高輪ゲートウェイ駅開業 山手線に49年ぶり新設

JR東日本は14日、山手線で49年ぶりの新駅となる「高輪ゲートウェイ」を品川―田町間に開業した。山手線の初電は午前4時35分に駅を発車し、多くの客や鉄道ファンが電車に乗り込んだり、出発の様子を見守ったりした。羽田空港に近く、リニア中央新幹線の始発駅となる品川に隣接する新駅として、東京と世界のゲートウェイ(玄関口)の役割が期待される。

高輪ゲートウェイは山手線と京浜東北線の新駅として開業した。山手線の新駅は西日暮里以来、49年ぶりで、JR東の深沢祐二社長は「街に開かれた駅、そして未来を感じられる駅にしたい」と意気込む。

14日は早朝から初電を見ようと集まった多くの鉄道ファンでにぎわい、午前9時までに約6000人が駅を訪れた。父親と一緒に来た埼玉県に住む小学6年の男児は「他の駅とは全然違う。屋根や床がすごく綺麗だし、2階からホームに入ってくる電車がよく見える」と笑顔で話した。新型コロナウイルスの影響で小学校は休校しているが、久しぶりの外出を楽しめたという。

高輪ゲートウェイの中村多香駅長は「早朝から多くのお客様に来ていただき、注目される駅として開業できたことを嬉しく思う。(ロボットの活用など)最先端のサービスを取り入れた駅だが、今後も一歩先行くサービスを考えていきたい。安全を第一に、お客様から親しみやすく愛される駅にしていきたい」と報道陣に語った。新型コロナの感染拡大の影響で式典などは開かなかった。

有名建築家の隈研吾氏が設計した。東北のスギを多く使い、屋根は折り紙をイメージした(14日午前、東京都港区)
未明から駅の入場を待つ人たちで行列ができた(14日午前、東京都港区)

JR東は当面、1日の利用者数を約2万3千人と想定する。羽田空港に近いことから、旅行者や周辺のオフィスに勤めるビジネスパーソンなどが多く利用すると見込まれている。同社は2024年をめどに周辺に商業施設やホテル、オフィスなどを建設して「街びらき」を目指す。同年には1日の利用者が12万3千人程度になると予測する。

駅舎は有名建築家の隈研吾氏がデザインした。大屋根を折り紙をイメージした形にしたほか、駅構内はスギの木を多用し、和を感じられる駅にした。駅舎に掲げた「高輪ゲートウェイ」の看板の書体も和を意識して明朝体にしたという。

駅構内には最新技術も多く取り入れた。1つは23日に開業する無人コンビニエンスストア。店舗に設置したカメラが利用者や手に取った商品を自動で認識する。利用者はレジを通らずに店を出られる仕組みだ。

このほか掃除や警備を担うロボットを6種類、乗り換え案内などをする人工知能(AI)を搭載したデジタルサイネージ(電子看板)を4種類投入した。新駅は単なる移動の拠点だけでなく、新技術の体験の場としてもにぎわいそうだ。

23日に開業する無人コンビニ(9日の内覧会)
順次稼働させる、観光客などの案内をする移動式ロボット(9日の内覧会)
順次稼働させる、自律走行で床の拭き掃除をする清掃ロボット(9日の内覧会)
高輪ゲートウェイ駅(中央)を中心に、今後は高層マンションや商業施設の建設が進む(14日午前)=共同

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