『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」3

●2月22日



*14時、太田出版で『QJ』赤田・北尾両氏と会う。

いじめ対談のことを話す。

「面白いね、やってよ。和光中学の名簿探してみるから」

――まず、いじめられっ子を探すことにする。

*20時、ボアダムズ*1のライヴを観に新宿リキッドルームへ。

終演後、何と観客の中に小山田圭吾氏発見!

運命的なものを感じる。何か挨拶しとかなきゃ。

しかし、カヒミ・カリィと一緒の小山田さんにいきなり

「昔、いじめっ子だったんですよね」

という訳にもいくまい。

とりあえず『月刊ブラシ』を手渡す。

ミニコミ作ってるんで読んでください」

「あ、ありがとう」

この間、約二秒。

ちなみに僕は普段いつも自分のミニコミを持ち歩いている訳ではなく、

この日持ってたのは本当に偶然だった。

ますます運命的なものを感じる。



●2月25日



当時の和光中学の名簿を思いっきり入手。

太田出版のバイトにたまたま和光出身の人が入ったらしく、

そのルートから。運命的なものを感じる。

いじめられてた人の名前まで判明した。

西河原法夫さん(仮名)といい、

「学年を超えて有名」だったとか。

対談依頼の手紙を書く。



●3月15日



原宿の西河原さんの自宅*2へ交渉に。

住所を頼りに昔いじめられてた人の家に行く、

しかも自分は全然初対面。

この時の気分はうまく説明できない。

現実を舞台にファミコンやってるような気になってくる。

よくよく西河原さんと話してみると、

「自分は消しゴムを隠される程度のいじめしか受けていない。

(前出のように)ハードにいじめられてたのは別の人ではないか」

とのこと。

じゃあ、本当にいじめられてたのは誰なんだ?



●3月23日



太田出版ルートでは、

「もはや誰が小山田さんにいじめられていたのかは判らない」

とのこと。

間抜けな話だが、小山田さん本人に聞くしかなくなった。

所属事務所「3-D」に電話。

事前に手紙は送っているが、反応はよくない。

当たり前か。



●4月2日



とにかく事務所に乗り込む。

QJ』赤田氏と僕とで、

まずマネージャー岡氏を説得しなければならない。

と思っていたら、「本人来ますよ」

20分後、『夕刊フジ』の地下鉄サリン事件増刊号を小脇にかかえながら、

コーネリアスはいきなり目の前に現れた。



「この対談、読み物としては

絶対面白い物になるだろうし、僕も読むけど、

自分がやるとなると……(苦笑)」



『月刊ブラシ』のことは覚えていてくれたものの、

やはり引き気味のコーネリアス

しかし話をしていくうち、

お互いいじめ談義で盛り上がってしまう。

小山田さんは、いじめグループの中でも"アイデア担当"だったらしい。

僕の確信は間違ってなかった。

小山田さんもこういうのが好きなのだ。

大体、昔テレビの「私のお気に入り紹介」*3みたいなやつで、

他の人は好きなパンとか好きな文房具とかを紹介してるのに、

一人だけアメリカ凶悪殺人犯のトレーディング・カード*4

紹介していたぞ。

小山田さんとのいじめ談義は、

同じ学校の奴とバカ話しているようで、凄く楽しい時間だった。

独り占めするのはもったいないので、僕がシビレた話を掲載しよう。



bibokj.hatenablog.com

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*1:山塚アイ氏は、昔いじめられっ子だったらしい。

*2:原宿の、正に"盲点"というような場所にある。

*3:『丸井カウントダウン10』のこと。

*4:大量殺人者・チャールズ・マンソンエド・ゲインらのトゥルー・クライム・カードのこと。アメリカのカルトショップで入手可。