下で、須下が、「下環がさ~」と、首を押さえて、他クラスの子に話すところを、見た。聞いた。

 「休みたい」と、母の前でつぶやく。けれど、母は、「え~、休んだら皆勤賞もらえないんだよ。せっかく一年、二年は休まなかったのに」と、答えて、休ませてくれない。

 社会の授業で「義務教育」を習った。子供は学校に行く義務がある。そう受け取った。抜け出せないんだなと思った。

 (学校行きたくない)

 学校にいる時間を、猫のことを考えて、耐えきる。猫のことしか考えられないようにして、耐えきった。

 教室。休み時間。私は次の授業の準備をしたら、机に顔を伏せ、目を閉じ、耳を塞いだ。  目を閉じると楽だ。誰かへの嫌がらせを見なくていいから。耳を塞ぐと心地いい。誰の悪口も聞こえないから。  なら、そこから消えていなくなることは、どれほど素晴らしいことなのだろうか。死は、どれほど素晴らしいことなのだろう。  それでも、死ねなかった。もし、私が今死んだら、きっと、みんなは、「なんであいつ死んだの?」って思うだろう。だから、死ねない。  あんなスピーチをした後で死ねない。…なんで、あんなことを言ってしまったのだろう。  眼路委の机を運ばなかった誤解を受けたまま、死ねない。  私は、私が死んだ後の、私の評判を、とても気にしていた。だから、今のままじゃ、死ねない。  自分を正しく理解してもらいたい。  そこで、思いついたのが、遺書。過去のことを、全て遺書に書いて、自殺しよう。そんなアイデアが、思いついた。

 ある日、学校で、道徳の授業があった。原爆についての授業だったように覚えている。  「あなたは原爆の放射能を浴びて、苦しんでいるとする。その時、あなたは何を望む?」そんな問いが出されたと思う。  先生が席を巡回してプリントを見ている。私の机に近づいてきて、私がプリントに書いた回答を見る。  「はい、じゃ、手を挙げて発表してくれる人」優等生たちは手を挙げて、自分の考えを発表する。「僕は助けが来るのを待ちます!」とか「崖から落ちて死ぬ」とか、そんな意見が出る中で、「…下環はなんて書いた?」と、先生は私を指名する。  私は「一撃で殺される」と答えた。みんなは聞こえなかったようで、先生がもう一度言う。「一撃で殺される…だって」教室にざわめきが起こった。  授業が終わって、禄話があの問題をどう答えたかが気になったので聞きに行った。  禄話は「一撃で殺されるって答えた瞬間、笑った」と聞かせてくれた。

 体育の授業で、バレーをすることになった。チームは選べなかった。チーム間に実力差が出ないようにという理由で、運動が苦手な人と得意な人がそれぞれのチームに平等に割り振られた。私のチームには須下がいた。  試合をすることになった。バレーは、ボールが来たところにみんなが寄ってくる。自分の担当している場所にボールが来ると、周りの誰かが私の近くに寄ってくる。そうしたら、私は、その人がボールを受け取ってくれるのだと、遠慮して、その人に任せてしまう。でも、その人は結局ボールを受け取ってくれない。だから、誰もボールを受け取れない。そんなことが何回も起きて、チームのムードが悪くなる。私は、何も言えない。  私のほうに飛んできたボールに須下が寄ってくる。私は、須下にそのボールを譲る。だが、須下はそのボールを受け取らない。そしてボールは地に落ちる。そして須下はチームメイトにこう言う。「今の俺の場所じゃないよね」

 ずっと、猫のことを考えてる。猫はかわいいから、癒される。でも、猫は、かわいそうなのだ。車に轢かれたり、カラスにつつかれたり、人間に虐待されたり。その、猫が、苦しんでいること。猫のことを考えると、猫のことがかわいそうで、それが、何よりも、耐えられなかった。  (死にたい)  漠然と死にたいと思う。けれど、私は、死ねない。私が今死んだら、猫は、かわいそうな、ままなのだ。  (猫を救いたい。猫が、苦しんでほしくない。苦しむくらいなら生まれてこないでほしい。苦しむくらいなら、死んでほしい)思い出す。ベジタリアンへの批判。植物にも命があるのではないか。そして、解答を得る。大切なのは、命ではなく、動物が、幸せであるかどうか、苦しんでいないかどうかなのだと。  (猫、絶滅してほしい)猫が、好きだから、絶滅してほしい。この感情は、矛盾しているだろうか。  猫に、苦しんでほしくない。苦しむくらいなら、生まれてこないでほしい。そんなことを、インターネットで調べてみた。  去勢、避妊手術についての記事が出てきた。去勢、避妊手術。猫が、子供を生まないようにする手術。私は昔、この手術について、猫がかわいそうだと思っていた。でも、違う。意味を知った。これは、不幸な猫が生まれないようにしてくれる、猫のための手術なのだと、理解した。  どうやったら猫を救えるのだろう。考えた末に、思いついた。  (漫画を描いて、猫に苦しんでほしくない、絶滅してほしいという思いを遺そう。漫画家になって有名になって、そして、そのあと、遺書を書いて自殺して、さらに有名になろう)

 心の中で、どこか、諦めがあった。  (私には、普通の職業に就くことなんて、できないんだろうな)

 ある日、私のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アカウントを教えてあげた。私のブログ的なもの。  禄話は、誰かにそれを教えたりしない。私は禄話を信用していた。だから、禄話の気を引くために、教えた。

 私の話し声は、とても聞き取りにくいらしい。相手の反応で、それがわかる。  でも、禄話は、私の聞き取りにくい声を、ちゃんと聞いてくれた。

 「病気と戦って必死に生きた赤ちゃん」そんなお話を、授業で聞いた。感想を書くことになった。 私は、ひねくれていた。だから、こう書いた。  『赤ちゃんが勝手に延命されてかわいそうだと思った』

 私の掃除担当の、家庭科室は、汚れている。同じ掃除当番のクラスメイト達が、まったく掃除をしていないからだ。みんな、掃除をさぼっている。真面目に掃除をしているのは、私だけ。他のみんなは、さぼっている。けれど、先生が来たら、みんな掃除を始める。けれど、みんな、掃除をしているふりをしているだけ。家庭科室担当の家庭科の先生は、みんなからなめられている。ほかの先生と違って、怒鳴ったりしないからだ。多分、先生はみんながさぼっていることをわかっている。掃除が終わった後の、「ちゃんと掃除ができた人は手を挙げてください」の確認の時に、みんなは手をあげるけど、先生は「え~ちゃんと掃除してましたか~?」と、疑ってくる。けれど、先生は怒らないから、みんな、掃除をしない。

 家庭科室掃除のとき、棚と棚の間を雑巾で拭こうとしたら、落書きが見つかった。こんなことが書いてあった。  「眼路委参上」  何日も、何度も、何回も、濡れた雑巾でこすって消そうとした。けれど、結局、消えなかった。

 家庭科の授業の時は、みんな、それぞれが自由に話していて、教室がうるさくなる。先生は、それを怒らない。だから、もっとうるさくなる。  九蛇は、家庭科の先生のことをいつも馬鹿にしている。先生の話すことにいちいち文句を言ったり、揚げ足をとったり、馬鹿にしたり。先生に聞こえるくらいの声で。  その日は、先生が授業を終えて職員室に戻ろうと教室を後にしたところに、廊下で、九蛇が、先生の後ろ姿に向かって、「うぜえよババアっ!」と、大きな声で言って、友達と笑いあっていた。

 ある日。九蛇が、「あのデブ」と、右近雄の陰口を言ってるのを聞いた。

 給食の時間。私の後ろの席には九蛇がいて、なので給食の時間に席を寄せ合って給食を食べるとき、九蛇が私の隣になる。  私は、席の近くに友達がいなかったから、ずっと、一人で黙々と給食を食べていた。  牛乳を飲んでいるとき、正面の女子と談笑していた九蛇が、突然「きったね」とつぶやいた。私はなんのことだか、一瞬わからなくて、そのまま牛乳を飲み進めていた。  ふと、牛乳を持っていた手に、液体が触れた感覚があった。私は、その感触があった手のほうに目をやる。  牛乳が、ストローを刺す部分から、ぽつぽつと、漏れていた。机には、牛乳の小さな水たまりができていた。  私はすぐに、「きったね」の意味を察した。でも、私は、こんなとき、何事もなかったように、平然のふりをする。私は、特に焦る様子もなく、ポケットからハンカチを取り出して、ただ、黙々と牛乳の水たまりを拭いた。

 後ろの席の九蛇に後ろに手を回してプリントを配るとき、九蛇が手に取る前にプリントから手を放した。そしたら、九蛇は「てめクソッ…」と鳴いた。

 家庭科の授業。私は、一人で、課題の制作に勤しんでいた。でも、途中で、わからないところがあって、一人で悩んでいた。そこに、先生が私の席に近づいてきて、こう言った。  「あれれぇ~?そんなとこがわからないの?赤ちゃんなの~?」ただ、黙って、それを聞いていた。

 (猫だけじゃない。この世界には、たくさんの動物が人間によって苦しんでいる。救わなければ。)  (人間はどうでもいい。人間は、苦しんでも、いい。)

 どうすれば動物を救えるか、考えた。不幸な動物が生まれてこなければいい。そして、動物が生まれてくるのを減らすには、需要を減らせばいいのだと思いついた。そこで、私は動物の肉が入っているものを、一切買わないようにした。  けれど、母が作るごはんや、学校の給食で、肉を入れないようにすることはできない。だって、(動物の肉が入っているものは食べない)なんて主張すると、変に思われてしまうから。私は、提供された動物の肉を、どうするべきか葛藤した。需要を減らすなら、給食を残すべきだと。けれど、せっかくこの世界に生まれた動物たちを、殺して、調理したのにもかかわらず、それを食べないということは、彼らの、生きた意味を、なかったことする行為なのではないかと、思った。だから、私は葛藤したうえ、提供された動物の肉は、すべて、残すことなく食べることにした。動物の肉が入っている給食は、必ずおかわりした。給食の時間が終わって、自分が配膳する食缶に、サバの味噌煮が残っていた時、それをこっそり廊下で手づかみで食べたこともあった。

 合唱コンクールがあった。  クラスで、団結したような空気が、すごく、嫌だった。優勝したのは私たちのクラスだった。優勝が発表されたとき、みんな席から飛び上がって喜んでいた。よく喜べるものだなと、私は彼らに冷めた感情を向けた。

 ある日。禄話だけに教えた、私のSNSアカウントを。禄話が、ばらそうとした。

 テストに向けて、勉強しなければならない。だけど、できない。このテストだけ頑張ってオール100点とろう、そう意気込んでも、勉強をやる気になれない。いや、やろうとはするのだけれど、ペンがうまく持てない。教科書がうまく読めない。すぐに、逃げたくなってしまう。我慢が、私には、できなかった。  休日は、あらゆる辛いこと、苦しいことから解放される、安息の日。だから、勉強のスケジュールを先生に組まされても、私はそのスケジュールを破って、ひたすら、休む。だから、私は勉強ができない。

 ある日。私と母、担任の琉心雄先生で、毎年恒例の三者面談があった。  今回の三者面談では、私の成績と進路について、話すことになった。進路は、兄と姉が通っていた、市立太田高校にすると言った。先生もそれに納得してくれた。  次は、私の成績と勉強状況について話すことになった。「今の成績のままじゃ市立太田には行けないぞ」そんなことを言われても、私は、勉強ができないのだ。「もっと勉強しないと市立太田に行けないぞ」勉強ができないのに。「どうして勉強しない」そう聞かれても、うまく、説明できない。だって、自分でも、どうして勉強ができないのか、わからなかったのだから。心配したように、母が、黙ってうつむいている私のことを、見ているような気がして、それが、すごく鬱陶しくて、腹立たしかった。  先生は、理解してくれない。どうして、私が勉強をしないか。勉強ができないか。そのことが、悲しくて、悔しくて、  私は、泣いてしまった。  でも、先生は、話を止めてくれない。理解のない言葉の圧搾で、私から、涙を搾り取ろうとする。  泣いているうちに、三者面談の終わりの時間がやってきた。私は、やっと終わったと、安心した。先生と母は、私が涙を止めるまで、待ってくれるだろうと、思っていた。  けれど、先生と母は、私が、泣いているのに、次の三者面談の人を待たせないために、私を教室から追い出そうとする。その心無い態度に、余計に、涙が、あふれ出てしまう。私が泣いているところを、次の三者面談を待っている、禄話と、他の友達に見られてしまった。それが、恥ずかしくて、悲しくて、辛かった。

 ある日、姉に、「お風呂のマットが濡れてるんだけど」と、そう言われて、姉の目の前でひざまずいて、お風呂のマットを拭かされた。

 姉が、食器を手にもって食べていないことがあった。前に、私のことを、犬でも持って食べるって、笑ったのに。同じことを言ってやろうかと思ったが、私には、無理だった。

 ある日、私はトイレで小便をした後、キッチンの水道で手を洗っていたら、姉が、母に向かって、「私はいつも洗面台で洗ってるんだけど」とつぶやいた。  そんなの、今まで一度も教えてもらったことがなかった。私は、姉のその一言を受けて、小便のときも洗面台で洗うようになった。

 母と、私と姉でお弁当を買いに行く。お弁当は母に買ってもらう。私が選んだお弁当より、姉が選んだお弁当のほうが安いと、姉は、(私が選んだお弁当の値段)-(姉が選んだお弁当の値段)の、差額を、母からねだる。  姉は何でも私の選んだものと比べて、母から差額をねだる。それも、私の前で。

 体育の授業で、テニスをやっていた。なんの競技をするかは、それぞれが選択できた。私といつも一緒に遊んでいる禄話や我和佐たちは、テニスをやるとのことで、なので私もテニスを選んだ。テニスは、コートが少ないので、一つのコートに何人も入ってプレイした。  盾在は、私の友達の、友達だった。だから、あまり話したことはないけれど、よく一緒に遊んでいる。ある日、体育の授業、テニスで、その盾在の、顔に、私が思いっきり打ったボールが、当たってしまった。  私は、呆然と、顔に手を当ててしゃがみ込む盾在を見ていた。しゃがんだ盾在のもとに、周囲でプレイしていた人たちが駆け寄る。駆け寄った人たちに、盾在は「大丈夫、大丈夫」と伝える。私も、盾在に駆け寄って、「大丈夫?」と声をかけるべきか、思案したけれど、結局、その場から動かなかった。しばらくした後、盾在はゆっくりと立ち上がって、プレイを再開しようとした。私も、プレイを再開した。私は、サーブを思いっきり打った。  授業が終わって、私は一人で、教室に戻った。  誰かを傷つけたとき、どうしたらいいか、わからない。

 部活動の、三年生のお別れ会の日が近づいてきた。三年は二年のことをあまり良いように思っていなかった。掃除もさぼるし、態度も悪いから。だから、三年はみんなお別れ会をやりたがっていなかった。けれど、お別れ会は学校の恒例行事。断れるはずもなかった。  けれど、私は最後までお別れ会に参加しないという希望を捨てていなかった。だから、いざ、お別れ会が開催されたとき、とても、ショックだった。  三年に、一年と二年がメッセージを書いた色紙が送られる。私は特に二年に嫌われていたので、誰が花束を贈るんだろうと考えていた。  私に、さんざんボールを当てては笑っていた、柳沢が、私に色紙を送った。受け取りたくなかった。  次は、三年生が後輩と先生に向けて、何かメッセージを送る時間。三年生は一人ひとり立ち上がって、何かを演説しなければならない。私は、すごく嫌だった。  自分の番が回ってきた。緊張で、うまく話すことができなかった。「皆さんのおかげで」、「今までありがとうございました」なんて、思ってもいないことを口にした。拍手は少ないように感じた。  教室に戻って、もらった色紙をぐちゃぐちゃに潰した。

 休み時間、机に顔を伏せて寝ている眼路委を、触ろうとして、遊ぶやつら。  如何良香と誰かが付き合ってるとかで、からかうやつら。  毎月あるスピーチ。  目立つこと、話題になること、思われること、陰口を言われることに、怯える日々。  日常が、つらい。

 ある日。委員会の仕事で、禄話と、花壇の水やりに、校庭に来ていた。禄話と二人っきりだったので、好きなことをたくさん話せて楽しかった。  作業中、ふいに、卓球場のほうを見た。そこには、連妃たちがいた。連妃たちは、こちらのほうをみて、何かをこちらに言っていた。そして、みんなで、笑っていた。  作業を終えて、駐輪場へ行くために、禄話と二人で玄関の前を通った時、連妃の靴を隠してやろうかという発想が浮かんだ。そして、実際に連妃の靴の前まで行ってみた。…けれど、結局、禄話にばれるかもしれないというリスクを考えて、やらなかった。  復讐を考えても、リスクのことを考えると、怖気ついてしまって、できなくなる。だから、ずっと、悔しいまま。一生、悔しいまま。

 ベッドの上で、静かに縮こまる。  苦しい。学校行きたくない。(死にたい)死ねば楽になる。(自分が死んだ後の世界なんて、どうでもいい)そんなことを、思う。…でも、想像する。自分が死んだあとも、動物たちは、苦んでいる。虐待、事故、病気、弱肉強食。動物たちは、ずっと苦しんだまま。そんな彼らのことを思うと、耐えられないほど、胸の、うまく吐き出せない感情が、強くなって、苦しくなる。  (まだ、死ねない)自分が死んだ後の世界がどうでもいいなんて、間違っていた。(…どうでもよくない!)そう、決意した。

 私が志望している高校と、同じ高校を、伊子も志望していることがわかった時、とても、うれしかった。私は、伊子への告白を先延ばしにすることにした。(いつか、告白出来たらいいな)そう思っていた。  あと、いつも話しかけてくる君楽風と、私がいつもちょっかいをかける友達一人の計三人が、私と同じ学校を目指しているらしかった。とても、安心した。

 受験の面接の練習を校長室で、校長先生とやることになった。校長先生は、目を見ることができず、うまくも話せない私にやさしくアドバイスをしてくれて、だから、すごく安心できた。 (もし私が自殺したら、校長先生に迷惑がかかるのはいやだな)そう思った。

 ある日。部屋でのんびりしていたら、リビングのほうで、何か大きな声が聞こえた。その悲鳴のような声は、何度も、何度も、リビングのほうから響いてきた。  数日後、私は母から聞いた。あの声は、姉が、母に対して、怒鳴っていた声だと。母が言うには、前に、姉が母に「醤油取って」と言ったにもかかわらず、母は「自分で取って」と、醤油を取ることを断ったのに、ある日、私が母に「醤油取って」と姉と同じことを言ったら、母が醤油を私に取ってくれたことが許せなくて、、姉は母に怒鳴り声をあげたらしい。私はその理由に、あきれた。  姉の癇癪は、毎日のように続くようになった。リビングから部屋に怒鳴り声が聞こえるようになった。「下環ばっか」とか、「ママのせいだ」とか、そんな声が、聞こえてくる。  姉の癇癪を、毎日受け止めている母が、かわいそうだと思った。

 勉強の意味がわからなかった。何のために勉強するのか。母や先生やインターネットは「将来のため」勉強するのだと、言うのだけれど、けど、私には、将来がないのだ。漫画を描いて、遺書を書いた後、自殺するのだ。将来がないのに、どうして、勉強しなければいけないのか、わからなかった。

 前期受験が近づく。まったく勉強ができなかった。  結果、前期受験は落ちた。

 受験生のための休日に、「ストレス解消に」と、母の反対を押し切って、一人でカラオケに行った。何を歌おうか、あまり思いつかなくて、でも、時間は潰せたのでよかった。

 ある日、部屋からリビングに降りてくると、机を挟んで母と姉が、こちらを向いて、私を見つめていた。「そこに座って」と、彼女らに向かい合う席を示されたので、そこに座った。  はじめは、勉強の大切さを説得された。「どんな仕事がしたいか」を聞かれ、「コンビニのバイトでいい」と、ごまかした。漫画家になりたいとは、恥ずかしくて言えない。  そうしたら、それじゃ駄目なんだと、母と姉は必死に私を説得した。でも、私には彼女たちの説得があまりよく伝わらなかった。むしろ、その必死さに、思わず笑ってしまった。  そしたら、姉が不機嫌そうになった。「仕事してない奴なんてクズだよ」姉はそう言った。カラオケに行ったことを、強い言葉で責められた。  どうして勉強をしないのか聞かれた。私は勉強のやる気が出ないと答えた。  「何か考えていることがあるなら話してほしい」と言われた。私は、しばらく考えた。だって、いつか自殺しようとしているなんて、簡単には言えないから。でも、言った。勇気を振り絞って、言った。「だって、死ぬつもりだから」  その瞬間、姉が叫んだ。なんて叫んだかは、覚えていないし、あまり聞き取れなかった。でもそれは、私の死のうという告白を、批難するもので、私は、姉の絶叫に、思わず、泣き出してしまった。  私の、死にたいって気持ちを、姉は、踏みにじった。  どうしたら私がゲームをやめられるかを聞かれた。「ゲームをやったら罰金」と、提案した。言わされた。  高校行くのか行かないのかを聞かれた。行かないなんて答えられるはずもなかった。「行く」と答えてしまった。  高校、行きたくないのに、無理やり、力押しで、行くことを、強要された。

 ある日。高校に進学するために必要なプリントがあった。でも、私は持ってくるのを忘れてしまった。琉心雄先生に怒られた。明日絶対持ってくるように言われた。  翌日。登校して、そのプリントを、ファイルから出そうと思った。…だが、見つからなかった。  プリント、どれだけ探しても無かった。…忘れてしまった。  心が押し潰されそうだった。私は、びくびくして、怒られるだろうと、怯えて、琉心雄先生に、伝える。  「プリント、忘れました…」  「なあ、お前さあ、どうしてこんなに大事なものをさあ、2回も忘れることができるんだよ!おい!下環はさあ、高校行く気ないんだね。」  その、言葉で、私の、心が、破壊された。  (高校、行きたく、ないのに…)  ぅ、ぅ、ぅ、と嗚咽を吐きながら、教室を背にして、ふらふらとした足取りで本棚の前に立つ。これで、注目を浴びることはない。気持ち悪い。もう、心がぐちゃぐちゃになって、ざわめいて、泣き声を出さないように必死にこらえて、誰かが私のこと話してるんじゃないかと、教室のほうに耳を傾けて…。  呼吸を整えて、まだ、余韻が残るけど、なんとか真顔でいられるよう頑張って、下を向いて、自分の席に着く。また思い出して、今度は寝たふりをして、小さく嗚咽を吐く。でも、それもおさまって、私は、なんとか落ち着くことができた。  それから、給食、掃除、帰りの会で琉心雄先生が前に出るたびに、不安で恐ろしい気持ちに襲われた。  翌日。学校行くのが怖かった。休みたかった。でも私は休めない。朝ごはん食べた後、二度寝して精神を落ち着かせようとするが、不安の、胸のドキドキは止まらなかった。家を出る時、登校に抵抗する気持ちが出てきたが、でも、無理なんでしょ?って感じの無力感が、私の背中を押した。  学校に、着いた。先生が来るのが、怖い。そして、来た。先生は、私に何も言われず、いつも通りにいつもの場所についた。朝の会。先生は、いつも通り明るい感じだった。プリント、ちゃんと、持ってきた。朝の会、ずっとドキドキしていて先生が何話していたか全く聞いていなかった。朝の会が終わるのが、怖かった。そして、朝の会は終わった。私は先生にプリントを提出しに行く。  「お願いします」プリントを提出した。一瞬、安心した。でも、次の瞬間、先生は、「何か言うことあるんじゃないのか」と、厳しい口調で言った。私は、いつもは優しい先生の、怒った時のその怖い感じが、何よりも恐ろしく、また昨日みたいに立っていられなくなりそうになった。私は「遅れてごめんなさい」と小さく言って、何か言われるんじゃないか不安になって、何も言われなかったから恐る恐るその場から去った。

 (本当に、人間はどうでもいいのか?他人の不幸はどうでもいい?)  (いいや、嘘だ。動物たちだけじゃない。この世界にはたくさんの人間たちが苦しんでいる。かわいそうな、人たち。その人たちも、救わねば)  (そうだ、人間を救えば、動物たちも救えるじゃないか)

 苦しむ動物たちや人間たちを救うための、漫画。その漫画の構想を考える。  世界観はもう決めていた。私が好きなアニメの、世界観を借りることにした。つまり、二次創作だ。  この作品の目的は、動物に、苦しんでほしくないから、絶滅してほしいという思いを、みんなに伝えること。そして、人間にもメッセージを伝える。  「苦しかったら、自殺してもいいんだよ」って。

 後期受験が明日に迫って、やっと、私は勉強を始めた。一夜漬け。けれど徹夜はしない。自分の部屋で、自主的に学習をしたのは、これが初めてかもしれない。

 後期受験の日。テストはまあまあできた。面接はうまくしゃべれなかったので駄目だった。あとは、待つだけ。

 受験が終わったけど、学校には最後のテストがまだ残っている。  結局、最後まで、テストでオール百点を取るなんて、実現できなかった。

 いつも禄話と一緒に遊んでいるゲーム。そのゲームは、プレイするのにかなりお金がかかる。だから、今まで、禄話の気を引くためにやっていたけれど、もうお金がないので、やめることにした。 そのことを禄話に伝えたら、「ああそうばいばいっ」って、返された。

 卒業写真を一人ひとり撮ることになった。 笑いたくなかった。でも、撮影の人が、「笑って笑って」と励ますから、笑ってしまった。 笑顔なんて、残したくなかった。

 卒業文集には、好きなアニメのことを書いた。このアニメが、私の青春だったと、書いた。すこし調子に乗って書いたので、見られるのは恥ずかしい。  学校生活が楽しかったなんて、書けるわけがなかった。

 最後のいじめアンケートがあった。結局、一度も、いじめがあったと、書くことができなかった。  最後まで、いじめはあった。でも、この、卒業ムードを、壊すことが、私にはできなかった。

 皆勤賞を取った。一年、二年、三年、すべてで皆勤賞を取ったので、表彰された。  皆勤賞なんて、取りたくなかった。

 卒業式の前日。廊下で個別に通知表が渡される。私は先生と二人きりになるのが怖かった。先生は穏やかな感じで私に話をしてくれたけど、私は顔を笑顔で硬直させながら、先生の話に合わせて頷くのに集中していて、あまり話をよく聞いていなかった。  「高校でも頑張れ」とは言われたような気がするけど、私は高校に行きたいわけではなかったので複雑だった。最後、先生に握手を求められた。先生は物事のうわべだけを、いい感じに締めるのがとても上手だ。私は少し怯えながら、手を差し出し握手をした。

 ずっと考えていたことがあった。もし、卒業式の会場で、私が首を吊って自殺したら、卒業式は、どうなるのかと。きっと、卒業生たちは、混乱することだろう。先生たちは、焦るだろう。きっと、卒業式は、台無しになるだろう。  うわべだけの感動を、ぶち壊してやりたかった。

 卒業式は、何事もなく行われた。欠席の子もいたけど。  泣いている子もいた。私も、この卒業ムードに感化されて思わず泣きそうになってしまった。

 私は、耐えきったのだ。そして、やっと解放されたのだ。私は、やりきったのだ。

 卒業式が終わって、さっさと帰ろうと、私は誰よりも早く玄関へ向かう。  玄関の前には、先生たちや卒業生たちの親たちが集まっていた。まだなんかあるのかと、辟易した。私は、早く帰りたいのに。私は他の卒業生たちが来るのを待ってから、玄関へ向かう。卒業生たちが玄関に到着した瞬間。拍手が巻き起こった。うんざりだった。  あちこちで写真撮影が行われる。私も、写真撮影に誘われた。禄話とか、仲のいい友達たちと一緒に写真を撮った。  「集まって集まって」と、親たちに強引に寄せ集められる。…そこには眼路委もいた。眼路委も、写真に混ざった。  写真を撮り終えた後、眼路委は呟いた。「いいんだよこうゆうの…」私は「そうだよね、うん」と答えた。…眼路委と、ひさしぶりに、話せた。  一通り写真撮影を終えたところで、私は一目散に下校した。多分私が一番初めに帰ったと思う。

 卒業式のあとは、親たちが勝手に計画した卒業パーティーで飲食店に集合した。禄話とか、いつものメンバーで、仲のいい奴らが集まった。親たちと子供たち、別れて席に着いた。  パーティーと呼べるほどには、あまり盛り上がらなかった。  誰かの悪口。誰かの陰口。それで、人はよく盛り上がる。このパーティーでも、そんな話題がでた。卒業式に、飯塚とかが携帯を持ってきてたとか、そんな話だった気がする。誰が言い出したのかは覚えていない。ただ、空気が少し悪くなった。嫌な空気。こんな時でも、禄話のことを考えていた。こんな空気の中に、禄話を居させたくない。早く違う話題にならないかなぁ。そう考えていた。そこに、禄話が口を開いた。  「あの人たち…前にも学校に携帯持ってきてた…」  卒業パーティーが終わって、ただ、ひたすら考えていた。禄話が、誰かの陰口を言った。頭がぽかーんとした。  (違う。善人はそんなこと言わない。)  (…禄話浩平、お前は善人じゃない)  勝手に憧れて、勝手に幻滅した。

 卓球部三年のライングループから無言で抜けた。もう、会うことはないのだから、どう思われても、どうでもよかった。

 父に、卒業文集を見せるよう言われて、それを断れなかった。自分が書いたところだけを黒く塗りつぶして、渡した。

 SNSの問題とか、インターネットとの向き合い方についてをテーマにしたテレビドラマが、当時やっていた。私はその作品に、結構胸を打たれた。インターネットで、誰かを笑いものにすることが、やっぱり駄目なことなのだと、そう思って、私は自分を戒めた。

 受験した高校の、合格発表に来た。合格だった。母はすごく喜んだ。私も、すこし喜んだ。

 我和佐の顔が映った写真がグループチャットで送られてきた。私はそれを、遺影のように加工して、送り返した。みんな笑ってくれた。

 スマホを買ってもらった。メッセージアプリや、ゲームをダウンロードした。

 徹夜をして、漫画のシナリオを一通り書いた。スマホを使って執筆した。筆が良く乗って、すらすらと今まで考えていたものを書き出せた。とてもよくできたと思う。  「苦しかったら、自殺してもいい」「動物に、絶滅してほしい」そして、「いじめから、救えなくて、ごめんなさい」そんなメッセージを込めた、作品。

 市立太田高校に入学した。

 同じ中学だった人と、同じクラスになることができなかった。だから、クラスメイトは、知らない人ばかり。  教室に入る。みんな、誰かしらと会話をしている。みんな、友達を作っておこうと必死だった。一人なのは私だけだった。

 このころ、私は小説をよく読むようにしていた。良い作品を作るには、他の良い作品から良い影響を受けることだと、そう思っていた。あと、自分には文章力や語彙力が足りないのだと、自覚していたから、文章力が評価されている作家を選んで、その人の本をひたすら読むようにしていた。  だから、学校で一人でいるときは、いつも小説を読んでいた。

 自己紹介をすることになった。名前と、好きなものを発表しなければならないらしい。  「零川 零号です。好きな食べ物はどら焼きです。よろしくお願いします。」教室にちょっとした笑いが起こる。好きな食べ物がどら焼きというのが面白かったのかもしれない。  私が、本当に好きなものは、猫。でも、それは隠すことにした。だって、私が嫌われたら、猫も嫌われてしまうかもしれないから。私を傷つけるために、猫が傷つけられてしまうかもしれないから。

 (これだけ親や先生たちに勉強しろと言われ続けて受かった高校なんだ。これから、寝ても覚めても勉強、勉強漬けの毎日が始まる。遊ぶ暇なんてないんだ)そう期待していた。  友達も、自然にできるだろうと思っていた。仲良くない人とでも、話せるだろうと思っていた。

 「えー、あと一週間後くらい?に学校で生徒たちの親睦を深めるための、レクリエーション大会があります。場所は獅童山の、大きな旅館がある場所で、二泊三日あります。はい、じゃあ、楽しみにしておきましょう。」先生が、そう発表した。

 学校から帰ってきて、部屋にこもって、ベッドに潜ると、いつも、中学の頃を思い出す。  夜、眠れない。暗い、考えが、積もる。  (どうしよう…どう償えばいいんだろう…)

 高校に入ってからは、給食ではなく、お弁当を持参することになる。そして、自由な場所で食べることになる。みんな、誰かと集まってお弁当を食べている。一人になることを恐れている。一人、自分の席で食べているのは、私だけ。男子は、私を除いて、みんな、一箇所に集まって、いつも、お弁当を食べている。 けれど、寂しくはなかった。むしろ、必死になって、誰かと弁当を食べようとしている人たちを、余裕の表情で見ていた。騒がしい教室の中で、一人、小説を、静かに読める時間は、心地が良かった。

 家に帰って、ひとりになると、いつも、考える。  (彼らの前で土下座しよう…)

 レクリエーション大会当日。バスの中で騒ぐクラスメイトの男子たちは、まだ中学生気分のようだと思った。  生徒たちが集合した会場で、クラスの中心的な存在、学級委員長がみんなの前で一発ギャグを披露する。会場が盛り上がる。「いいぞー!」「あっははっは!」私は、笑わなかった。  部屋は二人一組。私のパートナーは席が近い区書譜だった。部屋では持参した小説を読んでいて、区書譜とはそんなに話さなかった。けれど、特に険悪な雰囲気ではなかった。寝る前にも、「おやすみ」とあいさつをした。  夕食はバイキングだった。会場は広く、生徒たちがそれぞれテーブルと席を選んで食べる。伊子や君楽風達はもう先約がいるようだった。なので私は一人で黙々と食べていた。  だが、私の近くの空席に3人組が座る。彼らのうちの一人、そしてクラスメイトの手市差は、私に「ここ空いてる?座っていい?」と話しかけた。私は「うん、空いてる」と返した。彼らのうちのもう2人は、クラスメイトの男子と、ほかのクラスの、みんなから木大と呼ばれている体の大きい子。それから、時々彼らが私に話しかけてくれながら4人で一緒にご飯を食べた。   手市差はバレー部にも誘ってくれた。よく話しかけてくれた。でも、私はうまく話せなかった。  翌日、大縄跳びのクラス対抗戦があった。私は足首のけがで中に入ることができず、学級委員長にそのことを伝えて見学をしていた。見学者は私だけだった。「いーち、にーい、さーん…」「惜しいー!あとちょっと!」私は、盛り上がる彼らを直視することができなかった。結局、彼らは優勝して、表彰式で盛り上がっていたのを、ただ、見つめていた。  こうして、レクリエーション大会は、終了した。

 (一生、彼らのために働こう…。働いたお金をすべて渡そう…百万円…足りないよ…一千万円…もっと…。足りないよ…)

 スマホで、中学時代の友達たちとチャットをしていた。でも、ノリがつまらなくて、面白くなかった。  いつか、中学の奴らと完全に絶縁しようと思っていた。だから、抜けるなら今だと思った。私は、グループチャットから無言で抜けた。中学の人たち全員と友達登録を解除した。  抜けた直後、我和佐からメッセージが届く。「中学卒業したら、中学のやつらと関係絶つって本当だったんだな」  私は「伏線回収主義なもので」とかっこつけて返答して、そのあと我和佐をブロックして、メッセージの受け取り設定を変更した。

 母が、勝手に、禄話と、禄話の母親と一緒に、ご飯に行くよう、予定した。  禄話と会っても、私は一言も話さなかった。ご飯が来るまで、小説を読んで過ごした。ご飯も、黙って食べた。  「野村って一緒の高校?」そう、禄話が聞いてきた。私は「そう」とだけ答えて、あとは何も話さなかった。  目も合わせず帰った。

 クラスメイトから、クラスのグループメッセージに参加するように誘われた。入ってないのは私だけらしかった。

 君楽風と伊子とは、よく駅で帰りの電車を待っているときに出会う。君楽風とは、連絡先を交換した。君楽風の方から誘ってくれた。君楽風はフランクなのだ。  伊子は、中学のころと変わらないように、私に話しかけてくる。それが、うれしかった。でも、中学の頃から、私は、伊子とうまく話すことができない。

 行きの電車で、いつも、「おか~さんっ!おか~さん!」と、一人で騒ぐ男性と出会う。彼が、電車の中で騒いだり、誰彼構わず話しかけているのを、みんな、無視している。  私は、そんな彼に対して、なんの感情も抱かないようにしていた。多分、それが正解だから。

 駅で、よく、如何良香と出会う。如何良香が通っている高校は、私の通っている高校の、すぐ近くにある。だから、駅で、よく出会う。出会ったら、如何良香のほうから話しかけてくる。  「あ、下環君おはよう」「おはよう」  如何良香の通う学校の子たちと、よく、帰りの駅で出会う。彼らはいつも駅の端に一箇所に集まって、話をしている。私もよく、駅の端で小説を読んでいるので、彼らの話をよく耳にしている。  話によると、どうやら、私の通う市立太田高校の一部の生徒と、彼らが、なにか対立をしているらしかった。  クラスの男子たちが、一か所に集まって、何やら話している。  「んでさー、駅でさー、隣校の、あの障害者どもがさー、ほんとに邪魔でさー、んで注意したらなんか言ってくんの、ほんとうざいんだわー」

 (そうだ、彼らの前で自殺しよう。腹に包丁さして。あいつらと一緒になっていじめてごめんなさいって…。それでも、許してくれるかわからない…。なんで、あんなことしちゃったんだろう…ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、…本人たちの前で謝らなきゃいけないのに…)

 駅で椅子に座って、小説を読んで電車を待つ。駅には私一人しかいなかった。  隣校の生徒たちが、やってきて、私の隣に座る。そこには、如何良香もいた。「あーほんと市立太田のやつらまじうぜー」「ほんとうぜーよな」「うぜー」「この前だってさ、いっぱい嫌なことコソコソと私に向かって言ってたんだよ。絶対だよ。」「先生たちに相談してさ、あいつら叱ってもらってさ、俺たちの前で謝らせようぜ土下座で」「いやーほんとにさ、

 (本当に、ごめんなさい)

 市立太田死ね」クスクスクスと、小さく笑い声が聞こえる。「市立太田死ね」「ほーんと市立太田死ね」「死ね」如何良香は、黙ったままだった。私は、黙って、それを聞いていた。そして、こう思った。  (そうですか。これが、罰ですか。)

 バレーの授業。私はバレーが苦手だ。味方との衝突を恐れて、うまく体が動かなくなる。サーブもネットに届かない。ほかのクラスとの合同授業。二人一組の練習には、いつも私1人と、相手クラスの、体の大きい木大だけが余る。なのでいつも練習は一緒だ。木大は穏やかな性格だ。だがおっちょこちょいで、いつもみんなに笑われている。 試合。木大のサーブ。だがしかし、打ったボールはでたらめな方向に飛んでいく。それを、相手チームのみんなはクスクスと笑う。 授業が終わる。「あのデブ、ほんと役に立たねーな。」木大に聞こえるか聞こえないかの距離で、そんなことを言って笑いあう敵チーム。こちらのチームの数人も、それに混ざって一緒に笑いあう。 「じゃあ、ボール片付けてきて。」先生はそう言う。向こうで、木大はボールを落としてしまう。それをこちらでは、「木大、ほんとのろま。」と、笑いあう。 「えー、早く来た人は窓開けてて。」木大はまじめだ。だからいつも最初に体育館に来て、窓を開けている。だが今日は、すこし手間取っているようだ。どうやら窓を逆に引っ張ってしまっているようだ。「それ、逆だよ。こっちをこう」そう言って、私は手を貸してあげる。「あ、ありがとう…」

 バレーでうまく動けない。何度やってもうまく動けない。体が動かない。チームの雰囲気が険悪になる。そうなると、体が縮こまって余計に動けなくなる。こちらに来たボール。相手が私に狙って打ってくる。味方が近づいてくる。私は味方に任せようとしてしまう。そして結局、ボールは誰にも触れられることなく地に落ちる。近づいてきた一人が、「今の、俺の担当じゃなかったでしょ」と言って、最悪のムードになる。

 英語の授業。「では、好きな人とペアを組んで、それからグループになってください」私は、いつも一人だけ余ってしまう。みじめな自分。とっくにグループを組んでいる一人が、私のほうを向いて、「いじめじゃん」と、話している。笑いながら。

 私は、やっと、理解した。自分が、人の輪になじめない、そして、弱い、人間であることを。私は、強くなかった。やっと、思い知ることができた。

 夏休みが訪れた。図書館で、哲学の本を借りた。哲学は、この頃も好きだった。哲学者に、あこがれていた。  その本によると、哲学者たちは、互いに議論をすることで、お互いを深め合うことができたらしい。  (誰かと議論をすることなんて、私には一生できないんだろうな)そう思った。  本は、あまり読むことができなかった。

 去年と同じ場所で、また花火大会があった。今年もまた、同じ場所で、家族と一緒に、それを見に来た。  デパートの入口で、私と同じぐらいの歳の子たちの集まりとすれ違った。そして、声が聞こえた。  「あれ、下環?」  私は舌打ちをして、そのまま立ち去った。

 夏休みが終わった。高校の夏休みは、中学の頃と比べて、すごく休むことができた、

 クラスの女子から話しかけられた。「昨日、下環君のお父さんが、バレー見に来てたよ」

 授業中、鼻血を出してしまった。私は慌てず対処した。席が隣の子からテッシュをもらった。  私が、血まみれになったところを、「ほら、あれ見て」「ぅふふっ」と、笑う声が聞こえた。

 このころ読んでいた小説で、あこがれていたキャラクターがいた。嘘つきで、話し上手で、魅力的なキャラクター。私も、このキャラみたいになりたいと思った。  体育の時間、グループになったところで、他のクラスの子から「何の部活に入ってるの」と、聞かれた。私は悩んだ末、「剣道部」と答えた。でも、相手にはよく聞こえなかったようで、私に再び聞き返した。そうしたら、たまたま同じグループだった手市差が、「下環くんは部活入ってないよ」とフォローをしてくれた。相手は、ぽっかりとして、そのあと顔を合わせて笑い出す。グループを離れて、笑いをこらえたふりをしながら「さっき、何の部活に入っているかって聞いたらね、剣道部って嘘ついたんだよ」とクラスの学級委員長に話す。委員長は引いたような顔でこちらを見る。  私は、どの部活にも入っていなかった。

 「ねえ、あのさぁ、うちのクラスさあ、ほんと授業中うるさくてさぁ、授業に集中できないよ。ほんと、家で勉強してたほうが勉強がはかどるよ。休みたいなぁ。」母に相談する。母は、「そうねぇ、うーん」と答えるだけだった。

 次の体育の時間、なんの種目をやるか決める時間があった。サッカーとテニス。団体競技は苦手なので、私はテニスを選んだ。他にもテニスを選んだ人たちが集ってくる。彼らは、「一緒にやろうぜ」とか、ペアの約束をしていく。そしたら、私と学級委員長が二人、余ってしまった。委員長は嫌な顔をして、「えぇー」と近くにいた人と顔を合わせて呟いた。

 「来週、球技大会がある。出場する人はその競技を十分練習しておくように」  (球技大会、嫌だなぁ)

 「学校、休みたいなあ。これじゃあ授業なんて受けないほうがましだよ」母に相談する。母は、「そうねぇ、うーん」と答えるだけだった。  翌日。学校から帰ると、母が、「あ、下環。さっきね、学校にクラスが授業中うるさくて集中できないって電話しておいたよ」と話してきた。  母を、憎んだ。いつもいつもいつもいつも、勝手にしやがって。よくもやりやがったな。全てが狂った。あああ、ああああっ…。

 球技大会前日、足に痛みを感じた。母に相談して、病院に行ったら、球技大会を休むように言われた。

 球技大会当日。  「あ、下環君、放課後話があるから、一階の特別教室に来て。お母さんも来るから」担任の先生からそう言い渡された。  私を抜いたバレーチームはどんどん連勝していった。みんなが盛り上がる中、私は見学していた。  会場を出る途中、「どうせ休むんだったら、代わりくらい用意しておけよ。俺が出たかったのに」そう聞こえた。立ち止まってしまった。そうしたら、「さっきの見た?さっきの」と、区書譜は笑いながら友達に尋ねた。  「え、隣いやなの?」見学中、一人分の空席を空けた隣で、そんな声が聞こえた。  クラスごとにお昼を取ることになった。一人でお弁当を食べた。小説を読みながら食べた。一人なのは私だけだった。  クラスの女子が話しかけてきた。「あと、30分後くらいにうちのクラスの野球の決勝があるから、あの、よかったら見に来て」  その後、私は先生たちのバレーの試合をずっと眺めていた。  放課後。特別教室へ向かう。「えっと、話っていうのは、昨日お母さんから電話が来て、で、授業中騒がしいのは誰?」それは、どうでもいいことだった。適当に「野球部の人たち」と答えた。「うーん、そう。じゃあ先生たちに言っておくから。あとさ、今日の午後、下環君はどこにいたの?」「先生たちのバレーを見てました。」「ん、そう、そうか…。あ、あと、今日この学校のカウンセラーが来てるんだけど、どうする?相談する?」することにした。  「ああ、ごめんね待たせて。初めまして。この学校のスクールカウンセラーの、 といいます。」どんなことを話したのか、いまいちよく覚えていない。だが、「学校を、休みたいなぁって…」「うん、じゃあ、休めばいいじゃん」と さんが答えてくれたこと、そしてそのあと、母が「そうだよ。休めばいいじゃん」と言ってきて、あっけらかんとしたことは、覚えている。

 どうせクラスに戻るつもりはないので、クラスのグループメッセージを削除した。

 不登校を開始した。

 初めて、病気以外の理由で学校を休んだ。 朝は、いつも通りの時間に起きてしまった。朝の支度を、のんびりとできる余裕に、違和感があった。

 不登校初日は、図書館に行くことにした。「図書館で勉強した方が勉強が捗る」と、母に主張したからだ。  図書館に着いて、中に入った。(なんでこんな時間に学生が?)(さぼりか?)視線を感じる。声が気になる。そして、思ってしまう。周りの人が、私をどんな目で見ているのか。どう思っているのか。  恥ずかしさや不安で私は本を読むどころではなかった。私は、10分間も図書館にいることができなかった。

 家にある本を読んで一日を過ごそうと思った。  でも、本が、読めない。読むことを、継続できない。それが、どうしてだか、わからなかった。

 翌日。私は自分の部屋で一日を過ごすことにした。母には「姉ちゃんに学校休んでるの知られたら、どうして私の時には休ませてくれなかったのに!ってまた怒るから、ばれないようにね」と言われたが、駄目だった。トイレの流す音で、ばれてしまった。  部屋の中にいても、姉の怒鳴り声は聞こえる。「私の時にはっ!休ませてくれなかったのにっ!」家中に響く姉の声。心が、圧迫される。

 家にいても、気持ちが落ち着かない。なんか、ドキドキするのだ。部屋にこもって、何もできない。

 姉の癇癪が毎日のように続いた。叫び声が聞こえてきて、それが気になって、落ち着けない。

 私が不登校を開始してから数日後。  姉と父が絶縁した。同じ家に住みながら、家族でありながら、絶縁した。父のお父さんやお母さんも巻き込んで、いろいろ話し合ったらしい。そして、絶縁した。姉と父の絶縁を誓う誓約書が食器棚に貼り出された。そこには父とおじいちゃんのサインがされていた。姉は、父と、もう顔も合わせたくないらしい。 父と姉は、リビングに降りる時間を調整して、二人が遭遇しないようになった。

 スクールカウンセラーの先生に、どうして学校を休みたいか聞かれても、正直なことを言えない。質問に、誤魔化して、答える。「何か、学校を休みたいと思うようなことがあったのかな?」「…。…バレーでミスをして…」「ミスをしちゃったら、みんなから何か嫌なことを言われた?」「……いや…言われなかった…。みんな…無言で…」「あぁ、そうか〜。確かに、それは嫌だったよねぇ。」バレーで嫌な空気になったから。そう説明した。 本当は、それだけじゃなかった。

 それは、罪悪感の苦しみだった。  いじめを告発しなかったこと、止められなかったこと、助けてあげなかったこと、笑ってしまったこと、一緒になって無視してきたこと。その、過去の記憶が、罪悪感となって私の心に刺さって、抜けない。  それと、単純な、苦しみ。  私が、今まで、連妃や須下、もっと、いろいろなやつらの悪意に、苦しめられてきたこと。その、悔しくて、情けなくて、ただ、辛い記憶が、私の心を深い海の底に沈めて、水圧で、中身が出てきてしまって、グロテスクで、気持ち悪い。  過去の苦しい記憶が、私を苛む。それは、中学のころから続いてきた苦しみ。学校を休めば、この苦しみから解放されると思っていた。でも、やっと、学校を休めたのに、その苦しみは、変わらず、続いている。それが、何よりも、絶望だった。  (この苦しみは一生続くんだ…)

 (一度やってしまったことは、二度と取り返せない。) (どうして学校で教えてくれなかったんだ。学校は本当に大事なことを、教えてくれない)  後悔しても、もう遅い。  (罪は一生消えない)

 (自分には罰を与えねばならない)(そしてあいつらに罰を与えなければならない)  罪悪感と、ただの怨恨。私は、切腹をして、眼路委や如何良香に、謝ろうとしていた。(そして、遺書にはあいつらの名前とあいつらがやったことを書いて、あいつらを苦しめてやろう。罪悪感を与えてやろう)そう思っていた。

 (死ねば、楽になる。この苦しみから解放される)  (だが、死ねない。苦しんでいるものたちがいる。それが、耐えられない。) (苦しむものたちに、自殺してほしい。そのことを伝えたい。) (漫画を描いて、救わねば)

 (こんな弱い自分は、幸せになれそうにない。だから、せめて、誰かを幸せにしていこう)

 (善人でありたかった。私が善人だったら、こんなに苦しむことなかった。善人になりたい)でも、過去の自分が、私が善人になることを許さない。蟻を虐待した自分、誰かを笑いものにした自分、いじめに乗っかった自分…。いろいろな過去の自分が、私を、善人から遠ざけてしまう。  (腕がなければよかった。腕がなければ、こんなことにはならなかった。足がなければよかった。喋れなければよかった。) (…生まれて、来なければよかった。生まれてくるべきじゃなかった。) (苦しむくらいなら、誰かを苦しめるくらいなら、生まれてくるべきじゃない)

 誰かを憎むたび、自分のやってきたことを思い出す。(自分も、同じようなことをやってきたんだ)例えば、誰かから笑われたら、自分も誰かを笑ってしまったことを思い出す。そうすることで、落ち着くことができる。  (私は、あいつらと同じような人間なんだ…)眼路委や如何良香にあんなことをしていたあいつらと、そいつらと一緒になって眼路委らを避けていた私は、同じような人間。  因果応報として、自分が今までされてきたことを、受け止める。与えられて当然の苦しみだと、自分の苦しみを正当化することで、理不尽を軽減できる。  (もしかしたら、私はあいつらと一緒になって眼路委たちにあんなことをしていたかもしれない。私とあいつらは、同じ人間だから。そう、私には、あいつらと一緒になって彼らにあんなことをしていた、可能性があったんだ)  (可能性。生きていくうえで様々な選択肢がある。それは、加害者30%、被害者30%、傍観40%とか、あらかじめ選択する確率が定まっており、平行世界の自分は別の選択肢を選んでいるかもしれない。あいつらと一緒に、誰かにあんなことをしていた世界もあるのかもしれない)  (可能性。例えば、もしも、須下と私の生まれが、それぞれ逆だったら?つまり、今の私の親から須下が生まれて、須下の親から私が生まれたら?きっと、私は須下のように育っていただろう。もしも、須下と私の名前が逆だったら?私は須下で、須下は私だった。私は、須下だった。あいつは自分で、自分はあいつだった)  (だから、すべての人間は、自分と同じなんだ。) (自分を憎むということは、他人を憎むということ。他人を憎むということは、自分を憎むということなんだ)  他人は自分。自分は他人。  人間は、変わらない。  だから、共感できる。だから、許すことができる。

 当時、好きだった漫画に登場する、ジャンヌダルクが、どんな人物かをインターネットで調べた。  ジャンヌダルクが処刑されたとき、多くの民が、そして、処刑したものまでもが涙したらしい。  (善人って、すごい)そう思った。  (善人を傷つけるのは、抵抗があるんだ。) (思えば、いじめは、悪者にしてから行われていた。気持ち悪いとか、悪いことをしたとか。) (弱い者いじめではなく、悪いものいじめ。勧善懲悪。) (悪人にしてから、攻撃する。攻撃を、正当化する。悪者にすることで、悪意を向けることへの抵抗を減らす) 辻褄を見つけていく。  (いじめられるほうが悪い。そう言って、悪にするのでは) (先にやったほうが悪いは、やり返したことを正当化しているんじゃ?) (善人は、偽善者と呼んで、貶めるのか) (動物が虐待されるのは、人間と比べて罪悪感を感じにくいからなのかも) (子供がよく泣くのは、罪悪感を呼ぶため?)  悪へ、貶められないために。(絶対不動の善人になろう)そう思った。

 (いじめは勧善懲悪。罰を与える行為。罰って本当に必要?何のための罰?悪いものに罰を与えることは、それは自分の鬱憤を晴らすためだ。それはいじめと変わらない) (何が重要?罪あるものに罰を加えたら、解決なの?でも、同じ過ちを繰り返すだけじゃ。目的は何?次の被害者を出さないことじゃ?反省させて、二度と被害者を出さないことだ。) (つまり、更生させること。) (私は彼らにどうなってほしいの?罰を与えればいいの?いいや、私は、彼らに更生してほしいんだ。) (罰を与えることが、反省、更生させることに必要だとは限らない)  (罰は必要ない。反省し、更生したら、それでいい)

 (我和佐のような、連妃と対立するんじゃない、和解し、正していくのが、正解だったのか)そう、気づいた。

 虫に、苦しいとか辛いとかを感じる心があるのか、調べた。  『昆虫には心がないと考えられています。』その文章に、心から安心した。  もし、『ある』と書いてあったら、死んでいたかもしれない。

 眼路委は、卒業式の後話しかけてきてくれた。  如何良香は、駅で会ったとき話しかけてきてくれた。  (私は、彼らを、傷つけていなかったじゃないか。)そうこじつけて、やっと、自分を許せた。  (よかった。傷つけないで、本当に良かった)

 (もう、私は、反省したよね?更生したよね?)  (もう、許していいよね?)

 苦しめるための遺書から、反省と更生を促すための遺書にしようと思った。私に関わった一人ひとりに、メッセージを送ろうと思った。

 苦しいとき、許せないとき、邪念が浮かぶときが来ても、(自分は他人。他人は自分)(善人になりたい)(罪に罰は必要ない)そう思い出していた。  これらの理論を思い出すことで、暗い感情を中和させていた。私にとって、その理論は、薬だった。  (この薬を、漫画で届けたい)そう思った。

 ある日。君楽風からチャットのメッセージが二通、届いていることに、気づいた。  新着のメッセージだけ、確認した。「伊子からの伝言」というメッセージだった。だから、一通目には、伊子からのメッセージが書いてあるのだろうと思った。  私は、一通目を見ることなく、君楽風のアカウントを連絡先から削除した。  たとえ、親切心でも、伊子から、感情を向けられるのが、耐えられなかった。

 ある日、家に二匹の猫が来た。白黒の猫と、三毛猫。おそらく、親子だった。二匹ともメスで、避妊手術をした印はなかった。  すごく、かわいかった。餌を買ってきて、二匹にあげた。リビングに招待してあげた。母が名前を付けた。白黒猫は「ズボン」。模様がズボンを履いているように見えたから。三毛猫は「ミー」。  とても、幸せだった。

 (悪いことはできない。だって、どうせ後で、罪悪感で苦しむことになることが、わかっているのだから。)

 ある日、やっと、私はカウンセラーの先生に、将来何になりたいかを伝えることができた。「漫画家に、なりたい…」  「下環君はどんな漫画を描こうと思っているの」スクールカウンセラーの先生が優しく聞いてくる。私は、長く、沈黙してしまう。話していいのか、相手がどう思うのか、間違ったことを言ってないか、考え込んでしまう。30分くらいたって、やっと、口を開く。  「世の中を、良くするような漫画」これを言ったあと、すごく恥ずかしい気持ちになった。でも先生は、私の夢を素晴らしいと褒めてくれた。

 母は、必死に退学を食い止めようとしてくる。でも私は、退学を譲らない。だから、今度は通信制の学校を進めてくる。母は、どうしても私に高卒以上の学歴になってほしいようだ。だから、私は「高卒認定試験」という、高校を卒業していなくても高卒の学歴を得られる試験を口実にして、母に説得をした。

 母はお金の心配をしてくる。中卒じゃ、まともな職業になれないと。だから、少ないお金で、働かされると。  でも私には、お金なんて、二の次だった。

 (お金なんてなくなっちゃえばいいのに)ずっと、そんなことを思っていた。この思想をもとに、世界を構想していく。  (もしお金がなかったら…  お金を稼ぐという目的が無い世界。だから、何かをするという目的が、変わる。例えば、自分がやりたいことをやる。そして、世界のためにやる。  貧しい人がいなくなる。貧富の差がなくなる  お金目的の強盗や、お金がきっかけの殺人も起きない。お金がきっかけの悲しい出来事がなくなる。  お金の心配をしなくてもいい。  あらゆる仕事がボランティアになる。ボランティアで働いて、そのボランティアにボランティアでご飯を作ってあげて、そのボランティアのボランティアにボランティアでご飯を作ってあげて…という、ボランティアの連鎖。  粗悪品がなくなる。 販売競争もなくなる。  作家は締め切りもない、ページ数の上限もない、売れることを意識しなくてもいい、そんな自由な作品が作れる。  色々な作品を自由に見ることができる)  そんなことを考えていた。お金が消えた世界。素敵な、理想郷。この世界に、なにか、名前が付けられないか考えた。  (お金がない世界…お金が消えた世界…マネーが消えた世界…マネー消えた世界…招き得た世界)  招き得た世界。私の理想とする世界。

 母は部屋に勝手に入ってくる。「勝手に入ってくるな」と、なんども注意しているのに。しかも、ノックもないし、突然入ってくるのだ。  ある日、私は母に自慰をしているところを見られた。  母が突然部屋に入ってくることはなくなった。

 学校について調べていた。そこで、やっとわかった。  『義務教育』は、子供が学校に行く義務ではないのだと、義務教育を終えて、初めて、やっと、わかった。

 漫画を、描こうとしても描けない。やろうとしても、描けない。  夜、眠れない。いつも、暗い考え事をしている。

 ある日。両親と、話し合いをすることになった。  母と父が質問をしてくるけど、でも、父がいると、私は声が出ない。ずっと黙って、母が「話しにくそうだからチャットアプリで話す?」と提案してくれるのを待っていた。けれど、母は黙って私の顔を見つめるだけで、何も言ってくれない。だから、私から、提案するしかなかった。  何を話したかは覚えていない。記録も残ってない。

 クラスメイトの四人から、手紙が来た。誰からの手紙なのかもわからないまま、開封もせずに捨ててしまった。両親に、読んだかどうか聞かれて、読んだと答えた。  両親から、「手紙を読んで、学校行く気になった?」と聞かれて、「ならない」と答えた。

 担任の先生と母と一緒に話すことになった。先生は私に、クラスメイトたちからの手紙を読んだか聞いてきたけど、私は何も答えなかったので、「そうか…読んでないか」と勝手に納得してくれた。  「手市差がね、下環君のことすごく心配してたんだよ。手紙も書いて…」  (へぇ…)って思った。

 父から手紙が送られた。熱心な言葉で、いっぱい書いてあった。  『学校は、社会に出るための練習だから』『どうか、学校に行ってほしい』そんなことが書いてあったように覚えている。  でも、私は普通の社会に出ようとしてないから、その言葉は響かなかった。

 両親と最後の話し合いをした。そして、私が退学することに決まった。

 担任の先生と、あと校長先生だか、副校長先生だかと、母と私で、最後の高校退学の手続きをした。  12月25日、こうして、私は高校を退学した。

 一つ、忘れていたことがあった。後になって気づいた。  (木大のこと、先生に話すの忘れていた…)

 休んでも、許しても、退学しても、私を蝕む、謎の気持ち悪さは消えなかった。

 過去のことを思い出すと、暗い気持ちになって、気持ち悪くなる。私は、その気持ち悪さを取り払うために、過去のことを連想してしまう、今まで使ってきた小中学校の教科書を、全て捨てた。  母は教科書を捨てることにすごく反対した。(どうしていつも母は私の邪魔ばかりするのだろう)と、ムカムカした。でも、捨てた。

 ある日。私は、考えていた。(勉強って、なんのためにあるんだろう。)  (…たとえば、心理学は、相手を理解することで争いをなくすことができる、優しい学問だ。じゃあ、国語は?数学は?英語は?…そうだ、英語も、外国人を理解することができる、優しい学問だ。…そしたら、国語も作家を理解することができる。数学は…そうか、数学者を理解するためにあるんだ!社会も、理科も、哲学も、あらゆる学びは、他人を理解するためにあるんだ。)  『勉強は優しい。』私の哲学が、ひとつ増えた。なぜ勉強をするのか、今まで、わからなかった。『将来のため』『自分のため』そんな理由に、納得できなかった。でも、私は、自分が納得できる理由を、やっと、見つけることができた。

 絵が上手くなるために、図書館で、デッサンについての本を借りた。  書いてあることを試していったら、すごく、デッサンがうまくできるようになった。つまり、絵をうまく書くことができるようになった。  今まで、絵を上手に描くことはすごいことだと思っていた。でも、そのすごいと思っていたことが、自分にもできることなのだと知った。そして、それはきっと他人にもできることなのだろうと思った。  他人ができることなら、自分にもできる。自分ができることなら、他人にもできる。 誰かを見下さない。誰かを見上げすぎない。そんな、哲学。

 マウスが実験動物として扱われているのを、非難している人を、インターネットでよく見てきた。私も、動物が実験に使われることに、反対していた。でも、その非難に対して、「人間のための必要な犠牲」だと、反論しているのを、よく見た。  (マウスが犠牲なら、マウスが好きな人は、犠牲者だな)そう思った。

 誰かを救いたい。そんな気持ちを、インターネットで検索した。  「メサイアコンプレックス」を知った。誰かを救いたいとそんな救世主願望を抱く心の状態をさす言葉、らしい。  メサイアコンプレックスを調べていくと、「偽善者」とか、「独りよがり」とか、そんなネガティブな言葉がたくさん出てきた。でも、私は、メサイアコンプレックスを、そんな風に思わなかった。(誰かを救いたいという気持ちは、素晴らしいもの。)だから、メサイアコンプレックスは、なんて素晴らしいのだろうと思った。

 (自分が休んでいる間も誰かが苦しんでいる)そう、焦るけど、どうしても、漫画を、描きたくない。

 夜、眠れない。

 インターネットで、眠れない、やる気がでないことを検索した。  そして、見つけた。「うつ病」を。  うつ病の症状に、私の症状がすべて合致していた。『死にたいと思う』『強い罪悪感を感じる』『眠れない』『やる気が出ない』  (これだ)と、思った。やっと、見つけることができた。

 図書館で、うつ病についての本を借りた。図書館には通うことができるようになった。  うつ病。その状態にでは、過剰な罪悪感を感じるようになると書いてあった。  (過剰な罪悪感?過剰な罪悪感なんかじゃない。あれは、与えられて当然の罪悪感だ。なんで、あいつらは、あれだけのことをして、罪悪感を感じないんだ)

 うつ病は、薬を服用することで、少しずつ、治していくことができるらしい。

 うつ病は、偶然知った。インターネットで、症状を検索して、たまたま見つけた。もし、このまま知らないままだったら、ずっと、このままだった。そう思うと、恐ろしくなった。  (どうして、うつ病を、学校で教えてくれなかったんだ。こんなに、大事なことを。学校は、本当に大切なことを、教えてくれない)

 うつ病の本を借りるついでに、たまたま気になった、犯罪心理学の本を借りた。  その本には、過去に重大な罪を犯した人の、プロフィールが載っていた。  犯罪者が、家庭環境になにか問題がある人が多かったり、いじめを経験していたり、うつ病など、精神疾患を患わっていることが多いことを、知った。どの犯罪者も、みんな、かわいそうだった。  私も、机に死ねって書こうとしたり、卓球場を放火しようとしたり、人を殺そうとしていた。私も、彼らと同じことをしようと、していた。私も、犯罪者だった。  私は、彼らに共感できた。  確信した。もし、人が犯罪を起こす原因が、その人を囲う悲惨な環境なのだとしたら、その悲惨な環境をを減らせば、犯罪も減らせると。

 うつ病を治すためには、瞑想がいいとインターネットで調べた。  「愛と慈悲の瞑想」というのを見つけて、やってみた。すべての生命の幸せを願う瞑想。  うまく言葉にできないけれど、確かに、(幸せ)を感じた。

 (みんな、気づいてない。他人の幸せが、自分の幸せにつながることに。)

 母に、自分でご飯を作りたいから、ご飯を作らないでと何度もお願いしているのに、母は何度もご飯を用意してしまう。  私はご飯作りに挑戦したかった。自分でご飯の量を調整して、痩せたかった。そして、お肉を買わないことで、お肉の需要を減らしたかった。  一度作られてしまったお肉が入ったご飯は、全部食べなければならない。そう思っていた。なぜなら、家畜たちが生きてきたことを、ないがしろにしてはいけないから。  本当に、何度もお願いしているのに、母はご飯を用意してしまう。それが、いよいよ嫌になってきて、次用意したら、本気で訴えようと思った。  その日は、母がお肉入りのオムライスを買ってきた。私は、「ご飯用意しないでって言ってるでしょ」と母に抗議するけど、母は聞く耳を持たない。そして、私は、逡巡した。(ここでこのオムライスを捨てたら、家畜たちが生きてきたことを、ないがしろにしてしまう。けれど、それで、母が食事を用意しなくなったら、お肉の需要が減って、家畜が生まれる数を減らすことができる)  だから、私は、オムライスを、捨てた。

 翌日。朝ごはんは、相変わらず母が用意した。もうどうしたらいいかわからなかった。  「昨日オムライス捨ててあったけど、気分悪かったの?」母にそう聞かれた。もうどうしたらいいかわからなかった。

 気になったので、家畜が、どうやって殺されるかを調べた。  検索の結果、家畜は、苦しんで殺されるわけではないと、知った。失神させてから、殺す。  動物の肉を食べることは、悪いことではないのかもしれないと思った。だって、もし、肉を食べることが悪いことなら、肉食動物は、とても悪いことになってしまう。(肉食動物は、悪くない)そう思って、なら、肉を食べることも悪いことではないと思った。  肉を食べると、幸せになれるという。なら。もし、家畜たちが苦しんで死んでいないなら、肉を食べるのも、いいのかもしれないと思った。

 隣に住んでいるおばあちゃんが、私たち家族が、野良猫のミーとズボンに餌をあげていることを、母に注意したらしい。だから、二匹を家で飼うことになった。  前から、ずっと飼いたいと母に言ってきた。猫の食器も、トイレも、買ってあった。猫を飼えば鬱も治るかもしれないと思った。  動物病院に野良猫を飼いたいと相談したら、その動物病院と連携している猫カフェから、二匹分のゲージと捕獲機を借りることができた。あと、避妊手術を二匹ともやってもらえることになった。  捕獲機に餌を設置して、二匹がそれぞれ引っかかるのを待つ。そして、無事捕獲できた。でも、その、捕獲したあとが大変だった。  捕獲機には先に、ミーが引っかかった。ミーは、人間が近づくと、とても強い声で叫んだ。その叫びが悲痛で、胸が苦しかった。ミーを確保した日は、動物病院が休みだった。だから、一日、家の中にミーを入れた。ミーはずっと叫んだ。その叫び声を聞き続けることに、気が狂いそうだった。  翌日、ズボンが家の前に来た。ズボンは家の中に向かって鳴いた。まるで、ミーを返してほしいと訴えているようだった。  母が泣いていた。「ズボンがミーを心配している、かわいそう」と、泣いていた。すこし、意外だった。  その後、ズボンも、無事捕獲できた。一匹ずつ動物病院に連れて行った。そして、数日後、手術や検診を終えて、リビングでゲージに入れて飼うことになった。

 猫は、大きな音が苦手。  猫を飼うことになったその日、私は猫のためにリビングを静かにしてあげようと思った。けれど、姉は、リビングのテレビで映画を見ようとする。だから、姉がトイレに行っている間、私はテレビの音量を一にした。トイレから帰ってきた姉は、テレビの音量を確認した後、「一で見ろっていうのっ…!?」と母に向かって呟いて、テレビの音量をもとに戻した。  この時、姉を、軽蔑した。

 姉は猫のトイレ掃除やエサやりを全然やってくれなかった。やるのは母と私だけだった。

 ある日、姉が、父が自分の部屋に行く時間を遅れていたと、母を責めていた。

 母に、病院に行きたいと伝えた。うつ病かもしれないとは伝えなかった。軽い感じで伝えた。姉が行っているみたいに、俺も行ってみたいと伝えた。

 ちょうどこの頃、新型コロナウイルスが始まりだした。

 病院は、コロナウイルス関連で来た人たちでいっぱいだった。マスクを付けて、病院に入った。  事前に書く、どんな用事で来たかを書く紙には、「インターネットで調べて、うつ病かもしれない」と書いた。  私を診察してくれたのは、若い男性だった。どんなことを話したかは、あまり覚えていない。多分、私があまり話すことができなかった。「この部屋でなにか気になる物がある?」と質問されて、なんて答えたらいいかわからなくて、しばらく沈黙した後、「特にないです…」と答えた。  先生の話では、先生は今日がこの病院で最後のお仕事だったらしい。なので、次からの診断は、別の病院の別の先生がやることになるらしい。  私の診断が終わったら、次は私と入れ替わりで母が入室して先生と話をした。  そのあとは、薬が処方されて、そのまま帰った。

 薬を毎晩寝る前に飲むことになった。薬を飲み始めた初期には、何か、吐き気など、症状があると調べたので、それが心配だった。  思い込みかもしれないけど、薬を飲んだら、いつもより、早くに眠れるようになった気がした。  最初に薬を飲んだ翌日、なんだか、頭が、思考が、意識が、ぼーっとするようになったように感じた。飲み始めた最初のほうは、ただ、ベッドの上で寝転んでぼーっとして一日が過ぎていく生活になった。

 前回の診断から数週間後、姉が通っている病院に診察に行った。姉と一緒の先生がやってくれることになった。  母と一緒に入室した。先生の印象は、まず、穏やかそうだと思った。50代くらいの男の人だった。  前回の病院で書いてもらったカルテの内容を、先生と一緒に確認した。カルテの内容は、初めて知ることだった。  先生がカルテを読み上げる。  「うつ病ではないと思われる」ショックだった。私は、自分がうつ病だと確信していたのに。  「うまく話せない。障害を持っている可能性がある」障害という言葉に、ドキッとしてしまった。  どんな症状が出ているかを先生が聞いてきた。「眠れない、やる気が出ない」を話した。罪悪感や死にたいと思う気持ちは、母に聞かれたくなかったので、話さなかった。  先生が何か話したいことがあるかどうかを聞いてきた。私は、何も話さなかった。先生が言うには、何も語らない子というのは珍しいらしかった。  先生は、次に母に話を聞いた。私がどんな環境で育ったかとか。  初めて知ることが多かった。「…放置していたんですよね、それで…」私は、放置されていたらしかった。「お兄ちゃんとお姉ちゃんがパパのバスケを断ってそれで下環が…」だから私はバスケをやらされていたのかと知った。「子供の前だと話しにくいんですけど、実は私がパパにお金を貸していてそれで…」  初めて、自分の家族が普通じゃないのだと、自覚した。  診断が終わると、先生が握手を求めてきた。すこし、驚いた。一瞬、どうしたらいいかわからなかった。  次の診断は、一か月後。一か月ごとに、病院に来て診察を受けることになった。

 ふと、思い出したことがあった。小学生のころ、兄が、ゲームで遊んでいる私に、パソコンの画面を向きながら、アニメのタイトルをつぶやいて、にやにやしていたこと。  そして、やっと気づいた。そのアニメは、私がゲーム機を使って見たことがあるアニメだったのだ。兄は、私のゲーム機から、アニメの閲覧履歴を、パソコンを使って見ていたのだ。そして、それを、私に伝えて、にやにやしていたのだ。

 『うつ病は弱い人がなる病気だ』そんな言葉に対して、『うつ病は弱い人がなるとは限らない、誰もがかかる病気。だからうつ病にかかる人が弱いとは限らない』と否定されているのを、よくインターネットで見つけた。  でも、弱さを自覚することは大事だと思った。強がって、失敗してしまうのが、なによりも痛々しい。

 ある日、母の部屋にある書斎から、最近有名になっている、「アルフレッド・アドラー」が築き上げた、「アドラー心理学」についての本が見つかった。母に聞いたら、読んでもいいと答えてくれた。そして、読んでみたら、とても、よかった。  「過去ではなく、今が大事」なのだと、解釈した。「人は変われる」に、勇気づけられた。「すべての悩みは、対人関係の悩みである」に、納得した。「課題の分離」は、目から鱗だった。「子供を叱ってはいけない、ほめてもいけない」その理由に、納得した。…いろいろなことを、その一冊から得られた。  その本を読んで、とても救われたように感じた。アドラー心理学を勉強して、よかった。(勉強はすごい。先生たちは、アドラー心理学を勉強していなかったから、あんなに生徒たちに怒鳴っていたんだ。勉強を、しよう)そう思った。

 「誰かの目は気にしなくてもいい」そう、その本を読んで解釈した私は、翌日の早朝、久しぶりに、自転車で近所をサイクリングしに行った。  サイクリングの道中、路傍に捨てられている空き缶を見つけた。「誰かに、世界に、貢献していると思えれば、幸福である」私は、誰かに貢献するために、その空き缶を拾って、自転車のかごに入れた。  道には何個も空き缶とペットボトルが落ちていた。だから、一つ一つ拾っていったら、自転車のかごが空き缶とペットボトルでいっぱいになった。拾っているとき、私の隣を車が通った。(あの子はなんで空き缶を拾っているんだろう)(えらいって思われたいから拾ってるんじゃないの?)そんなことを思われているんじゃないかと、心配になって、すごく、恥ずかしかった。車がすれ違うたび、激しい羞恥に襲われた。  サイクリングから帰ってくると、隣の家に住んでいるおばあちゃんが私に話しかけてきた。私は、この空き缶とペットボトルを見られて、驚かれるんじゃないかと思って、恥ずかしくって、ただ、自転車のかごの中身を隠すことに必死で、おばあちゃんのあいさつに答えられなかった。  話さない私に気をきかせて、おばあちゃんが立ち去ったので、私は背負っていたリュックサックに自転車のかごの中身を全部入れて、そのあと、手洗いうがいもせず、部屋に直行して、一人、羞恥に襲われて、悶えていた。もし、母と姉がカーテンの隙間から自転車のかごの中身の空き缶とペットボトルの山を見ていたら、どんなことを思われるのかを想像しては、悶絶した。  数時間たって、勇気を出して部屋から出てリビングに行った。「あの空き缶とペットボトルどうしたの?」とか、どんなことを言われるか、すごく、心配だった。けれど、特に何も言われなかったので、私が落ちている空き缶ペットボトルを拾ったことは見られていなかったのだと、安心した。  アドラー心理学は、私には難しいと思った。けれど、とてもためになることもたくさんあったので、実践できるところだけ、いいとこどりをして頑張ってみようと思った。

 母にアドラーの本を勧めた。母に、読んでもらいたい本だった。母に、変わってほしかった。  結局、母はその本を読んでも、変わってくれなかった。

 ある日、姉が部屋を訪れてきた。「あ、さっきさ、私のと間違えて開封しちゃったんだけど」と、私がインターネットショッピングで頼んだ、漫画の描き方についての本を、包装を開封した状態で、姉が渡してきた。私はとっさに「いいよ…」とだけ答えて、本を受け取った。 姉はそのあと何も言わずに部屋を出て行った。

 ゲームで負けて、煽られて、苦しくなっても、「他人は自分、自分は他人」と理論を思い出すことで、落ち着くことができた。

 よく、(世界が私みたいな人で溢れかえったらいいのに)と思っていた。(私みたいに、自分をないがしろにしてでも他人の幸せのために頑張れればいいのに)と。  (それとも、みんなが自分の幸せだけを追求したほうがいいのかな?)

 よく、中学生の頃を思い出して、友達にどんな面白いことを言って笑わせようか、妄想をしていた。  寂しいわけじゃない。楽しいだけ。

 ある日、母のメッセージアプリに禄話からメッセージが届いた。『よう』と。私は、『なんの用?』と聞いた。返事次第で、また一緒に遊んでやってもいいかなと思った。  でも、帰ってきた返信は『特にない』だった。  私は『あなたたちには、二度と、私にかかわらないでほしい。さよなら』と送って、禄話をブロックした後、母のメッセージアプリの設定を、友達登録していない人からのメッセージを受け取れないように変更した。

 「もう猫飼うの限界だよ…。野生に離したほうがいいんじゃない…?」母が、私にそう聞いてくる。  猫のお世話は、朝、昼、夕、夜の四食のごはんと、トイレの掃除がある。私はその作業を、母に押し付けていた。  空気清浄の効果があると、自室にサンスベリアという観葉植物を買ってみた。  サンスベリアは、どんどん枯れていった。私が、水やりを怠ったからだ。  猫を実際に飼ってみて、サンスベリアを買ってみて、初めて分かった。私は、飼っちゃだめな人間なのだと。

 姉はよく、自分の友達の愚痴を言ったり、テレビで出てきた人を指して「クソジジイ」とか言ったりしているのを聞いて、私はそれが嫌だった。私に悪影響だと思った。

 昔、姉に追い詰められて1000円を渡してしまったことを思い出す。  前に、姉に本を勝手に開封されて、「いいよ」と答えてしまったことを思い出す。  今も昔も、私は姉に逆らえないのだと思うと、むかむかした。

 (例えば、自然を守ろうとは言うけれど、その自然の中で行われる苛烈で残酷な生命たちの争いのことを、許容できるのか)そんなことを思った。

 (誰かのことを思いたくない。どう思うかで、人を傷つけたくない。) どう思われるかで、傷ついてしまうから。 (…感性を失いたい)そんなことを思った。

 思考する。  (人間が、絶滅すればいいのに。猫の去勢、避妊手術。それは、不幸な猫を生まないための手術。生まれてくるべきじゃない命)  (不幸な人を、産まないで。二度と私のような運命の子供を、産まないでくれ)  (自殺したいほど苦しんでいるのに、それでも生きる人を、許容できない)  (安楽死があれば、多くの生まれてくるべきじゃない命を、生まれてくる前に戻すことができる)  (’痛みなんてものがある時点で、神は我々に痛みのない生涯を望んでない)  (もし自分が子供を産んだら、その子は絶対に幸せにならないだろうな)

 世界が滅んで、生命が救われる。そんな作品がないかをインターネットで調べてみた。「世界 滅んだほうがいい」そう検索した。そして、「反出生主義」を知った。  苦しめるくらいなら、産まないほうがいい。生まれてくるべきじゃない。人類は絶滅したほうがいい。ただし、今ある命に死んでほしいというわけではない。産まないことによって、絶滅してほしい。  これを見つけたときは、(私の思っていたことはまさにこれだ)と思った。  この思想は、私が生み出した、私だけのものだと思っていた。けれど、すでにこの思想があると知って、残念だった。この思想を発表して、世界に新しい衝撃を与えることができないことが、残念だった。

 中学生のころから、ずっと考えてきた漫画を、いよいよ描いて、出版社に投稿しようと思った。  漫画は、あまりうまく書けなかった。書くのが、辛かった。だから、下書きの段階のものを一話、送った。今はうつ病であまり絵が上手く描けないというメッセージも一緒に送った。  ペンネームをどうしようか、とても悩んだ。  「思い遺し」そんなペンネームにした。この世界に、思いを、遺す。そんな意味を込めた名前。

 テレビで、「山奥ニート」と呼ばれる人たちのことを知った。山奥の限界集落で、定職につかず、自由に集団生活をしている人々のことを、そう呼ぶらしい。  山奥ニートを紹介していたテレビ番組で、こんなことが紹介されていた。「被災地に来てくれたボランティアの中にはニートの人が多かった」らしい。  (ちゃんと、働いているじゃないか)ニートと呼ばれる人たちが、多く、ボランティアで働いていることを知って、そう思った。  (『働く』って言葉は、どんな意味?お金を稼ぐって意味?誰かのために頑張るって意味?)

 いよいよ、私は遺書を書こうとした。遺書には、自分の今までの人生を綴ろうと思った。  自分のこれまでの人生で考えてきたことを、メッセージとして創作漫画に込める。そして、遺書を遺して自殺して、話題になって、さらに漫画を有名にさせて、メッセージを世界に届ける。そんな、計画だった。  ある日、こんなアイデアが思い浮かんだ。(自伝漫画を描けばいいのでは)  そうすれば、自伝漫画を描いた後には、メッセージを届けるということに縛られないぶん、自由な作品が作れると思った。  自伝制作を、開始した。

 自伝漫画を描こうと思って、実際に描いてみると、訪れる、感覚。うつがひどいときに、私を蝕んだ、あの、気持ち悪さ。  描くのが嫌になってしまった。

 ペンネームを、もう一度考えようと思った。  哲学者みたいな名前を目指した。哲学が好き。今まで、考えることで、乗り越えてきた。考えて、解決してきた。「考える」その行為を、私は、哲学と呼ぶのを知っていた。哲学者になりたい。  ペンネームを決定するのに、たっくさん、思い、考え、迷い、惑った。  だから、「思考迷惑」にした。

 思考迷惑として、多くの人に作品を届けるために、SNSのアカウントを作ろうと思った。そうしたら、いつ始めるかを考えた。大切な日に始めようと思った。だから、うつ病が治ったら、始めようと思った。

 辛いとき、感情が不安定な時、あの頃を思い出すのがいけないんだと思って、過去を連想させるようなものを全部処分した。例えば、小中学校の通知表とか、集合写真とか。  母には反対された。「思い出は大事なものだから」と。うざかった。  卒業文集を開いた。中から、私が黒く塗りつぶした作文のコピーページが落ちてきた。捨てた。  保育園に通っていたころに書いた、両親へのメッセージがあった。「産んでくれてありがとう」そう書いてあった。捨てた。

 スポーツチャンバラというマイナーなスポーツに興味を持った。勇気を出して近所の体験会に行って、参加してみた。  小学生が多いクラブだった。実際にやってみたら、とても疲れた。  その日は、母の調子が悪そうだった。

 昨日から調子が悪そうな母は、病院に行った。  母が入院することになった。  その時の感情を忘れないように、メモを残しておいた。  〈母のかすれた声での入院宣言は、結構ショッキングだった。  今までさんざん死について考えてきたが、それでも身内の死の危険はいやだ。  死について  やはり、死を怖がっている人にとって、死とは恐ろしいものなのだろう。だから、祝う気になれない。 死とは、性質がわかっていても悲しいものなのか。  最初のうちは動揺していたが、のちに早く働こうと言う心持ちになっていった。  猫が死んだときも、こうなるかもしれない〉

 母が入院していた期間は、私にとって、非日常だった。  食事は、お弁当かシリアル。  洗濯機は自分で回す。母に電話でやり方を教わった。  猫の世話は私が全部やった。  食器は全部自分で洗う。  病院には、父に連れて行ってもらった。  なにより、母がいないというのが、いつもの日常を壊していた。

 ある日。有名な、人気のある、俳優が、自殺したと、報道された。このニュースは、日本中に、大きな衝撃を与えた。悲しみに暮れる人々が、報道される。自殺して、残された者たち。  「尊い命」「命を大切に」そんな言葉が、ニュースで流れる。(「命を大事にしよう」で、人は救われないよ)  「死んじゃ駄目」そんな言葉を聞くと、複雑になる。(苦しみを取り除かない、延命は残酷だよ)  (辛かったら逃げてもいい。でも死へ逃げることは許さない。そんなこの世界が嫌いだ)  (辛かったら、逃げてもいいんだよ。死んでも、大丈夫だよ。)  (「死んだら周りの人が悲しむから死なないで」は、おかしいと思う。そんなの、犠牲者じゃないか。日常の、犠牲者。その人が自殺しないで、苦しむことで、日常を成立させている。)  (命を救うことが最優先で、苦しみから救うことは二の次なんだ。)  (自殺志願者に一番有効な延命の言葉は、君の苦しみを取り除きたいという思いを伝えること。)

 (世界が滅ぶ。そしたらみんな悲しむけど、みんな悲しまない世界が出来上がる。)

 (陣痛は、警告なのではないか。『本当に産んでいいの?本当に?』そう、問いかけているのかもしれない)

 一週間の入院を経て、無事、母が退院した。

 私は、今まで、私が死んで、家族の泣いている顔が、想像できなかった。

 ずっと、考えていた。その日も、眠れない夜だった。その日に残したメモをもとに書く。  〈私が死んで、涙している人の姿は想像できない。だが、衝撃する姿は、思い浮かべられる。なるべく、私が自殺したときに、家族に与えられる負担を軽くしなければ。だって、ドアを開けたら切腹死体があるのはショッキングだろう。〉  『報道 自殺者 家』と調べる。〈それに、死体がこの家で見つかってしまったら、この家が報道されてしまう。そしたら、私が誰なのかが広まってしまい、家族に迷惑をかける。罪に罰は必要ない。そう言っても、あの漫画を見た誰かは、私の家族を懲らしめようと考えるかもしれない。それは、なんとかしても避けたい。どこか遠い場所の、山奥で死ぬのはどうだ。きっと、ニュース番組にハガキを送れば見つけてくれるだろう。そしたら、その死体はきっと一時身元不明として報道されるだろう。いや、そもそも、包丁で死ねるのか?〉『包丁 腹 刺さる』と検索する。切腹自殺の苦しみについて知った。〈首吊自殺でも、いいのかもしれない。〉そうメモに書き込む。  〈漫画という形で発表しなくてもいいのかもしれない。小説のほうが、うまく書けないだろうが、早く伝えられる。〉『漫画か小説か。』そうメモに書き込む。  〈果たしてどうだろう。たかが一人、無名の作家が自殺したくらいで、そんなに話題になるのだろうか。一番悔しいのは、この作品が誰の目にも止まらないことだ。誰も、救えない。それじゃあ、私の生きていた意味が、なくなるじゃないか。〉  〈私はある側面を二つ抱えていた。それは私が死んだことをみんなに知ってもらいたいこと。もう一つは家族に迷惑をかけたくないこと。〉

 (私一人の命で、安楽死できるようになったら、それで多くの人を救えたら、本当に生きていてよかったってことになるんだ。私は、産まれてきてよかったってことになるんだ。)  そんな思いで、腹を裂いて、自殺する、妄想。

 〈もしも、死以外に苦しみから救う方法があったなら、それがいい〉  〈首吊でいいかも〉 そして、気づいた。  〈自殺しないという選択肢〉

 SNSアカウントを作った。SNSで投稿した内容は、『』で表す。自伝に記すにあたって、文章の表現をわかりやすくしたり、修正している。  『今日は、私にとってとても記念すべき日です。』  『はじめまして。「思考迷惑」といいます。漫画家を目指しています。どうか、よろしくお願いいたします。』  『私の言うことは、たとえ本当でも、嘘かもしれないと。たとえ嘘でも、本当かもしれないと、疑ってくださいね。』  『これから私は、おそらく、漫画家としての道を歩んでいくことになります。辛いことがあって、耐えきれなくなることも、あるかもしれません。それでも、どうか、心を強く持っていきましょう。』

 父が庭に洗濯小屋を作るらしい。ある日、そのお手伝いに誘われて、とくに断る理由も見つけられなかったので、私はその手伝いをしていた。  休憩中、考えた。  (誰かを幸せにしたら、生まれてくるべきになるの?)  (私は、その子の幸せにかかわらず、誰かを幸せにするのなら生まれてくるべきだと考えている。個人の幸せより全体の幸せを優先している。それじゃ、私は私のような不幸な子供が生まれることを許すということ?誰かを幸せにする人は生まれてくるべきだったのか?その人の幸せだけが生まれてくるべき基準なのか?)  (私は、どうやっても生まれてくるべきじゃなかったのか?)

 どんな漫画を描こうか、考えていた。ギャグ漫画を描こうと思った。アイデアを練っていって、そうしたら、思った。  (笑いとは、誰かを笑いものにすることから逃れられないのかもしれない。)

 (命を懸ける意味はあるのだろうか…。腕を捧げるのはどうだろう。金を捧げてもいいかもしれない)

 招き得た世界について、漫画を描こうと思った。けれど、調べてみたら、もうすでに、私の考えていたような作品があった。  私の考えていることは、全て、誰かがもうすでに考えていることなのではと、また、不安になった。

 『老少不定という言葉を知っていますか?いつ死ぬかわからない、みたいな意味です。おそらく。私はそれがとても恐ろしい。自分の死ぬ時は自分で決めたい。それが願いです。』

 『初給料をもらったら何を買いましょうか。今ほしいのは防弾チョッキですね。』

 (神は残酷だ。だからその神が生んだものも残酷だ。神よ滅べ。その神が生んだものも滅べ。)

 「思考迷惑」の英訳を決めた。「ThinksVacillations」今思うと、英訳は必要なかったと思う。どうせ、「ShikouMeiwaku」って呼ばれることになるのだから。

 誰かを作品で傷つけてしまうことを恐れた。例えば、キャラクターの死に方が、その人の家族が死んだときと同じで、その時のつらい気持ちを思い出させてしまうとか。  考えていくうちに、誰かを傷つけない作品なんて、無理だと思った。  (頼むから、傷つかないでくれと、願うのは、問題を放棄していることになるのだろうか。)  (誰かに対して無害でありたい)

 (私が世界を救うなんて、無理なんじゃ)自分の漫画が通用するか、不安になる。

 『作家としてやっていくのか、ここで終るか』  『この葛藤は一時的なものなのか。それとも、ずっと続くのか。』  『もう、本当に世界が平和になりますように。そしたらこんな苦悩消えるのに。』  『平和とは、誰も苦しまないこと。辛くないこと。』この小説ではそう定義する。  『助けて。助かって。』

 『人と関わっていいのか。私がいずれなにか問題を起こしたら、関わった人たちに迷惑がかかってしまう。』

 独り言を自覚するようになった。後悔すべき思い出がフラッシュバックすると、手をつねったり、頭を叩いたり、「死ね」とか、「くそッ」とか、そんな、激しいことを呟くようになった。

 『銃で襲われたときを考えて、弾の取り出し方くらいは知っておかなければならないなと思います。エアガンを買って、練習するものいいですね。』  『防弾、防刃装備がほしいなぁ。護身術も覚えたい。まだ、死ねない。』

 私には、自殺が一番ふさわしい死に方なのかもしれないと、思った。

 『世界中で、安楽死が、できるようになってほしいんだ。』  『思い、考え、迷い、惑ってほしいんだ。』

 『スタンガン、いいかもしれない。痛みに悶える人を気絶させ、救えるかもしれない。』  『調べてみたら、どうやら気絶まではしないらしい。残念だ。』

 『お金がほしい。早く、この場所から離れたい。』  『地域から、家族から。』  『私は彼らに影響されたくない。』

 『無念の死だけは絶対にいやだ。』

 『息が詰まりそうだ。けど、逃げ道はある。もう全て手放したい。どうして私がこんなにも頑張らねばならないのか。世界を変えられるか。けど、結局は無駄なのか。ほんと、世界が平和なら、よかったのにな。』

 『物語をつくるって、楽しいよ』

 『哲学を学べば、別人になれるかもしれない。変われるのなら変わってみたい。』

 安楽死について、調べてみた。そしたら、『もしも安楽死が導入されたら』そんな動画が見つかった。その動画では、こんなことが言われていた。「安楽死が導入されたら、安楽死があることを理由に、老人や病人などに対して、死ぬべきだと圧力がかけられるのかもしれない」それは、私にはなかった発想だった。  『ちょっと揺らいできました。安楽死ができることがいいことなのか。私は今まで安楽死ができるようになることが正しくてよいことだと思っていました。ですが、その後の世界を想像することをしていませんでした。果たして、それが正しいのか。これには議論が必要です。多くの人に語り合ってもらいたい。』  『何が正しくて何が正しくないのか、を私は自分一人で考えようとしていました。ですが、それでは足りない。なんだか、私にできることは皆さんに、何が正しいのかを議論をしてもらいたいと願うことだけなのかもしれないと思えてきました。私は臆病で、おそらく議論に混ざることはできません。』  『改めて、皆さんに、思い、考え、迷い、惑ってほしいんだ。』  『きっと、この先に平和はある。』  『やっぱり、哲学ってすごいや。』  『いずれ、私が、このアカウントを使って、皆さんと議論をすることがあるかもしれません。そのときは、悪意とかは無しで、真剣に、だが時々ゆるく、やっていきたいです。どうか、よろしくお願いします。』  『毎日一歩ずつ、私は進んでいってます。今日は大きな一歩です。』  『どうしよう。またペンネームを変更したくなってきました。思い、考え、迷い、惑うことだけが哲学じゃなかったんですね。話し、聞くことも、哲学だ。』  『一人じゃなく、みんなで。』

 スポーツチャンバラで、うまく、クラブの子供たちの調和に入れなくて、私は、いづらかった。

 『記憶の消失は恐ろしいですよね。いや、むしろ、すべて忘れてしまったほうが幸せかもしれないですが。』

 『今、この時代に、私の作品を届けられないのが残念だ。なるべく早く仕上げたいとは、思っているのだが、活力が湧かない。』  『自分の部屋が、休む場所、ゲームする場所となっていて、全く仕事がはかどらない。』  『一切の趣味を封印して漫画制作に打ち込みたいのだが、そうはいかなくて、複雑だ。』

 自分の部屋じゃ集中できないから、リビングで自伝漫画を書こうと思った。  母に、リビングをきれいにしたいと、何回も言ったけれど、母はそれを聞くだけで、実際にリビングをきれいにしてくれるわけじゃない。リビングは、母と姉と父の荷物でいっぱいなのに。  ある日、母に、また、部屋がきれいになっていないと注意した。そして、部屋に戻った。リビングは、母と姉の二人きりになった。  リビングから、母の愚痴の声が聞こえた。それが、耳障りで、眠れなかった。

 私が、リビングでアニメを見ていると、姉が二階からやってきて、席について、「ニュースが見たいんだけど」とつぶやく。私は、何も言えず、アニメを中断して、ニュースを映す。

 姉は、いつも、リビングで、スマホゲームをしている。  母に、「姉ちゃんのゲームも制限してよ」って、言っても、どうせ、母は、何も言ってくれないのだ。

 父の洗濯小屋建設のお手伝いを、姉はやらない。いつも私だけが、手伝っている。  姉の、テレビが見やすい特等席、姉だけに用意されたトレ、トイレのスリッパ、リビングの独占、自分だけ父と絶縁。ゲーム。  姉に対してずるいとは思ったわけじゃない。ただ、いつも平等を掲げているのに、自分は贔屓されているのが、不条理で、気に入らないだけだった。

 姉はなんでも私との平等を掲げる。ご飯の値段や、お菓子の数。(食べる量が違うのに、平等もなにもないだろ)  (お前は平等主義者じゃない。ただ、自分への不平が許せないだけだ)

 『私がただのやる気のないやつなのか、それともうつ病のせいなのかわからなくなっているよ』

 『もう一つ目標ができて、私、うつ病の研究をしてみたいです。うつ病を一日で寛解させる方法を開発したら、それはもう偉人ですよね。ノーべル平和賞を受賞しちゃうかもしれません。どこで勉強したらいいのでしょうか。何になればいいのでしょうか。』

 『体調悪い、気持ち悪い』  『私は弱い』  『うつ病を、本当に早く治したい。』

 うつ病の、苦しみ、気持ち悪さを、言葉で表現しようとした。  「心がドキドキして、動けなくなる」  「胸のドク…ドク…とした嫌な感じの鼓動が、鳴り止まない。」  「心がそわそわする。心臓の鼓動が響く。」  「ため息を吐く時の気持ちで、固定されている。」  「胸が、喉が、なんか気持ち悪い」  「吐き気のような直接的な気持ち悪さじゃない。」  「吐き気じゃない。これは吐く直前の感覚だ」  この苦しみ、気持ち悪さに、名前をつけた。「胸糞悪い」

 『私はまだ、何がやっていいことで何がやってはいけないことなのかがわからない。これは克服すべき問題だ。』  『だから、やってはいけないことをしてしまったときは反省をしよう。それで相手が許してくれればいいのだが。』  『私って間違ってばっかりで、だから、正しくなりたい』

 こんなことを考えた。(みんな、コピー品。『人間』の、コピー品。コピーはそんなに正確じゃなくて、それぞれに個体差がある。けど、コピー元が同じだから、みんな同じなんだ。みんな違うけど、みんな同じ)

 (すべての人間が、人間を象徴できる)

 『眠れません』  『中学校の保健体育の教科書にうつ病って載っているのでしょうか。もう全部捨ててしまって、わかりません。載っていて、かつ、教えていたら、いいですね。』

 『何もしないこの時間で何かをしたい。と思うってことはやる気があるってことなのだろうか。でも、結局何もできないでいることは、やる気がないってことなのか。』

 『英語、せめて読める、聴けるようにはなりたいと思っています。多様な知識が得たい。でも、どうやって勉強すればいいのでしょう。』  『英語はとにかく、語彙を増やすことだと考えています。』  『もし有名になったら、「思考迷惑と一緒に英語を感覚で覚えよう!」みたいな企画をやってみたいです。』  『それか、「読むだけで英語が身につく」そんなテーマで漫画を描いてみてもいいかもしれません。』 『他にも、今考えているのは、「読むだけで人間不信が改善される漫画」というものがあります。まあ、先にやることが山ほどあるのでかなり後になるでしょうが。』  人間不信を治す方法を、いっぱい考えた。「人間不信とは、人間との良くないエピソードがトラウマになっていて、人間の酷さを忘れられない状態なんだ」と考えた。そして、「人間不信を治す方法は、人間を忘れることだ。」という結論になって、漫画はあきらめた。

 『漫画、描きたくないなぁ…。今は描きたくない。心機一転したい。』  『信用されたい。この人なら、絶対に裏切らないと、思われたい。』  『一日一日が、長い。』

 『過去に囚われた生き方だ』

 『やはり、今この時代にこの自伝漫画を届けられないのが悔しい。』

 『自分が毎日飲んでいる薬がとてつもなく高いことを知りました。』  『目指せ!安くて効果の高い薬の開発!』  『ちなみに一日約600円です。一ヶ月で18000円…。一年で216000円…。これを知ったケチな私は、仰天しました。』

 『なんのために生きるのだろう。不安だ。』  『私ってちっぽけで、何ができるのだろう。』  『みんな、なんのために生きているのだろう。』  『私は馬鹿だ』  『人間が苦手だ』  『そうだ、哲学があるじゃないか!哲学を勉強しよう!』

 『みんな、どうなのかな?善人っているのかな?一度も悪いことしたことない人っているのかな?こんな自分でも、はたして、いいと言ってくれる人はいるのかな?みんなは私に何を求めるのかな?反省?罰?死?いいのかなこんな自分で。』

 「人間関係リセット症候群」というのを知った。私のことだと思った。

 (もし、悪意で思考迷惑の名前や住所がばらまかれたら、どうしよう。多くの人が、被害にあう)  「私ね、偽善かもしれないけど、多くの人を救いたいと思っていたんですよ。それなのに、こうして、多くの人を不幸にしてしまった。」そんなことを言って、死ぬ、妄想。

 『怖い』  『あなた達が、怖い』  (人間としての醜さを露呈してしまった私は、どうなるのだろう)

 (人間は、痛いのに、苦しいのに、それでも生きたいという狂った生物たちを絶滅させることができる)

 姉が、自分の部屋に行く時間なのに、まだリビングにいた。あれだけ、父が部屋に行くのが遅れたときには母を責めていたのに。  私は、持っていた食器と箸で、箸を食器にリズムよく叩いて、「カンッ、カンッ、カンッ…」と音を出した。  姉はため息を吐いてリビングを出て行った。

 姉に、ため息で攻撃されるようになった。だから、私もため息攻撃をやり返した。

 ある日。リビングの机に置いてあった姉の診断書を勝手に見た。うつ病とか、そんなことが書かれていた。

 『私の関わったものにはマイナスイメージがつく。なんて考えは私特有のものなのでしょうか。だとしたら最低だ。』

 『作品をどう受け取られるかは、作者が最も気にするところではないでしょうか。果たして、思考迷惑は、皆さんにはどう見えるでしょうか。感動の物語?恥ずかしくて見ていられない?痛々しい?胸糞悪いだけ?薄っぺらい?』  『不安だ…』  『悪意を受けたくない』  『SNSをやっていて、辛くなるようなこと、悲しくなるようなことがあったら、もういっそのことアカウントを閉じてしまってもいいかもしれない。そして、どこかいい場所で哲学カフェを開いて、ひっそりと漫画を描いたり、薬を開発したり、してみてもいいのかもしれない。そんな希望。』

 メモが残っていた。〈生きてる意味が幸せであるかどうかなら、幸せになればいい。ただそれだけじゃないか。どうやって幸せになる?人間と関わりたくない。関わってしまったら、幸せになれない。と思う。この考え方は覆るのか。アニメやゲームとかは好きだ。自分の幸せのために、誰かが犠牲になるのは嫌だ。誰かが不幸なままで、自分が幸せになるのはいやだ。誰かが幸せになる物語は好きだ。動物は好きだ。でも、接するのは苦手だ。他には、自然は好きだ。でも虫は苦手だ。植物が好きだ。気が楽で。勉強を好きになりたい。学問に没頭するのは幸せそうだ。だんだんと見えてきた。虫の少ない自然の中、俗世から離れて、アニメや漫画を見て、ゲームをして、誰かのためになる学問を見つけて、研究に没頭する。でも、正しいを追い求めるには、他人の意見を聞くことも大切だ。…やだなぁ、他人と関わらなくちゃいけないの。最低限にしよう。哲学カフェ…はどうしよう。飲食店は難しそうだ。収入は漫画で得よう。あぁ、人間怖いなぁ。お店に落書きされたらどうしよう。悪い評判流されたらどうしよう。人間の悪意が怖い。でも、議論するのは楽しそうなんだよなぁ。でも人間怖い。ああ、もういっそ、人間と完全に縁を…切れないよなぁ。人工の半分がロボットならいいのに〉  〈自分の幸せについてよく考えたことは、初めてかもしれない〉

 (いや、お前は幸せになっちゃダメだろ)  (私は私が胸糞悪いクソ野郎だということを忘れていた。こんな奴の結末は一つに決まっているじゃないか…)

 (死にたい。楽になりたい。疲れた。)  (課題が、使命が、しんどい。)  (もう、私の生存本能は解除されている。)  (死は楽。)  (理想の生活が、もはや死。)  (生きがいもない。  (『生きたい』がわからない。)  (けれど、今まで、ずっと、『死にたい』は尚早だと疑ってきた。)

 また、スポーツチャンバラクラブに体験しに行った。  スポーツチャンバラは、エアーソフト剣を使うので、けがのリスクが少ない。  けれど、相手にけがをさせてしまった。持ち手の固い部分が、相手の指に当たってしまった。  相手は、「いってぇ~」と痛がった。その、痛がる素振りが、私を、追い詰めた。  スポーツチャンバラに行くのを、やめることにした。

 『最近注目しているアニメの話をしてもよいだろうか。私が。』  『下手に隠すよりも、もう明けてしまったほうがよいのではないか。』  『でも、私の悪い印象がその作品についてしまう…。こんなこと、気にしなくていいのかな?』  『嫌いな人の好きなものは嫌い。 じゃないですか?皆さん。私はそうです。』  『好きな人の好きなものも、嫉妬してしまい嫌いになりますが。』  『難しいですね。』  『私は風評被害なんて気にしないので大丈夫です。』

 好きなアニメの、悪口を言っている動画があった。  その動画の投稿主を、どうやったら傷つけられるかを、ずっと考えてた。  応援コメントを書き込んで、相手が好意的な反応をした後に、「何調子のってんの?」と手のひらを返すことを考えた。  でも、通報されるリスクを考えて、躊躇して、その害意を鎮めることができた。

 作家という職業は、私にとって適職だと思った。(きっと、自意識過剰な性格は、作家によくあっている)

 『ゲームを買ったのですが、やってみて、あまり楽しくなれませんでした。』  『ゲームがしんどい』

 『漫画、描けない。好きなゲームのイラストなら描けるのに。』  『昔はゲームを一日中ぶっ続けでやることができたのですが、今ではエネルギーが途中で尽きてしまいます。』  『ほんとに、もう辛い感じはなくなってきて、あとはやる気やエネルギーを蓄えることができれば…って段階なんです。それとも、もう完全に回復していて、私がただやる気がないだけなのかもしれないですが。もしそうだったら、不安です。』  『何年後も何十年後もこのまんまなんじゃ…』

 『漫画が描けない』

 母と姉と私で、回転寿司に行った。  食後、姉はパフェを頼んだ。母は、私もパフェを頼んでいいよと言った。けれど、私はいらなかった。母は私に、パフェの分の差額をあげると言った。私は差額なんていらないと、姉がいない時に話した。  母に差額を求めるなんて卑しいことだと伝えたけど、「普通のことだと思うけど…」と反応された。姉のあの傲慢な態度はどうにかできないのと聞くと、「わがままなのが病気。病気のせい」だと説明された。  悲しいよりも、腹立たしい。姉への憎しみが強くなっていく。  (憎しみなんて感情、とっくに超克したはずなのに)  姉の態度が、言動が、とにかく、嫌だった。影響を受けたくなかった。だから、私は、姉を、避けるようになった。自分が、傷つかないためにも。  姉がリビングに降りてきたら、すぐに二階に行くようになった。  姉と一緒に買い物に行かなくなった。

 『自分というキャラクターを演じているようだ』

 『私はほんとまちがってばっかり』

 ゲームで、煽られた。復讐をすることしか頭になかった。 そして、煽り返した。

 (私は、胸糞悪さへの耐性がない)  (誰かの不幸を、許さなければならないのかもしれない)  (大事なのは、許さないと思ったあとにどうそれを解消するかだ。)  (いや、大事なのは胸糞悪さをどう解消するかだ。胸糞悪いという感情を消すことなのかもしれない。胸糞悪さに耐えなければならない。) (罪を犯した人間が、罰もうけず反省もせず、幸せになる。そんな漫画を描いてもいいのかもしれない)

 『うつ病が治ったら学びたいことがいっぱいある。やりたいことがたくさんある。あってよかった。』

 『本を読んでいるのですが、もしかしたら双極性障害のほうなのかもしれない可能性が出てきました』

 『他人からどう思われるかを想像すると、落ち込みます。』  『あーつかれた。今日はよく眠れそうです。』  その日は、寝る前に、『鬱ゲー』について調べていた。プレイしていると、鬱になりそうなゲームのことを、『鬱ゲー』と呼ぶ。私は、その鬱ゲーから、何か、見つけられるかもしれないと思っていて、よく気になっていた。  そうして、本当に見つけてしまった。   『あるゲームを知って、一刻も早くこの作品を完成させねばとおもった。遊んでいる暇などないのだ。でも、つらい。やらなきゃいけないと思った。必ず 楽じゃない バランスがわからない。明日には忘れているかもしれない。焦りは禁物なのかもしれない。どうしよう。どうすればいいんだろう』  作者の実体験をもとにしたという鬱ゲーを見つけた。その、作者の遺したという遺書も読んでみた。それは、あまりにも、凄惨ないじめの記録で、(早く自伝を完成させなきゃ)と、思った。そして、切腹自殺をして、話題になって、有名になって、この作品を、より多くの人に、世界に届けなきゃと思った。  『どうなんだろう。今の私は少しおかしいのかもしれない。明日には正常になる?でもずっとこのままでいたい。眠れない。興奮している。すべてが時間の無駄だ。もうどうしたらいいかわからない』  漫画よりも、小説のほうが、早く完成させられる。だから、自伝は小説で書くことにした。  『小説って、どうやっけ書けばいいんだろう。わからない。これじゃあ、だめだ。』  徹夜して、自伝小説を書いた。とにかく、早く完成させなきゃと、焦っていた。

 翌日。『なんでもかんでも、楽な方にと進んでいく。これがだめなのかわからない。あとのことが考えられない。なんとなくだけど、世界の苦しんでいる人を救いたいと思う。でも方法が一つしか思いつかない。でもその道はすごく大変で辛い。』  『たかが小説を書くだけのことが今の私には辛い。でも、いつ書けるようになるの?いまだって、いじめや辛い人が世界にはいるのに。救えないのが悔しい。誰か、私の代わりに手を差し伸べてくれればいいのに。』  『少しだけ仕事をしたけど、本当に少しで、これでいいのかって思う』  『もう物語はできているのに、それをまとめることができない』  『現在って、いじめとかの胸糞悪い現象がどのくらいあるのでしょうかね。どんなに頑張っても、それらを無くすことはできないのでしょうか。無くしたいです。そのために、わたしにできることを、考えたのですが、辛くて。私より辛い人なんていくらでもいるのに。』  『早く楽になりたい』  『自分が努力して、多くの人が救われるなら、それがどれほど素晴らしいことか』  『毎日、コツコツやっていけば、いつかは完成するのかな…。本当に、申し訳ない。』

 翌日。『落ち着きは取り戻したように感じる。でも、目的は変わっていない』  『普通に買い物を楽しんでいる。こんな暇あるの?あのときのような罪悪感の苦しみは、今はない。いいの?』  『家族には平静をよそおう』  『気分が気持ち悪い。嫌だなぁ…』『嫌だなぁ…』ずっと、切腹して自殺することを考えていた。  自殺についての本をインターネットショッピングで注文した。  『とにかく、完成させましょう』  『忘れてきてる。ずっと、頭の中において置かなければならないのに』  『ダラダラしてたら、落ち着いてきました。』

 翌日。当時残した文章をもとにして書く。  『(みんなが自分をないがしろにして他人を幸せにしようとする世界と、ひとりひとりが自分だけの幸せを追求する世界、どっちが平和なのだろう。)また、そんなことを、一人、考える。 (自分だけの幸せを追求するほうは、例えば、他人をいじめたりすることは楽しいから、いじめが起こるよね。そしていじめられた子は、すこしでも幸せに近づくために、自殺する。他人の幸せを追及したら、いじめはいじめられたその人にとっては不幸だから、いじめは起こらないね。) (じゃあ次は、お金。お金を自分のためだけに使うと、どうなる?…お金を稼ぐ能力がある人が、お金を多く持つことになる。だから、貧富の差が生まれる。とくに、お金を稼ぐ能力の低い高齢者や体に障害を持つ人がいて、その人たちはどんなに自分の幸せのために頑張っても、貧困が付きまとう。それに、他人の幸せを考えないと、人を騙したりお金を強奪したりしてお金を稼ぐ人がでてくる。…他人の幸せだけを優先させるほうは、他人のために働き、他人のためにお金を稼ぐ。そして、そのお金を他人のために使って、またそのお金は他人のために使われることになって、の繰り返しじゃないか。そもそもこの世界ではお金は何のために使うのだ?そもそも、誰もお金を求めないんじゃないか?お金はもしかしたら、お金自体が、自分だけの幸せを追及するほうの世界にしか存在しないんじゃないか?) (いじめがあって、貧富の差が生まれて、人を騙したりお金を強奪するのは、まさに今のこの世界じゃないか。) 自分のお腹にナイフが刺さっている様子を想像した。どうせ私は、一発目で深く入れることができない。だから、二回も、三回も、ナイフを押し込まなくてはいけない。恐ろしい。怖い。 「他人のために死ぬ」について調べてみた。「メサイアコンプレックス」についても調べてみた。 (世界中の人がメサイアコンプレックスになったら、まさに、他人のために自分をないがしろにする世界だと思うんだよ) (過労死がでちゃうかな?でも、周りが心配してくれるから大丈夫か。でも、心配されても助けられても働き続けちゃうか。でもそしたら強制的に休ませるか。みんなはその人のために、その人に過労死されたくないから。でもその人はみんなのために過労がしたくて…その世界はもう、みんな自分の幸せという概念がないのか。いや、もしくは、誰かのためになることが、最大の自分の幸せなのか。そしたら、過労死することは、彼にとっての幸せだから、みんな、それを見守ってくれるんだね。でもその人が死ぬことは誰かにとっての不幸なんじゃ。そしたら…でも、それじゃ、その人は過労をやめて自分の命を大事にするね。うん、やっぱり、みんな幸せになるね) (まぁ、極端な話なんだろう。バランス。過労死の空想も、最後は自分の命を大事にしたよね…そう考えると、自分だけの幸せのほうも、他人を幸せにして、お金を稼げるよね。そしてだけになることもない。いや、案外同調圧力なんかで一極化するのかもしれない) (私は結局、自分をないがしろにすることができていない) (でも、誰かのために、頑張っている) (そう、自分をないがしろにしなくても、誰かのためになることはできるんだ) (私は、誰かのために自分をないがしろにして、その姿を、みんなの指標にしようとしていた) (じゃあ、誰かのために頑張り、そして自分のために頑張る、今の私を、指標にすればいいじゃないか) (…この作品が、みんなが誰かのために頑張る、トリガーになればいい) (この作品で、議論を巻き起こせばいい) …私は、 (思い、考え、迷い、惑う) 腹にナイフ刺したくないよぉ… (勝手に他人がどう思っているか想像して、勝手にその考えに影響されて、勝手に自分の思考に組み込んでいるだけなんだ) (本音だよ。私は私のこと許してるよ。私は私に苦しんでほしくないよ。私は私に幸せになってほしいよ。私はみんなに幸せになってほしいよ。私は世界が滅びてほしいよ)』  『もうなんか、全て放り投げ出したい気分』  『何が正しいことなのか、良いなのかわからない』  『今、苦しんでいる人はいるのだろうか。きっといるよね…。その人たちは、一体どうすれば苦しいから脱することができるのだろう。』  『救わなくてはならないという気持ちは、時間とともに消えていくものなのかもしれない』  『だから、更新していかなければいけないのかもしれない』  『弱くてごめんなさい』  『私は、絶対に、自殺するよりも、この作品を多くの人に届けます。有名になってみせます。変えてみせます。 また、私が自殺したほうがいいって結論が出るかもしれませんが、それまでは、がんばってみます。』

当時残したメモを、そのまま載せる。 『いじめ事件について調べていた。その子は、一人ぼっちで給食を食べていたらしい。机が離れている 机を付けた うわぁ誰だよ ざまぁみろって気持ちになった 私も、机をつけていなかった。でもたまに付けてた  私が話題に上がるのがいやで、眼路委にみんなの興味が行くよう仕向けたこともあった、眼路委に話題が行ったときは安心した 忘れていた  私は今、この話をこの作品に記入しようか迷っている。そういうところが最低で、本当に、… 私はもう、おかしい。こんなことを思い出しておいて、罪悪感もなにもわかない。この作品をどう締めようか、冷静に考えている。本当に、こいつは、 胸糞悪い … 絶対に、無くさなければならない。いじめの被害者も、加害者も、傍観者も。 いじめを無くさなければならない。 平和にならなければならない。 そのために、私にできる、最大のこと。 この作品を、完成させること。読んでもらうこと。遺すこと。』

 『1月までには、完成させて、公開できるように頑張ります。』

 『みんなが幸せになりますように…って思うと、幸せになれます』

 自殺についての本が届いた。  やはり、割腹自殺というのは、すごく苦しい死に方のようで、本書でもあまりおすすめされていなかった。  首吊り自殺は、かなり楽な死に方らしい。それは、すごくよかった。

 『最近少し前向きになったというか、妄想が減ったというか…。まあ、いいか。』

 『自分の小説書くって結構しんどいですね…。やりたくない…。』

 『昨日も一昨日もその前の日も、小説を書かなかった。一体、いつになったらやるのだろう?』

 『助けを求められたときのために、私はどうすればいいのか。』

 『1月までに終わりそうにないです…。早く終わらせて、自由に作品を作りたいのに…。パソコンに向かうのが嫌です。こんど病院の先生に相談してみようかな…。相談できるかな…。』

 ある日。私は、とあるゲームのお問い合わせに、そのゲームの改善案を送りまくった。 それを、注意された。そして、初めて気づいた。私は、独りよがりだって。

 過去に、割腹自殺した文豪のことを知った。もし、このまま割腹して自殺していたら、彼の模倣と思われていたかもしれないと思った。知れてよかった。

 (自殺が流行して、責められるかもしれない)そんな不安があった。

 誰とも関わらず、一人で生きる。そんな物語を書いてもいいかもしれないと思った。

 鏡を見た。いつのまにか、目の下に深いクマができていた。

 (私は果たして、すべてを呪って死ぬのだろうか。それとも、すべてを許して死ぬのだろうか。)

 自分の物語が、ちゃんと、通用するのか、不安になる。  (大丈夫、私の人生は物語としてよくできている)そう思って、落ち着く。

 熱中することがなくなった。熱中しようとしてもむなしい感じがする。

 心は、何よりも大切である。そんなことを、どこかで思っていた。

 (アドラーになりたい。アドラーみたいに、偉大な思想を生み出して、時代を超えて誰かの手助けをしたい。あるいは偉大な発明をしたい。)  (そのためには、やっぱりたくさん勉強をすることだ。)

 (あなたには、この物語が、許容できる?)

 (『良い』と『悪い』がある)そんなことを考えていた。  『良い』とは、絶対に良いもの。『悪い』とは、絶対に悪いもの。何が良いか悪いは、人間には知ることができない。まさに、神のみぞ知る。  例えば、人を殺すことは、実は『良い』なのかもしれない。例えば、肉を食べることは『悪い』なのかもしれない。でも、それは人間にはわからない。  世界は常に『良い』方向へ向かっていかなければならない。  神のみぞ知る『良い』と『悪い』に、人間が近づくためには、思考すること、議論することが必要である。つまり、哲学をすることなのだと、思った。

 世界で言語が一つに統一されたらいいなと思った。作家はもっといろいろな人に作品を読んでもらえる。人々はもっと他人のことを理解できる。  言語統一が、私の、夢。

 (人間の社会に身をおくということは、虫箱の中に手を突っ込んでいるみたいに、それぞれが、蠢いていて、気持ち悪い)

 たまに、異常に死にたいと思う時が来る。  (どうして私がこんなに苦しまなくてはならないんだ)  (どんなに死にたいと思っても、結局死なないんだろうな。死ぬべきじゃない理由を見つけて)  (死にたいと思っても、それは早計だと思ってきた。だけど、それはその後、いつか訪れる苦痛のことを考えていないからだ)  (思考迷惑、お前は死んだほうがいいんだよ)

 SNSで、『死にたい』と投稿して、『死ねば?』と返答される。そんな妄想をして、世界を再認識する。

 (この世界は、地獄だ。だけどみんな、地獄から出ていくことを許さない。悪魔だ)

 (私は、学校には否定的だ。おそらく、義務教育の中で、必ず一度はいじめっ子、いじめられっ子、傍観者のどれかに属することになる。そして、どれに属しても心に一生の傷を負うことになる)  (私は、いじめっ子、いじめられっ子、傍観者のすべてを経験してきた。だから、こうなった)

 もし、この自伝小説を読んだ、昔の同級生や知り合いが、私に会いに来るかもしれない。そう思って、それは嫌だなと、思った。だから、こんなことを自伝に書いておこうと思った。  (あなたたちとは、今後、絶対に会いたくない)

 (この世界は私を主人公にした物語なのではないか。なら、今すぐに死んで、この世界を終わらすことが、この世界に私ができる一番の貢献なんじゃないか)

 ある日、母と昔のことを話していた。母は、「ママが悪かったの」と私に話してくれた。  思わず、笑ってしまった。

 (私のことが許せない人たちと、ちゃんと向き合っていかなければならない)

 姉がリビングに降りてきたので、私は二階の自分の部屋に向かった。部屋から出ようとしたとき、「イエーイ」と姉がつぶやいた。

 姉の部屋から、笑い声が聞こえる。私は、それが、姉の、癇癪を起しているときの声に聞こえて、落ち着かなかった。

 姉が憎い。姉を殴る妄想をする。脳汁が出る感じがして、やみつきになる。

 (本当に大事なことだけが記された、教科書が作りたい。)

 (誰かを傷つけない、傷つかないためには、一人でいるしかない。)

 (罰がないと更生できない?罰ではなく別の何かが必要なのかもしれない。例えば、鬱にするとか? いや、罰として、その人への暴力や犯罪があるのがいけないんだ。)

 薬でうつ病を治すことが、よいことなのか。痛みを知らない子供は残酷だ。でも姉はうつ病なのにあんなだ。じゃあどうすればいいんだ。『傷ついた人は誰かを傷つけない』は違うのか?私みたいに虫をいじめるやつもいる。  理想は、みんな傷ついて、みんな傷つけない? 

 (死にたい。今すぐ首を吊って死にたい)夜になるとこの気持ちが強くなる

 (過去の人たちが遺したものを、全部受け取りたい)

 インターネットで、喧嘩している人たちを、見る。私が入ったら止められそうなものだけど、私は無視する、傍観する。  (私は、学生の頃からなんにも変わってない。)

 執筆を始めようとすると、必ず便意か尿意のどちらかに襲われる。

 人間は、よく間違える。そう思うことで、間違えている人を見つけても、落ち着くことができる。

 (誰かを不快にさせたりする作品はだめなのか?でも、気持ちよくさせる作品しかないっていうのも違う気がする。私は作品を、生み出せるのか?)  (全部が全部、誰かを傷つけてしまいそうな作品なんですよ。人が残虐に死んだり、誰かを非難してしまうような作品)  (でも、作品を生まないとお金が手に入らない。お金がなければ生きていけない)

 『18歳になるまでに小説「思考迷惑」を完成させる!が目標です。18歳になったら、やりたいことをやりたいだけやります。』

 『早く執筆から抜け出したい…』

 12月31日。この日から、メモをつけるようになった。

 (たくさん勉強をして、世界を平和に近づけていきたい)

 『どうせ死ぬことが決まっている人は、どんなこともできる。そんな作品を考えていた。どうせ死ぬから何でもできる。制約を与えようとしても、無駄だ。自殺をする人を減らせば多くの人を救える』そうメモ帳に書いて、気づいた。  (いや、自殺を考える人を減らすんだ)  (自殺をする人を減らそうとしている世間は。でも、自殺を考える人を減らさなければならない)  (命を救うんじゃない。心を救うんだ)  (氷解した。違和感が溶けた)

 (作家、もうやらなくていいって言う気持ちがある。勉強に集中したい。作家に魅力がなくなってきた。)

 『息を吐くたびに、心が(胸のあたり)、重くなるような、押さえつけられるような、やはり、うまく説明できない。ただ、なんとなく、居心地が悪いのだ。落ち着かないような。』そうメモ帳に書き込む。

 将来が不安になってくる。作家として、お金を稼げるか不安。勉強はできるのか。  そして、すぐ、死にたいってなってしまう。  (作家としてお金を稼いでいく…か、あるいはどこかの企業が支援してくれないかな)   (まずは英語、そしたら心理学や哲学、気が向いたら脳や体、勉強や読書の仕方も知りたい、作家として生きていくなら物語を読み込まなくちゃいけない。何を勉強したらいいのかも勉強しなければならない)  『研究者になりたいのかもしれません。研究に生涯を捧げることに、憧れています。』  『研究者と学者ってなにが違うんだろう…?』

 『また間違えた…。間違えてばっかり。間違えをしないためには、どうすればいいのだろう』  『私の間違えを、どうか、許してくれませんか』

 『あー勉強したい』  『もうやりたくないって思ったことをやらなければならないって、難しい。』  『方向性もわからなくなってきた』

 『やっぱり、早く完成させたいです。』

 『将来が不安になってきました』  『お金のことが心配で、もう、落ち着かないような、しんどい感じがする。』  『お金を得ることに集中しすぎて、他にやりたいことがおろそかになってしまうのが怖い。』  『私のやりたいことをやるためには、お金が必要で、どう、お金を得ればいいのか』  『漫画家や小説家、ゲーム開発者など、作家としてお金を稼ごうと思っていた。けれど、本当に優先したいことを再確認して、漫画を描いたりすることをやる余裕がなくなってきた。』  『私は、たくさん勉強をしなければならない。そして、その学んだことをいかして、作りたい。信じてもらえるかわからないけど、誰かのためになるような、世界を少しでも平和にできるような、機械や、薬、哲学や心理学とか、いろいろなものを、作りたい。』  『つまり、私は学者や研究者になりたいのだ。勉強をして、お金をもらいたい。開発をして、お金をもらいたい。でも、私を雇ってくれる人、いますか?だれも、信用してくれないんじゃないのか?』  『不安の正体を吐き出せたと思います。』  『また明日になれば気が変わるかもしれません。私の気はすぐ変わる。』  『私のこと、学者・研究者として、雇ってくれませんか。』  『こんな、私ですが。』

 (やってることは心理学に近い。思い、考え、迷い、惑うって、心理学だよね…)

 (動物も人間なのではないか?言葉が伝わらない?人間同士だって言葉が伝わらないことがある。文化が違う?人間だってそれぞれ文化を持っている。)

 『動物とコミュニケーションをとる、あらゆる苦痛を和らげる薬、苦痛を和らげる思考、うつ病を一日で治す薬、得たい知識を的確に得られる仕組み、一人で生きる方法、人間不信を改善させる思考、誰もが勉強できる世界、自分のやりたいことをやることができる世界、平和。』  実現したいことが、いっぱいある。

 『いじめられている側は悪くない』そんな言葉に対して、こう思った。 (悪いところを見つけられていじめられてるんだよ)

 ドクドクと騒がしい心臓を鎮めるのに必死。心が膨張して、体の中から押し上げてくるような。

 作家になりたかったって母に打ち明けた。いろんな話をした。研究者になりたいこと、学校には行きたくないこと、何年間、勉強だけして生活できるかとか。

 『お金。お金の問題だけです。お金があれば、お金を稼ぐ分の時間を勉強に使える…なんて考え方は、間違っているだろうか…。』

 『勉強って、どうやってやるんだろう。本を読む、インターネットで検索する、授業を受ける…くらいしか思いつかないです。毎日、勉強、質の高い勉強ができるだろうか。』」

 (姉があんなふうになったのも、私が悪いのかな…?なにも言わず、抵抗せずな私が。)

 (人間の数の力はすごい。一人でやるよりも、明らかに誰かに手伝ってもらったほうがいい。)  (人間を作れるようになったらな。従順で、傷つかない、人間。ロボット。)  (教育の手間を考えたらやっぱりめんどくさい。やっぱり一人でいい。)

 (中卒でいい。学校行かなくても、勉強できるし、誰かのためになれる、幸せになれるって証明したい)

 (心理学者、心理学研究者に、なりたい)

 (正直、自分がちゃんと勉強をできるか不安)

 (税の勉強、食べ物の勉強、AIとか人工知能の勉強もしてみたい)

 母に自伝を書いていることを伝える

 『もう、取り返しのつかない間違いをおかしてしまったような感じがして、気持ち悪い』  『お願いします。どうか、お願いします』

 (今の私は異常で、いずれ正常に戻る日が来るのかもしれない。)

 (安楽死。私が議論、できるかな。せいぜい、問題提起しかできないんじゃ。)

 (親しい人が自殺した人のケアも考えてあげないと。)

 (人工知能が完成したら、世界のために働くための人間はいらなくなるのじゃ?人間が減るんじゃ?)  (一番はこの世界を苦しみのない、幸せにすることだ。そして、世界をどんどん『良い』にしていくことだ)  (もし、また地球みたいな星が生まれてきたときのことも考えてあげよう。人間は、すごいから、他の生物のことも考えてあげなきゃね)  (いや、だからそれは、人が生まれることを肯定している)

 (いやどうだろう、私を子供が真似して、学校行かなくなったら。私の生き方は、かなり特殊だ。多分、誰にも真似できない。)  (どうしよう。…学校、行きたくなかったら行かなければいいって、正しいのかな…私には、わからない。)  (どうか、よく、考えて。)

 動画サイトを見ていたら、危険ドラッグについての動画が出てきた  (危険ドラッグの、一時的に幸せになれるというのは、すごく魅力的に聞こえる。幸せに惹かれ、気を取られて、夢中になって、幸せ以外何も見えなくなって、不幸になってしまうのは、悲しいことだ。)  (危険ドラッグが、この世界からなくなりますように)  (どうしてなくならないんだろう。…お金になるからかな。それは、悲しいことだ。お金なんてなくなっちゃえばいいのに)

 (助手がほしい。)  (けど、…その人の私が人生を奪うことになるのだろうか?)  (一人でやるのと誰かに手伝ってもらうのはどっちがいいんだろう)

 (死にたい)

 (私みたいな人が世界から減らせるように、頑張らなくちゃね。)と思い出して、私の生きる気力になる。

 連妃が憎い。許してはならないという気持ちが出てくる。  連妃を殴る妄想をする。憎いやつを殴る妄想をしたら脳汁が出てくる。そのことについて、研究しようかなと思った。勧善懲悪の仕組み。

 首吊り自殺がそんなに苦しくない安楽な自殺の方法と知って、安楽死制度が本当に必要かどうか揺らぐ。結局、私が死ねなかったのは、安楽死制度がなかったせいじゃない。  (でも、自分一人で動くことができない人は…。)

 『文章がうまく書けない』

 (胸糞悪いクズについて、調べてみたい)

 (大学には興味あるけど、集団生活だったり話し合いだったり、みんなの前で発表とかが、私には無理だ。)

 『もしくは自分の研究所を設立してしまうのもいいのかもしれません』  『「自分の研究所」ってかっこいいですね』

 (世界を変えないことには、世界を平和にできないのでは。)

 (いじめを経験した人はいじめが最大の不幸とし、戦争を経験した人は戦争を最大の不幸とする。)  (自分の中の世界を広くしないといけない。)

 (世界を平和にするには?人間を変えなければならない。)  (例えば、悪意を吸収するチップを頭に埋め込む。)  (非人道的と避難されるかもしれないが。険悪感が拒否するのだろう)  (まるで、意外とおいしいゲテモノ料理みたいに。)  (人間が人間であるかぎり、地獄は変わらない。)  (人間は、変わらなければならない。変えなくては。)  (でも、満場一致ではなくてはならない。すべての人に、納得してもらわなければならない。)  (まだ勉強をしていない。なにより議論を重ねていない。)

(猫も人間理論 人間と猫は骨格がほとんど共通している。 猫の顔が、目の大きい、鼻と口が目立たない、肌にいろいろな色のメイクをした人間の顔に見えてくる。 猫と一緒にいると疲れる。人間と一緒にいるときみたいに、機嫌を取ろうと頑張ってしまう。 猫は人間のことを大きい猫だと思っているらしいとどこかで聞いた。 うまく説明できないけど、感情といった、「心」を持っている生物は、全て人間なんじゃないか。 人間と共通している心 骨格も、ほとんど同じ生物もいる。なぜ、人間と他生物の心を区別するのか。ただ、違う顔をしていたり違う行動をしているだけで、区別するのか。人間と、他の生物ってどう区別されているんだ。人間の外見で二足歩行でも、心がなければ人間とは呼べないんじゃ。心こそが、人間なんじゃないか。 ヒューマニズム、人間主義に、他の生物も仲間に入れてあげたかっただけかもしれない。 心とは。 あらゆる生物は人間である。は、結局、ほかの生物に傷ついてほしくないだけなのかもしれない。彼らには心や感情があるから。 植物や機械とかに、心や感情があるのか。 もしそうなったらどうなるのかな。心ある生物を殺したら殺人罪で、…。 でも、生物も、人間くらいに尊重されて、大切にしてほしいな。 心主義の開設 自分が作った主義に、ワクワクした 『大事なのは命ではなく心、心があるなら人間』心主義)

(メサイアコンプレックスも研究したい。)

 『何が世界を平和にするのだろう』

(心がなければ人間じゃないのか 心を失ってしまえば、人間じゃなくなる?死んだら人間じゃない?人間として扱われなくても、心がなければ大丈夫?相手が心がないと決めつけてしまったら、非道なことができてしまう 心があるかどうか、確かめる方法なんてないのでは)

(自分の幸せだけを追求していいなら、もう、死にたい。早く、楽になりたい) 〈私の代わりに、誰か、平和のために頑張ってくれる人、いませんか)  『バカにされるのは怖いです』  『私の代わりにがんばってくれる人…』」

(誰かの心を傷つけるから罪、刑罰?なのでは 殺人は、誰かがきずつくから罪? いわば心主義だ) (死に悲しみはつきもの。誰かを悲しませるのが罪ならば、生まれることが罪?)

(もし、今は人間以外の生物が、すべて人間として認定されたら、どうなる?)  (動物を被告人として裁判が行われる?猫を殺したら殺人罪? ) (今、人間同士で差別が起こっているように、こんなやつ人間じゃない!ってなるのは避けられない?) (色や、習慣、大きさとかで、人は区別をしてしまうから) (共食いが起こる?) (おそらく、区別はされるだろう、でもそれは、赤ちゃんに校庭50周!とは言わないみたいに今の時代にもある、配慮なものだ)

(お金がないから自由にできるは、間違いか ある程度は、誰かのために働かなきゃならない?)  (誰かのために頑張っても、自分が頑張ってるのに、なぜあの人は自分のやりたいことをやっているのかという心理があるのかもしれない。むずかしいな)

(果たして、私が考えたことなんて誰かがとっくに生み出しているんじゃないか。そう思うと自信がなくなってくる。)

(学校って、必要?) (職から決めて勉強する世界なんて、どうだろう)

(姉が夜風呂でうるせえ)

(自殺する理由を今思いつく限りで考えてみよう 自殺者のことを理解しなければならない。もし、他にあったら、教えてほしい) 苦痛から逃れるために自殺する 宗教や思想などで、自殺が良いとされるから自殺する 誰かのために自殺する 自暴自棄になって自殺する 生きることが難しいから自殺する なにかに追い詰められて自殺する

(痛みの克服はかなり重要 痛みを紛らわせることも、心理学にできるのか?)  (痛みが消えれば、かなりの量の絶望も消える)

(負けない自分じゃなくて、負けても何も感じない強い自分になりたい)

(誰かを傷つけるくらいなら、誰かに傷つけられるくらいなら、誰かが傷つけられているのを黙って見ているくらいなら、死んだほうがいい)

(自分は何もできない。何も生み出せない、誰も救えない、世界を平和になんてできない そんな無力感が、自死を、連想させる

(今、生きているすべての人が、世界を平和にすることに頑張ってくれればなぁ…。催眠術学んで、世界を平和にしようって人を増やすことが、一番の貢献なのかもしれない)

(みんな生きるため、を目的にして生きている。でも、その目的は、私には無理だ)

 メモ帳に書いてあったことを元にして書く。 『「精神障害かよ」そんな言葉をインターネットで見た。 差別について調べた。どうしてだかわからない。自分よりかわいそうな人をみて、慰めようとしているのかもしれない。同情して、落ち着こうとしているのかもしれない。もし、差別になってしまったらどうしよう、生まれてくるべきじゃないやつは死ねとか、そうじゃない、いやだ、どうか、傷ついてほしくない。なにで相手を傷つけるのか、わからないもう、どうしたらいいか、わからないわかんないわかんない 電車でさ、奇声をあげてる人がいたらさ、変だなって思っちゃうよ。思うことは止められないよそれが差別だとするならば、私は電車にのらないことでしか差別を止められないよ死ぬしかないよ 死んだら、何もかもどうでもよくなる 今の自分は、これを書き終わったあと、死ぬ気でいる』  『もうやめたい』  『死にたい』  『早く書き上げないと』  『今は書くことに集中すればいい』  『少なくとも、この作品を完成させることは絶対にやらなければならないこと』  『でもなぁ、作家として作品を作るのも、楽しそうなんだよなあ…。面白い物語を見て、面白い物語を目指して作る。実に、充実している。』  『早く書いてさっさと死にたい』

 『もう、うまく、小説書けない。どうか、伝わってほしい。』  『これは、小説じゃない。遺書を書いてるんだ。そう思うことで、モチベーションが回復する。気を楽にして執筆にとりかかれる。』  『執筆が終わったら、どこか旅行なんかに行ってみてもいいかもしれません。何かがかわるかもしれない』  『楽しいことがしたい。はやくゲームが発売されないかなぁ…』  『心理学や哲学はたのしいでしょうか?』

(生きることを目的にしている人を、平和を目的に変えれば、いいのかもしれない)

(もし、他生物も人間なんだとしても、今の人間とは区別する必要がある。) (心がある生物に、新たに名をつけてみよう) 心のある生物の数え方。「一心(いっしん)二心三心…」(野球と同じになるか?三振とか。いちこころ?) (『こころ(心)』でいいんじゃ?心持ち生物の名前 いや、ややこしい。「心は心を持っている」になっちゃう) (脳を持つということが心を持つということ?脳と心の関係は?) (脳を持つ生物は、なんて呼ばれてるんだろう)検索。 (進化で脳を捨てた動物も、いるらしい。人間が、進化して心を捨てたらなぁ いやだめだ。人間は、他の心生物を救わねばならない。世界を変えねばならない) (心がある生物には優しくする?だけど、心がないと認定されてしまったら、ひどいことになる?心の発見?)

前から欲しかった紐を買った。強度と肌触りで選んだ。3mにした。

思い出すたび胸糞悪くなる 私が死んで、あいつらが特定されることにスカッとしてしまう自分。 (確かに、自分も悪いやつだ。でも、それを気にせず、忘れて、あいつらが憎い。) (おそらく、あの頃の過剰な罪悪感が憎しみと釣り合っていたのだろう。) 〈でも、そう思うたび、誰かをこんな胸糞悪いことから救わなくてはならないと思う。〉

(私は人が死んだときの苦しみを軽視している?)

(ほとんどの胸糞悪さは人間によって起こされるもの…だと思う。どうすれば、人間を良くできるか) 〈どうやったら平和になるのだろう…)

 『私を変えてくれる人は、現れるかなぁ…って憧れてる』

また、いじめについて調べていた。 (…教育を変えたい。彼らが、無害に成長できるように)

(改めて、この小説が、誰かの救いになったり貢献になるのかが不安になってきた。)

(世界を平和にするには?人間は間違えるから、完璧なロボットに支配されること?でも、人間はディストピアだと反対するかもしれない。) (人間は、平和になりたがならない。実際に、地獄を味わった人しか、平和を目指さない?) (自殺を考えた人、自殺しようとしている人は貴重。自殺希望者を募りたい。話を聞いて、思想を重ねたい。一緒に頑張りたい。)

(目を潰して楽になりたい。)でも、目が見えなくなるのは怖い。(こんな感覚なのかな。死ぬのが怖い気持ち?)

議論ができるアプリを考え始めた。書き込みは誰かの記憶に一生残る。だから、データ上に一生残っても問題ない。そんなアイデアで構想を始めた。  『議論がしやすいSNS、作りたいなぁって思ってます』」

(確かに、作家は誰かの助けや生きがい、楽しみになる。心に、生気を与える。誰かの役に立つ。) (何らかの職業も、誰かの心に、豊かを与える?)

(もし、自殺したいって人が、私を頼ってきたら、交流してみたい。なんとなく、仲良くしてみたい。友達になって、同じ目標に向かって一緒に頑張ってみたい。) (それは、一人よりも二人、二人よりも三人っていう打算だけど (正直、今あなたさんが自殺するよりも、今のその苦しみを克服して、多少苦しみながら生きて、私と一緒に世界を平和に近づけて、結果多くの人を救うほうがいいと思ってる) (一緒に山奥ニートのところで生活するのはどうだろう。) (死にたくなったら、山奥ニートになろう!そんなのも、いいのかも。) (でも、私は山奥ニートの人の集団に入れない。だから、一人で勉強してる。でも、きっと、そんな人でも来ていいよってことになるよ)

(誰かに、死にたいです、会いたい。って言われて、会って、騙されて、写真取られて個人情報が漏洩してしまうなら、最初から明かしてしまったほうがいい?でも、私の家族が。) 母に相談してみた。姉がまたなんか言ってくるかもしれないと憂慮していた。

 (私は、誰かと仲がいい人が苦手?)

(私は正直、死にたいと思ったことがある人を特別視している。その気持ちから、誰かを救いたい、世界を平和にしたいって気持ちが生まれるかもしれない。)

ある日。私は、まともにコミニュケーションできないって、スマホで人狼ゲームやって、わかった。 言葉が出てこなくなる。 (今まで私はまともに会話するということを避けてきたんだ。学校の人狼とか。)

 『早く、小説を完成させなければ』

メサイアコンプレックスについて調べてみた。けっこうひどいこと書いてある。「偽善」とか、「お礼を求めている」とか。本当に書いてあることが正しいのか、研究がしたいと思った。 自分なりにメサコンについて考えてみる。 (メサコンとは、誰かの不幸に耐えきれない人?感受性が高いゆえに。誰かに危害を加えてしまったときに、ひどく落ち込んだり、誰かの不幸を知ったとき、またひどく落ち込む。また、他人の苦しみを考えることで自分の苦しみから逃避すること。誰かの幸せが、自分の幸せだって、知っている人。自分が苦しんだという不条理が、許せないがゆえに、誰かをその不条理から救おうとすること?自分が苦しんでいたときに、私は助けてくれない、どころか追い詰める他人や世界を呪った。だから助けたくなった?どうして?) (どうして救いたいと思った?) (私のために世界を変えたいが、誰かのために世界を変えたいにシフトした?自分を救いたいが、誰かを救いたいに?) (自分の苦しみを注視すると、他人の苦しみの解像度が上がった) (苦しみを経験して、やっと、他人の苦しみを理解できる?) (誰かを救いたいという気持ちはもともと私の中に備わっていて、それが肥大化しただけ?)

(人間はすごいよ…他の生物をすべて滅ぼしたあと、自滅を選ぶことができる、唯一の生物だ)

SNSをやっていたら、うつ状態を脳の干渉で治す機械を知った。結構否定的な意見が多いように思った。その機械について、考えてみた。 (もし、自分がこの装置を付けるか選択ができるとして、私はどうするだろうか。私個人の幸せを考えたとき、付けるべきだろうな。でも、誰かの幸せを考えたとき、この装置を付けた私は、誰かのためになることができるだろうか。)  (うつ病を治すきっかけになるのは、良いことだと思う。素晴らしいことだと思う。)  (「感情を制御される」のだとしたら、少し怖いかな。でもそれは、状況にあった感情に対して反する感情が湧いたとき、その様子を他の人から見れば奇妙だと思われるのが、怖いのかもしれない。他人からどう思われようが傷つけられようが、幸せでいられるなら、それは、とても、魅力的。)  (怖いのは万が一のリスクなのかもしれない)  (でも、本当に素晴らしいなぁ。もしかしたら、これが最終完成形態なのかもしれない。これについて、研究してみたい。)  (学びたいことがたくさんある)

(面白いものに飢えている。生きる魅力がほしい。) (誹謗中傷は面白いからやめられない?危険薬物をやめるのと同じようなもの?) (なら、とびっきり面白いものを、作ろう。学問が面白かったらいいな )

(アニメや漫画とかを見ている間、人は無害になれる)

(やっぱり、私にできる最大限の貢献は思想を布教することなのかもしれない)  『私にできるのは、この小説を遺すことだけです』 (やっぱり、メッセージ残して、自殺する?) (でも、私でないと作れないものもあるような気がする) (私の頑張る姿にあこがれてくれないかな) (頑張るのしんどそうだなーって気持ちがある。おそらくこの気持ちが今の私の一番の死にたい理由) (やる気がほしい。動機がほしい) (でも、世界平和ももう、近いのかもしれない。脳に送る機械。) (いや、遠い。多分、世界は平和にならない。滅亡しない限り。) (誰かを助けたいって気持ちを求めてる。一番の活力。どうやれば湧いてくるのだろう。また、いじめ事件について調べるか?) 〈生きる理由が、わからない。〉 (どうやって死ぬかは、いつも考えてる。最近は、深夜の中学校の鉄棒で首吊って死ぬのがいいかもしれないと思うようになった。事前に救急車を呼べば、家族が死体見てショック受けないだろうし。) (多分このままいくと、自伝小説書いた後に絶対死ぬな私。まあ、書き終わってみれば気持ちも変わるかもしれないけど) (あ、そうだ、発売待ってるゲームがあるんだった。) (世界滅亡思想でテロが起きたらどうしよう。テロはだめだよ。なんとなく。誰かの心が(傷つかないように。やるなら、正攻法で。例えば、説得。理解してもらう。) 世界は滅亡すべき、なのかな?もしかしたら、宇宙のどこかで残酷な世界があって、それを破壊する役割が人間にはあるのかもしれない。でも、もしこの世界に心を持った生物が地球にしかいなかったら、そして、これ以上心を持った生物が生まれないとしたら、今すぐに、心を持った生物たちは滅亡すべきだと思うな。心は、生まれるべきでも、存在すべきでもない。心は、残酷だ。) (心や世界について、勉強したくなってきた。) (私が死んだら、どうか、家族には、私が苦しみから、やっと開放されたと思ってほしいな。) (まあ他の星のことまで考えなくてもいいと思う。どうして人類が滅亡を選んだかを遺しておければ十分だと思う。) (心が、絶滅しますように。) 『どうして、心なんてあるんだろう』 (この世界が地獄なのではない。生命の心こそが地獄的なのだ。) (もし、地球上の生物がすべて絶滅しても、地球が残る限り新たな生物が生まれてしまうのか。どうやって、地球がなくなるのだろう)

(世界の平和がどうでもよくなってきてる) (もう自分の将来もよくわからない) (もう、世界が滅んでしまえば、本当に、いいのにな。) (これが、普通の人の感覚なのかな) (メサイアコンプレックスからの脱却) (この世を楽しみつくすのもありだけど、でもきっと苦痛が待ち受けるだろう。なら、死んだほうがいいのかな) (苦しんでいる人を想像しても、特に何も湧いてこない。というか、うまく想像できない。) (今の世界の人間や生物が滅びてもその後、新たな生物が生まれるなら、やはり、今の世界のままで、平和にならなければならないのか。) (そうだね、苦しかったら、自殺してもいい。そんな世の中なら、いいのかもね。そうすれば、苦しんでいる人のいない、平和な世界に、なるのかもね。) (まあ、生きていれば、なにか新しい感情も生まれるのかもね。) (作家として生きていくのも、ありだな) (地球に新たに生物が生まれないようにしてから、そして、この星にこの星の歴史を残して、絶滅する。それが、理想か。) 執筆作業に取り掛かり始めた。プロット作業だけど。

 『あらゆるやる気が湧かない』  『とりあえずこの小説は完成させたいけど、その後どうしたいのかがわからなくなった。』  『ただ、ゲームがしたい』  『楽しいことがしたい』 『早く小説終わらせて、好きなことを好きなだけやりたい』

『私はやりたいことをやるために今から執筆作業をやります!』

 (そうだ、人間はクズで悪だということを忘れるな)人間の最低さをインターネットでみた感想。  (人間はクズだとわかる、正しい理解ができる作品はどうだろう。登場人物全員が嫌いになるような。悪意とか関係なく人間はクズ。どうしてクズなのか。ようは、誰かの心を傷つけるからだ。じゃあ災害もクズ?) (傷つく心があるから、人はクズなんだ?)

(自分の気持ちは、ごまかすことができるかもしれない。誰かを救いたいと、思わなくなっても、誰かを救うために何かをできるかもしれない)

私は、自分と似ている人が好みなんだって、気づいた。

「更生心理学」悪い人を正すための心理学というのを思いついた。  調べによると、矯正心理学というものがあるらしい。興味を持った。

(私はメサイアコンプレックスに生かされたのか。もしかしたら、そういう仕組みもあるのかもしれない。)

(自伝制作応援サービスとかいいかも)

(最近仕事が好調)

勝手に憧れて勝手に幻滅する。SNSで見つけたお気に入りの人。けれど、私と似ていて、人とうまく関わることができない人だと思ってたら、友達がいた人。 (どこかに現れないかなぁ、理想の人)

『途方もない作業だ…。昔の自分の思考なんてあまりよく覚えていない…。メモが多すぎる…。整理に何時間かかるか…』 『どの出来事がいつ起こったか、事実と異なる場合があると思います。』  『この小説がちゃんと完成するのか、成功するのか、不安になって、怖くなる。もう、あの頃の感覚は思い出せない。メモ帳を見て、書くしかない。頑張ります』 『記憶を残すことができる機械とかがほしい』  『忘れてしまった大事な記憶がないか不安だ』」

(今日は、楽しいことしたいって気持ちが薄い) (誰かを助ける喜びを実感できたら、またメサイアコンプレックスが発症するかもしれない。) (悪口言われて、また病んで、メサイアコンプレックス発症するのも、いいかもね。うつ病は苦しいだけだからもううんざりだけど。) (私は、これから生きていく中で、一体どれほどの人に迷惑をかけるのだろうか。その迷惑一つ一つに、私は蝕まれる…。誰かが苦しむのを、耐えきれない。こういうネガティブ的な、なんていうか、そんな気持ちになると、誰かを救いたいって思いになる) (不安定になるかも。そしたら、また、誰かを救いたくなるかも) (共依存の形でしか安心できない。相手に信用されたい依存されたい) (誰かの幸せが幸せだなぁ。また、そんな気持ちが湧いてきた。)

 『勝手に誰かに憧れたり尊敬したり親近感を抱いたり親密になりたいと思ったりすることは、迷惑なこと?恥ずかしいこと?だめなこと?なのだろうか。』  『私は、尊敬されたり親近感を抱かれたり、親密になりたいと思われたら、嬉しいですよ。でも、他の人はどう思うか』

(助手がほしい。でも、他人は苦手な私が子供…?) (いや、子供を育てている時間は無駄だ。) (SNSアプリの後継人どうしよう) (いやだめだ。親の、エゴで、子供を産むのは 私のような人間が生まれるのは) (もし、エゴというか、自分の欲望のために子供を産むのがだめだとしても、じゃあ、世界のためにつながるのは、ありなのか?) (昔は、人間のだめなところしか見てなかった。でも、時間が経つにつれて、人間の有益さを、思う。) (苦しみを、忘れてしまったのだな) (人間はすごい生き物。猫とは違う。どうせ人間が滅びても、また新たな生物が生まれてしまうなら、人類は続けなければならない?) (子供を産むべきなのかどうかわからない。人間は、すごい。産めば産むほど、発展し、進化していくだろう。でも、産めば産むほど、不幸な人は生まれる。でも、究極に発展していけば、不幸な人を減らせる仕組みが出るかもしれない。人間はすごい。人間は特別だから。) (この地獄。産みおとすのには躊躇がある。でも、もしかしたら、地獄を平和に、変えられる、人間なら、かもしれない。人間は、救世主?)

(学校内に交番を作るっていうのはどうだろう)

中学生時代、眼路委へのいじめがあまりにも陰湿で先生たちに気づかれないので、黒板に「眼路委死ね」とか、大きく書いたりして、いじめを露骨にして気づかせようとしていたことを思い出した。  発想が、最低。

 『過去の投稿を見られるのは、やっぱり恥ずかしいです。でも、見てくれる人っていうのは、私に興味を持ってくれているってことですよね。過去の投稿を見て、私にさらに興味を持ってくれたらうれしいです。』  『でも、私や、そのまわり人の、顔や本名、住所などの個人情報は探っちゃ駄目です。知っていても、インターネットに投稿するのも駄目です。 どうか、お願いします。一度やってしまったことは、二度と取り戻せないです。本当に、よろしくお願いします。』

『途方もない作業。しんどい』 (もう書かなくていいんじゃないか?意味あるのか?) (死にたい。でも、多分死なない。結局死なない。) (でも、同じような人と出会いたい。話題になって作家で有利になりたい。それだけかも)(世界を良くできるか、知らない。意味ないんじゃないの?)  『今日は休もう。この気分じゃ、無理だ。』 『この小説を書き終えることができたら、いっぱい遊びましょう。色んな人と話してみたいです。』  『小説、書かなくてもいいのかなって気持ちも強くなっていく…』  『でも、書かなきゃなぁ。』  『とりあえず、完成させたいかな。』  『たとえ、どんな評価を受けても。』  『作業をしてないと、落ち着かない。』

興味のある芸術があった。いわゆる、病み絵。精神を病んだ人が書いた絵。 (どうして、病む人は表現するのか。すべて、受け取りたい。研究したい。)

いじめ体験ゲームとか作って、傷つく人を増やそうかと思った。 (被害者は本当に優しい?地獄を作ることは正しい?いじめっ子の心理学を、学びたい。)(課題は地獄をなくすこと。そして、優しい人を増やすこと。ひどい人を減らすこと。痛みを知ること。苦しみを知ること。)

夜は死にたいって気持ちが強くなる

(自分と違うものは、想像できない。理解できない。だからかんたんに差別や非難とかが起きる?) (なら、漫画で、理解させるのは、どうだろう)

心理的にきつくなると、食事のとき吐きそうになる。吐き気じゃなく、吐きそう。味の情報もうまく頭に入らない  『気楽に構えましょう。』  『私は、ただの、つまらない、一人の人間なんだなと、メモをまとめる作業してると思い知らされる。こんな人間の人生なんて、誰が注目するのだろう。そう思うと、泣きそうになる。』  『あの、長く辛かったあの日々。その中で見つけた、光。それを、文字にしてしまうと、ひどくちっぽけで薄っぺらいものに思えてくる。これじゃあ、誰の心にも届かない。』

(自分と同じような人間なら、友達になれそうな気がする)

『いじめはなくさなければならない。』そんなメモを見つけても、そんな宿命感はわいてこない。

 (バカ野郎!って言って顔を叩くのは、定番だよね。この場合、みんながやってしまうから定番なのかな?私は、この定番があるから、顔を叩くのだと思う。)

いつからか、もうとっくに胸糞悪さは来なくなった。

プロットを一日中まとめることができた。

(私を、切腹自殺に追い込んだ、あの作品。あれはよかった。誰かを救いたいと思えるような。現実だからかな。) (フィクションじゃ、どうしても届かないのかな。) (推しがいじめにあう展開とか。) (作者がこうゆうの書く人だってわかってしまったら薄れるかな?いや、自分に興味を持ってもらえたら、成功だ。) (世界を良くするために。そんな目的のために思考する癖がついてしまっている。でも、いいことだ。) (人間を作りたい。人工知能。究極のリアリティ。心に傷をつけるには、本物の心が必要) (プレイヤー、読者に傷をつけるには。) (例えば、親しい人が死ぬ。悲劇の当事者になる。) (AIと人間、見分けがつかないシステム) (誰かを傷つけたい。それは、加害なのか?) (作品で誰かを傷つけたくないと思っていたあの頃と真逆だな。) (あるいは、作品なんて作らなくてもいいのかもしれない。もしくは、僕が主人公になって、生きて、交流して、見せる。そんな物語。) (事実は小説より奇なり。そして、小説よりも深いところに刺さる。) (事実を、作り出す。) (物語を見たい。様々な人間の。実体験。思考。) (自伝ブーム。) (本当かどうかはわからない。溢れてしまえば、つまらなくなってしまうのかもしれない。いやでも、そうなっても、きっと面白いものは生まれる。)

(常に最良の選択を選んでいきたいけれど、そうはいかないのは人生だよね)

(学校行ったほうがいい?) (地獄を味わえる体験は、希少。) (中学生以下なら誰でも入園可能の地獄的テーマパーク) (当事者にしかわからないことがある?)

(果たして、生きる意味があるのだろうか。) (多分、なくても生きるんだろうな。) (ただ、生きるのだとしたら、何かを成し遂げたい。)

バカとかアホとかも、実は差別的な言葉なのかもしれないって、そんなこと思った。

もう、今の自分はとっくに普通の人間なんだなって思った。

 もし、死にたいと願う人を殺してしまったら妄想をしていたことを思い出した。 (苦しみから開放してあげたから、罪じゃない?いや、周りの人が悲しむ?一人の深い絶望は、複数人の絶望に勝ることもあると思っている。) (どうか、苦しみから開放してあげたのだと前向きに思ってほしい。) (見方を変えれば、苦しい、死にたいと思っている人を、生かし続けるのは残虐で、それこそ罪なのではないか)

招き得た世界の実現について。 (理解者を増やすことが重要。思想を理解してもらう。) (私は、住居、食べ物、服、生きること、日常、電気、ゲームや、自分がやりたいことのためにお金がほしい。それらが保証されるなら、いくらでも働ける。多分。) (どんどん支持者を増やしていく。そして支持する者の中で招き得た世界を実現していく。) (メリット・デメリットを正直に話したところで選んでもらう) (でも結局はお金が必要になるのかもしれない。何かの資源を支配されて、お金で買うしかない場合とか。) (なんのためにお金を稼ぐのか) (招き得た世界で暮らす人と、お金を持って管理する人がいる) (今持っているお金を全部管理する人に預ける。管理者はお金を稼ぐための労働を指示する。) (でも、管理者がお金の使い方を誤ったら、破綻する。) (管理者がお金を必要としなくなったとき、招き得た世界は完成する。お金のために働かなくてよくなったから。) (招き得た世界に入るといいという特典。漫画全巻無料!とか?) (招き得た世界とお金ある世界の対立は避けられないかな?) 〈招き得た世界にはものを売らないとか〉 (重大な欠陥もあるかもしれない。だから、議論が必要。) (十数人からでも実現可能) (マンション作って、洗濯する人、ご飯作る人、労働する人とか仕事を与えていく) (お金のためじゃなく、求められて働く) (でも最初の方はお金を稼ぐために働かなくちゃいけない) (もし実現したら、私、教科書とか載っちゃうのかな〜とか妄想する) (納得いくまで頑張ろう)

近くの鏡で見る自分の顔は、良かった。だから、今まで、顔のことで悩むことはあまりなかった。 思考迷惑として、顔を出すのも、いいかもしれないと思っていた。 ある日、遠くから鏡で自分の顔を見た。鏡から離れたところだとブスだと思った。 顔出しはやめておこうと思った。

 『コミュニケーションは、悪いことではないですよね?』  『人に話しかけることが、今の私には難しい』

 『はやく、この作品を完成させることだけを頭に入れます』

 『心が重くなっちゃった』

 『小説に付け足すことがどんどん増えていく。今だけは、思考を止めたい。』

 『私、この作品を多くの人に読んでもらいたいです。』  『小説も、賞に出そうかな。大賞とって、有名になって、多くの人に読んでもらいたい。でも、インターネットに公開もしたい。とにかく、多くの人に読んでもらいたい。どうするのが一番多くの人に読んでもらえるのだろう。』

『この作品は、読んでもらえさえすれば、きっと評価される。そう思っているけれど、それは、幻想なのかもしれなくて、不安になる。私は、自信過剰なのかもしれない。もし、誰にも読んでもらえなかったら、評価されなかったら、どうしよう。』 『でも、やっぱり、自信はある。』

(遺せるものをすべて遺したので、自殺する妄想をした。でも、しただけで、死ぬつもりは、今はない。どうしてだろう。やりたいことを思い浮かべてたわけじゃなく、ただ、死のうって気持ちが、湧かないだけ。)

(お金は抑止力になるって独自SNS考えていた中で思った。例えば、罰金。) (招き得た世界では、他の抑止力を用意すればいい?)

母に助手になってくれないか、お願いをしてみた。はぐらかされた。

『途方もない作業。ピースがとっても細かくて、色が薄くて、うまくはまらないパズルのよう。』

 『SNS考えるの、難しいですね。特に、誹謗中傷や、荒らし行為への対策が。』  『今考えているSNS、思いつく限りの機能を付与したら、一体どれほどの時間と労力がかかるんでしょうね。でも、至高と呼ばれるようなSNSになることを、目指します。』  『何でもできるSNSを目指していたけど、ユーザー間のお金のやり取りとかは問題が起きそうだから、無しにしようかなぁと、今考えています。』

 『眠いと思ってから眠ることを、ここ数年体験していない。』

 『漫画やゲームとかの、アイデアを出している時間は、充実している。でも今は、第一に自伝を完成させなければならない。早く、完成させて、この充実した時間を、楽しみたい。』  『ほんとう、あともう少しなんですけど、そう思うとやらなくなるんですよ。私は。』

『やることがなくなったときに、小説作業をするようになる。』  『ゲームやSNSを封印したら、作業がはかどりそうだけれど、情報を逃しそうで怖い。』  『もし完成できなかったらと思うと、怖い。やらなきゃ。』  『小説が、本当にうまく書けない。どうしてだろう。私の文章で、はたして、うまく伝えられるだろうか。』  『でも、実際に小説を書いてみないとわからないこともあるんですね。』

 『今日は眠いです。』  『眠いって感じるのは久しぶりなような気がする』

 『課題を分割して小さくして、心理的な抵抗を抑えるというのは、私にとってかなり有効です。』

久々に死ぬことを考えた。(そう、死んでも、いいのだ。やることをやったら。)

『執筆が終わったら、旅行に行きたい。前からそう思っています。コロナだから、駄目かな。』 『作業が終わったらやりたいことを考えるのは、モチベーションが上がります。』

ゲームを楽しみにしたり、有名になりたいと思ったり、誰かから尊敬されたいと思ったり、偉業を成し遂げたり、そうゆうのが、むなしく思える。

(どうして私が自殺に至ったかは、遺しておきたい。誤解とか憶測されるのが嫌だから。そう思っているから、自伝は完成させようと思う。) (あ、でも、大人になったらやりたいゲームがあるんだよね。名作アダルトゲーム。それやったら、私の中でなにかが変わるかもしれない。) (私が死んだあとのことを考えていた。私が死んで、悲しむ人。でも、私から見てみれば、死は決して悪いものではない。自殺は悲しいことではない。) (親しい人の死が悲しいのは、その人が苦しんだり、死んでしまったことよりも、自分の孤独が深まったこと、その人と会えなくなってしまった悲しさ、つまり、死んだ人がどうというよりも、自分の問題なのかもしれない。) (思いやりではなく、ただ、自分で勝手に悲しんでいるだけ)

私が近くを横切った途端、姉が突然脈絡もなく、大きなため息をした。そんなふうに感じた。

(小説が書き終えたら、作りたい作品がある。どうしても、遺してみたい。)

『一週間くらい前は、小説作業ができていたのに、今は、なんだかやろうと思わない。何が変わったんだろうか。』 『なんか、一日中眠い気がする。』  『夜のほうが集中できる。今の生活習慣を崩してでも、作品を完成させたい。』  『今は、心理的な抵抗なく、執筆作業ができています。私は夜が近くなってくると、集中できるようです。これは、学生時代、夏休みとかの宿題を、最終日の夜、徹夜して取り掛かっていたから、この性質になったのではないかと、考えています。』  『学校があったから、私の生活習慣がおかしくなった。だから、学校なんて行かなきゃよかった。なんて、思うけど、でも、行っていなかったら今ある自分じゃなかったわけで、結局、今ある自分を大事にしながら、生活習慣を正していこうという気持ちになった。』  『でも、生活習慣って矯正できるものなんでしょうか?理想は、朝から夕方まで、やる気と活気が出て、夜眠くなる。です。』  『今パソコンの前に座ってます。音楽聞いてます。やろうと思えばすぐにでも執筆できるけど、やろうと思うまで時間がかかりそうです。』

(誰かの悪口とかいう人とは、友達になりたくない。拒否してしまう。怖くて、力関係ができてしまって、萎縮してしまう。) (だから、善人と、友達になりたい。)

 『今は執筆作業がはかどっています。この状態のもまま、ずっと行きたいです。』  『言葉が思いつかない。文章がぐだぐだ。もどかしい』

SNSで、誰かの悪口を言うアカウントを、見つける。悪を制すには、悪しかないのではないかと、邪念が浮かぶ。

『独占欲というか、好きなゲームが有名になっていくのが、悲しい、悔しい。』  『なんだか複雑な気持ちだ。 ゲームが有名になっていくのが悲しいのではなく、「私がこのゲームを有名にした」っていう、称号がほしいのかもしれない。』

 『もし、すごいことを思いついても、それを遺すことができなければ、それは、悲しい。』

 『早く終わらせたい早く終わらせたい早く終わらせたい』  『そうですよね。早く終わらせれば、その分、いっぱい遊べますよね!よし、夕飯食べたらやります!』

姉が、私が上に来たすぐに、下に降りた。その後、笑い声が聞こえた。 (私は、自分を守るために姉から離れるけれど、おそらく、姉は私を傷つけるために離れるのだろう。クズが。) (私が自意識過剰である可能性も、忘れていないが) (同じことをしてやろうかとも思ったが、やめた。付き合わなくていい。それに、下に降りる目的がないから。)

(夜はどうしても、死ぬとか死なないとかそんなことを考えてしまう。) (このままだと、小説を書き終えたら、本当に死ぬかもしれない。) (今は、あまり今考えている漫画とかアニメとかSNSアプリとか、そこまで遺したいとは思っていない。この自伝を遺せれば、もう、いいかな。) (どうして死のうと思うのか。なんだか、この世界にいるっていうのが、疲れた。 でも、今ある自分の考えていることを、この世界に遺せないのは悲しいなぁ。結構いい物語のアイデアいっぱいあるのに。) (もったいない気がする。) (でも、死んだらそんな気持ちからも開放される。無になる。) (発売を楽しみにしているゲームも、18歳になったらやりたいゲームも、今は、そこまでしてやりたいとは思わない。) どうやって死のうか考えた。学校で自殺しようとしているところを見られて、通報される想像をした。 (きっと、事前に病院に自殺するって言ったら、止められる。すぐに来て、自殺を妨害される。) (どうして世界は、自殺しようとする人を許してくれないんだろうなぁ。)

(今日、やっちゃう?) (どうせ私が死んだあと、その世界なんて私にはどうでもいいんだから。首、吊っちゃう?) (インターネットには悪意が溢れていて、それを見るたびに人間はクズなんだって思う。こんな、世界に生きたくないとも思う。) (この際、推敲なんてどうでもいいからさっさと書いてさっさと死にたいと思っている。そうだ、これは遺書なんだ。) (遺書って残す意味あるのかなぁ?どうせ死ぬのに。) (でも、同じような思いをしている人がいたら、その人に伝えたいと思う。) (人は、色々いて、面倒だ。悪口を言われて傷つく物もいれば、喜ぶ者もいる。) (一人ひとりに法律ができればいいのに。この人にこれを言ったらいけませんとか。) (生きていれば楽しいことがいっぱいある。そう思いたい。)

ペットボトルの蓋が開けられない。姉がいつもきつく締めるからだ。 私が洗面所にいたら、姉が「ああ着替えたかったんだけど玄関でいいっか」と、わざわざいう。 殴りかかりたいほどににくい姉が。 私がラーメンを食べているのに、姉が顔の近くでポットで熱湯を出す。 私は、姉の前で、姉の愚痴を言ったことがない。なのに、姉は、平然と、私の愚痴を、いう。 (ほんとに私は、どこ行っても嫌なことされるな。多分、このままSNSを続けても、きっと、また、傷つけられる。) (性格を変えないと。) 『いち早く、引っ越したい。』

『推敲は、めんどうだから、後にしたい。とにかく、伝わればいい。』 『早くこの小説を終わらせたら、何か私も変わるかもしれない。だから、早く終わらせたい。』 『もう、この作品を遺すことができたら、死のうかなっておもってるんですよ。死にたい。』 (私が死んで、誰かが混乱しようと、私には関係ないのでは。) (今の自分は、楽しいこと、面白いことに気づけていないのかもしれない。) 首に紐当てて上に引っ張ってみた。意外と痛くなかった。 (自分が何も残せず死んだら、私を苦しめた人たちは全く反省しない。だから、書こうと思う。) 『私って、ほんとう、小説書くのへたで、心が折れそうになる。』 (自分に課題を課して、その課題に押しつぶされそうになっている。) (人間は、クズだ。それだけが、伝わればいい。)  『長々とがんばります。』

また、姉が、私が上に来てから下に降りた。 姉が来た瞬間、上に行ってやった。 この小説で、姉の悪いとこ全部公開して、もう、姉を、貶めようと、そう考えている。

 (思考迷惑は、死ぬまで続けるつもりだ。だから、死ぬまでコツコツやっていけばいい。) 『毎日やらなければならない仕事があるというのは、つらいですよね。』 『そう、あまり悪いように考えなくてもよいではないですか。自分で定めた締切なんて、破ってしまっても、いいじゃないですか。もっと、楽になりましょう。』

「死ぬ」という発想は、突然出てくる。そして、その提案は、とても魅力的に感じる。死ぬは、あらゆる戸惑いに対する、万能の解答なのだ。

漫画描いたけれど絵がうまく描けなくてこれから漫画家としてうまくいくことができるのかも不安になって死にたいという発想が出る。

母に引っ越しの説得するのは骨が折れる。

『そうですよね。私ってまだ若かったですね。』

(招き得た世界は、趣味で働く世界。)

(私は、自分が気に入らないことを、間違ったことだと認識するけれど、果たしてこれは、正しいのか)

連妃と卓球で最初に戦ったときの場面を書いていた。最初に挑発された時点で連妃の顔を殴っておけばと思った。連妃の目をコンパスの針で潰す妄想をした。すっごく、体が震えて、体の奥からなにかが湧き出るような感覚がして、気持ちが良かった。 (私は、だめになってしまった。)

やっぱり、辛かったところを書いていると、気分が悪くなってくる。 『自分のつらい過去を文章にすることは、ろくでもない作業だ。苦行。でも、やらなきゃいけない。ほんと、どうすればいいんだろう。』 『胃液とか、食べたものが消化されてどろどろになったやつがのどの付近まで上がってきているような感じがする。』 『でも、このろくでもない作業を終えたら、きっと、楽しいことが待っていると、思っている。』

 (人間がクズだってことを考えるたび、生きるのがやめたくなる。)

 『休日の休み方も、仕事との向き合い方も、忘れてしまった。』

 『秒とか何時間とか一日とか週とか何ヶ月とか何年とか、そんな観念から解放されたら、少しは気持ちが楽になるかも?』

 (やはり、勉強のためにも、早く引っ越したいな。)

 執筆をしていて、当時の胸糞悪い感覚を思い出す。 そして、(こんな胸糞悪いことを、世界からなくさなくちゃな。)一瞬だけど、そう思った。

 『時間の使い方がへたくそだ。』

中卒がどうだとか、そうゆうのを見ると、心が重くなる。

(やっぱり、自伝を終えたら、死にたい気持ちがある。) (私は一体、どんなことを思われて、どんなことをされて、どんなことを言われるんだろう。辛くなる。) 『一年後、私は一体どうなっているでしょうか。もう、あらゆる苦痛なものから、解放された状態を、願う。』 『この自伝小説さえ、終えられれば、きっと、なにかが変わると思うんです。』 『自伝小説だけが、心残りなのです。』

『果たして、私がやりたいことをやったあとに、時間は残るでしょうか。もし、タイムオーバーしてしまったら、それは恐ろしくて、今、こうしてのんびりしている時間を、後悔してしまいそうだ。』

自分が世界に何を残せるかを考えると、ほんとに世界にとっては些細で、私なんていてもいなくても何も変わらなくて、そう思うと、死にたいって思った。

『引っ越せば、今のこの怠惰な生活から抜け出せるのかなと、考えている。』

(誰か、私が死んだと気づかないように、殺してくれないかな。)

子猫の生涯を描いた本を見つけた。小4くらいに読んでいた本。 〈この本のおかげで、優しくなれた?なら、この本のように優しい物語が作りたい。〉

『何もやらないで何かをやらないとと焦りながら過ごす時間より、ゲームでも、何でもいいから何かをやり、過ごす時間のほうが、いいのかもしれない』

『最近、寝付きがいいことを、最近気づきました』

『人間の生涯は長くても100年くらいしかないのだから、本当に必要なことだけを、その人生に詰め込まなくてはならないと、思っている。』

『結局突き詰めて、他人からどう思われようとも、他人に何を残そうとも、生じるものは、自己満足だけで、だとしたら、結局一番大事なのは、今生きている自分か、いかに満足して生きているかなのかもしれない。』 『たとえどんなに天才だと、頭がいいと褒められたい、評価されたいと思っても、それは、自己満足のための欲求で、ならば、別に、他人から評価されなくても、自分を自分がどう思っているか、そしてそれに満足できていれば、いいのではないか?』 『話がそれたけれど、まあ、自分か満足できている、そう感じている人生がいいよねってこと。 私は、今の生活には、あまり満足していない。でも、どうすれば満足できるのか、わからない。ゲームをやっていても、ストレスが溜まるときがあるし、楽しくないと感じるときもある。』 『いや、友達でも作って、一緒にゲームでもすれば、それに満足できるのかな。 美味しいものを食べているときは満足できる。 ベッドに横たわっている時間は、満足できない。 どうすれば、満足できるのだろう。』 『学問の探求な日々は、満足できそうなんだよなー。』 『物語を考えている時間は、満足できているのかもしれない。』 『あー、思いっきり面白いゲームが作りたい』 『今を満足するために、ゲームを買いました』

『私の思考すべてを、遺すことは、できないんだろうなぁって思うと、悲しくなる。無念。 人は一人ひとり感じ方、考え方があって、思考していて、それは、一つひとつかけがえのなく貴重で、偉大なる先人たちが遺した思考の記録を、余すことなく受け取りたい。』 『そして、遺したい。なぜだろう。死んだら、全部、終わりなのに、なぜ、今の私は、私のことを、私が去った後の世界に遺したいんだろう。 多分、ただ、独りよがりなだけなんだろうな。世界はこうあるべきだ。人々はこうあるべきだ。とか、そんな、理想を描いて、それを叶えるために。』 『もし明日、事故かなんかで、私がなんにも遺せず、死んでしまったら、それは、すごく、もったいなく感じる。悔しくて霊になる。 一体、この世界にはどれほどのもったいないが、存在しているのだろう。ほんとにもったいない。自分が遺したいものは、意地でも遺せ。』 『教育には、関心がある。子供たちに、本当に大事で大切なことだけを、全部、余すことなく教えて、そして子供たちが大人になって、生きて、世界を「良い」へ発展させていく。』 『なんというか、パソコンで例えると、子供たちは、メモリとかCPUとか、そういうパーツで、そのパーツを一流の、最高のものにして、それでこそ、最高の高性能パソコンが出来上がる…みたいな?説明するの苦手です。もったいない。』 『この世界には、私を変えてくれるような、革新な思想や学問、映画やアニメ、漫画や小説とか、色々が確かに存在していて、それを、生きているうちに受け取れないのは、本当にもったいない。 学校で、習うものより、大切なこと。本当に、大切なことだけが詰まった、教科書。』 『まぁ、たしかに、こうしてだらけた生活をしているのも、きっと、貴重な経験なんだろうけどね。世界が幸せな人で溢れかえったら、不幸な人を誰も理解できなくなるみたいな。もう、何が正しいのかわからないよね。』 『そのうち、世界は本当に大切な情報だけが、もう、溢れてしまって、人間の生涯をすべて、その本当に大切な情報を受け取ることに費やさす。生涯教育。そんなことになるかもねって考えている。』 『ディストピアだと言われてしまうかな?でも、完璧な世界、完璧な人間社会って、こうゆうのなのではないかなぁって思ってる。完璧だから、怖くない。いや、完璧だから、怖い?人間って、難しいですよね。』 『人々は多様であるべきだと、今の私はそう思っています。多くの視点が生まれますからね。でも、やっぱり子供たちに同じことを同じように教育するのは、いいことなのかなぁ。でも、きっと完璧な世界というのは、人々がみな同じような性質をしているのだと思うのです。』 『もし、全ての人間が、同じになってしまったなら、そんなのが、何人もいる必要があるでしょうか。一人で、十分なのではありませんでしょうか。一人になったら、いずれ絶滅してしまうではありませんか。やはり、完璧な世界とは、何もない、まっさらなのではないでしょうか。』 『人々はみな、幸せであるべきです。このすべての人間に共通する前提こそが、人々が同じような性質であるべき根拠になるのかもしれません。』  幸せであるべきだから。多様なき幸せ。 『私のこの考え方って、すごいですか?私は、すごいと思っているけど、こんなの、私が知らないだけで、とっくに世に出ていたり、するのでしょうか。だとしたら、ほんとに、私のいる意味がなくて、悲しいな。』 『こうして私が思考し、発表した以上、誰かに、知ってもらいたいなぁ。有名に、ならなきゃね。』 『不安に、直面すると、すぐ、世界が滅べばいいのにと、思ってしまう』 『頭が回らないからどんな文章にしようか忘れてしまう』 『世界を終わらせるには、自分が死ねばよくて、それはわかっているけれど、勇気がないのか、さておき、私は、まだ、死なない気でいる。 世界は、世界を感じる者がいて、やっと、あることになる? 思考がぐちゃぐちゃでよくわからない』 『なんのために生きる?死ねば、全部、終わり。すべて、無になる。なら、人生なんて、虚無ではないか。』 『本当に面白いよね。私達は、なんのために生まれてきたのだろう。すべて、無、無、無。』 『死ねば無なのに、それでも、自分のこれまでの出来事や思考を、世界に遺したいと思っている。その感情は、今生きているこの瞬間のもので、それなら、なるほど、生とは、生える欲求に従うべき現象なのかなと、思う うまく文章がまとまらない。多分意味不明。』 『ならば、生える欲求に存分に従おうではないか。』

SNSをやってたら、たまたま、唯心論というものを知った。 『唯心論というものが、もうすでに、あるのですね。』 『私はまだまだ、勉強が足りません』 『精神主義というものもあるのか あと、唯心論、ウィキペディアを見たのですが、あまりよくわかりませんでした。』

『他人がすごいってことを忘れてしまうと、自分がすごいものだと思いこんでしまう』

漫画やゲームやアニメとかで、人間のクズらしいところを見ていると、やっぱり、一人でひっそりと生きるのが正解なのかなーって、そう思った。

(奉仕してお金をもらう。何かを得るのに、何かを捧げる。なら、お金を払うというのも、奉仕なのではないのか。) (奉仕が、対価が、お金である必要はないのではないのか?) (確かにお金は万能の道具だが、苛みの元である)。 (結局、等価交換?いや、でも、訳あって働けない者がいても、生きられるじゃないか。それは優しさだ。優しさによるものだ。優しさによる世界であってほしい) (優しさで等価交換をぶち壊す。優しさは等価交換を破綻させる) (いや、無理なのかもしれない。優しさで、埋め尽くすことは不可能で、できても、ひとつまみの、離れた一部だけで、この世界が、正解なのかもしれない。 (いや、できる。私が前に組み立てた、理論でなら、叶うはず。)

(自分の理想を叶えたいなら、自分の国を持つこと…なのかもしれない。) (学校をつくるとか)

『世界があるということは、生きるということは、現象なのかもしれない。コマが、回るという現象によって働くように。』 『我々は、コマが回ってから止まるまでを過ごしている。』 『世界があることを、生きることを、コマが回っていることに例えると、なんだかそれらがちっぽけに思えてきて、気楽になることができる。そんなことが言いたかったのかもしれない。』 『コマは、どんなに壁にぶつかっても、他のコマとぶつかりあっても、砂に沈んでも、逆さになっても、傾いても、いずれ、回転は止まるから。』

『自伝書いたら、もう、死んでいいかもしれないって思った でも、死ねるかわからない。また、適当な理由つけて、生きるかもしれない。 生きていても、嫌な人間に嫌なことされるだけじゃないかって、思った。人間はクズだから。SNSとか見てると、よくそう思う。善人しかいない場所があったらいいな』 『思考してると時間なんてあっという間に過ぎてしまう』 『今日思ったことを、改めて理解しようとしてみると、あまりうまく理解できない。その時の気分によって変わるのかな。』 『いつか、あらゆる、すべての世界が、消え去りますよね?きっと、人間が死ぬみたいに、世界も死にますよね?でも、もし、この世界が、無限だとしたら、そんなの、みんなが、かわいそうだ。』 『宇宙を意識すると、人間ってすごいんだなーって思う。』 『世界って、本当に、なんなんでしょうね。興味あるなぁ。宇宙より先には、何があるのか。ちっぽけな、本当にちっぽけな私が、死んでも、別に、世界にとって構わないのだと、わかる。そう思うと、もう、死んでもいいのかなぁって思う。でも。世界に私のことを、遺したいなぁ。』

(教科書で、いじめの描写がある物語を読ませるのは、どうだろう。それも、ひどいいじめ。) (私の自伝を、教科書に載せるとか?) (現実でもフィクションでも、一度いじめを経験しないとたどり着けないものもある。気づけないこともある。)

(理想の世界だと思っているものが、本当に良いものなのかを検証するために、もう一つ、世界がほしい。例えば、コンピューターの中に、人間社会を再現するとか。シュミレーション) (まあ、無理だよね。でも、コンピューターではなく、人間の頭の中だったら、いける?人間はすごいコンピューターだ。)

(我々は本当に悠長だよね。今すぐに、いじめを、なくさなければならないのに)

『他人からどう思われるか。そんなこと考えなければ、幸福なのに。』 『一人で楽しく生きたいとは思ったものの、果たしてどうやって楽しみを見つけるか、疑問に思う。学問は楽しそうだが、せっかく見つけた新鮮な発見も、誰かに認められなければ、虚しい。自己満足のために、誰かに認められなければならない。』

『終わりよければ全てよし。 どうせ死ぬのだから、人生なんてどうでもいい。そんなことを考えた。』

もし、伊子と結婚して子供を産んだらなんて、考えていた。 そして、夢を見た。伊子と再会する夢。夢だと知って落ち込んだ

『いつも、やりたいこと、やるべきことを見失ってしまう。』

『世界がどんどんすごくなっていくのが楽しみですね。』

母は全く、私に協力してくれない。やりたいことがあるって相談しても、全然、協力してくれない。 話も聞いてくれない。 (だからだめなんだよ) (言っても無駄だと思うと、黙ってしまう。黙ってると、母は勝手にどっか行く) (もう死にたい。どうせ、死ねば終わりなのだから。) 『早く引っ越して家族と絶縁したい』 『私は一人でいたほうがいい』 『死ぬにしても、遺書は遺したいな』 『理論では、死んだらすべてが終わることが分かっていても、今の、生きている自分が、満足できないから、だから、うむむ、どうしてだろうか、遺さないと、今の自分が満足できないのだ。ただの、一般人として死にたくない。死んだら、すべて、おわりなのに。』 『なかなか執筆に手が出ない。抵抗がある。』 『早く遺して死にたい。死にたい。』 『結局は、人からどう思われるかが、この状態の正体なのかもしれない。多分。「なんで死んだの」って思われたくないから、遺す。』 『生前の私の性格がこんなんだから。』 『死んだ理由を明確に遺したい。』 『やっぱり人は、心に支配されている。心で死に、心で生きる。心が満足しなければ、満足に死ねない。』

『(あと何時間くらい時間潰そう)が延々と続いている気がする。』 『執筆に対する抵抗をなくさない限り、執筆に向き合えない。』 『私は、この日々をいつまでも続けようとしている。変わらなくてはならない。引っ越ししたら、変わるかなぁ。引っ越ししたいなぁ。』

『筋トレしようか迷ってる。どうせすぐに死ぬのなら、筋トレなんてしんどいことやりたくないし、これからもずっと、生きていくのなら、習慣として続けていきたいと思う。』 『生きて良いこと悪いこと、ちゃんと考えなきゃ。 生きてると、きっと楽しいことがいっぱいあって、それとともに、辛いこともたくさんある。 楽しいことは魅力的だ。辛いことは嫌だ。果たして、楽しいことは、辛いことを凌駕するのか。』 『こんな悩みも、今すぐ死ねば解決する。』 『未練は、まだ遺す準備ができていないことだけ。遺す準備ができたとき、私は、死ぬのか? 生きる希望はあまりない。ゲームの更新が、楽しみなことぐらい。多分、生きる希望がなくても生きていくことはできる。それは多分、惰性。でも惰性で生きることは、決して悪いことではないと思う。』 『生きる希望に対して、なら、生きる絶望はどうだろうか。たくさんあるぞ。例えば、お金に困る。親が死ぬ。災害が発生する。他人に嫌なことをされる。病を患う。…絶望だらけじゃないか。まあでも、自殺という逃げ道を知っているだけで、だいぶ気が楽だけどね。』 『そう、私はまだ狭い。きっと、誰かと議論でも交わせれば、なにかが変わるかもしれない。』

悲しんだり、面白がったり、私は人の反応を見るのが好きだって気づいた。

『ほんと、やるべきことをやり終えたら、こんなことをしている場合じゃないんだという自責から開放されるのに。』

『もっと世界を知りたい。自分のことだけじゃなく、誰かのことももっと知りたい。』

『いつまでにやろうという、制限を与えれば、やる気になれるかもしれない。』

『死ねば無くなる。意識すると、死にたくたる。無念すらも、無になる。死んだあとの世界は、私にとって、どうでもいいことだ。死にたい。でも、もったいない。何も遺せず死ぬのが、もったいない。』 『何も考えられずに死ねるなら、そうしたい。』 『私が、遺したいものなんて、世界にとって、本当に、価値のないものなんじゃないかって、疑う。』 『いや、もしくは、本当に価値がないんじゃないか?プロットを読み返して、そう思った。』 『そうだ。どうせ、全て無になるんだ。だから、何を遺しても、無なんだ。意味なんてないんだ。』 『家族はいつか死ぬし、人間はいつか滅ぶし、地球はいつか砕けるし、宇宙もいつか霧散する。』 『でもさ、せっかくだから、全部遺したいんだな。辛くて死にたいわけじゃないんだし、せっかくだから。それに、全部遺し終えたら、なにかご褒美があるかもしれないし。うん。小説、全部書こうかな。』

学校は、犯罪の温室。そんなこと考えてた。

〈今日は手すりに縄かけて首吊ろうとしたが、勇気が出なかった。体重を縄にかけることはできるが、全体重を縄にかけるために、腰を前に出して浮かすことが、とても勇気がいる。目のあたりが圧迫されるような感じになる。目を外に出そうとする負荷がかかる。中途半端にやって、目が飛び出すのが怖くなる。 今日は3回、ドアの手すりに縄をかけて首を吊ろうとした。〉 『一歩、踏み出すには、勇気がいる。』 『首が締め付けられていく感覚が、慣れない。勇気が出ない。結構深くいったのだけど。』 『早く人生が変わるような出来事が訪れますように。』

『始めてみたら結構進めることができるのに、そもそも始めることが難しい。』

『今の状態は、鬱のひどいときとは別のベクトルで、辛い。一日一日がしんどい。早く抜け出したい。終わりたい。 環境が変われば、人は変わるのか。引っ越したら、こんな今から変われるのか。コロナが、憎い。引っ越したい。早く引っ越したい。』

『自分がいかに大したことないか。私は本当に、大したことないって、わかったのに、わかってない。私はすごくない。特別じゃない。けれど、私はそのことがよくわかっていない。自信過剰。いつか、自分が大したことないってことを教えられたとき、そのことで苦悩すると思う。』

(強制しない。が、いいのでは?授業を受けることを強制しない。掃除をさせることを強制しない。勉強を強制しない。学校に行くことを強制しない。不干渉。それぞれがやりたいようにやらせる。) (それが正しいのかはわからないけれど。) 小中高生の自殺が多かったらしい。そのニュースを見て思った。 コロナで、家庭の時間が増えたから、とか、そんな考えをインターネットで見た。 「生きろ」「死ぬな」って言葉に、むかついた。 (けれど、決まりや法は強制して従わせる?いや、結局は自分が駄目だと納得しなければならない。) (いやでも、誰かが教えてくれなければならない。師匠システムとかどう?教えることは強制?) (自分の意志で行動すること。させること。悪いことをしたらこうなると、理解すること。理解した上で、行動すること。が、大切?) (どこに行こうともどこにいようとも自由な世界がいい。)

『一人で生きるべきなのか。極力、他人との接点を最小限にしたい。間接的でいい。一人で生きたい。』

『優先順位は、まず、自伝を書くこと。漫画を書いたり、英語を学んだりすることはその後。だけど、私はなかなか執筆に手が出ない。どうすれば、執筆を進めるか、引っ越して、新しい環境になったら執筆ができるんじゃないかと考えて、だから、今すぐ引っ越したい。』

『頼むから、皮肉とか、嫌味とか、使わないでほしいなぁ』

『ソクラテスについて、対話の記録しか残っていないのでしたっけ? そう、対話。対話によって、引き出される、対話者の、哲学。私も、誰かと対話して、哲学を引き出されたい。そのためにも、対話に特化した、私が開発をしたいと願っている、新しいSNSを、実現したい。かな。』 『自伝書くのしんどいから、誰か私から引き出してくれ。』

『いつか、本当に重要な、大切な情報以外切り捨てられる世界になるかもしれないと、思っている。情報の選別。残されるべき情報と、残すに値しない情報。情報が溢れかえっていて、本当に重要で大切なことが埋もれてしまう。それは、もったいない。』 『私は、残されるのだろうか。』 『世界がどんどん良くなっていくのは嬉しい。だから、私も世界が良くなっていくための貢献をしたい。』 『自分を世界に遺したいという気持ちが強いわけではなく、世界に自分を遺して、それが役に立ってほしいって気持ちなんですよ。』 『ゲームで、自分の村が、装備が、どんどん強くなったり、最適化されていくのが楽しいとか、そんな感じです。』

『やはり、足りないのは教養なのか。勉強すれば、もっと高い段階に進むことができる。17歳、今からでも遅くない…はず。…これまで、何もしてこなかった17年間が、すごくもったいなく感じる。幼い頃から英語が読めていたら、見える世界が広がって、もっと有意義に過ごせたのではないか。』 『引っ越したら、毎日図書館に通う。そして本を読む。成長する。そして、見える世界が変わる。毎日有意義に過ごす。やるべきことをやる。 引っ越したい。けれど、コロナ。コロナがなければ。 私は今すぐ、変わりたい。』

毎日、夢を見ていた。また、伊子の夢だった。私は、前回の夢で、伊子を抱きしめたいと思った。今回の夢では、私が伊子に嫌がらせをして、だけどその嫌がらせをやめて、仲直りに抱き合うというものだった。伊子の方から抱いてくれた。体育着に着替え中だったので、お互い上半身裸で、肌を触れ合った。

『専門にすべきは、脳科学かな。脳科学を、一番に勉強したい。』 『そのために、まず、英語、覚えようかな…って考えてる。』 『まず、学習の準備を整えなければならない。英語は、英語の本を読むために、まず勉強しなければ。…質問したら返してくれる、人がほしい。議論がしたい。だから、そんな、SNSを作るためにも、まず、プログラミングとか…いっぱいある。自伝も完成させて、有名にならなきゃ。』

『悪意なき議論の、なんて神聖なことでしょう』 『今のインターネット世界で議論を始めると、悪意が、私を恐縮させて、まともに話し合うことができなくなる。だからこそ、「一度送信したメッセージは二度と取り消せない」という法を用意した、議論のための、SNSが、作りたい。』

『他人からどう思われるかって、考えるの、辛いな。』 『なんなら、投稿全部消してしまいたい。まだ誰にも見られてないのだし。』 『多分、SNSに向いてない。』

(子どもたちを生徒としてではなく学者、研究者として雇う学校なんてどうだろう。) (倍率が大変なことになるな。)

『科学とかテクノロジーとかの発展は本当に素晴らしいと脳の本を読んでいて思いました。未知が切り拓かれ、思考や感情の意味や理由がわかるようになっていく。どんどん、良いへ向かっていっている。素晴らしい。私も、この発展に貢献したい。だから、勉強しよう。』

『ゲームは、恐ろしい。ゲームしている時間が、とても惜しい。やめたいけれど、アンインストールしても、また再ダウンロードしてしまう。それの繰り返し。私に精神力があれば。私は、その程度の人間なんだ。遊んでいる暇なんてないのに。』 『お金を稼ぐという手段と、稼いだお金で何をしたいかという目的を、一緒にしたい。例えば、お金でゲームを買いたい、プレイしたいという目的と、ゲームのプレイ動画を投稿してお金を稼ぐという手段は、目的と手段を一緒にすることができる。』 『いろいろなことを勉強したい、研究したいという目的と、そのためにお金を稼ぐという手段を、一緒にすることはできるだろうか。やっぱり、学者、研究者として雇ってもらう、ですか。でも、多分、雇ってくれる人、いないですよね。いるかなぁ。駄目ですか?』 『目的と手段の関係をうまく操れるようになりたい。』 『こうゆうこと考えるたびに、招き得た世界のこと考えている。お金がなければいいなと。 駄目だな私は。私はもう、全部が駄目だ。何から何まで全部駄目。どうして自分のことを、駄目だと思うのだろう。それは、多分、周りの人が、私のことを駄目だと思うに違いないと、私が思っているから。』 『この、勉強したいってやる気は、今だけのものなのかもしれないし、あまり、誰かに相談するべきじゃないのかもしれない。 今は、作家になりたいって気持ちが、そんなにない。作家は、お金を稼ぐための、最終手段だと思っている。』 『もう、何から何まで、不愉快にさせて、本当にごめんなさい。』

『老いは怖い。病気、認知症…。幼いうちに、いろいろやっておくべきだった。後悔先に立たず、でしょうか。もう遅いのかもしれない。そう思うと、とても落ち込む。』 『本大好き勉強大好き学問大好きな子供だったらなぁ…。無為な日々を、過ごしてしまった。先生が、教えてくれればなぁ。』 『教育に、興味がある。』

(人はこんなにたくさんいるのに、世界を良くしたいって思って行動する人はごく一握り。みんな好き勝手。例えば、みんな、脳科学を学んだら、きっと脳科学は進歩する。本当に大切な学問。) (自由が良い?勉強を強制したらだめ?でも学校は強制してる。) (みんな、自分や身近な人のために必死だから、学問に向き合う時間がない?じゃあ、みんなが一つになって世界を良くするために、世界を変えたい。)

『本を読んでいたのですが、「心」って、人間しか持っていないんですか? 心とは、感情とは、とか、学んでいく必要がありそうです。』

『人々が遺してくれたデータを、全て受け取るには、一体どれほどの時間がかかるのか。データは、どれほど膨大なのか。それとも、意外と、少ないのか。わからないな。その膨大なデータを、選別する能力も必要なのかもしれない。必要なデータだけを、まとめて、共有するのも、いいのかもしれない。』

『なんだろうか、私には、勉強をしなければならないという執念が無い。執念が生まれない。 今まで、必死に勉強をしたことが一度も無い。 執念で勉強するのと、気まぐれで勉強するの、どちらが優れているのだろう。 こんな疑問も、あのSNSが完成したら、誰かに質問して、納得できるのかもしれない。』

『やる気が出ない時間がある。今とか。もったいないように思う。』

『今は、やる気が出ない。 集中を継続できる能力がほしい。もしくは環境のせいなのか。とにかく今は、なにもやる気がない。』 『やるべきことを見失ってしまう。』

『理想の世界について考えるのは楽しい。「理想の世界とはなにか」を探求する学問とかあるのかな。誰かに、聞いてみたい。』

(人間が運営している世界は駄目だ。)そんなことを思った。(だから、もっと頭の良い、高次な存在に支配されたらどうだろう。人間なら、そんな存在を作り出すこともできそうだ。)と、考えたことがある。 いや、あるいはもう生み出しているのかもしれない。宗教とか、神とか。

(今の世界だと、もし未来で、テクノロジーで死んだ人を蘇らせることができるようになったら、自殺した人を蘇らせかねない。それは、やってはならない。) (本人の意志なく、不老不死にしてはならない。)

『環境が駄目なのか、自分の性質が駄目なのか。どうして私は、勉強をしないのだろう。どうやったら、勉強ができるのだろう。』

『自伝を書くのが辛いのは、忘れていたことを思い出さなければならないからだ。』

『朝はやるべきことがあっても、やることができない。やるべきことを見つけても、体が、思考が、それを拒否する。そして、二度寝してしまう。学生時代からの、癖。』 『明日こそはと構えても、結局、抗えない。』 『もうこの日々は嫌だ。だから、引っ越して、日々を、変えたい。』

 感情主義を知った。前に調べたときには出てこなかった。 『「感情主義」ってあったんですね。検索の仕方が悪かったのか、今まで知ることができなかった。』

〈マンスリーマンションを探していたけれど、みんな詐欺みたい。人間は狡猾だ。だから嫌になる。人と関わるのが嫌になる。 戻ると出てくる広告、わかりにくい場所に値段、追加費用… 人間と、関わっていくのが辛い。 でも、森の奥で、一人で生きていく人生に、なんの生きる意味がある?〉 『やはり、一人で生きたいです。一人になりたい。私は、一人でいるべきだと思う。自分のためにも。一人なら、傷つかない。』 『私はどうしたいのか。私は、注目されたいのか、されたくないのか。有名になって、世界に影響を与えたい。けれど、私にそれは、負担は大きい。一人になりたいけど、誰かと関わらなければならない。要するに、関わり方なのだろうか。』 『私は、一人閉じこもって生きていきたい。そして、私は何かを生み出す。それを、誰かが観測してくれればいい。作者と読者の関係。だけれど、その関係は間接的なもので、両者は交わる必要がない?いや、でも、良いものを生み出すには、他人から影響を受け取らなければならない。』 『私は、誰かと接するのが怖くて、なぜなら、他人は恐ろしいからだ。だから、一人で生きたい。 けれど、他人はすごい。私には無いものを持っている。だから、他人と接して、良い影響を受けたい。』 『本やアニメを観るということは、他人と間接的に接していること、だと思う。間接的だから、傷つきにくい。けれど、間接的だから、伝えにくい。 直接的な交流は、怖い。けれど、直接的交流は、きっと、与えてくれるものも大きいと思う。』 『そもそも、自分が生み出したものを他人に見られるのさえ、厳しいじゃないか。』 『どう他人と関わっていいかわからない。』 『他人との関わりは、最小限にすべきだと思う。だから、そのうち、ツイッターもやめたい。そもそも、私は、他人と関わることに向いてない。それを無理して、こうして関わろうとしていることが、間違いなんだ。そもそも、生きることが、無理。最低な人間。って文章にすると、笑えてくる。』

『やっぱり、薬がないから眠れない。間違えて今日の分の薬捨てちゃったから薬飲んでない。』 『夜は落ち着く。やっぱり夜型なのだろうか。』 『生活を変えれば、人は変わるのか。描きたい漫画がある。超自信作。世界で絶賛の嵐。アニメ化しちゃう。思考迷惑史上最高傑作。…だから、その漫画、完成させてみたい。』 『そう、今更だけれど、今、この時点で、もし、私が皆さんに興味を持たれて、投稿に返信をもらったとしても、私は、それを見ないつもりでいようと思う。 他人と接するのは、少し、ハードルが高い。 また、考え直すかもしれないし、変わらないかもしれない。 よろしくおねがいします。』 『わからない。私は、自分が本当に最低だったと感じる時があって、その感情に対して、どう向き合えばいいか、わからない。生まれてこなければよかった。そう思った。だが、生まれたからこそ生じる悩みなのだ。いつか、解答できるだろうか。』 『他人に知られなければ、いいのだ。死ねば、解決するのだ。そう、短絡的に考える。 忘れたい。 やはり、私は一人で生きたほうがいいのだ。そう思った。でも、それだと、駄目で、ジレンマ?いつか私は死ぬのだから、今は考えない。』 『本当に駄目だな私は。間違いに気づいた。まだ、フォロワーが0人の状態で良かった。間違いに、あとからじゃないと気づけないなんて、駄目だな私は。』 『もし、この自伝を世に公開して、私が有名になった、その後は、どうなるのか、わからない。どんな反応をするのだろう。どんな対応をされるのだろう。誰か殺してくれ』

(他人は有害でありながら、有益である)そんなことを考えた。

『国立国会図書館は、私のあこがれの場所です。日本の、あらゆる本が集う場所。読みたい本がいっぱいあります。あらゆる本が無料で読めることは、夢のようです。18歳未満は利用が制限されているのは残念です。人生を変えるような可能性のある本との邂逅のチャンスを、18歳まで待たなければならないことが』 『私は本当に独りよがりで、押し付けがましい。理想を誰かに押し付ける。ごめんなさい。』

『やりたいことを、やらないまま保留していく癖がついてしまいそうだと、思った。』

『誰も思いつかないような、今までに無かったような作品を生み出したいとは思っても、もう、どれもすべて既出であるって思って、なら、もう、私の生み出す作品に価値は無いんだと、諦めてしまった。自伝も、出す必要あるのかなって、そう思った。』 『なら、学問はどうだろう。学問なら、新しいものが、発見できるかもしれない。生み出せるかもしれない。どうだろうか。私ごときが?』

『私の代わりはいるのだろうか。もし、いるのなら、いることが、はっきりと確認できたなら、死にたい。私の代わりに、世界を良くしてくれ。新しいものを生み出してくれ。誰かを救ってくれ。』

『誰とも無関係になれたら、それは、気楽でいいだろうなぁ。』

(机上の空論だけど、誰もが世界のために働いて、そして誰もが浪費をしなかったら、なら、お金なんていらないのでは?)

(人間が苦手だと、生きていけない世界なんだ) (弱いと、生きていけない)

(自分は好きだけど、人間は嫌いだ。自分が好き、だから、自分に似てる人間のことが気になるのかもしれない) (自分が好きというよりは、自分は理解できる、自分は特別、だから?)

『選択肢を間違え続けた。リセットしたい。』

いじめ漫画とか検索して、我和佐に対してしてたことはいじめだったんだと知って、やっぱり自分は死ぬべきだと思った。 『死んだほうがいい』 『①誰かのためになる ①誰かに傷つけられない ①誰かに対して無害でいる ロボット三原則みたいだ。私を構成する、三つの願い。この三つを同時に満たすには、死ねばいい。 私の死が、誰かのためになる。 死ねば、誰からも傷つけられない。 死ねば、誰かに対して無害でいられる。』

(炎上している方と叩いてるほうは大して変わらない。どっちも変わらない。人間は変わらずクズ。…やはり、いるのだろうか。善人は。)

(お金がなければ、いくらでも善人を装えるし、綺麗事だっていくらでも吐ける。)

『熱中できるものがほしい。はやく図書館の近くに住みたい』

『「どう思われるか」を最優先してしまっているから、あまり良くない。』

『自伝を書き終えたそのあと、私は生きたいのか死にたいのか、わからない。死ぬべきだろうけれど、でも、生きて、やってみたいこともあって、迷っている。つまり、死ぬにはまだ未練があるのだろうか。でも、死ねば未練すらも消え去る。』

『思ったことを、うまく文章にできなくて、すごく悔しい。』 『悔しい悔しい。もどかしい。イライラする。』 『「生」ってなんなのか、うまく言葉にできない。「生」とは時間?概念?現象?イライラする。他人に説明するって、すごく大変。』

(私みたいな人を見分けるにはどうしたらいいんだろう。) (平和的な人を集めた、平和な空間。でも、平和的な人なんて、本当にいるのだろうか。)

『世界には、まだ、私の知らないような人間はいるのだろうか。これまで、家や学校やインターネットでいろんな人間を見てきた。みんな、同じような人間だった。果たして、いるのだろうか。私の知らない人間が。』

(本当の人間は、現実とノンフィクションだけしか教えてくれない。) (フィクションは、ときに、その人間の人間観を狂わせる) (フィクションに、おびやかされるのはごめんだ。)

『熱中したい。熱中の日々は、きっと楽しいだろう。熱中の生み出すエネルギーはすごい。何かに熱中できるって、素晴らしい。』

『世界が変われば人間も変わるのだろうか。』 『人間(人間の精神や性格、心理とかを指す)は、理解できるように思う。複雑なのは舞台、つまりそれぞれの人間を囲う環境のパターンであって、人間自体は、案外、どれもみんな同じような性質であるように思った。』 『うまく言葉にできない。 世界が変われば、人間も変わるのだろうか。人間は、世界を変えれば、変えられるものなのだろうか。』

『生活習慣、変えちゃおうかな…。やっぱり、夜のほうが集中できる気がする。』

『無思考無迷惑と呼んでもいいくらいに私は思考を放棄している。ミステリー小説を読んでも自分で推理をしない。それじゃあ、駄目。だって私の名前は思考迷惑なのだから。…でも、この性質は、なかなか変えることができなそう。変わりたいな。』 『頭を抱え、試行錯誤を頭の中で繰り返し、ひたすらに悩み、そして悶々と苦悩した難問が、解答集を開いただけで、あっさりと氷解してしまったときのあの快感が、今も忘れられないのだ。 苦悩の末に訪れる、閃きの雷に身を焼かれる悦びを、私に思い出させてくれ。』 『そうだ、思い出した。あまり詳しいことは言えないが、私もある一つの作品の、熱心な読者であり、考察者であったではないか。』 『結局その作品はとある事情で打ち切られてしまったのだが、私はその作品の出題に、インターネットの考察サイトなどを読み漁って、そして、最終的には一人で、これぞという解答を、見つけ出したではないか。あの瞬間、あの経験の興奮は、今でも覚えている。忘れがたい、青春の思い出。』 『どんな考察をしたのかは、もう忘れてしまったのだがな。私は自分の考察を、誰かに自慢したかったのだけれど、でもその作品を知っている友人はいなかったし、ゲーム機でブラウザを開いていたから、考察をネット上に書き込むことはできなかった。だから、もう、私の見つけた解答はどこにも残っていない。』 『思考迷惑。私は、思ったり、考えたり、迷ったり、惑ったりするのが楽しかったから、この名前にしたんだ。それを、ずっと、忘れていた。 …思考、迷惑の楽しさを、伝えたい。それを、一つの指標として、物語を生み出すのも、いいのかもしれない。』

『電子書籍なら、図書館に行かなくても本を読むことができる。電子書籍は素晴らしいなぁ。』

『図書館が隣にあるって素晴らしいだろうなぁ。退屈を、いかに過ごすか。その選択肢の中で、図書館にて本を選び、開くことは、いかに有意義かという点で、かなり優れた選択だと思う。図書館の近くに住みたいと切に願う。』 『私は、憧れが強い。昔は、猫を飼うことに憧れていた。でも、いざ飼ってみると、猫の機嫌を測るのに疲れてしまって、もう、あの頃の憧れていた頃の幻想は壊れてしまった。憧れが叶ってしまったら、冷めてしまう性質なのだ。それを、今、理解した。』 『私には、予測能力が足りないのだろうか。理想の未来は幻想で、本当の未来を、私は、視ることができないのだろうか。』

『今、退屈です』 『退屈を退屈のまま過ごしてしまうのは、目的がないからなのか?』

水道でうがいをしたら、近くにいた姉が「うわ。はねた〜」と言った

奇矯に振る舞って笑いを取るのは、奇矯な人を笑い者にしているの、かもしれない。 『「あらゆる笑いとは、誰かを笑い者にすることから逃れられないのかもしれない」とは、私が半年前くらいに思いついたことなのだが、もし、そうだとしたら、笑うということ、笑いを取るということに、抵抗を覚える。』 『人気になりたい。思考迷惑として。私の考える、人気になる手段とは、人を笑わせることだ。面白いことをつぶやいて、人を笑わせて、人気になる。けれど、考え直さなければならないと思った。「笑い」に対し、私は注意しなければならない。』 『「笑い」には、なにか人を恐ろしいものに変えてしまうような、魔力を感じる。』

テレビで、宇宙について放送されていた。 宇宙はいくつも、膨大な数があるのかもしれないらしい。(地獄が、いっぱい。) いつか、助けが来るのだろうか。いつか、助けに行けるのだろうか。

『図書の数が最大の図書館よりも、読むべき、読まれるべき本だけを揃えた最小限の図書館のほうが、優れている、と思う。 なんなら、その図書は、最大の情報よりも、最大限の情報が最小限のほうが、優れていると思う。最大限に最低限な図書を、最大限に最低限揃えた図書館に、憧れる。』

あのとき須下の顔に肘突きをくらわせていたら…、あのとき連妃の指をペンチでぐにゃぐにゃに折ってやったら…思い出しては、そんな妄想をしていた。 (人間はクズ。他人はクズ。弱き者よ。そのことを、どうか、わかってほしい。そして、忘れないでほしい。)

(やっぱり、自伝書いたら、すぐに死にたい。) (でも、自伝を世に知らしめるには、漫画を描いて、有名になるしかないのかな。)

『これから、いろんなことがあると思うと、しんどくなる。未来を意識すると、憂鬱になる。だから、死にたくなる。未来を奪ってくれて、ありがとうございます。死があって、よかった。』 『…もし、死を知らなかったら、どうなっていたのだろう。「死にたい」って思うことは、はたして、心に安らぎを与えてくれるような、良いこと?それとも、憂鬱を与えるような、悪いこと?』 『私は、「死」つまり「終わり」があることが、嬉しい。辛くても、いつか終わるんだって思うと、その瞬間は、心が、少しだけ、穏やかになるような気がする。 そして、その「終わり」を、いつでも自分で決定できるんだと思うと、もっと安心できる。』 『終わらない拷問よりも、いつかは終わる拷問。相手が終わりを決める拷問よりも、自分で終わりを決められる拷問。 いつかは死ぬことと、自分で自殺を選べること。それは、私の心を、助けてくれる。だからどうか、死を、奪わないで。』

『思い出すだけで、つらい。書き記すことで、もっとつらくなる。』 『執筆をさぼったら、うまく思い出せなくなってしまった。どうしよう。』 『あの時の感情が、思い出せない。だから、記せない。それが、とても悔しい。』

『楽しいことをする前に、やらなければならないことがある。』 『暇で退屈でやることが見つけられない、そんな時間に、なにをすべきか、示してほしい。』 『私はよく、何をすべきか見失ってしまうから、どう対策しようか。手のひらにやるべきことをマジックペンで書いてみるとか?』 『そもそも、「何をすべきか」を自分で決めることは、とても難しいことだと思う。自分が、何をすべきかなんて、自分で考えてわかるものなのか?自分が何をすべきかなんて、世界が決めることで、自分で決めることじゃないんじゃないか?』 『「誰にとって」すべきことなのかを意識してみたらいいのかもしれない。例えば、私にとって私がすべきことは、自分が幸せでいられるように頑張ることだ。他人にとって、私がすべきことは、他人を幸せにするために頑張ることだ。なら、自分と他人にとって、つまり、世界にとって、私がすべきこととは?』 『話がまとまらないぞ』 『思考を文章にするのって難しい。話がまとまらないし話がそれてしまうし本当に話したいことが話せないから、苦手だ。』

『私は世界のことをまだ、全く知らない。世界が、狭い。』 『いや、世界って、意外と大したことないのかもしれない。人間は誰も同じような人ばかりで、世界の仕組みは意外と単純なのかも。』 『思考を放棄したくなる。死ねば、何も考えない。』

 『自伝書き終えたら、もう死ぬ。』

また伊子の夢を見た。夢の中で、思いっきり抱きしめた。

(別に、人だけじゃない。動物もクズ。生物もクズ。この世界を生み出した神もクズ。火もクズ。水もクズ。土もクズ。風もクズ。光もクズ。闇もクズ。地球もクズ。宇宙もクズ。世界もクズ。あらゆるものすべてがクズ。)

『自己と他人は違う。他人のことなんて、わからない。だから、自分だけに集中する。自己であふれかえるこの世界、なんと複雑なことだろうか。』 『他人のために、世界のために、自己を通り越して、貢献できるなら、そんな感覚を、一度体験してみたい。』

『図書館の近くで本をいっぱい読んで作品を作っていく生活もいいけれど、豊かな自然の中で気ままに作品を作って暮らす生活もいいと思う。自然の中の暮らしのほうが図書館の近くでの暮らしよりもストレスがなさそうだけれど、やっぱり本をいっぱい読んだほうがいい作品が作れそう。』

SNSで、私は、自分が好きなキャラを演じているのかもしれないと思った。

世界共通の第一言語があったら、いいなと思った。

(「…である。」「…だ。」偉人の名言とかで、よく見る。SNSでも。でも、あまり良くないと思った。 (「…かもしれない。」「…だと思う。」を意識する。もし間違っていたときとか。それに、思考を促せる。)

(誰かを傷つけたことがないだけで100点満点。生まれてこないだけで、百点満点だよ)

『いろいろ悩んでいるけど、まずは自伝を完成させなきゃいけないとわかっているけど、なかなか手が出せない。』

(どのみち、長く生きていく自信がない。母が死んだら、一人で生きていくことになる。今まで、ずっと、母が私の代わりに話してくれた。だから、人と、話さなきゃならなくなるかもしれない。)

(切腹して、力を失って、首が吊られて死ぬ。それも、いいかもしれない。) (私の死は、どんどん掘り下げてくれ。作品に使ってもいい。)

(いじめ事件をインターネットで見ていた。) (人間はクズ。よく、わかる。はっきり、認識できる。) 『死ねるから、大丈夫。どんなに苦しくても、つらくても、死ねるから。死ねてよかった。本当に、よかった。』 (どんな絶望に直面しても、死ねるから、大丈夫。死ぬことができて、ありがとう。)

(切腹は、やっぱり怖いよ)

(すべてを愛する、何も嫌悪しない、博愛主義。そんな人間を描くという、漫画のアイデア。差別問題を見て。) (そんなキャラクターで、自分を縛り付ける。)

(母は私がいて姉がいないときには姉の悪口を言う。だから、私がいないときには、きっと私の悪口を言っているのだろう。早く、この家から脱出したい。)

(姉が、私の死にたいという気持ちを否定したことを、今でも許せない)

『どう振る舞えば、嫌われないか、悪意を向けられないか、蔑視を向けられないかを、いつも考えている。だから、逆に、私が他人からどう思われたいのか、考える。尊敬をされたい。憐憫を受けたい。偉大に思われたい。「思考迷惑みたいになりたい」と思われたい。普通の人とは違うように思われたい。』 『好意を向けられたい。許されたい。すごいと思われたい。配慮されたい。共感されたい。気にかけてもらいたい。愛されたい。積極的に近づいて来てほしい。忘れないでほしい。 今思いつくのは、これくらい。タルタルソースが好きです。』

(作家の自殺。多いらしい。なぜか。知ってみたい。)

たまに、突然、いじめを受けていたことを思い出して、嫌な汗が出る。 (またあの時と同じような感覚。これは、感情なのかもしれない。漠然と、胸が沈むような、名前のまだない、感情。「不安」が近い言葉かもしれない。) (「胸糞悪い」は、その感情が強い時に起こされる、体というか、心の不調を表した言葉。)

(嫌いなもの、苦手なものは、なかなか変えられない。だから、関わらないのが一番だと思った。人間は、お互い、関わらないのが、いいんだ。お互いのために。)

『最近はよく眠りにつけるようになった』

アニメとかに障害者とかがどれくらい出るのかとか、気になって調べたりした。 (いろんな人間を登場させる作品というアイデア。障害者、クズ、外国人、変態、犯罪者、変な名前、体型、醜美、無能有能、性格、貧富、賢さ、人間関係、社会的な立場、職業、経歴、性癖、年齢、属性、思想、種族…とか ) (どうするのが正しいのか、考える必要があるのかもしれない。) (ただ描くだけじゃ、自伝の下位互換。メッセージを込めないと。) (フィクションを見せる。フィクションならではの作品。人付き合いの、解答を見せる。) (正解とは、解答とは、なんだろう。)

(誰か、有名人が、尊敬している作家が、過去にいじめにあっていたと知ると、嬉しい。) (笑ってしまうほどに) (別にいじめじゃなくてもいい。虐待でも差別でも、なにか他人からの悪意を受けたことがある人ならいい。)

今日は、昼くらいに、池沼という文字を見つけて、その言葉を調べてみて、意味を知った。 発達障害者が猫をいじめて殺した。そんな記事を見て、発達障害者が、憎らしく思った。 (間違いなのだろうか。発達障害者を憎むことは、間違いなのだろうか。障害に関係なく、やった本人を憎むべきなのだろうか。それとも、誰も、憎まないのが正しいのだろうか。) 動物虐待拷問を楽しむ、そして悪意で他人に嫌がらせで動画を送るやつをSNSで見つけて、こいつも発達障害なのかと思った。  そう思ってしまったことを、ここに記す。

『やはり、文章を書くというのは、すごく苦手だ。他人からの印象を文章で操ろうとすると、失敗する。投稿が下手だ。』

『スケジュール帳を昨日買って、今日の欄にこう書きました。「朝ご飯を食べた後、パソコンを起動し、中学校編の続きを執筆する。5エピソードをやる。あとは自由。」細かく書きました。結果、効果てきめんです。見事、私はこのスケジュールどおりに時間を使うことができました。』

『学生時代はただ時間を過ごしているだけでよかったが、それからは、時間をどのように過ごすかが大事なのだと、気づいた。気づくのが遅い。でも、気づいたところで、変えられないのだ。学生時代の心持ちが。 私にとって、時間はただ過ぎていいものではないのだ。変えたい。変わりたい。』 『退屈だと感じたら、すぐに「じゃあ執筆しよう」という気持ちになれるようになりたい。』

昔は、自分のことをいじめられっ子だと言ったり、いじめにあっていたと言うことに、抵抗があった。 いじめという言葉は、使いにくかった。

(クズを見たいなら、クズになればいい。そうすれば、クズは向こうからやってくる。)

『執筆は、やっている時間よりも、やる前の時間のほうが苦痛に感じる。』 『思い出せないことがあって、どうしたら思い出せるか悩んでいる。』 『日記をつけておけばよかったと、後悔している。』 『エピソードの順番が思い出せないときは、物語として、一番優れるように組み立てることにします。』

執筆がめんどくさく思うと、死にたくなる。

『自分がしたいことをしたい。自分がしなければならないことは、自分がしたいことよりも、優先しなければならいとは、わかっているけれど、それでも、私の心は、自分がしたいことを優先している。だから、執筆が進まない。執筆は、面倒、大変、複雑、長い。だけど、やらねばならない。』 『人間は、おそらく、他人のために頑張れるように、できていない。』 (他人のために、頑張ることはできない。ただ、ボタンを押すと、餌が出てくるから、頑張ってボタンを押しているだけで、そのボタンを一回押すごとにどこかに募金が入ろうが、誰かの爪が剥がされようが、どうでもいいんだ。)

『死を意識して、全てがどうでもよくなる』

『エスペラント語は、はたして、広く、誰もに受け入れてもらうことができるでしょうか。』

(誰とも関わらないということは、誰からも傷つけられないということ、誰かを傷つけないということ。そして、誰かの役に立てないということ。) (誰からも傷つけられない、傷つけない、役に立てる、そんなことが、できるのだろうか。 例えば、誰かを傷つけることを一切禁止してしまえば、できなくしてしまえば、残りは誰かの役に立つことしか残らなくなるのでは。) (誰も、傷つかなくなれば、いいのに。)

『食後の執筆はすっかり習慣になりました。』

『一度、山奥とかで、一人で生きてみたい。』 『生業のない生活が、あまり想像できない。』 『なんにもすることがない時間は、どうしたらいいかわからない。』 『命題を見つけられず、暇をつぶす。そんな自分を変えるには、やはり命題を見つけるしかないのだろうか。誰かが示してくれれば、与えてくれれば、楽なのだが。』

(もし私が誰かの父親になったら、子供ができたら、どんな父親になりたいか。)そんなことを考えた。 (本をリビングにたくさん置きたい。私が選んだ、ためになる本。蔵書が多い図書館の近くに住みたい。インターネットを与えたい。閲覧履歴は監視したいが、子供は嫌がるだろうか。私の自伝を読ませたい。伝えたいことはすべて、自伝に載っているから。) (幼い頃から、英語と日本語、あらゆる言語で話しかけてあげたい。) (常に余裕のあるときに接してあげたい。決して、怒ったり、なにかの二の次にしたくない。私が会える状態、彼が会いたい状態が合致したときだけ、合うことにしたい。どちらかが会いたくないときに、会うべきじゃない。) (部屋を与えてあげたい。子供がほしがるようになったら、その部屋に鍵をつけてあげたい。) (欲しがるものは何でも与えたい。行きたい場所には行かせてあげたい。できる限り。) (学校は、もし、可能なら、行かせたくない。教育が必要なら、私が教える。でも、義務教育があるから、それはできない。本人が休みたいと言ったら、休ませてあげたい。) (あらゆる悪影響から、子供を守りたい。何が自分にとって悪影響か、自分で判断できる子供に育てたい。) (テレビも与えたい。スマホ、パソコンも与えたい。) (もし、ペットを欲しがったら、慎重に検討する。) (育児は頑張る。育児についてよく調べてから子供を産む。) (何かを教えなければならないとき、何かをさせなければならないとき、どうすればいいのだろう。説教っぽくはなりたくない。できるだけ、子供本人が嫌がらない、傷つかない教え方に工夫したい。) (仕事は、できるなら、本人が望むなら私の助手として働いてほしい。私を受け継いでほしい。) (よく議論をしたい。議論を通して、様々なことを教えたい。何が正しいことなのかを、二人で考えたい。) (望むなら、子供が、自分で、学校に行かない選択をしてほしい。) (紳士風というか、穏やかな感じで、対等な感じで、話したい。礼儀正しい感じで。) (〇〇さんって呼び合いたい) (影響を与えたい。) (でも、これは理想。多分、どこかで理想は崩壊する。その時、どうすればいいのか。…理想を崩壊させないためにも、理想は、強固に固めなければならない。) (なんのために子供を生むのか。まず、私は助手がほしい。一人でできないことを、手伝ってくれる助手が。…それに尽きるのかもしれない。)

 (人類の解答とは。完璧なユートピアとは。) (幸せしかない。加えて、その英知でどんどん発達していく。幸せと発達に、他種族を巻き込んでいく。幸せしか感じない。幸せしか感じなくなってしまったら、どうなってしまうのだろう。) (人間は、一人ひとりが変わらなければならないと気付く。世界が変わるのではない。生物が変わるのだ。生物が変わらなければ、平和など訪れない。なぜなら、すべては心だからだ。心が変われば、平和になる。)  (人類が幸せになるために、どうしたらいいか、どうなればいいか、何をすればいいかを記した作品なんてどうだろう。)

(なにの課題も問題もない世界に、人は生まれてくる意味はあるのか) 『学問に、ワクワクする。知らないことがいっぱい。知る喜び。』

『至高の作品、至高のシステム、至高の頭脳、至高の人間、至高の人生…。 あらゆる「至高」に憧れる。思考迷惑だけに。 究極の、完璧な、正解で、これ以上ないもの。そんな、至高を、目指したい。 完璧主義なのだろうか。』

『楽しい、面白いと思うことができなくなってきている。誰かと遊ぶゲームは、苦手。お絵かきは、楽しいと思えない。物語の作るのも、難航すると、やりたくなくなってくる。動画も、見飽きた。本はなんだか読みたくない。 なにか、楽しいこと、面白いことを見つけられないだろうか。』

〈中学の、受験シーズンの、母と姉の尋問シーンのところを書いていると姉が憎くなる。今から下行って風呂入ってる姉を金属バットで頭殴って湯船赤く染める妄想をした。姉からの虐待について調べた。同じような経験をしている人の体験談見て、思わず今から下行って椅子に座っている姉を蹴り倒すことを思いついた。〉 『書いていると、姉が、許せなくなるほど、憎くなる。』

(人が死んで悲しむのは、死ぬことが問題なのではなく、死んで悲しむ人が問題なのだ)そう思った。

(私が子供なんて持てるわけねえわ。猫の世話だけで気疲れしちまうんだから。)

『自伝を書いているとき、早く終わらせようと、思ってしまって、うまく伝わる文章になっているか不安になる。』

『「意外と大したことない」そう思うと、心に余裕が生まれる。』

『自伝、プロットに書いた要約した文章をそのまま本文に書いてしまっている。楽になろうとしている。だから、ペースはかなり早い。けれど、あの苦しかった日々の描写を、たった数行で、終わらせていいのだろうか。読者の心に、響くものになるだろうか。』

(体罰は駄目だから、心ならいくらでも傷つけてもいいんだ。おかしいよね。体罰がなぜだめなのか、それは、心を傷つけているからなのに。)

『仕事があるのにもかかわらず、仕事を探してる。宿題があるのに暇だな〜って思うみたいな。仕事から逃げる性質は、どうすれば変えられるのだろう。どうしてこの性質になってしまったのだろう。生来的なものなのだろうか。』

『すべて、お金があれば解決できるのかもしれない。お金をいっぱい稼ぎたい。』

『大事なことを忘れてしまった。』 『いつか思い出せるだろうか。』

『今の状態が、鬱の最中にあるのか、それとももう治ったのかは、わからない。もし治っていてこの状態なら、じゃあどうすればいいのだろう。私の精神力は回復するのだろうか。』 『精神力という言葉は便利で、鬱は精神力が極度に下がっている状態だと説明できる。』 『いつになったら死ねるのだろう。まずは自伝を書き終える。そして創作して、作家として有名になって自伝をいっぱい見てもらう。そしたらやっと死ねる。いつでも死ねる状態になる。そこから先の人生は、楽しいことばかりやる。やりたいことをやる。死にたいと思ったらすぐ死ぬ。』 『自伝は、このままいけばいつかは完成できると思うが、創作のほうはどうだろう。創作は、いつ完成するのかわからない。そもそも、創作で有名になれるかどうかもわからない。自信はあるけれど。』 『薬を忘れると眠れなくなるということは、まだうつ病が治っていないということなのだろうか。』 『調べてみたが、薬を急にやめると不眠の症状があるらしい。』 『薬を初めて一年以上たったが、治ったのだろうか。』

(もしこの世界にお金がなかったら、家族のもとからすぐに離れられる。)

(家族も、他人)

『昔は、今、大変だと思う作業を、大変だと思わなかった。その精神は、昔の頃の私に戻りたい。』 『「やる」はできるようになったが、「続ける」ができない。うつのせいなのか、違うのか。やだな。早く治りたい。この日々から抜け出したい。仕事と勉強で何も考えられないくらい忙しくなりたい。』

テレビでイルカを見た。そしてこんなことを思った。 『地球は宇宙生態系の縮図なのだろうか。宇宙人は、地球に住んでいるのではないか。』

自作SNSは自分のために作っているのだと、気づいた。

(抑制としての罰は、必要なのかもしれない。) SNS考えていたとき、どうやったら誹謗中傷を防ぐかを考えていたときにそう思った。

『自伝を書くのも、創作するのも、もう、自分のためにやっていて、誰かの役に立つなんて、考えていない。誰かの役に立つことは嬉しいけど。 誰かの役に立ちたいと思うことが、私の原動力だった。この気持ちが、今日まで私を生き延びさせた。多分。』 『私は、私のことだけを考えるなら、さっさと心残りを解消して、死ぬべきなのだ。私は、弱いから。もう苦しみたくない。 もう一度、誰かのために生きる夢を、見させてくれることは、ないだろうか。あの頃が、私の全盛期だった。あの頃は特別だった。あの頃は優しかった。』 『うつ病は、やる気を起こす、続けられる、精神力を削ぐのがいけない。せめて、苦しくて辛いだけならよかった。これじゃあ、何も成し遂げられない。だから、治さなきゃならない。』 『どうして自伝を書かなくちゃならないのかさえもわからなくなっている。死ねば終わりなのに。早く死にたい。なんのために自伝を書くのかがわからない。有名になっても、名声を博しても、どうせ死ぬ。というかもう、名声なんてどうでもいい。そんな気がする。』 『生きる意味を見失ってしまったのだろうか。なら、誰かがくれればいいのだが。いや、いらない。どうせ私には荷が重い。もう生きたくない。けれど、自伝を遺さないことはもったいない。そう、もったいないから私は自伝を遺すのだ。』

『「人間はクズ」って言葉は、人間の種族としての本性を表した言葉で、「他人はクズ」という言葉は、私、つまり自分から見たときの、他人を評価する言葉。だから似ているようで、方向が違う。』 『自分は、私のことを守ってくれる。優しくしてくれる。いたわってくれる。 他人は、私を傷つけるだけの存在。 だから、他人はクズ。 「クズ」って言葉は、インパクトが強いよね。だから、使ってる。私もクズだって言われたことがあるから。言われると、心に突き刺さる言葉。』

『誰か、「今」、私を助けてくれる人は、いないのだろうか。「今」。 どうせ助けに来てくれない。そう思って、私は手を引っ込めてしまう。どこかに、手を差し伸べている人がいるの?でも、私にはその人が見えない。』 勝手に、どんなことを言われるかを想像する。『他人は、酷薄。どうしてそんな厳しいことを言うのか。他人に助けを求めることが間違いなのだと、思ってしまうではないか。他人は、クズ。なのにどうしてクズと関わることでしか生きていけぬのか。クズと共存するしかないのか?そんな強さは私にはない。なら、死んでしまおう。』 『生きることが難しいなら、無理して生きる必要はない。この世界に適応できる人と、できない人がいる。私は、適応できない人なのだ。』 『孤独になりたい』 『孤独を望むなら、孤独になれるように頑張ろう。 SNSは見ない。書くだけ。 ゲームで誰かと遊ばない。 テレビは見ない。 人を避ける。 山奥に住む。 部屋にこもる。 それでもいつか、他人と関わらなければならなくなる。それが、嫌だ。』 『私の代わりに他人と関わってくれるロボットがほしい。残りの人生を、ロボット開発に勤しむのも、悪くない。 ロボットを作るには、誰かから作り方を教わらなきゃ。 いつか、他人が、クズじゃなくなってくれれば、いいな。 人がクズじゃいられなくなる世界。』 『無人のコンビニってあるのだろうか。』

『自伝を書いて、創作して、有名になって、死ぬのだろうか?本当に自殺するのだろうか。するとは思うけど、その時になってみないとわからない。 なぜ死ぬのか。生きることが困難だから死ぬ。生きてると辛いから死ぬ。死ねば、全て終わるから、死ぬ。とか?』

『ある日突然唐突に、痛みも苦しみも不安も怒りも悲しみも胸くそ悪さも後悔も感じることなく、殺されたい。』

法が必要なのだと思った。ネット掲示板、SNSや、学校、家庭。誹謗中傷、いじめ、虐待。法が行き届いていない場所に犯罪が集中しているのだと思った。 『法の勉強がしたい』

『自分がこの世界をどう思っているかという世界観のうち、何が、どれが、フィクションなのか、リアルなのか、見当がつかない。賢者みたいな老人は本当にいるのだろうか。ツンデレは現実にいるのだろうか。 フィクションに、惑わされることは、現実的に考えたい時に、とても迷惑になるのかもしれない。』

『他人とは、関わるべきではないのだ。他人に危害を与えるのも嫌だし、危害を与えられるのもやだ。』

『私は私を遺したいのだ。生きた証とか、名誉とか、そうゆうのではなくて、なんというか、授業中、隣の席に座っている子が、問題の答えがわからないとき、「ここをこうすればこうなるんだよ」って、解答を教えてあげたくなるような、独りよがりな、おせっかいの気持ちなのだ。多分。』 『感覚を、言葉にするのは難しい。』 『おせっかいは、相手が迷惑に思うかもしれないし、喜んでくれるかもしれないから、迷惑になってないか、不安になる。』 『そして、後悔するのだ。「関わらなければよかった」と。』

『思考迷惑として、他人と、うまく、関わっていけるだろうか。』

『私もクズだよ』 『人間はクズ。私は人間。私はクズ。そのことを、ずっと忘れていた。私も、クズなんだ。 罪悪感を持って生きないと、いけない気がして、だから、罪を忘れている自分が、だめなのだと、思う。』 『罪悪感は、他人を想うことで生じるものだと考える。今の私は、自分のことしか想っていない。だから罪悪感を忘れている。 うつ病は、他人を想う病なのだろうか。なら、優しいな。 うつは、気力を奪うことが無ければ、いい病なのだがな。』 『自分はクズ。本当は、そんなこと思ってない。文章に書いてるだけ。昔の自分はもっと感情的だった。今の自分はそっけない。文章にすることで、自分を戒めてる。うつ病には、二度となりたくない。自分が大事。 私は、忘れてしまった。』

(命は、心を動かす要因で、本当に大切なものは心なのだと、思った。)

(人間のすごいとこは、自分のことが一番でも、他人のためになれること)

罪を忘れている人が許せないから、自分の罪を思い出す。

『相談電話的なものには、一度もかけたことがない。人と話すのは苦手だし、あまり信用してない。相手が私をどう慰めようと、心が安らぐことはないだろうと思うし、悩みも解決することはないだろうと思う。自分にできなくて、他人にできることなんてないと、思っている。』 『自分で自分のことを慰めることができないのに、他人に自分を慰めることなんてできないと思っている。自分で解決法が思いつかないのに、他人が解決法を思いついてくれるなんて、ないと思っている。 今までだって、全て、自分ひとりで慰めてきた、解決してきた。』 『それに、どうせ理解されることはない。肯定されない。間違っていると言われる。アドバイスは的外れ。核心をついてない。浅い言葉。 何も期待していない。』 『早く、そういうところに相談していれば、良かったのだろうか。うつ病かもしれないと、教えてくれたのだろうか。いや、信用できない。そもそも、誰かと話すことが嫌だ。勇気がいる。 私に必要なのは、他人に相談する勇気ではなく、自分で解決する能力。』

『最近は自伝執筆をさぼっているから、どうすれば再開できるだろうか。朝昼夕の一日三回は辛い。できれば一日一回がいい。執筆は、始めるまでが大変だから、一回始めたら、いっぱい書きたい。』 『長時間集中して執筆することができなくなってしまったのだろうか。続けて執筆することに、抵抗を感じる。』

『博識な人に、憧れる』

『無名の新人作家の私が、どうすれば注目されるか。持ち込みすれば、応じてくれるだろうか。自分の作品には、自信がある。だから、どうか、見てほしいな。』 『もし、誰にも評価されなかったら、自信が外れたら、有名になれなかったら、誰にも知ってもらえなかったら、どうしよう。』

オムライスを捨てたシーンを執筆していて、思った。 『早く家族から離れたい。一人になりたいのに、それができないのが、悔しい。簡単に一人になることを許してくれない。』

(他人を傷つけない、自分が傷つかない方法。死ぬか、人間と会わない。)

店員と目と目を合わせて話すことができた。

憎いやつを殺して、その後自殺する妄想。遺書には、「もし、あいつを殺して、私が自殺したら、私はあいつに殺されたってことになるのだろうか。罪は相殺されるのだろうか」と書く。

肉を食べてもいいと思うシーンを書くために、家畜の殺され方を再び調べてみたら、残酷な殺され方をされているのだと、出た。

(多分、ADHD。そして、HSP。自分を知る、他人を知ることが大事だと思う。) 〈あまり、自分のことを説明するのは、苦手。相手から、どう思われるか。〉

(害獣は、人に害を与える悪い生き物。けれど、害獣に人が害を与えるのも、だめでは? (害を受ける前に、与える前に、殺せばいいのか。)

プロット見直した。昔の自分は、自分に子供ができたらきっと幸せにならないと思っていたんだ。ちゃんと、子供の幸せを考えていた。

姉の手の甲に鉛筆を思いっきり突き刺す夢を見た。

『私の、ゲームで強くなりたいという気持ちには、多分、誰かに尊敬されたい、すごいと思われたいという目的がある。なら、私の独りよがりな役に立ちたいという思いにも、そんな目的があるのだろうか?』 『褒められたり、尊敬されたりすることは、期待しているけど、果たして、それが目的になっているのかどうかはわからない。おせっかいには、どんな気持ちがあるのだろう。』 『誰かの役に立つことは嬉しい。』

『自伝には、なるべく、記憶するすべての重要な出来事を書くつもりだが、それでも、あまり書くことができない出来事もある。少し、センシティブな出来事。どうか、よろしくお願いいたします。』

母は一人暮らししたいという相談を聞いてくれない。テレビを見ていて話しかけられないようにしている。そう感じた。

私が安易に悪意のあるメッセージを思いついた時、善悪の区別がついてないから誹謗中傷とかをするんじゃないかと思った。法は善悪を示してくれる。

その日も母の寝室に立ち寄った。母は話を聞いてくれた。一人暮らし、できるかもしれなくなった。

母がいると勘違いして部屋を訪れた姉を鼻で笑った。

『先のことが憂鬱で、死ねばやらなくてすむという発想が出てくる。今日は憂鬱な日。健康になりたい。』

階段を上がるときは、姉がまたすぐに降りてこないか、いつも不安になる。

『これから出会う人々が、私に優しくしてくれることを期待している…。』

(自殺できて良かったね。って、思ってくれないだろうか。それを求めるのは酷だろうか。でも、悲しんでほしくないのだ悪意で言っているわけではないのだ許してくれないだろうか。)

(赤ちゃんがよく泣くのは、辛いからなのかもしれない。人を辛くさせることが罪ならば、産むこと自体が、罪なのかもしれない)

姉が、引っ越すかもしれないという秘密を、母が聞かせてくれた。

『投稿まとめるの嫌だなぁ。黒歴史を見たくない。投稿全部消したい。 見られて、どう思われるかを意識すると、いやな気持になる。笑いを誘ったわけではないのに、誰かに笑われたくない。笑いものになりたくない。ああ』

『自伝書いて、その後ある程度有名になったら、すぐ死にたい。今は、もう、それほど生きたいと思わない。死ねる日が、楽しみとさえ思った。でも、死ぬ前にやらなきゃいけないことがたくさん。 死ぬための準備のために、生きている。なら、準備が終わったら、死のう。』 『苦しむ人が、私の物語を、私のメッセージを知って、死ねたら、いいなって思った。』 『生きるのがだるい。』 『死ぬのが楽しみなんだ。』 『もし、私を生き延びさせたいと思ってくれたなら、私が生きる意味を、与えてくださいな。』

『自伝を見られたら、炎上してしまうかもしれない。 ごめんなさい。本当にごめんなさい。』

『「人間はクズ」とか、「他人はクズ」という言葉は、誰かを非難するための言葉じゃないかな。』

『多くの人から親しまれる人物になりたい。』

『無理じゃないの?私が、誰かに理解されて、受け入れられてもらうことなんて、できないんじゃないの?』 『誰かからどう思われても、それをどうでもいいと思えるようになりたい。でも、そんなふうに思えるわけがない。脳が機能を終えるまで、この苦悩は続く。矛盾しているんだ。有名になりたいのに、誰にも思われたくない。だから苦悩する。私にはできないことなのかな。』 『そもそも、この命題は、私には、できないことだったんだ。でも、それでもやるには、無理をしなくちゃならない。だから苦悩する。 生きるのに不向きなのに生きている。話題になりたくないのに話題になろうとしている。いくつも、無理をしている。 どうか、優しくしてくださいな。』

私が美少女だったら、萌えたのに、と、よく思っていた。 顔を明かしたら、親和性が上がる?という発想。 『他人には常に、自分のいいところだけを見せていきたい。そうはいかないのだけれど。』 『痩せてかっこよくなりたいという気持ちがある』 私の容姿は、写真を撮るとあまり良くなくて(なんて言っていいかわからない。良し悪しという言葉が適切かどうかわからない)、鏡を見ると結構良くて、母からは「〇〇さんとかがかっこいいって言ってたよ」とよく教えられる。 人の容姿については、あまり触れないようにしている。』 『容姿には、私はあまりコンプレックスを持ってない。写真を見て落ち込んでも、痩せれば良くなると思っている。 けれど、テレビに私の顔を映すことは、自信がない。 醜美を区別する能力なんて、捨てられるのなら捨てたい。醜美の区別がつかなくなれば、私はもっと優しくなれるような気がする。』 『自分の容姿について話すことを、今まで避けていた。けれど、自伝を書く上で、ずっと避けられる問題ではないのかもしれないと思った。 かっこよくなりたいとは、いつも思っている。なんというか、「かっこよくない思考迷惑」を、読者のみんなが受け入れてくれるか、不安になる。』 『過去に、人の容姿を馬鹿にしたことがある。自分がされたら嫌なことを、誰かにしたことがある。 罪を自覚したとき、どうしたらいいのだろうと、迷う。 ごめんなさい。なんて、反省の気持ちで言ってない。 やり返しをされることが、怖い。だから謝る。ごめんなさい。 駄目な人間だなと思う。』

『お金が無くなればとは、思うけれど、この世界にはお金があるのだよね。』

(死にたいと思う人に対して、構ってちゃんとか、本当は死にたいと思ってないとか、どうせ死なないとか、見ると、複雑になる。理解が足りない。私が本当に死んだら、そんな言葉も、無くなるのだろうかという発想も出てくる。) (死にたいと思う人を、平気でからかう人たちが、憎い。) でも、理解がある人たちもいっぱいいた。すこし、安心した。

私の、死にたいなら、死んでもいいというスタンスが、本気で許せない人もいるのだろう。と、思った。

『いかに自分が生きやすいコミュニティを作るか。』

『「今、生きている世界」と、「死んだら行ける無の世界」を意識すると、(今の世界はいろいろ不便で問題も多いから、だから、早くそっちの世界に行きたいな。)と、さっき、自然に、思った。 「有の世界」と「無の世界」』 『私の、たまに現れる「死にたい」という思いは、もしかしたら、「無の世界に行きたい」という思いなのかもしれない。「無の世界」は、私の目指す、理想郷。…多分。感覚的なものだから、うまくわからない。』

(無の世界こそ、天国)

(どうしてみんな、そんなに学校に行かせたがるんだろう。)不登校の子に対して、学校いけとか、そんなメッセージばかりが送られていた。

(改めて、切腹してから死ぬのは嫌だなぁ。でも、少しの勇気で、大きく変えることができる。) (もう自伝を書くのはしんどい。もう自殺したい。けれど、死ぬ前にせめてこの作品を遺したい。) もし、誰かに自殺を迫ったり、強要したり、自殺しないの?とか言う人は、人を殺そうとしている人だと思った。 『もうあと少しで自伝は完成するんだ!!!がんばれぇぇぇぇっ!わたしぃぃぃ!』 『もうめんどくさい。早く死にたい。自伝も、創作も、ほかのやらなくちゃならないことも、たくさんありすぎて、もう、死ぬまでの道のりが長すぎる。しんどい。』 『毎日こつこつやっていけば、いつかは、完成するのかな』

『顔のことを気にするようになった。自分の顔に自信がなくなった。見た目をどう認識するかなんて、他人と区別するだけでいいのに、醜美なんか判別するなんて機能には、うんざりする。この世界は嫌だな。この悩みから解放される方法を、死ぬこと以外に見つけられるだろうか。』 『他人と関わらないことこそが悩まない落ち込まない苦しまないことの秘訣なのだとしたら、平和が実現した未来の世界では、人と人が関わらないで生きることができるようになっているのかもしれない。』

『無から宇宙が生まれたのかもしれないというのをテレビで知って、この世界は本当にやばいなって思った。永遠に続く絶望の連鎖。せめて、心を持った生き物が、生まれた瞬間に、「心」のやばさを悟って、種が繁栄する前に自死を選んでくれれば、絶望は生まれないのにと思った。』 『宇宙人のために地球人ができることは、「心」がどれほどやばいのかを、記して、遺すことなのかもしれないと、思った。地球に遺した心のやばさの教科書を、宇宙人が読んでくれて、「心ってやばいな」と思ってくれて、自主的な絶滅を選んでくれる。』 『そしてやがて、宇宙全体に「心ってやばいよ」という空気が蔓延して、心を持った生物が生まれたとき、その空気を読んで、自死を選んでくれる。 そうなったら、せめて、この宇宙の中だけは、絶望は生まれなくなる。』 『ところどころ、文章の言葉がちぐはぐになるから、うまく、解釈してくれたら嬉しいです。』 『こんな考えを持っているのは、私だけなのだろうか。私の代わりはいるのだろうか。 私が何も遺さずに死んだら、世界にとって、どれほどの損害になるかなんて、考えている。だからまだ死ねないのだ。』 『もったいない精神だね』

首の裏を叩いたら、本当に気絶するのか、友達で試したことがある。そのことを思い出した。 (学校なんて行かなければよかった。私は、ずっと一人でいればよかったんだ。取り返しのつかないことを、何度もやってきた。)

(私の自伝はアンフェアだ。一つの視点。見方が変われば、一転する。)

(心がどれだけ傷ついたかを数値化できたら。心メーター。)

『前に考えていたことを、後になって自伝に記そうと思うことがよくある。だから、自伝に記される私の思考の時系列を、あまり信用しないでほしい。』

『この17年は、とても長かった。そして、苦しかった。また、次の17年も、苦しいのだろうか。もし、そうなら、早く終わらせてしまおう。 17年が、長すぎる。人生は、とても長い。 次の試練に、私は耐えられるだろうか。いや、次の試練なんかを迎える前に死にたい。』 『私が、漫画を描いて有名になるなんて、できるのだろうか。こんなに、作品を没にしてきたのに。それに、漫画は描くのに時間がかかる。すぐに、有名になれない。』 『いっそ、自伝を完全に完成させたら、もう、すぐに死んでしまおうかと悩む。 白いTシャツに「思考迷惑@ShikouMeiwaku」と消えにくい、見えやすいペンで大きく書いて、それをニュースで報道されたら、多くの人に自伝を読んでもらえる。』

『心の余裕がない』 『傷つかない生活がしたい。SNSで検索をして傷つかない。動画のコメント欄を見て傷つかない。オンラインゲームで傷つかない。人と出会って傷つかない。人と接して傷つかない。』 『死ねたら、楽になる。もし、死んだあと、私の自伝が誰にも読まれなくても、私は死んだのだから、それでも構わない。死んだ後のことなんて、死んだ私にとっては、どうでもいいことなのだ。』

『私のこれまでの投稿や自伝小説は、読まれたら、笑われてしまうかもしれないけれど、もし、私が本当に割腹自殺をしたら、それは、もう、狂気だよね。そんなことを思った。 茶化されたくないんだ。』 『割腹自殺は難しいけど、割腹したあとに死ぬことならできる気がすると、いつも思っている。』 『ハサミで自分の親指を横からちょっとだけ切ろうと試してみても、勇気が出ないから、できない。割腹なんて、無理なのかな。こんなことも、できないのだから。私は自殺できるのだろうか。前に首を吊って死のうとしても、できなかったじゃないか。』 『私はそんなに頑張らなくていいのだ。私は、自伝を完成させて、その後は普通に首吊り自殺をするだけでいいのだ。私が死んだあとのことを、私は気にしなくていいのだ。「無理して生きなくていい」がメッセージなのに、私が無理して生きてどうするんだ。』 『割腹したら、白いTシャツが汚れてしまうじゃないか。そう、割腹しなくても、17歳の自殺は衝撃的じゃないか。きっと、いっぱい報道してもらえる。そして、自伝は読んでもらえる。そうだ、ビラをばらまこう。』 『生き恥も死ねばかかない』 『私が大仰に死んだあとの、私の家族や私に関わった人たちに、迷惑がかかってしまうことが、とても、申し訳なくて、だから、どうか、私が死んだあと、彼らを守ってくれませんか。』 『割腹はしなくていい。私は楽に死んでいい。 自伝が、多くの人に読んでもらえて、多くの人の役に立てれば、嬉しい。 自殺すれば、私は楽になれて、自伝も多くの人に読んでもらえて、一石二鳥。』 『自伝は、外国語に翻訳してもらって、世界に届けたい。』 『死にたいと強く願う日と、そんなに思わない日があって、今日は、そんなに思わない日。死にたいと強く願った日に死にたいな。』 『でも、あともう少しで死ぬことができるのだと思うと、嬉しいと思う。』

『どうせ、あと少しで死ぬのだから、ゲームで経験値稼ぎなんてやる必要ないのだと、思った。 私は自伝を完成させるだけで良い。』 『あと、自伝以外にも、私が独自に構想したSNSの紹介文も遺したい。結構、まだやることがいっぱいある。』 『「死のう」って気持ちでいる時は、あまり爽やかじゃない。』 『前に少し話したけど、「死にたい」と思うことは、心を暗くするのだろうか。それとも、心が暗い時に、心を照らそうとしてくれるのだろうか。わからないな。それとも、どっちもなのだろうか。』

『今は早く死にたい気持ち』 『死んだら何もないんだから、何を遺そうとどうでもいいんじゃ?という発想がある。』 『死ぬ前に、好きなあの子に会いたいな。と、思って、検索してる。』 『好きになる動機はたくさんあるけれど、好きになられる動機は一つも思いつかない。』 伊子と駅で出会って連絡先を交換して、ずっと前から好きだった。と伝えて、付き合って、子供を作るか相談したり、そんな妄想をした。 『とりあえずは、自伝を完成させることだ。』

筋トレを再開した。伊子に良く見られるために。 伊子を傷つけるんじゃないか。すでに彼氏がいたら、仲が冷めてしまったら、そもそも私は一人になりたいんじゃないのか。そんなことを思うと、遠慮してしまう。 もし付き合うことになったら、死ねなくなっちゃうななんて考えた。

セックスについて調べた。 伊子の電話番号見つけた。小学校時代の連絡網。 母と相談して、駅で待ちぶせすることにした

『いずれ死ぬことを意識して過ごすよりも、これからを生きるつもりでいるほうが、気楽だ。 もし、私が、結局死ななくても、からかわないでほしいな。』

制服に変装して、駅の前で伊子を待つ。 不安でドキドキ。 会った。伊子は混乱していた。けれど、連絡先を交換できた。 あまり嬉しいような反応をしてくれなくて、なら、会わなければよかったと少し後悔した。 〈告白しようか、迷っている。〉 (会って抱きしめたい。)

度胸が、勇気が足りない。告白できない。 避妊について調べた。完全に避妊できる方法があまりないことに驚いた。 授業が終わったであろう時間に話しかけても、返信が遅いから、通知を切ってるんじゃないかと疑った。彼氏に知られたらまずいからとか、そんなことを思った。 『好意の返報性』

〈過去に、母の家事の手伝い要請を断った私。 家事や子育ては、大変らしい。 私は、手伝う私に変われるだろうか。 その大変さを、知りたい。手伝いを求める感情を、知りたい。 夫婦の話を見て思った。 母に優しくできる私に変わりたい。 いらつかない、不機嫌にならない私に変わりたい おそらく、私は良い夫になれない。「離婚」「マタハラ」のキーワードで調べてみた。私は、すぐに不機嫌になるから、だめだ。 『私には、生きる資格や、人と営む資格なんて、無いのだ。』 告白しても、伊子に迷惑をかけるだけじゃないかと思ったけれど、突然現れて、何も言わずに消えるほうが、混乱させるだろうから、言うことにする。 (私のせいで伊子が二度と他の人と恋ができなくなってしまったらとか。私の告白のことは笑い話にでもしてくれればいい) 言い逃げは、たちが悪いだろうか。 なかなか送信できないなぁ。〉 『緊張するな。』 『やっちゃった』 やりきったら、意外と落ち着いている。 あとはもう、自伝を書いて、死ぬだけだ。 『でも、自伝のアニメ映画化もしてもらいたいんだな。書いた本人が死ぬと、そう簡単にできないだろうか。』 『全ては、自伝を完成させたあとに決めても大丈夫だろう。今は、もう、考えたくない。』 『みんなからちやほやされるなら、生きてみたい。 でも、死にたいと思うときは、死にたい。』 〈生きていれば、伊子ともまた会えるかなぁ いや、もう、諦めるべきなんだ。 さようなら。伊子。 せめて、返事を聞いていればよかった。もう、別れてしまった。もう、会えない。 自分の弱さに、あきれる。 伊子のことが頭から離れない〉 『あいつがうちに訪れないか、期待している』 『道ですれ違って、いい感じにならないかなぁ。』 〈会うと別れたくなって、別れると会いたくなるめんどくさい性質 伊子と幸せになりたかった〉

オタクは親切とかそうゆうの見ると、宗教でも作ろうかと思った。

『着実に死に近づいていっている。』

成人式で、伊子に会えないか考えていた。 多分伊子のだろうツイッターアカウント見つけた。

(他人に対して無害であることと、自分が幸せであることは、どちらのほうが重要なのか)

(伊子に助手になってほしい、実験体になってほしい。) (一人になりたいのか、二人になりたいのか、わからない) (今年は文化祭があるのだろうか。会いに行ってもいいのだろうか)

親は子供の犯したすべての罪の元凶であると、思った。

(具体的な目標がないとなかなか仕事に手が出ない。)

(私の個人情報をばらしたら、私の個人情報を知っているあなたも、きっとばれる。)

 自伝小説の作業した後は、心が重くなる。ゲームも運動も、続かなくなる。

 (昔考えたことがあるけど、その人が死んだときに感じる悲しみは、その人が日常をどのくらい構成しているかによって変わるのでは。日常が崩れたとき、日常を思い出して、悲しむ。例えば、転校してきて一日の子が死んでも悲しみは少ないが、一年間クラスメイトの子が死んだときのほうが、悲しみが多くなるのでは。なぜなら、その子は日常を構成していたから。) (だから、私も、誰かの日常を構成すれば、悲しんでもらえるだろうか。)

(言語が複数あっていいことといえば、日本でやらかしても海外でなら広まってないかもしれないというもの)

私は伊達メガネをつけてないと外に出られない。 図書館の屋上で自伝を執筆をしていたら、奥から女二人組がやってきて、「毛すご」「花粉症なのかな」と話していた。私は短パン。すね毛は剃ってない。メガネにマスク。 私は彼女らを見ないようにした。気にしてないようにした。  執筆を中断するほどに動揺したが、過去に自分も同じようなことしていたじゃないかと思い出して、落ち着くことができた。あの頃のことを思い出すことができて、新たに執筆した。

(悪口を言わない、いじめをしない、が、普通じゃない。普通とは、悪口を言う、いじめをする人だ。普通はクズ。クズが普通。だから、クズになりたくないのなら、普通じゃなくならなければならない。) (まあ、普通じゃなくなっても、クズではないとは限らないけど。)

(私は何がしたいんだろう。有名になって、多くの人に自伝を届けて、何がしたい?)  (目的を忘れてきてる。)

「異能」と認められた少年少女青年を支援する財団を知った。すごく、興味を持った。 私が今まで積み上げてきたものを見てもらえたら、きっと、異能として認められる。そんな自信があった。入団してみたいと思った。

小、中学生時代に、よく、クラスメイトになっていた、馬夏という子を思い出した。 馬夏は、小学生のときは、みんなから避けられていた。馬夏は、よく、授業中に廊下に出たり、よだれを手につけて物や人を触ったりしていた。だから、みんな、馬夏を避けていた。  私も、よだれのついた手で触られるのが嫌だったけど、でも、我慢して、気にしていないように接していた。  私は、馬夏には、慕われていた。あだ名でも呼ばれていた。  馬夏は、中学生くらいになると、テストの成績が良いとか、ピアノを弾けるとか、そんな優秀な点で、みんなから、天才的だと認められていた。馬夏は、クラスに馴染むようになっていた。  小学生時代、馬夏を避けてきたことで構成された空気が、そのまま、眼路委に対しての空気になったのではないかと、思った。  馬夏も、眼路委への陰口を言ったり、笑ったりしていた。

 (人は群れるとろくでもなくなる)

 よくいじめの夢を見ていた。いじめられている夢。いじめられている人を見る夢。  そして、私はよく殴る。

 新しい情報を取り込むことを避けていた。自伝をまだ完成させていないからだ。

 (研究したい)

 (人間が高度に発達した脳を持ったがゆえに地獄なら、コンピューターも高度に発達させたら、地獄になるのだろうか。)

 (思考迷惑という、キャラを演じている。私の「素」は、かなりひどいもの。だから、素でいられる関係なんて、求めないほうがいい。)

 (自分と関わりのない人からどう思われようと、どうでもいいことじゃないか。)

 『自伝小説は、「どんなことを考えたか」は多く記しているが、「どうしてそんなことを考えているのか」は、あまり書けていない。多分、もうそれは思い出せない。メモにも残していない。 よろしくおねがいします。』

 『「好きな仕事」の「好き」って言葉は、ややこしい。 好き(likeとかloveとか)な仕事なのか、好きな(選びたいものを選ぶ)仕事なのか。 私の表現力ではうまく説明できない。 とにかく、「好きな仕事」には、二つの解釈ができるということを、さっきわかった。』  『日本語は、とても、難しいというよりは、わかりにくい。齟齬の生まれない、完全なる言語を作りたい。と思った。』

 『私は私が生意気なんじゃないかと、心配になってしまう…。』

インターネットを見ると、みんな、直感的な感情、印象でものを言っているように見える。と思った。 自分の思考を辿ってみると、結構、直感的なものに支配されているのだと思った。

 うなぎの絶滅のニュースを見て思った。うなぎの代替料理。人工肉。今よりも、おいしくて、栄養も多い、心の無いお肉。  (受け入れられないだろうか。「別に、人間は家畜たちの感情を肴にしているわけではないのだろう?」そんなことを考えた。)  (動物の絶滅。思考迷惑を殺したら、思考迷惑は絶滅するのだろうか。そんなことを思う。動物を絶滅してはいけない理由が、生態系の崩壊なら、それを補完したら、動物を絶滅させてもいいのだろうか。心なのではないか。悲痛な心を、どれだけ減らせるか。この世界は、残酷だから。)  (勉強しなくちゃな。)

(それとも、意思疎通に言語が必要なくなってくるのだろうか。)

〈眠れない夜。転んで、足を怪我して、習慣の運動を休んだからか、なかなか眠れない。〉 〈ヴィーガンいじめを思い出した。ヴィーガンの前で、肉を食べる。それが、どれほど、その人の心を折るか。〉 〈「ヴィーガンをどうか、いじめないでください」そんなことを、言いたかった。〉 〈人間はクズだってことを、忘れていた。〉 〈人間は、クズなんだ。〉 〈私はそれを忘れて、SNSで交流したり、顔を明かそうとしたり、財団に応募しようとしたり、友達を作ろうとしたり、ゲームの大会に出たいと思ったり、人と関わろうとしていた。〉

 『全ては、完成させてから決めればいい。』

 (苦しんで、死ねない心が世界のどこかにはあるのだろうか。)  (この世界こそが、地獄だ。それをみんなわかってない。)  (心さえ無ければ。)  (そのぶん、地球に住む心ある生物は、死ねるのだ。それが、希望。)  (天国に心なんて存在しない。)  (死んで、地獄から抜け出せば、天国に行けるんだ。)  (教えたい。)  (心あるものたちに、教えたい。)

 (どうか、この、私の遺した自伝小説「自伝・思考迷惑」を、守ってほしい。消されるかもしれない。変更されるかもしれない。)  (どうか、守って…)

 『データを永遠に残すには、どうしたらいいんだろう。とりあえず、書籍化はしたい。出版社さんと契約しなければ。』  『私の構想している、一度投稿したら二度と取り消せないSNSなら、私の物語を永遠に残せる。』  『私の物語は、投稿するSNSによっては、削除されてしまうかもしれないから、どうしようか悩んでいる。』  『今の気分は、18歳の誕生日に死のうと思っている。でも、それまでに書籍化の契約とか、多分間に合わない。だから、悩んでいる。』  『外国語にも翻訳しなければ。』

 (生きていれば、新しいことも見つかるかもしれない。でも、私を犠牲にしなければならない。生きるのは、辛い。)  (私の代わりに、誰かが生み出してくれれば。)

 (私は、本当に、普通の、人間なんだ。)  (特別に見えるのは、私が特別感がほしいから、そう見せているだけなんだ。)  (きっと、この自伝小説を読んでもらえたら、理解してもらえる。)

 (疑ってください。は、失敗だったと思う。何も書かなかったら、そのまま信じてもらえただろう。まあ、そうゆうところが、本当っぽいかな。)

 (死ぬという気持ちに、前向きになれないものか。)

 (人間は、この地獄を変える、使命があるのかもしれない)

 (私が自殺して、家族がどうショックを受けるかなんて、私が気にする必要ないじゃないか。だって、母と姉は、私が一度自殺しようかと相談したときに、私を責めたんだぜ?父も私の自殺の遠因で、兄とはもう連絡も取ってないし。)

 『自殺者がどう報道されるかも、勉強しなきゃ。』  『私の自殺後、家族への取材とかも来るのだろうか。自伝の内容的に、家族が報道されるのはまずいと思っている。おそらく、自殺後、家族は私の自伝の内容を目にするだろう。取材を受けるかどうかの判断は、家族に決めてもらおう。 …あまりしつこく、取材を申し込まないでほしい。』  『おそらく、匿名で報道されるのだろう。徹底的に匿名であってほしい。私の家族や関係者も。 場所や状況がどのように報道されるのかはわからない。でも、なるべくなら詳しく報道してほしいかな。 「思考迷惑」については、いっぱい報道してもらいたいな。私が遺したものを、多くの人に知ってもらいたい。』

 『遺品はどう処理されるのだろう。パソコン、スマホ系は、死ぬ前に初期化してしまおうと思っている。手違いで、小説のデータも消去してしまわないよう慎重に。SNSとかのアカウントは、デバイスからは削除するけど、ちゃんと残す。 残った本やゲームや家具も、売るなり捨てるなり使うなり、構わない。』

 『葬式は、私がしなくてもいいと言っても、してしまうのだろう。誰も呼ばなくていいと言っても、呼んでしまうのだろう。 どうせ私は死んでいるので、葬式は、生きている人たちが決めても構わない。』

 『せめて、私の遺した自伝が、いつまでも、残りますように。』

 人間がクズだってこと、すぐに忘れちゃう。心あることの残酷さも、また、忘れてる。

 (生きていれば、誰かの心を救うという使命を、もっと、成し遂げることができるのかな。)そんなことを思って、気づいた。  (私も、心を持っているじゃないか。そのことを、忘れていた。)

 (肉体的な苦しみもまた、精神的な苦しみである。なら、精神的な苦しみもまた、肉体的な苦しみなのではないか。)

 (私が自伝を公開して、そのまま生きても、私は、もう、人間はクズだから、きっと、生きていけない。)

 (頭の中で、シチュエーションを描くのが得意だ。もし、有名になったら、あの人と話せたらとか、色々な妄想をする。妄想だけで満足することも多い。妄想が現実になることは、あまりない?)  (私が、自伝を遺して、自殺したら…。妄想が、現実になりますように。)  (いや、私、自殺したあとの世界をあまり妄想してこなかったぞ。私の自伝遺し自殺が世界にどのような影響を与えるか、考えてみよう。)  (今日はもう寝よう。)

(人間が宇宙をどうにかする前に、地球に巨大な隕石が落ちてきたら、もう、すべて終わりなんだ。積み上げてきたものがすべて無意味になる瞬間。失われる人類の叡智たち。) (だから、その前に、せめて、心がやばいってことを、宇宙に潜む心たちに届けたい。) (心さえなければ。殺し合っても、いじめられても、虐待されても、犯されても、拷問されても、どんな残酷なことがあっても、心さえなければ、苦しくない辛くない怖くない不安じゃない気持ち悪くない胸糞悪くない絶望しない。)

 (心がやばいってメッセージを送るためには、私は死ななくちゃいけないんだ。)

 昔、父に怒鳴られたことを思い出した。  サラダを捨ててカップラーメンを食べたら「おいお前サラダ捨ててカップ食べてんじゃねぇぞ!」  リビングのこたつで寝ようとしたら「こたつで寝てんじゃねぇぞ!」  (私の家族は異常なんだよ…)  (家族なんて、他人、でしょ?)(簡単に縁を切らせてくれよぉ…)

 (自分を疑うことは、難しい。様々な情報に惑わされる中で、信じられるのは、自分だけだと思っていた。(私はもしかしたら、盲信的なのかもしれない)そんな、不安。自分こそ、疑うべきなのだと、気づく。)  (私は、思考迷惑。常に、何が正しいのか、本当に正しいのかの懐疑に、揺らいでいたい。)  (私は、私が正しいのか、わからない。)

 (執筆はめんどくさいのでやりたくないが、執筆以外にやることがない。)

 (めんどくさいを克服できたらな)

 『がんばらなくても、できる人が羨ましい。それともみんながんばってるのだろうか。でも、がんばっても届かない人や、がんばれない人は、どうすればいいんだろう。 私は、がんばれない人。がんばれないなりにがんばってる人。 私が、もっとがんばれればなぁ…。』

 (自分の間違いに気づけるか、は、そもそも自分が間違っているかどうかがわからないので、難しい)  (せめて、自分が間違っているかもしれないという意識があるかどうかが、大切なのかもしれない)

 〈家族という概念。産んだ、産まれた、誰から産まれた、何番目に産まれた、血の繋がり、なんて些細なことで、関係を結ばなくてはならない。  家族という概念で、他人と縛り付けられる。  大切な人が家族であるべきで、家族が大切なんじゃない。  産んだ産まれたやら血の繋がりとやらの関係を家族と呼ぶなら、私は家族なんて大した関係じゃないと、提唱する。  ただ、産んだだけ、産まれただけ、そんな関係。クラスが同じとか、席が隣とか、近所とか、仕事仲間とか、そんな、「普通の関係」と、なんら変わりのない。  友達、恋人、信頼できる人、そんな、「特別な関係」が、大切なんだ。  〈家族は、「普通の関係」であって、「特別な関係」ではない〉を、提唱する。〉

 (「言葉を選ぶ」でも、言葉の選択肢が出てこないんだ。もっと、他の言い方も、できたのかもしれない)

 (私の母校である中学校の校庭にあるうんていに、紐で首を吊って、自伝小説のビラをばらまいて自殺する。改めて考えてみると、なかなか鮮烈)  (私も、傍から見れば、おかしい人なのかな)  (だから、この、自伝小説で、理解してもらうんだ)

新型コロナウイルスへのワクチンは、私は、打てるなら打とうと思っている。 ワクチンについての陰謀論への反応とかを見ると、私の遺したい思いも、極端で、おかしいことだって思われてしまうのかもしれないと、思った。  (理解、して、ほしいなぁ…。)

 (この作品を遺して死ぬこと。これが、まず一歩)  (この作品を読んでもらうこと。心のやばさを知ってもらうこと。心のやばさを膾炙させること。そして、心のやばさを遺して、自殺を選んでもらうこと)  (この作品が、この作品を読んだ心あるものを自殺へ向かわせる効果があるのなら、この作品を、世界に広めたい。日本中へ、外国へ、心ある動物たちへ、そして、心ある宇宙ものたちへ)  (いずれ、心が、この世界から無くなりますように)

 (無から宇宙が生まれたのだとしたら、私達が死んだあとに行く、「無の世界」も、なにかが生まれてしまうのだろうか)  (無から有が生まれるのなら、それが、この世界の法則なのなら、もう、それは、逃げ場のない、地獄ではないか)  (…いや、無の世界は、概念的なもので、有の世界で、無から有が生まれても、無の世界で、無から有が生まれるかどうかは、わからないじゃないか…)  (もし、無の世界にも、無から有が生まれる法則があるのなら、果たしてその「有」は、心なのだろうか。…もし、それが心なのだとしたら、無の世界は、地獄。もし、心じゃなかったら、天国だね)  (哲学っぽいこと考えてるなぁ…)

 (生きてれば、新しいことも思いつくって、思ってしまうけど、でも、絶対に生きてて辛いことが私を襲うんだ。今は忘れているだけなんだ)

 (私に共感してくれた人に対して、死の圧力をかける人も、きっと現れるだろう。「自殺を許容しているお前が、なぜ生きてるのか」と)  (大丈夫。正しく『議論』をすれば、きっと、解決できる)  (私が生きていれば、良い反論も思いつくだろうけれど。私って結構、相手を反論する納得の一手を見つけるの、得意なんですよ。あまり反論したことないけど)  (「なぜ死なないのか」に対しては、ただ、「死ねない理由」を教えてあげればいい)  (議論をするという心構え。議論は言葉のキャッチボール。言葉を投げる投腕だけではなく、言葉を受け取るグローブも、備えること)  (でも、難しいよなぁ…。悪意を持ってボールを投げてくる人も、いる)  (法のある、SNS)

 『私はよく間違える。なのにそのことを忘れてやたら自信を過剰に持つんだ。』

 (生きていれば、反論することができる)  (私が、耐えきれないかな…。)

 (生きて、作りたいものもいっぱいあるんだよなぁ…)

 (世界に貢献しようと思っても、私は、世界が滅ぶことを願っているのだ。世界が豊かになることよりも、世界が滅ぶことを、重視している)  (世界が滅ぶために私は何ができるだろう。自伝を遺す以外に、何ができるだろう?私は自殺するべきだろうか。それとも、生きて、もっとがんばるべきなのだろうか。生きて何ができるの?)  (人工肉の普及とか?でも、人間が絶滅してしまえば、どうでもいいんだよね。でも、きっと、すぐには絶滅はしないんだろうな。そもそも、絶滅、しないのかな)  (心を絶滅させるための、私が打てる最善手。それは、自伝を遺して自殺することなのか。それとも、生きてがんばることなのか)  (誰か殺して?)

 (心を滅ぼすなんて、大層なものじゃなくてもいい。ただ、この自伝を読んでくれた人が、安らかになってくれるだけで、いい)  (…あわよくば、心を滅ぼすために、がんばってくれたら、嬉しい)  (どうか、心あるものに、優しくしてほしい)  (心が、苦しまないように。苦しむ心が無くなりますように。ただ、それだけ)

 (自分が考えていることなんて、すぐに他人がどう考えているかに影響されてしまう)

 『歴代の思想家や哲学者たちの思想に触れてみたいと思って、本を買いました。わかりやすそうな本だったので、買いました。』  『哲学という学問の深さを、私は知ることができるだろうか。私が生きて、勉強するべきものが、あるだろうか。』

 『ソクラテスの問答法はいいですよね。好きです。使いやすい、王道の一手。私がなにか問答法について誤解しているかもしれないが。』  『「〇〇は☓☓である」に対して、「どうして〇〇は☓☓なんですか?」と聞くこと。 個人的な考えだが、私から見て、おかしいと感じる論というのは、「どうして〇〇が☓☓なのか」が、怪しいものが多いように感じる。』  『「思考迷惑はバカだ」 『どうして思考迷惑はバカなんですか?』 「思考迷惑は命をないがしろにしているからバカだ」 『命をないがしろにしたらバカなんですか?』………… みたいに続くと、結局、 「私がバカだと思ったからバカだと言った」に、なる、気がする。』  『「どうして〇〇は☓☓なんですか?」は、自分に対してよく使っている。これで、新しい考えが生まれることも結構ある。』  『他人に対して使う際は、使う時を誤らないようにしたほうが、いいと思う。 「私は思考迷惑がバカだと思った」に対して問答するのは、なぜ思考迷惑がバカだと思ったのかが知りたいとき。 「思考迷惑はバカだ」に対して問答するのは、なぜ思考迷惑がバカなのかが知りたいとき。』  『目的を定めず、ただ一方的に問い続けることは、おすすめできない。』

 (議論において、ひどいことを言われたりすることもある)  (その時に、「ごめんなさい」と謝る一手がある)  (ごめんなさいは、正々堂々なる一手)  (議論というよりは、争いなのかもしれない。相手の攻撃に、どう反撃するか)  (争いにおいて、相手はあなたが客観的に悪いと判断して、悪意を向けてくることがある)  (ごめんなさいの一手は、あなたを客観的な悪いから遠ざけてくれる)  (そして、相対的に、悪意を向けてきた人が、客観的な悪いに近づく)  (客観的な悪いとは、その争いを見た第三者たちが、どちらがどのくらい悪いかの判定)  (悪意を向けてくる、客観的に悪い人。謝る、客観的に悪くない人。あなたを悪いと判断してきた人は、この一手で、あなたと客観的な悪いが逆転してしまう)  (これが、ごめんなさいの一手)

 (論を批判するべきで、論者を批判するべきじゃないとは、思っている)

 (心を滅ぼして、苦しみから救う)  (心を残したまま、苦しみから救う)  (この二択)

 (なぜ、助けたいのか)  (かわいそうだから、助けたい)

 (もし、自殺する日が雨だったら、どうしよう)

 『今は、さっさと死にたい気分』

 『「ふふふっ。…やはり、この世界はぁ…!面白いッッ!」みたいな境地にたどりつけたらな。世界が面白いから生きるのも、一つの境地。 面白さを見つけていこう。』  『「心あるこの世界は地獄」が私の至った境地なら、もっと、他の境地も、知りたい、たどり着いてみたい。』

 (自分の国を作りたい)  (理想の国)  (平和な国を作る方法って、今ある国を平和にしていくんじゃなくて、一から国を作っていったほうが、いいのかもしれない)

 『人が対峙するあらゆる問題は、すべて神が出題しているのかもしれないとか、考えた。 神の出題に、頭を悩ませ、解答を目指す人生も、きっと悪くない。 神はいつまでも答えを教えてくれないのだけどね。』  『私は、人間より高次で万能な存在のことを神と呼ぶけれど、もしも、人間より高次で万能な人間がいたら、私はその人を神と呼ぶのだろうか。人の神は現れるのだろうか。歴史上には、神と呼ばれた人物もいたんでしたっけ?神を作ろう神作家。』  『答えを教えてくれる神と、これが答えだと語るただの人間。神か人間かなんて、人間には区別がつかないよね。 益体もないこと考えてる。』

 (作業を続けていると、ふと、作業を止めて、思いついたことについて考えたい時が訪れる。そしたら、次は、思考が散ると、何もしない時間が訪れる。その時間が、もったいない。だから、作業→思考→作業→思考…と、続けられるようにしたい)

 (私が生きていくということは、私は、誰かを犠牲にして、世界を平和にしていくことを、許すことになる)  (それとも、その誰かが、自分か、他人かで、変わるのだろうか)

 『知識欲というよりは、成長欲?万能欲?それはより良いものを生み出すために?それはなんのため? 勉強いっぱいしたい。そうして、より良いものをいっぱい生み出したい。』  (誰かと語り合いたい。母とは満足できない。もっと、色々な人と、話したい。早く、SNS作りたい)  (誰かと議論したい欲求は、どんな名前なのだろう。自分を向上させたい向上欲?)

 (言葉を必要としない世界なんて、SFだけれど、憧れてしまうな)  (言葉を使わないコミュニケーション)  (『りんごが食べたい』ということを伝えるために、「りんごが食べたい」と話す。これは、『りんごが食べたい』という言葉の無い思いに、「りんごが食べたい」という言葉をつけている。)  (言葉の無い思いを、言葉をつけずに、伝えることはできるのだろうか)  (絵やジェスチャーで伝える方法があるか)  (例えば、りんごを見て、これがりんごであると覚えるには、「りんご」という言葉が必要なのだろうか)  (名前を知らなくても、顔を覚えることはできる。よって、必要ないのだろう)  (想像しているのは、いわゆるテレパシーだ。脳で思ったことを、そのまま直接、脳に送る。まさにSFの世界)  (言葉が必要なくなったら、きっと、言語の壁も無くなる)  (勉強したい)

 (今になって、勉強したいことがいっぱい出てくる。それは、自分のやりたいこと)  (自分のやりたいことをやる。そうすれば、熱中できる。熱中の力はすごい。きっと、すごいことになる)  思いつきで考えたことだから、実は間違っているかもしれない。(学校非難。学校は、自分のやりたいことをやるのではなく、学校がやらせたいことを、やる)  (でも、この世界は、やりたくないことでも、お金がもらえるなら、やってしまう世界なんだ)  (そんな性質が、やりたいことを、やらせてくれないのかもしれない)

 (調べてきたけど、手話って、世界共通ではないらしい)  (世界共通のコミュニケーション方法は、すごく、難しいのかもしれない)  (地域が、コミュニティが区切られていることによって、それぞれのコミュニティ内で、それぞれに変化していく…?)  (いずれ、SNSとかの発達で、コミュニティなんて区別が曖昧になっていくのだろうか)  (怒りとか喜びとか、感情という概念を、今まで言葉を使って説明してきたけど、もし、概念をそのまま伝えることができたら)  (言葉を使わなくても、表情で伝えることもできる。でもそれは、表情という言語?でも、表情は世界共通なはず)  (感情すらも言語?言語を使わないではなく、いかに言語を良くするか、良く使うか?)  考えながら執筆しているけれど、思考に文字打ちが追いつかない。  (感情を言葉を使わず純粋に伝えること)  これまで書いてきたことを見直す。  (目的は何なのか。まず、世界中の人が、共通して使えるコミュニケーション方法。そのために、言語を使わず、思いを伝える方法)  (次に、言葉の齟齬を無くすこと。思いを言葉に変換してから伝えるのではなく、思いをそのまま伝えられたら)  (あぁ、誰かと議論したい)  (言語を超えたコミュニケーション)  (でも、それは、人間に本来備わっている能力ではない。頭にコンピューターを入れて送信、受信するのだとしたら、一斉にハッキングを受けたら、誰もコミュニケーションできなくなってしまう)  (できることなら、人間の能力の拡張であることが望ましい)  (でもまあ、今の世界だって翻訳機がなければ知らない言語の人とは話せないからな)  (最近SF小説を読んだばかりだから、こんなことばっかり考えてる)  (そう、機械的なものではなくて、メガネみたいな、単純なものだったら、バグもハッキングも起こさなくていいのだけどな。メガネくらい単純なものだったら、きっとみんな拒まずに装着してくれる)  (目指せ!コミュニケーションメガネの開発!)

 (私は普通とは逸脱していて、その逸脱者の立場っていうのは、辛いものだよなぁ…)

 『よく話して、よく聞かない』

 コミュニケーションメガネについて  (もちろん、自分が思っていることが相手に伝わるんじゃなくて、自分が伝えたいことを相手に伝えるんじゃなきゃならない)  (言葉でのコミュニケーションのいいところは、自分が何を相手に伝えたかがわかることだ)  (思いで伝えるコミュニケーションを、ここではテレパシーと呼ぶことにする)  (果たして、テレパシーでのコミュニケーションは、自分が何を伝えたかがわかるのだろうか)  (いや、わかるようにしなければならない)  (思考とは言葉によって整理されるのだろうか)  (動物は、言葉を持っているのだろうか。おそらく、持っていなくても、思考をすることはできるのだろう)  (動物同士のコミュニケーションは、どこまで通じ会えるのだろう)  (コミュニケーションによって、人間の脳は発達したのだろうか。相手の思いを理解する、自分の思いを伝える脳力)  (なら、コミュメガネを動物につけたら、動物の脳はすごい発達を見せるのではないか)  (動物とコミュニケーションできるようになったら。争いが、起きそう。動物が人間に反発してきたら、人間は動物のコミュメガネを取り上げて、動物の思いなんて無視して、一方的に駆除するのでは)  (高度な意思疎通能力は、果たして、争いを減らすのか。それとも、争いの種を生むのか)

 (人はなぜさぼるのか)  (学校の掃除、なんでさぼるんだろう)  (なんのためなら働く?例えば、お金が手に入るなら、働ける。お金のためというのはすなわち、自分のため?)  (世界のために働ける人は、少ないのだろうか)  (お金は、人が働くには必要なものなのだろうか)  (招き得た世界は、実現できるのだろうか)  (あるいは、世界のために頑張れる人、つまり、学校の掃除を頑張っている人を集めるというのは)  母と話す。  (報酬がないと働けない?)  (対価が必要?)  (なんで対価を求めるんだろう?)  (自分が世界のために働いてばかりで、なのに自分が生きていけるだけの対価が貰えないと、生きていけないから?)  (対価が貰えないと、働けない)  つまり、働くためには、対価が必要。それが、  (対価が貰えないと、働けない)  対価がないなら、働かないになった?  (裕福な人は、対価が貰えなくても生きていけるから、対価を求めずに、働くことができる。多分)  (もし、全員が裕福になったら、誰も対価を求めずに働けるから、お金なんかなくなるんじゃない?)

 独自に構想を進めているSNS「NOKORU(仮)」  (これは、自分のためのSNSなんだ)  (弱い自分を労ってくれる、SNS)

 (コミュメガネが開発できたら、心メーターもすぐに作れそう。逆の場合でも)

 (私自身は、私がメディアに顔を出してもいいと思う)  (私は私の家族や過去のクラスメイトたちとかを自伝にあまり良いように書いてない)  (私が知られると、きっと、私の家族や、過去のクラスメイトたちとかも知られると思う)  (でも、それもいいんじゃないかと思う。誰かの罪を、誰かに話すことなんて、テレビのニュースでよくやっているではないか)  (芸能人とかも、よく、テレビでいじめられていた経験とかを話している)  (誰かの罪を誰かに話してはいけないなんて、それは、誰にも相談してはいけないことと同じなんじゃないかと思う)  (なぜ顔を出すのか)  (私の年齢と、この自伝での年齢が一致していれば、きっと、この自伝が本当の物語だと信じてもらえるんじゃないか)  (それに、これから思考迷惑として活動していくとすると、隠していくのは難しいんじゃないか)  (誰かの罪を誰かに話すこと。私は過去に、九蛇に、私の悪癖をばらされて、私は、すごく、落ち込んだ)  (もちろん、私には自伝に書いた彼らを貶めようという気持ちは、今は持っていない)  (作家として、顔を出すか出さないか)  (もう一度、メリットとデメリットを考えなければ)  (ばれるくらいなら、自分からばらすという考え)  (いや、やめたほうがいいな。多分、もっと生きづらくなる)

 コミュメガネについて。  (テレパシーを送るほうはともかく、受け取るほうは難しそうだ)  (頭で思ったことを、機械で受け取り、相手の機械に送ることまではできそう。だけれど、その機械に送られてきた情報を、どうやって頭に受け取るか)  (耳で受け取るのなら、それなら声のほうが優れている。目で受け取るなら、それなら紙と鉛筆のほうが優れている)  (聴覚、視覚、嗅覚、触覚、味覚以外の方法で、頭に情報を送る方法)  (それこそ、脳にチップでも入れなきゃ無理なんじゃ)  (少なくとも、脳に直接情報を送れるようにならなきゃ、できない)  (脳みそを機械で拡張するとかできればいいのかな?SFだ)  (脳に何かをほどこすことには、私も抵抗がある)  (道のりは長い…。というか、実現不可能かもね)  (頭で思ったことを、機械で受け取る方も、難しそう)  (心メーターは実現できると思っている)  (心の体調は体の体調で見ることができるんじゃないかと思っている)

 (恨むべきは、人ではなく、仕組みなのか)  (人を恨んでも、何も変えられない。多分)

 『独自SNS、考えが詰まっている。人の悪意を封印するには、どんな法が必要なのか。』

 (そうか、夏休みの宿題を一日で終わらせていた私には、毎日コツコツという感覚がないんだ)

心メーター。心の状態を、可視化できるようにする機械。 (自分の心が傷ついていることを、誰かに伝えられない人が、誰かに気づいてもらうために。) (何が相手を傷つけたのか、理解するために) (自然と、相手の心を労れる) (罪として定められているから駄目なんじゃなくて、心を傷つけるから、駄目なんだ。) (心メーターで、心がひどく苦しむ基準を定めて、その基準を超えさせることを法律とかで一切禁止にしてしまえば、きっと、誰かがひどく苦しむことも少なくなるはず。) (心メーターであまり良くない計測が出てきたことを理由に、学校や会社とかを休むことができたら。) (心メーターで、相手にどれだけ心を傷つけられたか、証明できる) 心メーターを作るためには、まずどうしたらいいか。 (まずは、心の状態によって脳や体や行動にどんな変化があるのかを詳しく調べる) (脳や体を調べる専用の機械とか借りたり買ったりしなくちゃならないのかな?) (ますます、あの財団に入らなければいけなくなった。)

 (心の状態と、体の状態の同期を、記録する)  体と心の関係について調べる  心身相関。心身医学。

 うつ病は、症状が軽くなっても、完治することはないって、インターネットで見つけた。  (死のうかな)

 (自殺は、自殺にいたるまでの心の過程が、悲惨。)  (誰かを殺すこと。それは、殺されるまでの恐怖や痛みなど、心の過程が、悲惨。)  (人を殺すのがなぜ駄目なのか。それは、人が、死を恐れているから?)  (心)  (死を恐れる心によって、人々は、死と心の苦痛に対する思いが、こんがらがっている?)  (死、自体は、恐れるものではないと、主張する。)  (心だよ。心が苦しむことが、怖いんだよ)

 (人間はクズとは、死は恐れるものじゃないとか、私は、絶対に嫌われてしまうだろうな)

 (私を殺してくれる人が現れても、その人は、絶対に、私を楽に殺してくれないだろうな)

 姉が、通路に座って猫とじゃれていたので、私は椅子をどけて、姉を避けて道を通った。  姉は「みーちゃんが椅子で危なかった〜」と呟いた。  いつも、姉は、小声で私を攻撃するのだ。  また、姉の隣を通り過ぎるとき、私は「邪魔」と呟いた。  言ったあと、ずっと心臓がバクバクしていた。  姉に直接、悪意を向けたのは、これが、初めてかもしれない。

 (嫌な人とは、すぐに離れられるようになったらな)  (たとえ家族でも)  (このまま姉と一緒に暮らしていると、もう、いつか、怒りが爆発してしまうんじゃないかな)

 (学校に行ってないことを、色々言われてしまうのかな)  (どうして、学校に行かなきゃいけないんだろう。どうして、学校に行ってない人を認めてくれないんだろう)  (悪いとこ探し。相手の、悪いところを探して見つけてから、それを理由に、攻撃する。)  (学校に行っていないことは、劣っていることでも、悪いことでもないと、主張する。)  (学校に行っていなくても、それは悪いことではないという、観念を、作りたい)  (私に、できるだろうか。)  (学校に行かなくても、大丈夫だって、訴えることしか、私にはできないのだろうか)

 (作家としての実績を、下環としての実績にするには、顔を出さないといけなくなるのかなぁ…)

 (この私が、この状態で、誰かと、仲を深めていくことができるのだろうか)  (私が、どう関わってほしいか、ここに書いてしまおう)  (あまり親しくはしてもらいたくない。事務的というか、機械的に話してもらいたい…かな。)  (集団で、話しかけられると、どうすればいいかわからなくなってしまう)  (病院の先生みたいな話し方なら、大丈夫です。話しやすいです)  (あまり仲を深めようとしなくても、大丈夫です)  (よろしくおねがいします)

 (「バカ」って言葉を、使うべきではなかった。)  (別に、バカでもいいじゃないか)  ごめんなさい。

 (どうしてお金があるのか。どうして、お金が生まれたのだろうか。)  (お金を大量に発行して、全員に対し平等に大量のお金を配ったら、誰もお金には困らなくなる?おそらく、ならないんだ。)  (一万円札の価値が、低くなるだけなんだ。社会の授業で、そんなことを習った。)  (お金が無くなったら、物々交換が生まれるのかもしれない)  (どうして人は、価値のやり取りをやめられないのか。それが、わからないかぎり、招き得た世界は実現しないのかもしれない)

 図書館で脳と心についての本を借りた。  (扁桃体を調べればいいのだろうか)  (脳内の信号を解読して心を読み取る、マインドリーディング!すごい!コミュニケーションメガネ、心メーター、実現できるんじゃないか!?)  (頭の表面にセンサーを着けて、脳の活動情報を知ることができる、非侵襲型…。すごい。)  (良い本だった。出会えてよかった。)  (実現に向けて、がんばろう)

 (お金は、古い時代からの悪習だと、思ったことがある)  (昔の人々は、人間という種そのものが、生きるために、大変だった時代。)  (だから、一人ひとりが、生きるために必死で、そんな背景から、お金が生まれたんだと思った)  (今の時代は、人が生きるためのいろいろな技術がいっぱい発達したから、だから、一人ひとりが生きるために必死にならなくてもいい時代なのだと、思った。)  (お金があるせいで、昔の時代から変わることができず、一人ひとりが生きるために必死にならなければならないのだと、思った。)

 (目指すは、人が対価を求めない世界)  (自分が持っている、世界にとって貴重なものを、対価を求めずに、渡すことが、私にはできるだろうか)  (私はきっと、お金を求める。それは、この世界にお金があるから、求めるのだ。)  (お金がないと、生きていけないから、お金を求める。だから、お金がこの世界から消えれば、私はお金という対価を求めずに、自分が持っている世界にとって貴重なものを、誰かに渡すことができるのだと、考える。)  (でも、他の人はどうなんだろう。お金がないと生きていけないから、以外の対価を求める理由とは)  (思いつかない。それとも、他の理由なんて、ないのかも)  (なら、もう、今すぐに、お金をこの世界から消したい)  (お金がない時代に行われていた物々交換は、)書いてる途中で思いつく。  (そうか、相手が信用できないんだ。自分が無償の奉仕をしたからといって、相手も無償の奉仕をしてくれるとは、わからないから。相手が信用できないから、交換制になったのかもしれない)  (相手が自分に信用されるようになるには、自分が相手に信用されるには、どうすればいいんだろう)  (学校の給食当番みたいに、仕事が振り分けられれば、いいのだろうか)  (自分の誠意だけじゃ、どうにもならない)

 (もう、心メーターというものは、実現できてしまう技術なのではないか)  (もっと、勉強したい。もし誰も作らないようだったら、自分で作ってみたい)  (心メーター。辛いって気持ちを、機械で証明できるようになったら、「本当は辛くないんでしょ」とか、「かまってほしいだけ」とか、そんな言葉も、無くすことができる。)  (でも、機械が見つけられない精神の苦痛も、あるかもしれない。そんなとき、人は、その人の苦痛を理解しようとしてくれるだろうか)  (人間用が作れたら、次は動物用。すべての心に、心メーターを、作りたい。全ては、あらゆる心のために)

 (東京に引っ越して、毎日図書館に通って勉強したい。ワンルームで集中して作業をしたい。)  (母の見立てだと、東京で暮らせるだけの支援は2ヶ月分が限界らしい。)  (18歳になったら東京に行こうとしている。誕生日は11月。だが、コロナのワクチンを接種してからだ。)  (東京で暮らせるだけのお金を、どうやって調達するか。  1つ目は、作家として、作品を作って、出版社から出版すること。  2つ目に、自伝小説を出版社から出版すること  3つ目に、志ある者を支援する財団に入団して、支援してもらうこと。  4つ目に、SNSを作って、SNS運営の資金を募ること。)  (1つ目も2つ目も、まず、出版社に興味を持ってもらうために、投稿用の漫画を描かなくてはならない。  作家として作品を作る時間が、惜しい。だが、作家としてやっていける自信はある。だから、一つ目は、最終手段。  3つ目の方法。財団入団。採用される自信はある。私の自伝を読んでもらえさえすれば。だが、もし、駄目だったとき。その時は、作家としてやっていかなければならない。  4つ目の、SNSを作ること。これは、きっと時間がかかるし、お金もかかる。だから、一番後。)

 心メーター(仮)の機能として、考えているものがあった。辛いとか、苦しいとか、そんな負の感情が、一定値を超えたら、音が鳴る。音が鳴ることで、心の状態を周囲に知らせる。  (相手を傷つけてしまったことが伝わって、傷ついてしまう。)  (集団で一人を傷つけて、その一人の心メーターが反応したとき、集団は、責任を押し付けあったり、逃げたり、はぐらかしたりする。その態度に、一人は、もっと傷つくことになる)  (心メーターの、心の状態を周囲に知らせるこの機能は、「泣く」ということなのかもしれない。誰もが、心が傷ついたら、泣くことができる機能)  (涙を隠せない機能)

 (歩いているだけで、勝手に視線と声を感じて、勝手に傷ついてしまう私は、いったい、どんな奇異の目で見られるだろうか。)  (心メーターの鳴る音を、自分の手で抑えて隠す人も、いるだろうな。)  (隠すことで、相手は何がいけなかったのかを、学べない)  (相手はあなたをまた、傷つけてしまうかもしれない)  (心が傷ついたことを、隠さないことは、できるだろうか)  (「心メーターの反応は、隠すことがマナーである」みたいな空気が生まれないためにも、心メーターを装着したからには、自分で反応を隠せないようにしたい。)  (そして、心メーターは誰もがつけてもいいものにしたい。心メーターをつけることを、悪いことやおかしいことみたいにしたくない。みんなにつけてほしい。)

 (心メーターが反応してしまうような映画や漫画とかを、禁止にしてしまうと、反発が起きるだろうな。例えば、いじめの残酷さを扱う作品とか、難しいだろうな。)  (私の自伝なんか、特に反応しそうだよな。)  (規制はされずとも、読む前に「心を傷つける可能性があります」みたいな表示を出さなければならないとか、なりそうだな)

 (18歳になったら東京に行く、は、無理そう。)  (支援財団の採用発表まで、東京は、難しい)

 (自伝の推敲をしていると、自分がいかに愚かであるか、文章から伝わってきて、もう、愚かで本当にごめんなさい。)

 (「死にたい」って一文で、死にたい気持ちを伝えきれるだろうか)

 (心メーターが鳴ることによって、さらに心が傷ついてしまう人)  (心メーターが鳴るたびに、相手に嫌な顔をされて、さらに傷ついて、結果引きこもりになる)  (心メーターの評価による就職の有利不利とか、あるのだろうか。人間恐怖症なんか、人間と関わるすべての職業から除かれてしまうな)  (心の弱い人への、偏見、差別、攻撃。きっと、ある。)  (心が弱い人は、今の時代の、障害者的な属性になるのかもしれない。もしかしたら、障害として認定されるのかもしれない)  (新たな障害者差別が始まる)  (もし、心メーターによって、自分がどれだけ相手を傷つけたかの数値によって、罪が決まるなら、心が弱い人は、犯罪を誘発してきると、認定されてしまうのかもしれない。)  (心の弱い人のための心メーターなのに、心が弱い人をさらに追い詰めてしまっているじゃないか)  (理想は、心が傷ついている人がいたら、みんなでその人を労ってあげること。でも、無理だよな。今の時代を見ていると、障害者がいたら、みんな避けたり笑ったり嫌がらせしたりしてるもんな。)  (障害者差別を受けないために、自分の障害を隠すように、心メーターもまた、隠されてしまう。)  (音が鳴る機能は、無いほうがいいのかもしれない。)  (でも、近くにいる人が、どんな心の状態なのかを知る機能は、どうだろう。心が傷ついている人が近くにいたら振動で知らせるとか)  (もちろん、プライバシーの設定で、自分の心の状態を誰かに非表示にすることもできるようにしたい)  (でも、非表示機能があると、みんな非表示にしちゃうよな。心状態を公開している人が、おかしいみたいになってしまう)  (本当に心が傷ついているときだけ、周りに公開するようにするとか?)  (自分が心配されたくないときに心配されるのは、嫌だよな。公開、非公開は、自分で決められるようにしよう。)  (相手には心があって、心メーターがついている。そう意識するだけで、少しは、相手の心を傷つけないようになれるんじゃないか)

 (心メーター、1の規約。どんな人、どんな動物、どんな生物、それ以外のどんな心あるものたちでも、心を傷つけては、いけない)そんなことを考えた。  (でも、難しいな。誰の心も傷つけないなんて。)  (人間を襲う獣を、その獣の心を傷つけずに人間は対処できるのだろうか)  (嫌な思いをしなきゃ、反省しないことも、あるのかな。)  (でも、反省のための加害を許してしまったら、だめだ。)  (新たな法が、必要なのか)  (誰かの心を傷つけてはいけないというルールだけじゃ、抑止できない)  (…罰が必要?)  (例えば、警察とか、特別な資格を持った人にのみ、罰を与えることを許すとか)  (でも、警察も人間だからな)  (機械が悪いと判断したら罰が与えられるようになるとか?SFアニメで見たことあるぞ。)  (罰は、心を傷つけることでしか成立しないのだろうか。もっと他の方法はないのか)  (罰そのものが、心に悪いな)  (でも、心に悪いものでないと、抑止力として成立しない)  (心メーターがあるのだから、その人にとってのほどよい苦痛を探して、与えるとか?)  (つらすぎる罰を与えることもまた、罪だと思う。)  (一番いいのは、その人が誰かの心を傷つける前に止めることなんだけどな。そのための罰か?)  (犯罪を起こしそうな人を機械で判断して事前に捕まえるっていうのも、SFアニメで見たことある)  (てゆうか心メーターもそのSFアニメに登場してる)  (罪に罰、でも罰も罪?この世界は、複雑すぎる)

 この自伝小説の登場人物は、もちろん実際の人物が元になっているのだが、特に重要な人物以外の人の名前は、すべて適当なものに変えている。

 (トラバサミが怖い)  (いつ、踏んでしまうかわからない)  (きっと、すごく痛くて、それがとても怖い)  (死ねば、トラバサミを踏むことはない。痛みも、苦しみも、味わわなくてすむ)

 中学の頃の夢を見た。  私をぶつけて笑っていた下級生のやつらを、懲らしめてやりたいと思った。

 漫画を出版社の漫画賞に投稿して、大賞を受賞して、実績作って、お金も手に入れようと思った。いいシナリオも書けた。だけど、漫画、描けなかった。締め切りが近かった。一日4ページは無理だった。下手だった。大変すぎた。諦めた。  自分が、なんにもできないただの無能なのかもしれないという、そんな不安が、残った。

 (課題に対する心理的な抵抗を減らせる機械とか薬とか、作れるだろうか。)  (うつ病の薬を応用してなにか作れそう)  (こんな薬を開発すれば、誰かが怠慢だと罵られることもなくなるのだろうか)そんなことを考えた。

 (私に学問は向いているのだろうか)  (向いてないとわかったとき、私は死ぬのかな)

 (もう、いいんだ)  (自伝を満足できる状態にまで完成させられたら、死んでいいんだ)

 (心の無い世界というのは、きっと健やかだろうな)

 (この世界は、地獄なのだから)

 (私が死ぬ前に、私の自伝、読んで、拡散してくれる人がいたらな)

 この世界を地獄と捉えると、この世界のすべての物事が、おかしいように見えてくる。  この世界を、地獄として再認識する。そうすると、テレビに流れる映像も、床に散らばる本の表紙も、服の柄も、なんだか奇怪に思えてくる。  今まで受け入れていた世界が、実はおかしいものだったのではないかという、疑い。  人間がこの世界を作ったのだと思うと、すごいなと思った。

 こんな世界に、生きてることないよ)って思った。

 よく、私の思想を支持してくれた人たちが、何かを起こしたり、もしくは虐げられたりすることを、危惧している。  「傷つけない」「傷つけられない」この2つを徹底してくれれば、安心できる。

 (生まれてきたくなかった。)  (私個人の気持ちとしては)

 (世界が私のことを受け入れてくれたらな…)

 (自分が傷つけられないための法…だけじゃなく、自分が傷つけないための法も、今の世界は、不十分なんだ)  (誰か変えてくれませんか?この世界)

 (この世界は地獄なのに、人々は、よく発展させてきたものです)

 (みんな、この世界を地獄と疑わず、産み、産まれてきた)

 『自伝、満足のいくところまで完成させたい。そうしたら、あとは自由なのだから。』  『でも、なかなかやる気がでないな。私は目先のいい事しか見れなくて、こんなんだから、結局生きてても、大変なだけで、結果がすぐにでない努力が無理で、そんな性質じゃ、きっと、何も成すことができない。自伝を遺すことが、私の限界。』

 (自殺を阻止することは、他者への 思いやり?)  (それとも、自己中心なのだろうか)

 この世界は、生きるというコンテンツなのだと思った。

 やっぱり、私が自伝を遺して死ぬと、多くの人に迷惑がかかるなと思った。  (どうか、彼らに迷惑を、かけないでもらえませんか。)

 (自殺という選択は、社会でなかなか認めてもらえないけれど、もし、認められたら、いったいどうなるのだろう)  (自殺できる場所の提供とか、してもらえるのだろうか。…でも、自殺志願者を狙った犯罪もあって、自殺施設と偽って自殺志願者を集めようとすることも、あるだろうから、気をつけて。)  (簡単に、安らかに自殺できる薬が薬局で販売されたらな。)  (できれば安くてほしいが)  (自殺が許されたらな…)  (勝手に生んで、自殺するなとは、わがままではないか?)  (そう、我らは勝手に生み出されたのだ)

 (自分の幸せと全体の幸せ。自殺は、自分の幸せを優先している行為。)  (自分の幸せを追求していけば、全体が幸せになる。)  (全体の幸せを追求すれば、個人は幸せになる。)  (結局、何が言いたいのかというと、私は自殺したほうが、私目線からして良いのかを、考えたいんだ。)  (私は自分の幸せのために、自殺するべき。だけど、私は全体の幸せも願っている。私は、自分の幸せと全体の幸せの両方の実現のためにどうすべきかを測っている。)  (みんなが自殺すれば、つまり、みんなが自分の幸せを追求すれば、この世界は平和になる。)  (でも、自殺の選択なんて、みんなができることではない。)  (だから、私は全体の幸せに目を向ける必要があるのだ。)  …。(無理。私は強くない。誰か、がんばって…)

 些細なことで、すぐに傷つく。法の整備されてない、インターネットなんて、見なければいいのに。  (私やっぱこの世界で生きていけねえわ。)  (このクソ弱い心のせいで)  (心って、強くできるのだろうか)  (ロボトミー手術とか?)  (ロボトミー手術を、私はどう思う?)  (ロボトミー手術は、自分を失うための手術だと思った。心こそが私であり、心を切り取られた私は、もう私ではない。)  (つまり、別人になる手術とでも言おうか。)  (別人のようになりたいとは思ったことがあるが、別人にはなりたくないという感覚?が、みんなにはあるのだろうか?)  (別人とはすなわち他人のこと。他人に、この世界を任せてしまうのは、心苦しいな。)  (他人を生んで自分は死ぬよりは、他人を生まずに死ぬほうを選ぶ。)

 (すごく、死にたい。今日、死にたい。でも、自伝、見直してない。不備があったら、いけない。)

 (嫌いなんだ。「生きろ」って言葉)  (思いやりを感じないんだ)

 (その人の意思を、尊重してくれないかな)  (もちろん、他人に害をなそうとする意思は、防がなければない。けど、死にたいという気持ちは、究極の自己救済願望。他人が、それを折ってはならないと、思うんだ。)  (どうか、死にたいと思うその人に、自分自身を救わせてあげてくれないか)

 『やっぱり、自伝は満足できる状態に仕上げて、遺したい。 私が死んだあと、長く、広く読み続けられるためには、やはりがんばらなければならない。 そうなると、一度誰かに読んでもらいたいな。良い作品に仕上げるために、感想がほしいかな。 小説の賞にでも応募しようかな?』  『そう、余生。自伝小説を、仕上げるための、余生なんだ。』  『18歳になる前、もしくはなった瞬間に死ぬのが、物語としていいのかなって思っている。未成年の自殺は、強いから。 迷うな。』

 「産まれた時点で、死ななくなる薬を投与されて、一生分の労働を与えられて、労働を終えたら、やっと、死ねる」みたいな世界観を妄想したりしていた。

 (人はうつ病で能力が下がる。下がることによって、人はうつ病を避ける。)  (もしこれで能力が上がってたら、やばかったな)

 (この世界から、いなくなれるのが、すごく、魅力的)

 (生きがいはある。ゲームやアニメとか。)  (けど、生きがいのせいで死ねなくなるのは、嫌だ。)  (生きるか、死ぬかの迷いを、ずっと抱えて、結局生き続けてしまうのは、嫌だ。)  (この世界は地獄だって、常に心のなかに留めておかないと)  (自伝を完成させよう。そして、完成させたあと、死にたいって感情が出てきたら、すぐに、死のう。)

 『自分でも自覚していることと、無自覚なことがあって、それをみなさんが判別することは、難しいかもしれません。』 7/24発達障害  発達障害とか、そんなのがあるとは、思ってる。  (該当するんじゃないかと思う症状として、単語を書くとき、文字の順序をよく間違えたり、人の話を聞かない。よく歩く。じっとするのが苦手。話すの苦手。小学生の時、割り算の計算をするのが班の中で一番遅くて、みんなが全問解けたのに、私だけまだ一問目とか。その後数学は一番得意になったけど、社会が全然駄目。いわゆる赤点。小学生、猫の種類をすぐに覚えることができた。関係あるかわかんないけど。)  (私が発達障害とかかもしれないってなったら、少しは、許されるだろうか。)  (まあ、病院で診察されれば、すむ話。)

 (今まで、他人の機嫌ばっかり取ってきた。)  (この性質が、きっと、私の核。)  (他人の痛みを、自分は感じないのだから、別にどうでもいいじゃないかって、思うけれど。)  (今は、他人を救いたいとか、思っていない。だから、自分のために、死ぬ。)  (どうして、自伝を遺そうとしているのか、今はあまりわからない)  (死のうって思うと、自伝を遺さなきゃという気持ちが出てくる。)  (世の中が、良くなっていくことが、嬉しいんだ。)  (どうでもいい。私は、自伝書いて死ぬだけ。もう、それだけ。)

 (不完全で不十分でも、いいですよね?至らないところも、愛してください。)

 (もういいよ。早く死にたい。)

 (やっぱ死ぬのやめよう)って思うと、心が軽くなる。  でも、死ねば、もっと軽くなる。

 ピクシブに投稿します。消されないか、心配です。

遺自伝・思考迷惑
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2021年7月24日 08:03
思考迷惑

思考迷惑

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