京アニ殺人事件の青葉容疑者「責任能力あり」で起訴/精神疾患=犯行原因という短絡報道を繰り返すな
昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は12月16日、青葉真司容疑者(42)を殺人、殺人未遂などの罪で起訴しました。半年に及ぶ精神鑑定の結果などから、地検は「刑事責任能力を問える」と判断したのです。
この放火事件では36人が亡くなり、33人が重軽傷を負いました。被害の甚大さゆえに、事件当初から多くのマスメディアがセンセーショナルに報じ、青葉容疑者の犯行時の言動にも注目が集まりました。
青葉容疑者は犯行動機として「自分の小説が盗まれたから」と語り、精神科受診歴もあったことから、その発言は「病気ゆえの妄想」であるかのように伝えられました。「精神疾患による犯行」と決めつけるような意見もありました。
しかし、精神鑑定を踏まえた地検の判断は「責任能力に問題なし」。凶行は重い精神疾患による支離滅裂状態で引き起こされたのではなく、青葉容疑者自身の歪んだ感情の問題であると判断したのでしょう。
社会を震撼させた凶悪事件では、これまでも同様の流れで起訴に至るケースが多かったのですが、マスコミは「犯行原因=精神疾患」という誤った等式を振りかざし、短絡的な報道を繰り返してきました。こうした行いが、犯罪とは無縁の精神疾患患者たちを傷つけ、横浜市都筑区のヘイト幟旗林立などにもつながりました。
青葉容疑者は家族離散後、経済的に追い込まれていきました。就職してもうまくいかず、孤立していったと伝えられています。こうした社会への恨みや妬みを背景に凶行に走ったのだとすれば、それは本人の脆弱な部分を社会の歪みが揺さぶって生じた犯罪といえます。
我々は、「精神疾患」に濡れ衣を着せて思考停止するのではなく、犯罪の誘因となる社会の様々な歪みと真摯に向き合うべきです。
Yahoo!ニュース「京アニ放火 青葉容疑者を起訴」
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6379533
毎日新聞「京アニ起訴『事件のこと忘れないで』『被告は償って』遺族おもいさまざま」