『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 16

―――沢田さんが「仲良かった」って言ってたのが、すごい救いっていう……



「ウン、よかったねえ」



―――よかったですよね。



「うれしいよ。沢田はだからね、

キャラ的(キャラクター)にも、

そういう人の中でも僕好みのキャラなんですよね。

なんか、母ちゃんにチクったり、

クラスの女の子に逃げたりしないしね。

わりとそういう特技なんかも持ってるっていう(笑)。

なんか電話番号覚えてたり、漢字うまかったりさ。

レインマン*1みたいな。

あの頃『レインマン』なんかなかったけどさ、

でも『もしかしたら、コイツは天才かもしんない』

とか思うようなこともやるしさ。

結構カッコいいんですよ、見方によっては」



―――"演技だった"っていう噂も、流れておかしくない……。



「『ああ~、疲れた』とか言ってね(笑)。

『やっと帰ったわ』とか言って、

シャキーンとかして(笑)。

そうかもしれないって思わせる何かを持ってたしね。

それで、たまに飽きてきた頃にさ、

なんかこう一個エピソードを残してくれるっていうかさ。

石川さゆりの写真とか入れて来たりだとかさ。

そんなの普通『ギャグじゃん』とか思うじゃん?

その人選からしてなんか、ねえ」



―――天然……。



「天然……。ホント『天然』って感じの」



―――小山田さんの音楽は、聴いてないそうです。



「聴かしたいなあ(笑)。

どういう反応をするんだろうなあ(笑)。

ま、別に大した反応はしないですよ、多分。

ま、音楽とかそんなに興味ある訳じゃないから」



―――街で会っちゃったりしたら、声はかけますか?



「はーん……分かるかな?」



―――沢田さんは、覚えてますよ。



「覚えてるかな?」



―――ええ。すっごい覚えてると思うな、僕の会った感触では。



「そうですね……。

沢田とはちゃんと話したいな、もう一回。

でも結局一緒のような気もするんだけどね。

『結局のところどうよ?』ってとこまでは聞いてないから。

聞いても答えは出ないだろうし。

『実はさ……』なんて言われても困っちゃうしさ(笑)。

でも、いっつも僕はその答えを期待してたの。

『実はさあ……』って言ってくれるのを期待してたんですよね、

沢田に関してはね、特に」



―――……ところで、小山田さんはいじめられたことってないんですか。

学校に限らず。



「はー。多分、僕が気付かなかったっていうだけじゃなく、

なかったと思うんですよ。

被害者とか思ったことも、全然ないですね。」



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*1:ダスティン・ホフマン演ずる精薄の兄と、トム・クルーズ演じる健常の弟が二人で旅する映画。ワーナーホーム・ビデオより三八○○円。(税抜)で発売中。