2021年5月13日更新業種別M&A

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向や相場、事例、成功のポイントを解説

SES業界では、事業拡大・優秀な人材の確保などを目的にM&Aが活発化しています。​​​​​​​競争が激化する業界の動向に対応するため、特に同業者のSES事業会社間でM&Aを行い競争力の強化を図るケースが多いです。今回は、SES事業会社のM&A動向を紹介します。

目次
  1. SES事業会社とは
  2. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡最新動向
  3. SES業界の積極買収企業一覧
  4. SES業界のM&Aメリット・デメリット
  5. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
  6. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の注意点
  7. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場
  8. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功/失敗事例5選
  9. SES事業会社のM&Aまとめ
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SES事業会社とは

SES事業会社とは

近年、さまざまな業界・業種でM&Aの増加が目立っていますが、中でもSES事業会社では事業領域の拡大・事業強化・人材確保などを目的とするM&A事例が多いです。例えば、SES事業会社同士のM&Aにより、双方のノウハウ・技術を生かしつつ事業強化につなげるといったケースが多く見られます。

本記事ではSES事業会社のM&A動向を紹介しますが、まずはSES事業会社とはどのような会社なのか、その特徴について確認しておきましょう。

SES事業とは何か?

SESとは「システムエンジニアリングサービス」の略称であり、主にソフトウェアおよびシステムの開発・保守・運用に関する委託契約の一種をさします。つまり、SES事業とは、IT関連の技術者を他社に派遣してシステム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用を行う事業のことです。

昨今のSES事業の規模は、外部エンジニアに対するニーズの高まりを受けて拡大しています。例えば、会社内の技術者育成が間に合わなかったり人材が不足していたりするケースでは、どうしても外部エンジニアに頼らなければなりません。

こうした企業に対してSES事業会社はSES契約のもとでエンジニアを常駐させて、システム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用サービスを提供しています。また、SES契約とは、エンジニアを対象企業に常駐させて期間内の労働に対して報酬を支払う契約のことです。

これと類似する契約には請負契約・派遣契約がありますが、請負契約との間では「成果物の引き渡しなどにより仕事を完成させる必要性の有無」、派遣契約との間では「派遣先企業によるエンジニアへの命令権の有無」といった点で区別できます。

SES事業が属するソフトウェア業はIT業界で最も企業数が多く、業界内の競争相手が非常に多いです。昨今ではIT業界全体で人材不足が深刻化する中で、人材確保の面でも競争が激化しています。

こうした状況では競争力に応じて市場価値が決定されますが、近年のIT業界では技術力・ノウハウをはじめとする強み・技術者のレベル・最新技術(AI・IOT)の保有など独自の競争力が求められているのです。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡最新動向

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡最新動向

ここでは、SES事業会社のM&A動向を4項目に分けて解説します

人材確保を目的としたM&Aの増加

人材不足が深刻化しているIT業界では、技術者が多く在籍するSES事業会社を買収して人材確保を図るケースが多く目立っています。IT企業によるSES事業会社の買収というM&A事例が増加する中で、人材確保の手段としてM&Aを活用するケースは今後も増えていく見込みです。

海外の大手資本から日本へのM&Aの増加

事業規模が大きい海外の大手企業では、システム開発のコストをいかに抑えるかが重要視されています。そこで効率的なシステム開発・管理・運用の実現などを目的に、日本国内のSES事業会社を買収するケースも目立っている状況です。

国内の同業者同士によるM&Aの活発化

国内の同業者同士によるM&Aでは、双方のノウハウを生かした事業拡大などのメリットが期待できます。競争が激化する状況において、同業間のM&Aは競争力強化を実現するために大きな意義を持つ経営戦略です。

本記事で後ほど紹介する事例においても、双方のノウハウ・技術などを活用して事業拡大を図るM&Aケースが見られます。

SES業界内の海外投資の増加

SES業界では、海外投資の増加も見られます。例えば、途上国への投資によりインフラ整備に取り組んで、海外での事業拡大につなげるといったM&Aケースです。国内における競争激化の状況を踏まえると、今後も海外投資は増加すると推測されます。

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SES業界の積極買収企業一覧

SES業界の積極買収企業一覧

昨今のSES業界ではM&A取引が盛んに実施されていますが、その中でもとりわけ積極的に買収している代表的な企業を一覧にして紹介します。

企業名 設立年月日・事業内容 買収事例・買収対象領域など
ビジネスブレイン太田昭和 1967年8月26日
コンサルティング、システム開発、BPO事業
日本・ペイメントテクノロジー社を買収(2018年)

【買収検討】
・会計、金融分野のコンサル・システム開発会社
・BPO事業、情報セキュリティ、リスクマネジメント事業
エアトリ 2007年5月1日
オンライン旅行、訪日旅行、ITオフショア開発事業
DeNAトラベルを買収(2018年)

【買収検討】
・ITオフショア開発事業とのシナジー効果が期待できる事業
・オンライン旅行、訪日外国人客サービスとのシナジー効果が期待できる事業
メンバーズ 1995年6月26日
ネットビジネス支援、デジタルクリエイター派遣、ニアショアエンジニアリング事業
マイナースタジオ(2015年)、ポップインサイト(2017年)を買収

【買収検討】
・Web制作会社
・Webクリエイター、エンジニア派遣会社
・デジタルマーケティングに関するソリューションを提供する会社
夢真ホールディングス 1991年10月1日
建設技術者派遣、エンジニア派遣、人材紹介業
三立機械設計、ネプラス、SES企業2社を買収(2018年)

【買収検討】
・プラットフォーム開発会社
・人材派遣事業
・日本語学校など
エイジア 1995年4月11日
企業のマーケティングオートメーションに関わる幅広いサービス
FUCAを買収(2013年)、べびちゅの事業を譲受(2018年)

【買収検討】
顧客が価値を感じる製品を開発できる会社など
デジタルフォルン 1963年5月
ハード・ソフトの設計・開発から製品化、運用までの包括的サービス
・ミックスネットワークよりWebインテグレーション事業を譲受(2017年)
・ソフトフロントホールディングスへの出資を実施

【買収検討】
特定の業界に関して豊富な知見を有する企業など
SHIFT 2005年9月7日
ソフトウェアの品質保証、テストの第三者検証
【買収検討】
・ソフトウェア開発における優秀なエンジニア人材・ノウハウ・知見を持つ企業
・エンジニアやユーザー・ライフサイクルに関するデータを持つ企業の買収を検討
プロネクサス 1947年5月1日
開示資料などのドキュメント作成支援
【買収検討】
財務・会計・法務・金融・IRおよび文書管理・編集・データベースに強いシステム開発・運用会社、会計・ディスクロージャー分野のコンサルティング・BPOを手掛ける会社コーポレート領域を得意とするWebサイト制作会社
長大 1968年2月21日
総合建設コンサルタント
【買収検討】
オープン系システム開発会社
Tech Fun 2006年5月11日
技術特化型のSIサービス、IT教育サービス、オフショア開発サービス、eラーニングサービス
【買収検討】
IT/Web領域において社内にシステム開発・Web制作の技術人材を有する会社

上記のように、SES業界ではさまざまな規模・分野の企業がM&Aによる買収に積極的な姿勢を見せていることから、今後の自社におけるM&Aの実現可能性についても大いに期待できます。2021年現在も進行している案件は数多く存在するため、M&A事例についてはこまめにチェックしておくようにしましょう。

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SES業界のM&Aメリット・デメリット

SESのM&A・事業承継
SES業界のM&Aメリット・デメリット

「SES業界では、いかなるメリットの獲得を期待して経営者はM&A実施を決断しているのか気になる」という経営者の方は多いです。そこで本章では、SES事業会社にもたらされるM&Aのメリット・デメリットを当事者ごとに分けて詳しく紹介します。

買い手側

はじめに、SES事業会社のM&Aにおいて買い手側にもたらされるメリット・デメリットについて取り上げます。SES業界のM&Aにおいて相手企業が抱えるニーズを把握するためにも、M&Aによる売却を検討する経営者の方も確認しておくと良いでしょう。

メリット

SES事業会社を買収するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 費用を抑えながら事業拡大が目指せる
  • 取引先を吸収できる
  • 専門知識を持つ優秀なSEを確保できる
  • 外注費用の削減が図れる
  • 売り手側のブランド力を活用できる

M&Aによる買収では、すでに軌道に乗っている事業を自社に吸収できます。同業種を買収するならば既存事業の強化につなげられて従来よりも安定した経営が目指せるのです。また、他事業も手掛けている会社を買収するならば新たな取引先・顧客が得られるため、既存事業との相乗効果の獲得も狙えます。

また、AI・クラウド・ビッグデータなど近い将来に需要が見込まれる分野の専門知識を持つSEの獲得もかないます。優秀な人材の引継ぎは、外注費用の削減にもつながるメリットです。そのほか、M&Aによる買収では買収先のブランド力も吸収できるため、スピーディーに業績向上を狙う手段としても活用できます。

デメリット

その一方で、M&Aによる買収では、以下のようなデメリットが問題となるケースがあります。

  • 簿外債務・偶発債務・訴訟トラブルなどを引き継ぐリスク
  • M&Aに不満を持った従業員が流出するおそれ
  • 期待していたシナジー効果が必ず得られるとは限らない

これらのデメリットは、主に経営統合(PMI)の失敗により発生します。経営統合をスムーズに進めてM&Aを成功させるためにも、専門家からサポートを得ながらプロセスを進めると良いでしょう。

売り手側

次に、SES事業会社のM&Aにおいて売り手側にもたらされるメリット・デメリットについて取り上げます。SES業界のM&Aにおいて相手企業が抱えるニーズを把握するためにも、M&Aによる買収を検討する経営者の方も確認しておくと良いでしょう。

メリット

SES事業会社を売却する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 廃業を避けられる
  • 経営の安定化が図れる
  • 創業者利潤を獲得できる
  • 海外展開を推進できる

M&Aによる売却では、後継者不在の問題を解決しつつ事業承継が果たせるため、自社の廃業を回避できます。特に大手企業に売却できれば、相手企業の経営資源を利用しつつ経営の安定化を図ることも可能です。

また、M&Aにより自社を売却すると、経営者はまとまった創業者利潤の獲得が期待できます。ここで獲得した利益は新規事業の投資資金だけでなく経営引退後の生活資金にも充てられるため、アーリーリタイアを目指す経営者から大きく注目されているのです。

そのほか、SES業界では海外展開を見据えてM&Aを行う事例も報告されています。

デメリット

これに対して、SES事業会社を売却する際は、以下のようなデメリットが生じるおそれがあります。

  • 自社の経営陣が刷新されるおそれがある
  • 承継後に想定外に多くの引継ぎ期間が必要となる場合がある
  • 希望どおりの条件で売却できるとは限らない

これらのデメリットは、主にM&Aにおけるマッチングの失敗により発生します。マッチングを成功させるためにも、買い手と同様にM&Aの専門家からサポートを受けながらプロセスを進めると良いでしょう。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント

ここでは、SES事業会社のM&Aにおける成功ポイントについて売却ケースを中心に取り上げます。

  1. 独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ
  2. 人材の価値を適切に評価してもらう

それぞれのポイントを順番に解説します。

①独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ

企業・事業の売却を成功させるには、買い手から見て魅力的な会社である必要があります。SES事業会社における近年の動向を踏まえると、「独自分野に特化している」「優秀な人材が在籍している」「最新技術に対応している」などの特徴を持つ会社は、多くの買い手から魅力に感じてもらいやすいです。

そのほか、「将来性があるか」「収益性はあるか」「強固な顧客基盤を持っているか」といった点も、買い手が魅力に感じやすいポイントといえます。買い手からすれば、上記の特徴を持つ会社を買収すると競争力の強化につなげることが可能です。

買い手に競争力の強化が期待できると感じてもらうためにも、弱点部分を補強しながら、自社の魅力を買い手に伝えると良いでしょう。

②人材の価値を適切に評価してもらう

SE(システムエンジニア)は専門性の高い職業であり、適切な人材価値評価が難しい傾向にあることから、経営者に専門知識がないと人材価値を評価する際に判断を誤ってしまうおそれがあるのです。

例えば、「1カ月に60万円の利益を生む40代の人材」と「1カ月に30万円の利益を生む20代の人材」を比較したとき、専門知識がないと利益のみを見て40代の人材を高く評価する傾向があります。これにより、最新技術に強い優秀な人材を適切に評価できない可能性があるのです。

人材価値評価は、M&Aにおける売却金額に大きな影響を及ぼします。適切な金額で自社を売却するためにも、SES事業会社の人材価値を適切に評価できる専門家に相談・依頼すると良いでしょう。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の注意点

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の注意点

SES事業会社のM&Aにはメリットが多い一方で、注意点も存在します。代表的な注意点は、「目的を明確にすること」「対象企業を丁寧に選ぶこと」などです。

SES事業会社に限らず、M&Aは事業拡大・人材確保などさまざまな目的で実施する行為です。M&Aを行う際は、M&Aで実現したいことを明確化させる必要があります。目的がはっきりしていれば、具体的なM&A戦略を策定できるため、メリットが多いM&Aの実現につなげられるのです。

また、双方のノウハウなどを生かしたシナジー効果を狙うには、対象企業を丁寧に選びましょう。ここでは、自社にふさわしい相手かどうか、事業内容や方針などを踏まえて判断すると良いです。そして、ふさわしい対象企業が見つかったら、アプローチを早めに行う必要があります。

他の企業に先を越されてしまわないよう、相手を決めたらスピーディーに対応しましょう。なお、M&Aを進めるには法務・税務・財務などの専門知識が求められるため、トラブルを防ぐにはM&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどの専門家からサポートを受けることが必須といえます。

M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&A案件を取り扱う仲介会社です。さまざまな業種で成約実績を有しておりますので、SES業界に関するM&Aもぜひお任せください。

M&A総合研究所には、知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

相談料は無料となっておりますので、SES事業会社のM&Aをご検討の経営者様はお気軽にご相談ください。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場

SES事業会社のM&Aでは、数千万円~1億円前後もしくは数億円~数十億円という価格で取引される事例が比較的多いです。現時点ではこれら2種類の金額規模を相場の目安として考えられますが、今後は事例の多様化に伴いさまざまな規模のM&Aが増加する可能性もあります。

そのため、一概に相場や費用を把握することは難しいです。とはいえ、想定外の費用の発生を防ぐためにも、相場の目安をある程度付けておく必要があります。

したがって、M&Aの目的・M&A当事者となる会社の規模・対象事業の規模・会社の業績・従業員数・M&Aスキームなどを事例ごとにチェックしながら自社と類似する事例を徹底的に分析して、相場の目安を付けておくと良いです。

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SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功/失敗事例5選

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功/失敗事例5選

「実際にM&Aを行う前に過去の成功・失敗事例を把握しておきたい」と思う経営者の方は多いです。最後に、SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡に関する成功/失敗事例を紹介します。まず紹介するのは、M&Aの成功事例についてです。

成功事例5選

はじめに、M&A代表事例として5つを取り上げます。それぞれの事例からポイント・狙いなどをつかんで、自社のM&A戦略策定に生かしましょう。

①データセクションによるFabeeeとの資本業務提携

データセクション

データセクション

出典:https://www.datasection.co.jp/

2020年7月、データセクションはFabeeeとの間で資本業務提携を行うと発表しました。データセクションは、2000年の創業以来、ソーシャルメディアデータなどのデータ解析サービスを提供する企業です。マーケティングリサーチ・リスクモニタリング・AIによる画像解析などの分野で多くの企業を支援しています。

最近では、AI・ディープラーニングを活用した画像/動画解析などの強みを生かしつつ、自社開発のサービス・ビジネスパートナーと共同開発したサービスの提供などさまざまな事業展開をしてきました。対するFabeeeは、2010年4月14日の設立以来、SES事業・受託開発事業・自社サービス事業などを営む企業です。

資本業務提携の狙いは、音声解析AI事業の強化です。業務提携の具体的な内容としては、iVOICEにおける業務連携・デジタルトランスフォーメーションに関する取り組み・採用活動などの強化のほか、柔軟なエンジニアリソースの確保なども図ると発表しています。

②夢真ホールディングスによるアローインフォメーションの子会社化

夢真ホールディングス

夢真ホールディングス

出典:https://www.yumeshin.co.jp/

2020年6月、夢真ホールディングスは、アローインフォメーションの株式すべてを取得し完全子会社化したと発表しています。株式取得価額は非公開です。買収側の夢真ホールディングスは、建設関係の作図・建設現場施工管理者派遣を主軸に事業を展開しています。

売却側のアローインフォメーションは、コンピューター・ソフトウェアの技術提供、コンピューター・ソフトウエアの開発・運用管理、コンピューターおよび関連機器の販売、コンピューターに関する教育および情報販売などを手掛ける企業です。

本件M&Aの狙いは、IT業界における上流工程への参入機会の獲得および、企業育成力のさらなる強化にありました。 顧客基盤の共有・活用により、両社において営業販路開拓の促進が見込めると判断しています。

③インフォネットによるスプレッドシステムズの子会社化

インフォネット

インフォネット

出典:https://www.e-infonet.jp/

2020年4月、インフォネットは、スプレッドシステムズの株式すべてを取得し完全子会社化すると発表しました。株式取得価額は非公開です。買収側のインフォネットは、大手企業・官公庁自治体を中心に完全自社スタッフのもとでWebデザイン・CMS・AIを活用したサイト構築を手掛ける企業として知られています。

売却側のスプレッドシステムズは、2013年1月の設立以来、高い技術力を背景にフロントエンドエンジニアリング業務やディレクション業務を主軸とする受託開発・SESを請負、数々の大手企業におけるWebキャンペーンサイト・アプリケーションサービスなどの開発に関与してきた企業です。

本件M&Aの狙いは、両社の技術力の研鑽および、高い技術力を有する開発組織・優秀な経営人材の獲得にありました。

④TOKAIコミュニケーションズによるアムズブレーンの子会社化

TOKAIコミュニケーションズ

TOKAIコミュニケーションズ

出典:https://www.tokai-com.co.jp/index.php

2019年7月、TOKAIホールディングスの100%子会社であるTOKAIコミュニケーションズは、情報サービス事業を展開するアムズブレーンの連結子会社化を発表しました。

買収側のTOKAIコミュニケーションズはネットワーク・データセンター・システム開発などを展開しており、情報通信分野において個人・法人の双方を顧客に抱えています。特に法人には、長年培った技術・ノウハウをもとに、先端技術にも積極的に対応しながら最適なソリューションを提供する企業です。

売却側のアムズブレーンは、長年の事業展開を通じて得たノウハウやリソースを生かして安定した業績を確立してきました。アムズブレーンの子会社化により、TOKAIコミュニケーションズでは情報通信事業における開発体制の強化・シナジーの創出・両社の中長期的な企業価値向上などを目指すとしています。

⑤インフォメーションサービスフォースによるITソフトジャパンの子会社化

インフォメーションサービスフォース

インフォメーションサービスフォース

出典:http://www.isforce.jp/

2019年3月、トライアンフコーポレーションの連結子会社でシステム・エンジニアリング・サービスを展開するインフォメーションサービスフォースは、システム開発会社のITソフトジャパンの子会社化を発表しました。取得価額は3,200万円です。

売却側のITソフトジャパンは、およそ15年間にわたってシステム開発事業を展開してきました。大手企業を中心とした優良な顧客基盤および優秀な技術者を抱えていましたが、これと同時に経営者の高齢化により事業承継を経営課題に抱えていた企業でもあります。

ITソフトジャパンの子会社化により、親会社のトライアンフコーポレーションでは、当事会社の2社が培ってきた技術力・取引基盤などを融合させて情報技術事業の拡大を目指すとしています。

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失敗事例

SES事業会社のM&Aでは、現時点で目立った失敗事例は報告されていません。とはいえ、SEなど優秀な人材の離職を起こしてしまった企業は少なからず存在します。所属企業が変更になり待遇・環境などに変化が生じたことで不満を持った従業員が離職するケースは、SES業界のM&Aにおいて珍しくありません。

こうしたトラブルは、経営者からすると、想定していたM&Aの効果が得られないだけでなく、人員不足に陥ってしまい事業運営が困難になりかねません。人材不足が叫ばれる中、SES業界ではSEの確保が深刻な課題となっています。

従業員の離職を防ぐには、M&Aという大きな変化のタイミングにおいて、待遇をはじめとする条件面・就労環境面などに十分に配慮しなければなりません。

【関連】M&A失敗の要因とは?失敗割合や失敗した会社の事例を解説

SES事業会社のM&Aまとめ

SES事業会社のM&Aまとめ

SES事業会社では、事業拡大・優秀な人材の確保などを目的にM&Aが活発化しています。競争が激化する業界の動向に対応するため、特に同業者同士のM&Aによって競争力の強化を図るケースが多いです。

同業者が双方のノウハウや技術を生かして事業領域や事業規模の拡大につなげられれば、競争力を強化できます。また、M&Aは、深刻化する人材不足の解消に向けて、人材の確保が期待できる点もメリットです。

人材不足は今後も続くと予想されるため、優秀な人材を集めたいSES事業会社がM&Aを検討するケースは増え続けると推測されています。それだけでなく、海外への事業展開・海外資本の参入など、最近のM&A事例は多様化している点も特徴的です。

SES事業会社のM&Aを検討する際には、自社の規模・事業と類似する事例を徹底的に分析したうえで、M&A動向をチェックしておきましょう。本記事の要点をまとめると、以下のとおりです。

・SES事業会社とは
→エンジニアを常駐させてシステム・ソフトウェアなどの開発・保守・運用サービスを提供する会社

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡動向
→人材確保を目的としたM&Aの増加、海外の大手資本から日本へのM&Aの増加、国内の同業者同士によるM&Aの活発化、SES業界内の海外投資の増加

・SES業界のM&A買い手側のメリット
→費用を抑えながら事業拡大が目指せる、取引先を吸収できる、専門知識を持つ優秀なSEを確保できる、外注費用の削減が図れる、売り手側のブランド力を活用できる

・SES業界のM&A買い手側のデメリット
→簿外債務・偶発債務・訴訟トラブルなどを引き継ぐリスク、M&Aに不満を持った従業員が流出するおそれ、期待していたシナジー効果が必ず得られるとは限らない

・SES業界のM&A売り手側のメリット
→廃業を避けられる、経営の安定化が図れる、創業者利潤を獲得できる、海外展開を推進できる

・SES業界のM&A売り手側のデメリット
→自社の経営陣が刷新されるおそれがある、承継後に想定外に多くの引継ぎ期間が必要となる場合がある、希望どおりの条件で売却できるとは限らない

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の成功ポイント
→独自分野・優秀な人材・最新技術などの強みを持つ、人材の価値を適切に評価してもらう

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の注意点
→目的を明確にすること、対象企業は丁寧に選ぶこと、専門家にサポートを依頼すること

・SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡の相場
→数千万円~1億円前後・数億円~数十億円という価格で取引される事例が比較的多い

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食肉卸業界のM&A成功/失敗事例5選!注意点や成功のポイントを解説

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日本の食肉需要量は高く推移していますが、消費者のニーズが変化してきたにより多様な食肉生産が求められるようになってきています。本記事では、食肉卸業界でM&Aをする際の注意点や成功のポイント、M&A...

美容雑貨製造業界のM&A・事業承継!動向・注意点・相場を解説【事例有】

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近年、美容雑貨製造業界のM&Aが活発になっています。特に、インバウンド需要の拡大や海外製品の輸入増加が影響しており、対応力をつけるためにM&Aを実行するケースも増えています。今回は、美容雑貨製造...

空調機器製造業界のM&A情報!メリット・デメリットや注意点を解説

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空調機器製造業界とは、エアコン、空気清浄機、冷凍機、送風機器、換気扇などの空調設備を製造している業界であり、現在は変化の時期を迎えています。本記事では、空調機器製造業界でM&Aを行うメリット・デ...

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