"いじめ紀行"の終点
最後に、小山田さんが対談するなら一番会いたいと言っていた、
沢田さんのことを伝えた。
沢田さんは、学校当時よりさらに人としゃべらなくなっている。
「重いわ。ショック」
―――だから、小山田さんと対談してもらって、
当時の会話がもし戻ったら、すっごい美しい対談っていうか……。
「いや~(笑)。
でも俺ちょっと怖いな、そういうの聞くと。
でも…そんなんなっちゃったんだ……」
―――沢田さんに何か言うとしたら……
「でも、しゃべるほうじゃなかったんですよ。
聞いた事には答えるけど」
―――他の生徒より聞いてた方なんですよね? 小山田さんは。
「ファンだったから。
ファンっていうか、アレなんだけど。
どっちかっていうとね、やっぱ気になるっていうかさ。
なんかやっぱ、小学校中学校の頃は
『コイツはおかしい』っていう認識しかなくて。
で、だから色々試したりしてたけどね。
高校くらいになると『なんでコイツはこうなんだ?』
って考える方に変わっちゃったからさ。
だから、ストレートな聞き方とかそんなしなかったけどさ、
『オマエ、バカの世界って、どんな感じなの?』
みたいなことが気になったから。
なんかそういうことを色々と知りたかった感じで。
で、いろいろ聞いたんだけど、
なんかちゃんとした答えが返ってこないんですよね」
―――どんな答えを?
「『病気なんだ』とかね」
―――言ってたんだ。
「ウン。……とか、あといろんな噂があって。
『なんでアイツがバカか?』っていう事に関して。
子供の時に、なんか日の当たらない部屋にずっといた、とか。
あとなんか『お母さんの薬がなんか』とか。
そんなんじゃないと思うけど(笑)」
―――今会ったとすれば?
「だから結局、その深いとこまでは聞けなかったし。
聞けなかったっていうのは、
なんか悪くて聞けなかったっていうよりも、
僕がそこまで聞くまでの興味がなかったのかもしれないし。
そこまでの好奇心がなかったのかも。
かなりの好奇心は持ってたんだけど。
今とかだったら絶対そこまで突っ込むと思うんだけど。
その頃の感じだと、学校での生活の一要素っていう感じだったから。
でも他のクラスの全然しゃべんないような奴なんかよりも、
個人的に興味があったっていうか」