-1969
1970
1971
1972
1973
1975
1977
1979
1980



1975

January 12
- Brussels, Belgium


参考音源 :It's Time To Travel Again
ソースの状態 :
レベル変動が激しいが音質はまあまあ / L-ch再生もまた良し

1年半のライブ休止期間を経て ZEPの軌跡・第2楽章の始まりである。
個人的には 73年US~本年5月のUK終了までが
Zepライブ、第二の全盛期だと捉えている。
この年を境に、音楽性や活動パターンなどが一新され
それが所謂「後期」という形で解散時まで続いているのも確かだが
ライブ・クリエイターとしては、まだこの時点では
73年からの流れを汲んでいると考えているからである。
つまり簡単に言うと、この年までは(Live的に)前向きだったということである。

さて例によって、全米ツアーに向けての
ウォーミングアップ・コンサートが欧州にて行われ、
この日は前日のアムステルダムに続く二日目である。
さすがに 1年半のライブ活動休止は演奏にも響いており
過去のレパートリーは、思い出しつつ
どうにか、こなしている程度の出来具合だが
風邪をひく前の 75年プラントを聴けるのは
この日のみなので、ある意味貴重かもしれない。
ジミーは指を怪我しているということもあって
比較的押さえたプレイに徹しているようだ。

「R&R」ドラムソロから新曲の「Sick Again」に直接繋げられている。
この後プラントの MCが入るが、ボンゾが曲を勘違いしたのか
いきなり、威勢良く「Levee Breaks」のイントロを開始。
それは違うだろ、ということでストップ。改めて「丘の向こうに」に入っている。
オーディエンスもボンゾのプレイで一瞬沸いてしまったりするなど、
なかなか気まずい瞬間だ。
「丘の向こうに」終了後、いよいよ本当の「Levee Breaks」。
先ほどと違い、ボンゾの出だしが地味になっている。
この曲は、本ツアーにて初登場なのだが
ブルーズ色を強める意味合いで加えられることとなったのだろうか。
確かに、このツアーからの Zepライブサウンドは
ボンゾを中心とした重厚スタイルに変化しており
ニューアルバム「フィジカル」のカラーにも合っている。
プラントの声の本来の調子も、ここである程度判る。
彼は前年に喉の手術を受けたと言われており、
アルバム「フィジカル」におけるヴォーカルも、その影響なのか
いささか擦れ声となっているが、ここでは割と普通の声で歌われている。
ただ、本来のメロディラインには音域が届いておらず
ちょっとパワー不足でもある。
フェイクで逃げられるような曲でもなく、これで 6分余りの
演奏時間を持たせるのは、なかなか難しいといったところだろう。
久々のハープ演奏はイイ感じで、ボンゾのリズムパターンも面白いが
全体としては、ツアー開始早々(10日後!)に
レパートリーから消えてしまうのも理解できるようなテイクだ。

「永遠の詩」では久々に、シンコペーション・ボンゾが炸裂。
新曲「Kashmir」は、一瞬展開を見失う箇所もあるが何とか終了。
Bassペダルの音が余り出ていないのは残念だ。
続いても新曲の「Wanton Song」。
これは、なかなかカッチリ決められている。
ある程度まともなプラントのヴォーカルが聴けるのも嬉しい。
腕馴らし的な「No Q」を経て、新曲「Trampled Underfoot」。
これも気楽にこなせたようだ。
続いて新曲「死にかけて」だが、これはボンゾが例の箇所で
さっそく間違いを披露し、とっ散らかっている。
それを除くと、初演二日目にしてはなかなか頑張っているプレイだ。

このツアーからトリが、聖歌「天国への階段」となり、これが解散時まで続く。
ある意味 Zep神聖化の始まりであろうか。
それを考えると、なかなか興味深い。
アンコール前ではオーディエンスが激しく盛り上がり。
ボンゾも、サッカー風リズムで応えている。
アンコールは「胸いっぱい」リフから「Out On The Tiles」リフ~「Black Dog」。
これも当ツアー独自のアレンジで、この時点では
まだ「胸いっぱい」は単なる導入部扱いだが
へヴィーなリフは恐ろしくカッコよく、かなり聴き堪えがある。
本体の「Black Dog」後半部で、プラントが歌詞をド忘れ
何度も歌い直した結果 Band を演奏停止寸前状態に陥れるという場面がある。
何とか乗りきるのだが、なかなか笑えるコーナーである。
追加アンコールは「Communication」。
イントロ前には、なんと「Walter's Walk」エンディング・リフが付加されている。
このような初期の楽曲におけるジミーは、
まだタイム感が健在で、体力に余裕があるのが判る。
過酷なツアー(と、ツアーフィーバー)こそが
彼らを蝕んでいった主な原因なのだろうと思わせる。
若くて元気なら、ツアー後半の方が熟成して来るのだろうが…。
その辺の兼ね合いも、また 75年全米ツアーの醍醐味である。







January 20(21)
- Chicago, Illinois


参考音源 :LIVE ON THE LEVEE (Communication 未収録版)
ソースの状態 :
片チャンのみで聴いてみるのも良し

日付に関しては、長らく21日とされてきたが
どうも、両日が混ざった音源の模様(20日のみ音源も発見済み)。

ジミーは指を捻挫、プラントはインフルエンザで
一般的に、散々な出来だと思われてるようだが
実際に聴いてみると、意外に好演で驚かされるだろう。
ツアー序盤で、新曲などかっちり演奏されているし
なにより、体調にもめげず
一生懸命やろうとしている様子が感じられて、好感が持てる。
プラントの声は、確かにまったく出ていないが
オーディエンスと良い関係を持つべく頑張っているようだし
ジミーも、指の不調がところどころ窺われるものの
フレーズそのものは生き生きしており、ツアー終盤とは全然違う。
バンドの状態が、この時点に於いては
まだ 73年側に属しているのが判る。
「Wanton Song」や、この日が最後の演奏となる
「Levee Breaks」など、珍しい曲も披露されているし
ジミーの怪我の為「幻惑」の替わりに演奏された
「How Many More Times」が聴けるなど
75年の中では、それなりに重要な意味合いを持つライブではないだろうか。
今やヴィンテージとなった
「カシミール」や「死にかけて」などの「フィジカル」収録曲が
どのように変化していったのか、歴史の貴重な資料としても楽しめる。
「フィジカル・グラフィティ」は、この時点で未発売であり
これだけ大量の新曲を携えての全米ツアーは、1971年以来のことである。
これらの曲を新曲として、初めて
ライブで耳にした人達の気分になってみたいものだ。

アンコールの「胸いっぱい」メドレーにおける
「Out On The Tiles」リフから「Black Dog」が始まる部分で
オーディエンスが段階的に盛り上がってゆくのが、なんともいえず感動する。

この音源には収録されていないが、この日は
追加アンコールで「Communication Breakdown」も演奏されている。
なかなか爽快なテイクで、間奏におけるギターブレイクなど
スリリングでカッコいい。ツアー序盤ならでは、の好演。






January 22
- Chicago, Illinois


参考音源 : トレード音源
ソースの状態 :
聴きやすいオーディエンス(Bassブーストで聴くといいかも)

引き続き「意外な」好演である。
ツアー後半に比べると、ジミーの丁寧さが引き立ち
指をケアしてる、という事情もあるのかもしれないが
それが逆に、全体的に聴きやすい演奏となっている。

ツアー前半のみ演奏された
「Wanton Song」「How Many More Times」 は
音質面含めて、いずれも、この日がベストではないかと思われ
持っていても損はない音源と言える。
プラントの声の調子も悪くはない。

新曲である「Sick Again」はボンゾがエンディングではみ出してしまうが
他の新曲に関しては、概ね丁寧で、
いまだ未聴のオーディエンスに向けて(フィジカル発売は2月25日)
しっかり聴かそう、という意思が感じられる。
フィジカル曲の、こういう演奏はこの時期だけなので貴重である。

モビーディック、ティンパニで「胸いっぱい」リフを叩いている。
このオチャラケ(?)は、今後もボンゾがよく披露する持ちネタになる。

「天国」途中でカットあり。
アンコール「Communication Breakdown」収録。
後半部インプロが展開されるなど、引き続き好演。


当ツアーから、ステージ機材が一新され、
アンプ出力が増し、ギターの音色も変化している。
また、ボンゾが台座の上に上がったことも特徴で
その辺が、ヘヴィネスをいっそう強調している。
そういったことが、よくわかる好音源である。







January 24
- Cleveland, Ohio


参考音源 :ULTRAVIOLENCE
ソースの状態 :
低音ブーストで多少音質向上 / 要スピード調整

新曲やツアー自体にも慣れて来たようで
全体的に、しっかりした演奏が繰り広げられている。
プラントの声はまだまだだが、それさえ気にしなければ
ツアーの中の「単なる一日」という感じで、普通に楽しめるライブだ。

「Sick Again」エンディングにはヴォーカルとギターの
ユニゾン・フレーズ「Ah~Ah~ Ah Ah」が登場。
「死にかけて」や「Kashmir」など、新曲は揃って好演。
「Wanton Song」も、スカッと快演。
後半部では新たなキメ・フレーズが登場するなど
なかなかカッコいいテイクだ。
「How Many More Times」の展開も、流れが良くなってきた。
プラントも、声は出ないが頑張っている。
テープに細かいドロップアウトがあるのが残念。
エンディングもカットされている。

アンコールは「胸いっぱい」から「Black Dog」へ。
相変わらずの盛り上がりだ。
続いて「Communication」が演奏されているが
ここでのジミーは少々様子が変で、ところどころキーを外している。







January 25
- Indianapolis, Indiana


参考音源 :CONDITION BREAKDOWN
ソースの状態 :
まあまあな音質のオーディエンス / 要スピード調整

相変わらずかっちり演奏されており、好感が持てるが
プラントの風邪は、再び悪化。
まったく声が出ていない上、ゲホゲホ咳などをしている。
既発表曲はフェイクで何とかこなしているものの
新曲はメロディ・ラインがよく判らず、ちょっと苦しい。
ジミーは、そこそこ弾けるようになっており
やはりツアー終盤に比べると、元気は有るようだ。

「Sick Again」は何とか聴ける新曲のひとつ。
「Wanton Song」も演奏の締りが良く、そこそこ聴ける。
この日を最後にツアーのメニューから外されたので
貴重な最終バージョンだ。
「死にかけて」は音源に収録されていないので、演奏されたのかは不明。
「永遠の詩~Rain Song」はギター(6弦側)のチューニングが狂っている。
同メドレーにカット箇所あり。
「No Q」にも細かいカットがあるが、演奏はしっかり行われている。
「Moby Dick」も中間カット有り。
MCで 「古い曲だ」と紹介され、オーディエンスが沸き「How Many」へ。
同曲中間部もカットされているが、 これも多少聴きやすいものとなっている。
「天国」はギターソロに入る部分でジミーがタイミングを失い
導入部のボンゾのティンパニフレーズが、仕切り直しで 2度繰り返されている。
ソロの構成も前後入り乱れており、ジミーの動揺が窺える。

ボンゾ&ジョーンズ氏の堅実プレイに支えられ、なんとか終了。







January 29
- Greensboro, North Carolina


参考音源 :A QUICK GET AWAY
ソースの状態 :
まあまあな音質 / 激しく遅いので注意

プラントの風邪が酷くなり 26日のセントルイス公演が中止。
この日は休み明けとなったわけだが、休みボケなのか
既発表曲は何とか聴けるものの、新曲は殆どボロボロ。
ジミーも下手ではないがヤケクソ気味で
構成など無視して突っ走り、かなり殺伐としている。
忘れているというより、ちゃんと演奏しようという
その気持ち自体、無いようだ。
だが、その破天荒さが逆に往年の彼らを思い起こさせ
ある意味、興味深いライブともなっている。

プラントの声も、擦れは軽減しているが余り出てはいない。
「永遠~Rain」は、なかなか健闘。
ただし、残念ながらラスト寸前で F.O.してしまう。
「Trampled Underfoot」でのジミーも、そこそこ熱演。
「How Many」はカットも少なく、展開が良く判る聴きやすいテイク。
弓コーナーの前に「幻惑」のセクションが一部付け加えられている。
この辺から、プラント以外のメンバーは徐々に回復。
過去、何度も演り慣れた曲なので、調子が出てきたのだろうか。

アンコールは「胸~Black Dog」と「Communication」。
「Communication」後半部で「Rover」のリフが一瞬プレイされている。

この日のライブ終了後、Zep御一行様が会場脱出に失敗、
大トラブルに巻き込まれるのは有名なエピソード。
この音源にも、アンコール終了直後に
「ちょっとゴメン」と言うような客の声が入っている。
メンバーを追っかける為に急いで会場の外に出ようとしている
フーリガンの一味なのかもしれない、などと想像すると妙に笑える。
当アイテムのタイトルも、この事件に因んだものだろう。







January 31
- Detroit, Michigan


参考音源 :TUNE UP
ソースの状態 :
パンニングが鬱陶しい箇所あり / 音質は並

プラントはそこそこ回復しており、多少聴きやすくなっている。
ジミーの演奏も丁寧さが復活しており
通常状態に近くなってきているのが判る。

「7年間の良いところを…」というお馴染みのMCの後
「丘の向こうに」のイントロが開始されると会場が大きく盛り上がる。
曲の人気の高さを窺わせる部分だ。
「死にかけて」も後半プラントが苦しそうだが
全体としては、なかなかの快演。
「永遠の詩」イントロで一瞬とっ散らかりそうになり
ヒヤっとするが、無事曲に突入。気力が戻っているようだ。
「Kashmir」は、ボンゾの一発フィル付き。
後半乱れそうになるが、そこまではカッチリとした演奏で好感が持てる。

「No Q」では、ジミーが炸裂。
既発表曲は暖機の役割を担ってもいるようで
気分よくプレイしている様子が伝わってくる。
「Tramled Underfoot」も、スッキリとしたテイク。
「How Many」でのジミーも元気で、荒々しく弾きまくり。
この日も「幻惑」のセクションが付け加えられており
同曲のセットリスト復活を期待させるものとなっている。
弓コーナー後の後半部は未収録。
「天国」でもジミーは弾きまくり。
まるで指の調子を確認しているかのようだ。
アンコール「Black Dog」では音を外してる部分があったりもするが
なんとかテンションを維持したまま無事終了。







February 3
- New York, New York


参考音源 :HEAVY METAL HULLABALOO
ソースの状態 :
スピード調整が必要 / 話し声が喧しいがそれ以外は良好

いよいよ待望のNY公演。
75年は変則日程となっており、この日が NY初日だが
この後一旦 NYを離れ、また7日、12日に戻って来るスケジュールとなっている。
プラントの風邪やジミーの指は、気にならない程度に回復しており
MSGということで、全体的に気合の入った演奏が聴ける。
ボンゾも大張り切りで、少々突っ走る部分もあるものの概ね素晴らしい演奏だ。

「死にかけて」は若干、構成を把握していない部分も見受けられる。
「永遠の詩」ではゴングが登場。ボンゾの憎い演出だ。
「カシミール」も、新曲 NY初披露ということもあってか、全員熱い演奏だ。
「No Q」も引き続き好演。

「モビーディック」が終わり、
プラントがジミーの指の怪我の回復について触れると、
観客が大いに盛りあがる。
待ちに待った「幻惑」の復活だ。
1973年7月29日 同会場以来のライブ披露となった「幻惑」は
進行に少々難が有るものの、箇所箇所では勢いのあるアツイ演奏が聴ける。

アンコールではプラントも全開。
ブギー風のジャムから「Communication」へ。
カッコイイ演奏でばっちり決まっている。
「Death Wish II」でお馴染みのスローファンク風ジャムへと続きエンディング。
このような変幻自在の展開ぶりを耳にすると
この頃の彼等が、どれだけパワーに余裕があったかよく判る。
彼等にとっても、素晴らしい夜となったことだろう。







February 4
- Uniondale, New York


参考音源 :トレード音源
ソースの状態 :
少し遠目のオーディエンス

NY近郊連続、前半二日目。
この日は、元々ボストンで予定されてたが、
チケット発売時点から、暴動等のトラブルが起こり、
ボストン開催が禁止されたため、ナッソー・コロシアムでの実施となっている。

スケジュールによると、この日で4日連続ライブとなっているが
プラントの声枯れなども少なく、安定感のある演奏となっている。
75年ツアーは、連続日程、二日目以降がよくなってくる傾向があり
この日も、その例に漏れないものであるといえる。
大舞台のMSG初回を無事終えて、安堵感もあったのかもしれない。

「死にかけて」のボンゾはちょっと惜しい。
変拍子で戻る部分が、なかなか不得手なのは、
気を抜いてるというより
身体で憶えにくいような「人工的構成」である、ということかもしれない。
新曲が馴染むまで時間がかかるのは、初期ツアーからあった傾向であるが、
フィジカル楽曲の構成は、油断すると外してしまうアレンジが多く
そういう意味では、難易度が高いと言えるかもしれない。

「永遠~レイン」「カシミール」は未収録。
「NoQ」「Trampled Underfoot」は、ツアー前半的な平均水準。

この時点で客は、フィジカル曲を知らない(はず)なので当然だが
新曲タイトルを紹介しても、反応が冷淡なのはなかなかおもしろい。
こうした「チャレンジャー」的なセットリストを聴けるのも、当ツアーまで。

幻惑は復活2日目。
73年水準の構成に戻りつつある。
弓コーナー、ボーイングの前に延々トリルを繰り返す部分がある。
何かが起こり、場を持たせてたのかもしれないが、ちょっと笑える部分である。
当音源、収録はココまで。







February 6
- Montreal, Canada


参考音源 :
アナログ(Montreal 75) / When The Levee Breaks
ソースの状態 :
Highをカット、LRミックス mono で普通に聴ける

この日の音源は、個人的に思い出深いものである。
ブートが「海賊盤」と呼ばれアナログ・レコードだった頃
大枚はたいて購入したのが、この音源だったのだ。
ギーガのジャケットに惹かれ、つい手を伸ばしてしまったのだが
あまりの音質にグッタリ、以降 CD時代が訪れるまで
一切、この類のアイテムに手を出すことは無かった。
それくらいダメージは大きかった(リイシュー盤は音質修正された)。
ただ、ギンギンのディストーション・ギターで演奏された
「死にかけて」のイントロを聴き、こんなにカッコイイ曲だったのか…と感動、
この曲の素晴らしさが理解できた、という記念のレコードでもある。
結局、このレコードは数年後に売ってしまったのだが
今思うと惜しいことをした。若気の至りだった(15年前のことです)。

さて、この音源は独特の Stereo効果が施されていることでも有名である。
元々このマスターは、リアル・ステレオ・オーディエンスであるが
音源所有者によって激しいパンニング処理が加えられている。
これは大変聞き苦しいが、幸いなことに
この音源は、経年劣化による音質低下が殆ど無く
オリジナルの状態が保たれたものとなっており (関連項目)、
モノラル(LR Mix)でも、ほぼ同等の音質で聴くことが可能となっている。
加工前のオリジナルマスターが入手できない現段階に於いては
モノラル化して聴くのが、考え得る最良の策だろう。

全体的に乱れる箇所も多い日だが、ツアー後半と違って元気なので、
逆に、そんな部分さえも Zepらしい感じがして、ご愛嬌として聴けてしまう。
プラントの声の状態は多少後退しているが、これも容認範囲内。
「丘の向こうに」のギター・ソロ直前で弦が切れたのか、
通常とは異なったフレージングとなり、ソロに入るとギターの音が消え
しばらくプラントのヴォーカルアドリブで繋いだ後、復活。
自棄になったのか、その後ジミーは怒涛のように弾きまくっている。
「死にかけて」でも一瞬ギターの音が途切れる箇所がある。
「永遠の詩」開始直前に間が開き、ボンゾが遊んだりしている。
このメドレーや「No Q」など、過去のレパートリーは
73年 USの水準に、かなり近づいてきたようだ。

「Kashmir」のイントロ前には、ボンゾのスネア一発フィル付き。
「Trampled Underfoot」は、なかなかの好演。
ジミーの「ヒャラリラ節(笑)」が炸裂している。
これは、このツアーで目立ってきた独特のフレーズなのだが
妙にコミカルな味があり、個人的には割と気に入っている。
「Moby Dick」にカット箇所あり。

復活 3日目となる「幻惑」は、
73年の全米ツアーを彷彿とさせる荒々しいバージョン。
アナログ盤時代、私はこれを聴いて
「あまりサントラと変わらんじゃないか」と感じ
それがレコード売却を決断させた理由のひとつでもあったのだが、
実は、案外珍しいことだったのだ。知らないというのは怖いことだ(笑)。

「天国」も熱演。ジミーも元気だ。
アンコール「胸いっぱい」は、ジミーが一瞬リフを爪弾いただけで
オーディエンスが大いに盛り上がり、なんとも言えず感動する。
続くメドレーの段階的歓声も相変わらずで、グッと来る。
「Black Dog」終了後、終演の合図と思われる不気味なサイレンが鳴り響くが
オーディエンスの熱狂はまったく衰えず、それに応えるかのように
「Heartbreaker」が、追加アンコールとして演奏された。
ここでのジミーも元気で、短めだがスカッと快演。
エンディングでは、みんなパシッと終わっているのに
ジョーンズ氏が終わり損ね、Bassのみ 2フレーズほど残ってしまう。
なかなか気まずそ~で、笑える瞬間である。






February 7
- New York, New York


参考音源 :トレード音源
ソースの状態 :
相変わらず「テーパーが喧しい」

再びMSGに戻りNY公演2日目。
NY音源を録音してる人物は、ともかく騒ぐことで有名らしく
この音源も例に漏れず騒ぎまくり(後日トレーダーから注意を受けたらしい)。
ただし、3日の公演でセットリストが判ったからか、
興奮は初日ほどではなく、少しだけ大人しいので聴きやすい。

オープニングから落ち着いた演奏が聴ける。
モントリオール同様、73年水準のバンドが新鮮だ。
プラントは抑え気味だが、声枯れは復活しつつあるのがわかる。
全体的に乱れも少なく、極めて真っ当なライブである。

「死にかけて」はキメもバッチリで好演。
「カシミール」はイントロに一瞬カットあり。
コーダ部分の上昇リフ入りも、メンバー間の意思疎通がガッチリで
実にクレバーなテイク。

「No Q」もカッチリと好演。

「Trampled Underfoot」が始まる前に
ジョーンズ氏がリフをチラ弾きし、音を確認しているが
これはオーディエンスが曲を知らないから出来ることで
フィジカルがリリース前であるという、歴史的特別感を再確認させられる。
イントロはゆったりと開始、徐々に炸裂。

「モビーディック」のボンゾは「ウルトラバイオレンス」と紹介。
これは当ツアーの決めセリフのひとつ。
後半、何度も爆竹が炸裂し、オーディエンスが盛り上がっている。

復活4日目の「幻惑」は途中カットあり、音質の悪いソースに変わる。
サンフランシスコ直前に、爽やかなギターのパッセージあり。
弓コーナー後も、早弾きセクションに入る箇所で
じらしネタやブレイクがたくさんあり面白い。
この辺の展開は、以降ツアーが進むにつれ拡大していく部分である。

「天国」で元のソースに戻るが
ギターソロでまた、音の悪いソースに戻る。

アンコール。
「Black Dog」ギターソロでプラントが被せて歌ったりしている。
この日も「Heartbreaker」が追加アンコール。
やはり初期曲は大変盛り上がる。
ジミーのソロコーナーも拡張傾向で熱い演奏。
この日のエンディングはカッチリ決まり。

MSG セカンドナイトも、無事盛況のうち終了。







February 8
- Philadelphia, Pennsylvania


参考音源 :Philadelphia Special
ソースの状態 :
若干の要スピード調整 / 音質はまあまあ

三日連続日程の最終日ということで
前日に引き続き、実にまっとうな(笑)好ライブである。
残念ながらカットが多く
また、周りの客が喋っていたり、と
あまり落ちついて聴ける音源ではないが
資料としては、なかなか楽しめるものだろう。

1曲目「R&R」から早速 2~3箇所のカット。
「Sick Again」エンディングでは
ボンゾが一発、はみ出していて笑える。
「丘の向こうに」も出だし付近でカット箇所あり。
「死にかけて」から、しばらくはノーカット。
この辺も進行はバッチリで、プラントも好調だ。
エンディング、ジミーの一発もカッコいい。

客が騒いでいたようで「永遠の詩」後半で
プラントがしきりに「Take It Easy!」と言っており
「Rain Song」終了後も、注意をしたりしている。

「Kashmir」のイントロ前に、ボンゾのスネア一発フィル付き。
これもスカッと快演。
音だけで聴く場合、この曲を一番しっかり演奏しているのは
実は、この辺の時期のような気がする。
曲自体、発展させようのないアレンジだということもあって
力んだ結果、とっ散らかる場合も往々にしてあるからだ。
しっかりしていれば良い、というわけでもないのだが。
なかなか難しいものである。

「No Q」でのジミーも 73年ツアーを彷彿とさせるような好演。
後半に一瞬カット箇所がある。
「Trampled Underfoot」も一瞬カット有り。
ここでのジミーも弾きまくっている。
延々と同じフレーズを繰り返すなど、ノリノリのご様子。
「幻惑」はノーカット。これも爽快な演奏だ。
サンフランシスコ前にスパニッシュ風フレーズが一瞬登場。
何故か、弓コーナーの前で少し間が開いている。

プラントの感動的なMCのあと「天国」へ。
これも一瞬カットがあるのが残念だが
なかなか情感的なテイクで、特に前半はグッと来る。
アンコール「胸いっぱい」は焦らし作戦で大盛り上がり。
この日も「Heartbreaker」が演奏されている。
オーディエンスが喧しいが、その熱狂ぶりには感動。
中間部も、縦横無尽の展開がカッコイイ。

これを聴くと、つくづく75年はターニング・ポイントだなぁと感じる。
ツアー後半の崩れた演奏に慣れた耳で、前半日程の
この日のようなライブを聴くと、あまりの違いに驚いてしまう。
このツアーのすべての音源を、順に聴き進むと
Zepがどのように崩れて行くのか、手に取るように判るだろう。

この音源が完全収録であったなら、少なくとも
Baton Rougeくらいのアイテムにはなったのではないだろうか。
そんな夢を見させてくれる一品。






February 10
- Landover, Maryland


参考音源 :トレード音源
ソースの状態 :
若干スピード調整 / 遠目のオーディエンス

首都圏ランドーヴァーに到着。
有名なキャピトルセンターでのライブ。

引き続き、テクニック的に問題のない演奏だが、
一日空くと、構成が飛んでしまうのか、新曲は乱れがち。

曲の合間、MC箇所で、ボンゾが頻繁に音出しをするなど
「荒れてる?」と勘ぐってしまうような場面がある(後述)。

「死にかけて」例の箇所で、戻りが失敗。
エンディング、プラントの「Bye Bye」のタイミングが合わなかったため
唐突に曲が終わったが、そのかわり「Jesus」とアドリブを繰り返す。
声が復活してきたので、そういう余裕もできたのであろう。

大会場、遠目の音源であるが、それがかえって、
「Rain Song」「Kashmir」などの雄大さを判りやすくもしている。
両曲ともカットあり。

「Trampled Underfoot」ブレイクで一瞬ジョーンズ氏の音が止まっている。

「モビーディック」前のMCにて、ボンゾが荒れてる理由が判明。
ドラマー人気投票で、カレン・カーペンターに負けたことが堪えたようだ(笑)。
(カレンもじゅうぶん優れたドラマーだが、当時はあまり認識されてなかった)

「幻惑」は比較的ストレートに展開。
後半「Walter's Walk」風なフレーズが一瞬登場する。
遠目の音で細かい部分がわからないぶん
逆に、激しさや本質が、いっそう伝わってくる。
会場ではじゅうぶん楽しめたであろうテイク。

アンコール「胸いっぱい」前でプラントがご機嫌コール。
この辺も体調復活の顕れであろう。
「Black Dog」の歌も溌剌としており、
曲後のMCも元気で、実にカッコいい。

オーディエンスも大盛り上がり。
最後に「Heartbreaker」。
思わせぶりなジミーのイントロつき。
中間、早弾きコーナーからの戻り
ジミーのキメフレーズにボンゾが呼応せず
一瞬ヒヤッとするが、もう一回キメを弾き、無事戻っている。
(このミスは14日に大々的に披露、大爆笑・空中分解テイクになる)


この音源は、2種類のソースを組み合わせてあり、
どちらも歪が多かったり、ゴースト(裏写り)ノイズが邪魔だったり、と
なかなか聴きづらい。
マニア向けの、資料的音源と言えるかもしれない。






February 12
- New York, New York


参考音源 :Can't Take Your Evil Ways(オーディエンス版)/ SBあり
ソースの状態 :
良質オーディエンス(stereo) / 片チャンのみ再生も良し

再び NYに戻って MSG 3度目の公演。
オーディエンス音源独特のハコ鳴りが、サントラの
「73年 USツアー」を思い起こさせ期待にワクワクしてくる。
21世紀初頭に、有名なSB音源が発掘されたが
会場録音も、なかなか悪くはないものである。

ツアー前半ということで、まだ緊張感もあり
崩れ切らず、割ときっちりしつつも気合の入った演奏だが
MSGにおける最終日ということを意識したのか
ジミーには、固さが感じられる部分が若干あり
ソロなどに自由さがあまり感じられず
「頑張って弾いています」的ニュアンスのプレイになっている。
これは印象として、音源のバランス的に
「ギターが大きいので耳に障る」ということもある。

プラントの声は一進一退という感じだが
それでも、しっかり歌おうとしている。
新曲は、概ねミスなく演奏されている。

「No Q」の中間インプロ後半部では
ジョーンズ氏が変わったコード進行をプレイ(仏映画サントラ風)
バリエーション・バージョンへの移行の予兆が窺える展開となっている。
「Trampled Underfoot」はちょっと危ういが
プラントが元気なので、なんとか溌剌バージョンとして終了。

「幻惑」は、ちょっと苦しい部分もあるが、物凄い気迫で
メンバー間の技の応酬も多彩で激しく、なかなかスリリングなバージョン。
ジョーンズ氏も弾きまくり。
「Walter's Walk」風の展開になるが、これは少々無理があるようだ。

アンコールの「ハートブレイカー」でボンゾが切れていてオモシロイ。
ジミーのソロコーナーで、いきなりロカビリー風展開になり
それに合わせてプラントが「That's Alright」を歌っているが
声が出ず、ヘロヘロ(酩酊風 by Concert File ~ 正に!)。






February 13
- Uniondale, New York


参考音源 :Trampled Underwood(完全版) / The New Faces / SBあり
ソースの状態 :
曲によってテープスピードが異なる。完全版に追加の3曲は悪い。

近年になり、SB音源が出現している。
黎明期のものと異なり、後発のSBになるほど
各楽器のバランスが改良されているようで
この日に関しては、不完全なオーディエンス録音よりも
サウンドボード音源のほうが楽しめるかもしれない。

NY近郊、後半連続二日目で
この日はナッソー・コロシアムで行われている。
この後のヴァンクーヴァーなどにも言えることだが
連続した日程の二日目くらいに調子が出てくるようで
プラントも声が出ているし
ジミーも前日よりは自由さが復活している。

新曲は概ね良好。

「Kashmir」中間部からの戻り箇所に於いて
プラントのアドリブ的な合図フレーズが一瞬、出現する。
往々にして進行を見失いがちな同曲だが
「これをきっかけにブリッジに戻る」ための便利フレーズ
「Woman, talkin' to ya!」となり、浸透してゆく。

「No Q」の中間インプロは仏サントラ風で開始。
「Trampled Underfoot」は構成を端折ってしまう部分がある。

「幻惑」は 73年バージョンに匹敵する出来で
遊びも多く、40分間飽きさせない好演。
「Walter's Walk」も一瞬登場。次々と繰り出されるフレーズにゾクゾクさせられる。

天国の前でジョーンズ氏がふざけてコミカルな曲を弾いて受けている。
全員ご機嫌のようである。
アンコールの「胸いっぱい」でテルミン・コーナー初登場。
この時点では未だ通常のファンクスタイルだが、それがまた良い。
ツアー後半での「クランジ」導入は不要だったのではないか、とさえ思わせる。
ギターソロ入りの決め「ボンゾの6連符」から
そのまま「Out On The Tiles」リフ~「Black Dog」へ突入。

この日のアンコールは、ロンウッドが登場したことでよく知られている。
プラントが勿体ぶって曲目紹介をした後
ツインギターで「Communication Breakdown」を演奏。
間奏、後半のスロウファンク部分など、随所でギターバトルを展開。
お互いを邪魔しない渋いフレーズの応酬は、一聴の価値有り。

全般的に、ヘロヘロ部分など殆どなく
緊張感の有る快演が繰り広げられている好ライブだ。

ひとつ気になる点は、ところどころボンゾが変であることだろう。
リズムがずれたり、いつもの彼らしくないようなプレイがある。
それほど目立たないので、気に障るほどではないのだが。
ひょっとすると San Diego 77状態だったのかもしれない(あれほど酷くはない)。







February 14
- Uniondale, New York


参考音源 :ST. TANGERINE'S DAY / SB音源あり
ソースの状態 :所々肝心な部分でのカットがある / Highが若干キツい

この音源も近年、サウンドボードが出現した。
前日と同じく、最近のSBはバランスが割とよいので
カットがあるオーディエンス録音より聴きやすいかもしれないが
その分、ジミーの粗などが目立つという弱点もある。
なにより SBでは「雄大さ」が伝わらず、こじんまりと聴こえてしまう。
当時のライブの「様子」を正確に捕らえたいのであれば
SBの場合は是非とも、大爆音で聴くことをオススメする。


不定期日程だった75年のNY公演も、この 3 Days を以って終了。
この日はその最終日で、気合の入った演奏が聴ける。
集中力が切れる部分も一瞬あるものの、全員すこぶる快調で
このツアーは、一旦ここでピークを迎えたことが判る。
プラントの MCも感動的で、この日を
特別な 1日にしたいという気持ちが強く伝わってくる。

ここ数日の、ジミー&プラントの復調によって
新曲もより磨きが掛かりフェイクも秀逸なものとなってきている。
プラントは終始ご機嫌で、曲間でもメンバーと会話したり、よく喋る。

この日は特別に「貴方を愛しつづけて」が披露された。
恐らくプラントの意向だろうが、突然演奏することになったようで
ファンには嬉しいプレゼントだ。ざっくばらんな演奏で楽しめる。

「永遠の詩」もハイテンションで、ジミーは乗っけから弾きまくり
続く「Rain Song」も、チューニングは微妙だがアツイ演奏。
「カシミール」の入りはボンゾによる、有名な「2 3 4!」というカウント。

「No Q」は遊びの多い余裕のテイク。
「Trampled Underfoot」は、各人の技が冴えた秀逸なバージョン。

「幻惑」は、ギターのチューニングに気を取られたジミーが
少々投げやり気味になっており、全体的に
前日よりややコンパクトになっているが
それでも、同じような状況のLA初日とはテンションが違う。
この頃の「幻惑」は、ジミーのフレーズに
レゲエのカッティングなどが登場するのも特徴で、毎日ホテルの部屋で
ボブマーリーを掛けっぱなしにしていたというエピソードが窺い知れる部分だ。
エンディングに向かって殺気立ってくるジミーも聴きもの。

「天国」の前にプラントが「Tangerine」を口ずさみ、受けている。
これは、後のアールズコートでの同曲の復活を示唆しているのだろうか?
続く「天国」自体も感動的で、ジミーも弾きまくり。
ソロ冒頭部分にカットがあり、完全収録ではないのが惜しいテイクだ。

アンコールでも惜しみなく全力演奏で、プラントもジミーも絶好調。
体力的にも余裕がある証拠だ。
「ハートブレイカー」の前に即興演奏が付けられており
中間ソロ部分でも、懐かしい「Mess O' Blues」を披露。
プラントは初日のような「酩酊風」ではなく、溌剌として実にカッコイイが
何故かこの日はボンゾが「酩酊風」で、特にエンディングは爆笑ものだ。
こうして、スペシャルNYナイトは笑いのうちに幕を閉じる。







February 16
- St. Louis, Missouri


参考音源 :Bertha Blues
ソースの状態 :
バランスのよいサウンドボード

1月26日の振り替え公演であり、第1レグの最終日でもある。

ツアー開始当初、 懸念した各自の体調も回復し、
NY公演という大仕事も終えてリラックス気味の演奏が炸裂している。
Bassがよく鳴っており、聴きやすい。

「Sock Again」後半からジミーが1拍ずれ始め
なんとか辻褄を合わせるが、プラントの「Ah Ah」がなくなってしまった。
丘の向こうでも、ソロ後半でズレかけるが、なんとか乗り越え
以降は、少し調子を取り戻す。

「死にかけて」はバッチリ。
エンディングで「今日は日曜だぜ!」というようにアドリブで歌っている。
「永遠の詩」も弾きまくり。
「Rain Song」も熱い。エンディングがちょっと惜しいテイク。

「カシミール」で、その後のお約束となった、
戻るきっかけフレーズ「Woman, talkin' to ya!」が登場。

モビーディックの前でプラントが何度も煽り、
ジミーもファンファーレを弾き、盛り上がっている。
「幻惑」盛り上がりコーナーで
「Train Kept A Roolin」のイントロが弾かれている。
その後スパニッシュ風になり、サンフランシスコへ。
その後レゲエ・カッティング。
早弾きコーナーは、思いつく限りのフレーズを繰り出してる感じで
これきたー、これもきた!(笑)みたいに楽しめる。

「天国」も遊びの多い余裕のテイク。
アンコール、プラントがマイウェイを歌っている。
その後「胸」に突入。
ここでも歌詞を変えて歌うなど、終始ご機嫌。
追加アンコールで「Heartbreaker」を演奏。
ソロ部分では、サンハウス調ブルーズが長めに楽しめる。
やがてプラントも乗り、何故か「Shame, Shame, Shame」を歌う(笑)。
こうしてスペシャル・サンディナイトは終了。

演奏内容、サウンド共に、バランスがよいので、
普通に楽しめる、意外な優良アイテム。


ここで第1レグが終わり2週間のインターバルとなる。






February 28
- Baton Rouge, Louisiana


参考音源 :HANG ON TO YOUR HEADS / SB音源あり
ソースの状態 :
曲によってスピードが異なるので注意。片チャンのみ聴くのも良し

2週間の休暇を挟み、ツアーも中・後半戦へ突入。
この間に、アルバム「フィジカル・グラフィティ」が発売された。

プラントの声の回復は、また一歩後退といったところだが
それを除くと、全体的に情熱的で実に良いライブである。
75年全米ツアーの雰囲気といったものが伝わってくる。
会場の鳴りも良く、へヴィー&スパーブな音圧は聴いていてゾクゾクしてくる。
新曲にも慣れてきたようで、なかなか余裕を感じさせる演奏となっている。
「Bon Soir!」と仏語でオーディエンスに話しかけるなど
プラントも、機嫌は良いようだ。

「Sick Again」で一瞬ギターの音が途切れるが、すぐ回復。
「No Quarter」中間インプロに、ジョーンズ氏のグランド・ピアノが登場。
まだ、オリジナルのリズムのままで展開されているが、なかなか好バージョン。
インプロの終わりでの、ジミーとボンゾの掛け合いが面白い。
「Trampled Under Foot」も元気いっぱいで
ツアー後半で爆裂バージョンに発展して行く、その過程を垣間見る思いだ。

「幻惑」も、いよいよ本調子になってきた。
「サンフランシスコ」セクションに「Wood Stock」登場。
その前には、エキゾティック風ギターフレーズが少し付けられている。
これも発展の過程が窺われる部分だ。
ライブアレンジの定番フレーズが出来上がって行く過程を
確認することができるのは、ライブ音源を聴く際の醍醐味のひとつだろう。
進化しなくなった時点でライブバンドとしてのZepは死んでしまう。
この頃は、まだまだ生きているという証だ。

「天国」も、マンドリン奏法とボンゾの掛け合いなど、アツイ演奏。
プラント復活を待つばかりの状態である。
アンコールの「胸」メドレーのテルミン・コーナーも変化してきている。
「ブラック・ドッグ」への繋がりも実にスムーズ。素晴らしい。
ジミーのエンディング・ソロに多少疲れが見えるのは、ご愛嬌。

壊れてない Zep。
正に「いい仕事」である。







March 3
- Fort Worth, Texas


参考音源 :トレード音源
ソースの状態 :
良質サウンドボード

2015年、新登場音源である。
当音源はミッシング・リンクであり、この発見によって
以降のダラスを含め、3日間連続日程であったことが判明した。
楽器間のバランスもよく、翌日のダラス同様、ボンゾの細やかなプレイが
SBならではの素晴らしい臨場感を持って聴くことができる音源である。
またリラックスした自由なプレイが楽しめるものでもある。

ただし!新レパートリーの構成アレンジなどについては、
勢い余って、思惑と違う箇所も多少ある。
この時点での彼らにとって、まだまだ、それらは
「ノリ一発」だけでは、コナし切れないものだったことがよくわかる。
そういった問題点については翌日以降に解消されてくる。

さて、当ライブで、もうひとつ特筆すべき点は
プラントの元気さにある。
ところどころ「ヨーデル唱法」にはなるものの、
これまでのような「喉を気にして出し惜しむ」という様子が見られず
あちこちで繰り出すフェイクは自由そのもの。
ツアー初頭から風邪などに悩まされたプラントであるが、
ここで遂に復活した!と思わせるに充分なパフォーマンスである。


「Sick Again」繋ぎ部分のカウントが判りやすい。
「死にかけて」で、ジミーが進行を勘違いし、
高速セクションに入り損ねる、という事案発生。
構成を把握していないのはボンゾだけではないようである。
そのボンゾも例の変拍子でミス。
後期レパートリーを身体に叩き込ませるのは、なかなか難しいようだ。
プラントが好調なので、後半フェイクなどは秀逸。

「永遠の詩」の途中では久々のシンコペ・ボンゾが炸裂。

「Rain Song」以降、ジョーンズ氏のキーボードプレイに、
些か乱雑なプレイが目立つようになる。
キーボード関係のセッティングに不満があったのかもしれない。

「No Q」 はグランドピアノ導入初期とあって
オリジナルを逸脱しない範囲内で試行錯誤的プレイ。

「Trampled」は無事に炸裂。
「幻惑」も好調で、引き続き「Wood Stock」も登場。
こうした旧レパートリーに関しては、余裕のアドリブも炸裂し
ツアー中、ベストテイクのひとつとも言えるだろう。
「天国」もジョーンズ氏は多少ふざけ気味だが、全体としては好演。

アンコール「胸」からファンキーセクション~テルミンへ。
ボンゾがノリノリで叫んだりしている。
続けて「Black Dog」。
プラントのアドリブが過ぎて、ジミーが撹乱される場面が笑える。

他メンバーは当然ながら、
ラストのMCによれば、プラント自身も大いに楽しんだようである。
ツアー後半戦に向けて「復調の兆し」が確認できる一品。







March 4
- Dallas, Texas


参考音源 :Live in DALLAS 各種
ソースの状態 :
極めて良質なサウンドボード。

長らく 75年全米ツアー唯一のサウンドボード音源だった。
21世紀になり、どういう理由からか「怒涛の75年SB祭り」が勃発、
75年サウンドボードは、すっかり珍しくもなくなったが、
それでも黎明期のヴィンテージとして愛着があるものである。
特に「バランスがとてもよい」という点は特筆に価する。

絶好調というほどではないが
プラントの調子は上向きでフェイクも冴え、
ジミーもところどころ光っている。
だが、なんと言っても素晴らしいのはボンゾだろう。
「デストロイヤー」と共に、全ボンゾファン必携のアイテムである。
この様なサウンドボード音源では
ボンゾがどれだけ優秀なドラマーであったか良く判る。
適材適所に音が埋め込まれ、決して他の楽器の邪魔にならず
全てのストロークや、生み出すグルーヴは転がるようである。
楽器の鳴りの良さも含め、全ドラマーのお手本となるべきであろう
素晴らしい、プロフェッショナル・プレイヤーだ。

オープニング4曲は、どれも必聴だが
特に「死にかけて」は、プラントもカッコよく
75年のなかでもベストバージョンのひとつだろう。
「No Q」ではジョーンズ氏の幻想的なプレイが聴ける。

「幻惑」サンフランシスコに「Wood Stock」。
これも定番となってゆく。
「天国」ソロはご機嫌で熱いプレイ。
曲が終わったあとにプラントが
「Does anybody remember laughter?」と言う。

アンコール「胸~ファンク」ではクランジの歌詞を何度も言う。
翌日にクランジそのものが登場する予兆だろうか。

追加アンコール。
陽気に歌ったりはしゃいだりした後、
楽しい「Heartbreaker」へ突入。

75年決定版というわけではないが、
揃えておいても損はないアイテム。







March 5
- Dallas, Texas


参考音源 :LIVE IN DALLAS / Days Confused
ソースの状態 :
Audは要スピード調整 / Highの歪みノイズが耳障り

ダラス 2日目。
近年になり、高音質サウンドボード音源が流通した。

例によって、連続日程 3日目ということで概ね好調である。
プラントも含め、ほぼ通常状態に戻ったと言えるだろう。
そのことは旧来の音源でも確認できたが、
サウンドボードの出現で、よりいっそう確かなものとなっている。

「Sick Again」でのジミーが楽しい。
この日の「死にかけて」エンディングも、なかなかの熱演。
「Rain Song」はメロトロンが大きく、ワンコーラス目の
音だしを兼ねた(?)密かなフレージングまで良く聞こえる。
カット箇所があるのが残念だが(Aud)、面白いテイクだ。

「No Q」のソロコーナーは拡張してきており
ジョーンズ氏は、かなり長い時間ピアノで遊んでいる。
この頃のインプロはソロ部分に限ったものであり
その前後は通常スタイルのままであるが
それがまた、程よい緊張感を醸し出している。
これも一瞬カットがあるのが残念だが、
バトンルージュと並び、貴重なグランドピアノ初期型テイクだ。
「Trampled Underfoot」も快演。
「Moby Dick」は、ほぼ完全収録でありながら(Aud)
肝心な箇所にネタか?と思うようなカットがあり、激しく笑える。

「幻惑」は「Wood Stock」入り。
ますます安定度が増し、中盤の激しい展開も燃える。
ボンゾの激しい応酬も聴き所のひとつ。
Zep的以心伝心の基本形が聴ける、なかなかの好テイクだ。
「天国」も好演。

アンコール「胸いっぱい」メドレーに「クランジ」が、当ツアー初登場。
プラントの「Love~」の後、間が開き
いきなり「クランジ」のリフに入っている。
多少とっ散らかる部分もあるが、なかなか頑張っている。
テルミンコーナー終盤の、ボンゾの連打が面白い。

プラントの最後のMCは爆笑もの。
崩れる前の堅実かつ好調な演奏が聴ける逸品。







March 10
- San Diego, California


参考音源 :SYMPHONY IN A THOUSAND PARTS
ソースの状態 :
要スピード調整 / Panning が少々鬱陶しい


ツアーも、いよいよ西海岸に到着。
メンバーも好調になってきている。
客が騒いでいるようで、プラントが何度も注意しているが
お気に入りの土地柄ということもあって、演奏には影響ないようである。

プラントも好調で、声が良く出ている。
特に「死にかけて」でのジミーとの掛け合いは秀逸。
曲全体としても素晴らしい演奏である。
「Rain Song」も、雄大なメロトロンが聴かせる
なかなかのアツいテイク。
「No Q」でのインプロは、少々まとまりがない部分もあるが
ジョーンズ氏のソロは情感的で良い感じだ。
「Trampled Underfoot」ではプラントが入りのタイミングを逸し
その所為か、その後全員の進行がメロメロになっている。

「幻惑」は、なかなかの好演。
特に中盤以降の、縦横無尽な展開ぶりは爽快だ。
「天国」もプラント、ジミー、共に熱演。
エンディングでのプラントは、キーを下げずに歌いきっている。
アンコール「胸いっぱい」では、通常のファンク・ジャムの後
プラントのフェイクから、ボンゾが「クランジ」パターンへと突入。
これに全員が参加、しばらく演奏が続き
その後、改めてテルミン・コーナーへと入っている。

広い会場のようで少々音が遠く、またテープの状態が悪いのか
細かいカット箇所も多く、若干聴きづらいアイテムである。
調整すれば、なんとか普通に楽しめるが、やはり
どちらかというと資料的意味合いの強い音源かもしれない。







March 11
- Long Beach, California


参考音源 :LONG BEACH 1975 PART 1, 2, 3/ SBあり
ソースの状態 :
リアルステレオ・オーディエンス / スピード調整が必要。

序盤少々落ち着かない部分も有るが、すぐ回復する。
プラントの声の調子も、ますます良くなっているようで
しっかり歌うようになってきているのが判る。

「永遠の詩」で12弦ギターのチューニングが狂っており
「レインソング」終了後、プラントがMCで
ブートレガーに対するメッセージを述べているのは有名エピソード。
「No Quarter」中間インプロは、まだオリジナル通りのテンポだが
バリエーション風な片鱗も覗え、この後の展開を予想させるものとなっている。
ジョーンズ氏は、機材周りのノイズ対策に苦慮しているようだ。
「幻惑」は、「Wood Stock」の日。
後半、ジミーが「Walter's Walk」に一瞬行きかけて止めている。
全体的にリラックスした様子で、そこそこ好演。
一箇所、カットがあるのが残念だ。
「天国」ではジミーのソロ展開が面白く、全員、演奏も熱が入っていて楽しめる。
アンコールも笑える箇所が結構あり、楽しんで演奏している様子が覗え面白い。
テルミン・コーナの前に「クランジ」も登場。
「75年クランジ」は成功バージョンがないが、この日のテイクは
余裕があるような感じで、まだまともな方だと思われる。

ところで、この日に限らず、このツアーの「Black Dog」は
エンディングでのボンゾの、ラストの決めの一発(BD + Cymでジャン!)が
幾つかのライブでは付けられておらず、なんとなく締まらないような、
尻切れとんぼのようなエンディングとなっている。
彼独特のユーモアだったのかもしれないが、ひょっとすると
Earl's Courtのように、立ち上がってスティックを回したりしているのかもしれない。

全体的に 「超お勧め」というほどではないが、そこそこ調子が良いし
なんと言っても、オフィシャル並みの高音質でバランスも良いので
幾つか揃えた後ならば、入手しても損はないアイテムかもしれない。
ステージ上の様子も良く判って楽しめる。
最近になり高音質サウンドボード音源も登場した。







March 12
- Long Beach, California


参考音源 :Standing in the Shadow
ソースの状態 :
若干テープスピードが速い / 全体的に低音が割れている

いろんな意味で、75年全米ツアーの節目となった日である。
いきなり、すごい勢いで演奏が開始され、その状態はほぼ最後まで続く。
少々丁寧さには欠けるが、このハイテンションさは特筆すべきものだ。
この後、シアトルまで続く快進撃を予感させる。
ボンゾの爆裂ぶりもすごい。
「75年・連続日程最終日は名演」の法則が、ここでも生きている。

前日に引き続き「永遠の詩」でトラブル発生。
イントロが開始されたところでギターの弦が切れ
Drumsが入ってすぐ、演奏は中止されてしまう。
プラントの MCの妙もあって、思わぬトラブルに観客も大喜び(?)。
その後、再び演奏開始。「レインソング」までアツイ演奏が続く。
残念ながら、両曲とも途中にカット箇所があるのが残念。

ライブ中盤からは余裕が出てきたのか、雑さも取れてくる。
「カシミール」では、イントロにフィルを入れたり
随所にリズムバリエーションを加えるなど、気合の入ったボンゾが聴ける。
「No Q」も特筆すべきバージョン。
イントロ前で、ジョーンズ氏の
ローズによる、幻想的なインプロヴィゼイションが披露され
中間部もゆったりした 16ビートでインプロ展開。
「No Q」バリエーション・バージョンの始まりである。
中間部のインプロは、その後何度も登場するが
イントロ部分にもそれが付加されているのは
他所では、ネブワースくらいではないだろうか?
残念ながら後半部分が欠落しているが、
それでも貴重なバージョンだろう。

「Trampled」も完璧だ。
激しい演奏で、聴いていても燃えてくる。
「モビーディック」は途中にカット箇所あり。
「幻惑」も勢いのある演奏。
「天国」では、メロトロンの調子が悪かったのか
途中から、フルート部分をローズで代用。
器用にボリューム奏法で雰囲気を出しているジョーンズ氏は流石だ。

関係者の誰かが誕生日だったらしく
アンコール前で「ハッピー・バースディ」が歌われ「胸」へ突入。
クランジ&テルミンコーナーも乱れが少なく、激しい演奏でカッコイイ。
「ハートブレイカー」でも、さまざまな技を繰り出し全力演奏。
中間部ソロ部分から、そのままブギー風セッションへと続く。
体力に余裕があるのか、往年のような演奏が繰り広げられる。
しばらく様々なリズムバリエーションで激しい応酬が繰り返されたのち
「Tea For One」イントロ風のキメが登場。
全く危なげのない、素晴らしいバージョンだ。

このようなライブを聴くと、
いよいよ完全復活の日も近いか?という気にさせられ
なんだかワクワクしてくる。
これで、しばらくは夢を見れそうだ。







March 14
- San Diego, California


参考音源 :Conspiracy Theory
ソースの状態 :
高音質サウンドボード

21世紀サウンドボードもののひとつ。
近年モノにしてはバランスがよいほうである。

不規則日程で再びサンディエゴ。
この年はNYやシアトルも日程的にそうなっており、
スケジュールの組まれ方がユニークである。
12日ロングビーチで調子が出た彼らは、
そのままの勢いでシアトル二日目まで驀進する。

この日も安心の75年爆演である。
体力気力の余裕が演奏にハッキリ顕れており、
随所に、細かいアレンジを加えたプレイが満載。
ジミーのオブリやボンゾのフィルなど、
目立つものではないが、小粋な小技が各所で効いている。

「丘の向こうに」エンディングに綺麗なパッセージ付き。
「死にかけて」で一瞬ギターが消える箇所がある。
後半ブレイク、プラントのアドリブに、
ジミー&ボンゾも絡み、なかなかカッコいい展開。
エンディングも「Woman, talkin' to ya!」と歌うなど
フェイクが冴える。

「Rain Song」で一旦集中力が途切れてるのが惜しい。
メロトロンの動作が少々おかしい様子も窺える。
その動揺は「カシミール」まで持続している。

「No Q」ジョーンズ氏の幻影的導入部がよい。
同曲で一旦、落ち着きは取り戻すが
再び「Trampled Underfoot」序盤が乱れがち。
しかし演奏そのものは爆裂しており、
不調というわけではなく、勢いあまって
構成が吹っ飛んでしまっているという感じである。

「幻惑」も緻密な小技が冴える。
後半の殺伐とした応酬&ブレイクもスリリング。
ラストまで緊張感のある演奏が続く好テイク。

「天国」ソロ導入部のフレーズがおもしろい。
全体が好調なので、こういった部分も味になるのがよい。
後半もノリノリのフレーズを連発。
ネタが尽き始めレゲエ風カッティングを始めるのも楽しい。

アンコールは「ハートブレイカー」のみ収録。
イントロはフニャフニャだが徐々に上がってくる。
早弾き途中でジミーが居なくなり、3人のみで盛り上がる。
なかなかスリリングなバージョンである。

細かいミスはあるものの、勢いで相殺されてしまう
ファンタスティック(ラストのプラントMC)な一品。






March 17
- Seattle, Washington


参考音源 :SEATTLE WON'T YOU LISTEN / SBあり
ソースの状態 :要スピード調整 / 片チャンMONO推奨


引き続き、調子は上向きである。
ジミーもソロが多く、プラントもはしゃいでいる。

「Sick Again」のラスト、
ギターとボーカルユニゾンの「Ah Ah」部分が何故か無い。
忘れたのだろうか?
「丘の向こうに」エンディングに変わった趣向が凝らしてある。

「死にかけて」で、一瞬ボンゾが混乱する場面がある。
ヴォーカルブレイクに於けるプラントのフェイクが素晴らしい。

この日もメロトロン具合が芳しくなく、
「Rain Song」は乱れがちになってしまう。
続く「カシミール」もなかなかスリリング。
ペダルベースの不具合もあるのかもしれない。
2曲を通して Bass 音がずっと聴こえず、
カシミール終盤ころになってやっと出て来る。

「No Quarter」中間部、
インプロ・ヴァリエーション・バージョンが、
いよいよ大々的に登場。
今後もどんどん拡張していくセクションである。
この日は和風から入ったあと、少し早めの16ビートで展開。
なかなかカッコイイ。ジミーのニキニキ節も炸裂。
続く「Trampled Underfoot」では、
ギターにフランジャー(?)が掛けられているのが判る。
全く危なげのない、素晴らしい爆裂バージョンだ。

「モビーディック」ティンパニで、いつもの「胸」だけでなく
「幻惑イントロ」風のフレーズを叩いてるのが笑える。
曲終了後、プラントが久々にカレンカーペンターの話を蒸し返す。
ホントに楽しそうであり、また実に仲がよさそうである。

続く「幻惑」も楽しそうで、
地を這うセクションにコミカルな応酬があるなど、
ご機嫌そうな演奏が続く。
「Wood Stock」前のジミーのパッセージも拡張中。
後半も突っ込みまくるジミーが熱い。
一部カット個所有り(AUD)。

「天国」もアツイ演奏。
マンドリン&レゲエ奏法も全開。
アンコール、「胸いっぱい」の
クランジ部分にも少し慣れてきたようだ。
続いて「Black Dog」。
エンディングソロの「どうでもよさ」がZEPらしい。

ホントに楽しそうなのが判って、
聴いていても嬉しくなってくるアイテム。
この日からの4日間が、75年全米ツアーのピークだ。
Zepフリークを自負するならば、
この4日間の音源は是非とも入手すべきだろう。


近年になり、高音質サウンドボードが登場した。
バランス的には、中低音域が薄くギターが大きめ、
という、ジミーの粗が目立ちがちなミックスだが、
それにしては楽しめる内容となっている。






March 19
- Vancouver, Canada


参考音源 :Snow Jobs / オーディエンス各種(音飛び版あり・注!)
ソースの状態 :
AUD 片ch モノ推奨 / SBバランスよい

この「ヴァンクーヴァー 2 Days」 には
少なくとも 3種類の音源が存在する。
ひとつは、ごく普通のオーディエンスで
カットも多く不完全だが、全体の雰囲気が捉えやすいもの。
「切れてるジミー」をメインで聴くなら、もうひとつの
ギターに近い位置で録音されたバージョンもオススメだ。
75年当時、どのような状態でギターが演奏されていたか、
手に取るように判る。
ジミーと共にトリップするような気分が味わえるだろう。
(NoQ、Trampled のみが19日で残りは翌日分~後述)

近年はサウンドボード音源も登場。
現在はその音源がスタンダードとなっている。

「R6R」に謎の変拍子があり(プラントの勘違い)。
「丘のむこうに」のエンディングには
魅力的なパッセージが付け加えられている。
メロトロンが復調したようで、
「Rain Song」はドラマチックな展開で萌える。
この路線は、後のLA初日のバージョンに引き継がれてゆく。
カシミールも雄大な快演。

「No Quarter」と「Trampled Under Foot」は、どちらも好演奏。
特に「Foot」はジミーの爆裂具合が結構来ている。
「No Q」のジョーンズ氏のピアノも良い。
インプロ部分は、ゆったり16ビートで展開。

「幻惑」も趣向を凝らした展開が次々と現われる、
飽きさせないバージョン。
「Wood Stock」前のエキゾチック風ギターが長め。
更にレゲエ風カッティングも登場。
エキゾチック風パッセージは弓コーナー後にも再び現われ
プラントの「Ah~」と共に幻想的な雰囲気を醸し出している。
往年の勢いを取り戻しつつある、素晴らしい演奏だ。

エキゾチックは「天国」イントロ前にも付加される。
ジミーのソロは熱演。

アンコールもご機嫌である。
「Jimmy "Jack Daniel's" Page!」という
ジミーを紹介するプラントのMCが笑える。
「クランジ」は成功に近づきつつあり。
ラストの「Black Dog」も楽しいテイク。

73年全米ツアー終盤の頃の水準に、
いちばん近付いて来るのが、ちょうどこの辺の時期だろう。
プラントも時々声が擦れるものの、概ね元気でフェイクも冴え
ジミーのフレーズも、それまでとは自由さが違う。
17日のシアトルから引き続き、どんどん良くなって来つつあるので
聴いていても、期待でわくわくしてくる。







March 20
- Vancouver, Canada

参考音源 :Pleeease ! (ジミー至近距離AUD) / SB
ソースの状態 :
Pleeease ! 片Chモノ推奨&スピード調整必須

ヴァンクーヴァー連続二日目。
この日の通常オーディエンス・バージョンは
間近で客が常に喋っており、ちょっと邪魔である。
演奏の素晴らしさが損なわれる程ではないので充分楽しめるが
ここは是非とも、この日のステージがメインで構成されている
前述の「ジミー・バージョン」をお試し頂きたい(ただしキー調整必須)。
また近年、バランスのよいサウンドボード音源も登場し、
ヴァンクーヴァー2Days は SB音源のみでも聴けるようになった。

ライブ自体は、前日に引き続き
更に好パフォーマンスが繰り広げられている。
「R&R」のヴォーカルブレイクは颯爽とカッコよく

「丘のむこうに」のジミーのソロもイキイキしており、
乗っけから好調を覗わせる演奏。

「死にかけて」のフェイクやソロも絶品。
「カシミール」も、このツアー随一かと思うほどの好演。
メロトロンのベンディング操作が、はっきり聴き取れる。
荒涼な雰囲気をよりいっそう高めており効果的なアレンジだ。

「No Q」中間インプロは和風~ドラマチック展開の後、
少し早めの16ビート~悪魔的な雰囲気へと変化してゆく。
ちゃんと付いて行くジミーも好調の証である。
「Trampled Under Foot」は今日も爆裂。
ソロ後のブレイクが多少危ないが、難なく切り抜ける。
「Gallows Pole」のヴォーカルアドリブ登場。
「Moby Dick」のエンディングでは、
ボンゾを称えるファンファーレが演奏される。

「幻惑」も前日の延長上にあり素晴らしい。
スパニッシュ・コーナーで一瞬
「Wanton Song」のBメロが登場、思わずにやりとさせられる。
この日は弓コーナーの後「ブレイク~早弾きコーナー」に直結。
勢いのあるテイクで、次々と繰り出される技に圧倒させられる。

この日も「天国」イントロに叙情フレーズつき。
キーボードも情感たっぷり。ソロも幻想的だ。

そしてアンコール。
「コンサートファイル」の序章でも取り上げられた
有名な「胸いっぱい」オゾン・ベイビー・バージョンだ。
クランジ~移民~オゾン~テルミン…と目まぐるしく展開する。
そのままメドレーは、いつもの「Black Dog」ではなく
なんと「ハートブレイカー」に突入。
粗い演奏だがパワーは維持されている。
ジミーは、ここでも様々なフレーズを繰り出しまくり
長大ソロとなっている。

というわけで、全体的に、全員すこぶる快調。
次々に繰り出される、キレの有るフレーズやフェイクなどは
体調などのトラブルが解決し、演奏に集中できるようになった証だろう。
なんとなく、束の間の夢を見たような気にさせられる。
少なくとも毎回、この程度の演奏が行なわれていたなら
77年以降のライブの体たらくも無かったかも。
アーティストにとって、慢心こそ最大の不幸なのかも知れない。







March 21
- Seattle, Washington


参考音源 :No Quarter / トレード音源各種
ソースの状態 :癖のある質感。Bass ブーストで聴くといいかも。


そしてシアトルに戻る。3日連続の3日目。

この音源は、ほぼ完全収録であり
音質、内容含め、素晴らしいということで、
昔から75年全米ツアー決定盤のひとつとされている。
メインとなっているソースの特徴として、
癖のある定位と反響、そしてキツ過ぎるコンプ、という点がある。
この辺は慣れないと気になるかもしれない。

引き続き、全員すこぶるゴキゲンで、
各曲の合間では、プラントもよく喋るし
ジミーも様々なフレーズを遊びで弾くなどしている。

「死にかけて」で後半、一部乱れている箇所がある。
ジミーが構成を端折ってしまった様だ。
「カシミール」メロトロンのベンディングがカッコいい。
「No Q」でのジョーンズ氏のソロは
クラシカル風、ジャズ風となかなか楽しめる。
中間インプロは、ゆったり16ビートでの展開。
珍しく切れているジョーンズ氏を堪能できる。

この後プラントが予定にない曲の披露を提案。
「貴方を愛しつづけて」が演奏される。
これは当ツアー2度目のことである。
アドリブ豊富でリラックスした演奏が聴ける。

「Trampled Under Foot」は元気一杯なのだが、
ちょっと前半キレすぎの傾向があり、
構成をブッチ切りまくってて、ちょっと笑える。
「ギャロウズ・ポール」のアドリブ付き。
この日も「モビーディック」後に、
ボンゾ用ファンファーレが演奏された。

「幻惑」のクラシカル・スパニッシュ風ギター部分は、
より幻想的になっている。
サンフランシスコでは「For What It's Worth」が歌われ
そこから「Wood Stock」へ。
ジミーがレゲエ風カッティングをプレイし始めると、
プラントも呼応し「I Shot The Sheriff」と歌っている。
ボンゾがドラマチックに盛り上げ弓コーナーへ。
ジミヘン・コーナーでは一瞬ジミーの音が途切れ
その後いつもとは違う代理コード進行となる。
面白い展開だ。
後半ジミーが切れて来ており、
往年の激しいバージョンを思い起こされる。

「天国」の前でジミーは、
何故かルイルイのリフを弾いて受けている。
ギターソロ前、聖歌部分で
ジョーンズ氏痛恨の進行ミスがあるものの
全体的にはアツイ演奏で、ジミーのソロも炸裂。
ボンゾと共にマンドリン奏法爆裂である。

アンコール。
クランジ~テルミン~ファンクが延々と続く。
ステージ上の様子が目に浮かぶようだ。
「Black Dog」が終わったあと、追加アンコール。
「Communication Breakdown」と、続けて
「Heartbreaker」がメドレー演奏されている。
ここでのジミーも炸裂。
シアトル・スペシャルナイトを締めくくる。


名演とされている日ではあるが、
「集中力切れ」を少し感じる部分も有る。
この日だけ聴けばさほど気にならないのであるが、
日程通りに聴き進んでくると、
この 4日間の「波」というものが実感できるだろう。
ちょうど、この頃を境にして、
体力、集中力が演奏内容に如実に反映され
出来不出来がハッキリ分かれるようになって来る。
特に「フィジカル」以降のレパートリーについては、
構成が人工的であるため、集中力を欠いての完奏が難しく
結果的に手に余るものとなってしまった気がする。
ちょっと厳しい意見かもしれないが
ここでバンドが熟してしまうのは確かなようだ。

「進化型 ZEP」最後の輝きを堪能できる必携アイテム。







March 24
- Inglewood, California


参考音源 :A GRAM IS A GRAM IS A GRAM(息吹き) / ほか
ソースの状態 :
「いつもの」LAソースと「マイクに息吹きかけソース」あり

いよいよ最終地 LA 3 Days であるが…。
21日までの怒涛の快進撃から一転。
特にジミーについて、いったいどうしたのか?
というような「ケアレス」プレイが目立つ。
他のメンバーは概ね好調である。

「フィジカル」収録曲のLA初披露となったわけであるが、
いずれも反応はよく、熱狂的歓迎となっている。
これにはメンバーもホッと胸を撫で下ろしたことだろう。

「Sick Again」後半でジミーが展開を見失い、
エンディングのタイミングがずれて
ボンゾだけ 1拍ハミ出てしまうのが妙に可笑しい。

「永遠の詩」はなかなかの熱いテイク。
「レインソング」もメロトロンが冴え
なかなか雄大な演奏となっている。
「No Q」の中間インプロ、アランフェス入り。
その後、早めの16ビートで展開。
ココでのジミーも閃きが、あまり感じられない。
「Trampled Underfoot」は爆裂テイク。
「Gallows Pole」のアドリブ付き。

「幻惑」でギターのチューニングがおかしく、
やたらと調整に手間取っており、
弓コーナー前までは聴くべき部分は無い。
後半は少し盛り返し、なんとか終了。

「天国」はカットありのソースあり。
ここでのソロもギリギリという感じがするが
それが逆に気迫となり胸熱に聴こえるから不思議だ。

アンコール「胸いっぱい」の前で、
一瞬ジミーが「The Rover」のリフを弾いている。
クランジも空中分解気味である。
プラントがJB風フェイクを加えている。
「Black Dog」もメロメロできつい。
「ハートブレイカー」では多少持ち直し、ソロも長く
往年のスタイルの片鱗を覗わせる演奏となっている。

この年の LA音源についてだが、
所謂「ミラード音源」とされるほうのソースで、
中低域、リズム隊の音があまり聴こえず、
そのことが冴えない印象をいっそう強調している。
ギターから近い距離で録ったのかも知れない
(聴く際は重低音ブースト推奨) 。
もうひとつのソースのほうが、
会場全体の音が聴こえるので印象はまだよい。

この日のライブは、コマ切れの映像が出回っており
そこではナルシスティックなジミーの勇姿を確認できる。
映像付きだと随分印象が変わることに驚く。
当ツアー LA 3 Days でのジミーが「不調に聴こえる」のは
「激しいアクション」に重きを置いた結果だったのかもしれない。







March 25
- Inglewood, California


参考音源 :COSMIC CRAZY / THE SEX MACHINE & THE BUTTERQUEEN
ソースの状態 :
Bass ブースト推奨 / スピード調整が必要

二日目。
「R&R」途中からの音源(完全版もある)。

前日の後半よりは少し持ち直しており、
元気を取り戻している。
楽器のバランス的にも前日の音源よりは少しよい。
ただ、ところどころギターの音が小さくなるという不具合があり、
会場のPANの関係かもしれないが、謎である。

「死にかけて」は後半とっ散らかっている。
「Rain Song」ではジョーンズ氏が乱れ、
「No Q」でも曲がなかなか開始せず、プラントが煽っている。
ピアノソロになると、いきなり冴え始め、ジョーンズ独壇場。
セッション部は引き続き、早めの16で展開する。
ジミーの様子も前日よりはよい。
「Trampled Underfoot」は前半とっ散らかりまくり。
後半は爆裂し「Gallows Pole」も定番ネタ化。

「幻惑」は前日が惨憺たる出来だったので
この日が「本当のLA初日」みたいなものであり
そこそこ気合の入った、ツアー集大成のような演奏が聴ける。
サンフランシスコに「スパニッシュハーレム」登場。

感動的な導入の後「天国」。
前日より熱い演奏で、ソロもよい。

アンコール「胸~ファンク~テルミン」では、
James Brown 風アドリブが冴えており
変わったコード進行も登場するなど、なかなかの好演。
「クランジ」部分が殆ど無く、すっきりと聴きやすいテイクだ。

「Black Dog」では 1月ブリュッセル以来となる
「プラント・歌詞ド忘れ事件」が勃発。
再びバンドを演奏停止寸前状態に陥れている。
ジミーの機転で止まらずには済んだ模様。

この年の LAは何かあったのだろうか?
例年の彼ららしさが、あまり見られないのだ。
LA到着前に燃え尽きてしまったのだろうか?
謎である。







March 27
- Inglewood, California


参考音源 :トレード音源 / TOUR DE FORCE
ソースの状態 :
重低音ブースト推奨

LA 3 Days 3日目で USツアー最終日。
有名な女優リンダ・ラヴレースのオープニングMCが
プレミアム感をいっそう高めている。

プラントは最終日ということもあって全力で歌っている。
対するジミーのほうは相変わらずの様子で、
冗漫気味だったり、空振りやフレーズ抜けが多い。
この 3日間に共通することであるが、
音源の質感と、楽器のバランスの悪さが
ジミーの粗さを「より強調」している傾向があり
実際の会場での印象はどうだったのか興味があるところではある。
神がかり的なアクションに補正された部分も大きいだろう。
ライブ現場とは「そういうもの」である。

「丘の向こうに」は最終日スペシャルで
エンディングに爽やかなパッセージ付き。
これは今後も、節目となる日に披露するネタとなる。

「死にかけて」では、ブレイクが妙に開いたり、
入りの呼吸が合わないなど、意思の疎通不足が目立つ。
エンディングでプラントの声が裏返り
同じフレーズを律義に歌い直していて可笑しい。
そのまま「You Shook Me」のフェイクへ。
「永遠の詩」は熱いプレイ。
「レインソング」も幻想的でいい感じなのだが、
ギターのディレイタイムに違和感があり、
途中でディレイをオフ、現実路線に戻ってしまう。

カシミールの後、プラントが「プログラム」変更を提案し
当ツアー 3度目の「貴方を愛しつづけて」を披露。
なかなかの感動的テイク。
この曲は以降 77年まで演奏されない。

「No Quarter」のインプロは早い16ビートの展開。
ピアノソロセクション、導入部のアレンジしたパターンから
通常に戻していくジョーンズ氏の技が見事である。
ジミーのソロが延々と続き、トータル30分という大長編化。
「Trampled Underfoot」も引き伸ばし爆裂バージョン。
「Gallows Pole」のアドリブフレーズも冴え渡る。
プラントは「Trampled Under Gallows」と呼んでいる。
「モビーディック」も、ラストで行進曲をプレイするなど
壮大なお祭りバージョン。

「幻惑」は、のっけからジミーが拍を外すなど
前半部は統率不足でバンドをリードできていないが
弓で持ち直し、後半は秀逸な展開が目まぐるしく連続する。
ボンゾが終盤、無理やりテーマに戻ろうと試みるが、
ジミーがそれを拒否し新たな展開を生むなどしており
プラントもこれに乗り、なかなかスリリング。
このまま永遠に曲が終わらないのではないか、
と思うくらい、後半のジミーは没頭し炸裂している。
整理されてないのが勿体ないテイクである。

ジョーンズ氏によるファンファーレに続き「天国」。
ジミーのソロも熱く、さすがに最終日と思わせるもの。

アンコールでジミーが
「Out On The Tiles」風のリフを弾き始めるが
誰も乗ってこないところが一抹の寂しさを感じる。
その後「胸いっぱい」へ突入。
「クランジ」の歌詞を会場とコール&レスポンスした後
テルミン vs とジョーンズ氏のソロへ展開。
プラントが移民の雄叫びを上げるなどスリリング。
続く「Black Dog」でのジミーはヘロヘロだが
なんとか持ち堪え、無事終了。


これで 1975 「前半」ツアーが終了。
夏以降に予定されていた「後半」ツアーは
例の事故で、結局中止になってしまったわけだが
この日の「幻惑」などを聴くと、もし後半ツアーがあったとすれば
果たしてどう展開しただろうか、などと想像を巡らすことが出来る。
アールズコートは「イベント」だったので、それが薄かった。
あくまで「ツアーを進行している」状態こそが、
LED ZEPPELIN にとって「デフォルト」なのである。

緒戦は不調を抱えていたものの
ツアーが進むにしたがって感覚が戻り、
中盤以降は素晴らしいライブを繰り広げていただけに
後半ツアーの中止は、返す返すも残念だ。













May 17
- London, England


参考音源 :NICE OPENING NIGHT
ソースの状態 :
まあまあ良質オーディエンス / 曲によってスピードが異なる

2年半ぶりの凱旋帰国アールズコートでのライブ。
全米ツアーの機材をすべて空輸し、一大イベントとなった。
当初このイベントは、翌週23日から3日間のブッキングだったが
需要をさばき切れず、17、18の両日に追加され
結果的に 5日間公演となった。この日は、その第1日目である。

初日ということで、勢いよく開始されるが
シールドの接触が悪いのか、ギターの音が出たり出なかったりしており
ジミーのいらついている様子が窺える。
「Sick Again」からは回復し、その後は激しい演奏となっている。
プラントも、声が嗄れたりしている箇所はあるものの
はりきって歌おうと、心掛けてはいるようだ。
ボンゾは概ね好調で「永遠の詩」では久々に
シンコペーション・パターンが炸裂している。
「Kashmir」も気合が入った演奏だが
後半部で一部進行を見失いかける箇所がある。

この日の「No Q」中間インプロは一風変わっており
ピアノ・ソロでアランフェス協奏曲の一部が挿入されたり
ギターソロ部分も、本来のコード進行とは異なる
Dm - Em/A で展開されるなど、興味深いバージョンとなっている。
新鮮な進行に刺激されたのか、ジミーのソロも炸裂。

「タンジェリン」エレクトリック・バージョンは、この日が初演。
12弦のチューニングが狂っているのが惜しいが
なかなか上手く切り抜けており、4人のハモリも新鮮だ。
この5日間公演では、アコースティック・セットも復活。
ここでもギターとマンドリンとのチューニングがズレている。
「Going To California」は、まだ練習中といった感じで
プラントの声が出ずに、誤魔化す箇所など
聴いているこちらの方が、気まずくなってしまう。
他のアコースティック曲は、なんとか
ほのぼのとした雰囲気へ持っていくのに成功している。

「Trampled Underfoot」は、なかなか熱い演奏。
相変わらずのプラントによる「Gallows」フレーズが冴えている。
「モビーディック」は大娯楽長編で大盛り上がり。
ティンパニによる「幻惑」「胸いっぱい」リフ入り。

「幻惑」は、ざっと通してみました、といった感じだが
元気なので、ところどころ激しい展開も見せる。
メンバー同士、お互いに相手の出方を窺っているのが面白い。
スパニッシュ・セクション~「Wood Stock」も挿入。
エンディングはジミーがスクラッチを決める。これはカッコイイ。
「天国」も、リハーサルっぽいテイクで
ジョーンズ氏のリラックスしたアドリブが聞ける。
アンコール「胸~Black Dog」は、比較的アツイ演奏。
ジミーは「Black Dog」の最終メインリフでハモリを弾くなど余裕を見せ
プラントも出し惜しみなく、張り切ってシャウトしている。
ファンク~テルミン・コーナーでは一瞬「オゾンベイビー」風リフが登場。

2年半ぶりの祖国 UKでのライブであり
「フィジカル」収録曲、英国ライブ初披露ということも加わって
気合は十分伝わってくるが、やはりリハ不足な感は否めない。
それでも全体的に、なんとか勢いで押し通せているのは
体力に余裕のある初日ならでは、だろう。
ほぼ完全収録。







May 18
- London, England


参考音源 :RED DEVIL
ソースの状態 :
良質オーディエンス / 若干スピード調整が必要

2日目。
ソツなくこなせる程度に感覚が戻っている。
「死にかけて」の後半や「永遠の詩」の途中で
ギターの音が一部聞こえなくなったり
「Kashmir」で低音フィードバック・ノイズが発生するなど、
機材関連のトラブルは、まだ多少残っている。

「No Q」は、前日の流れを汲むなかなかの好演。
特にピアノ・ソロは、ジョーンズ氏には珍しく、大変整ったものとなっており
この部分だけ抜き出しても、十分成立するほどの出来である。
「Tangerine」も、慣れてきているようだ。
続くアコースティック・セットも、かなり良い感じで、
まだ固まり切っていないジミーのフレージングが新鮮である。
これは腕慣らし的位置付けの 2日目ならでは、だろう。

「幻惑」での意思疎通も回復しており
なかなかの熱演となっている。
「天国」も好演で、サックリこなしている。
アンコール「胸~テルミン」は、この日もオゾン風リフが登場。

アツさは翌週ほどではないにしろ、
トータルな安定性では、この日の演奏も捨て難い。
英国らしいライブが楽しめる逸品。







May 23
- London, England


参考音源 :WELCOME TO THE SHOW !
ソースの状態 :
良質オーディエンス / 曲によってスピードが異なる

アールズコート・コンサートは
当初、この日から3日間の予定であったが
需要をさばき切れず、前週に2日間追加された。
したがって、この日は、実際は3日目なのだが
本来は「初日」だった筈の公演ということになる。
プラントはそのことを意識しており、MCでも
今日はホントの初日だから、
この日のチケットを買ってくれた皆の為に頑張る、
というようなことを述べている。
と言いつつも、プラントの声は、まだ出し惜しみしているし
全体のタイミングも、ところどころ怪しい箇所があるが、
「上手くいった箇所に限れば」熱い演奏が聴ける。

「死にかけて」エンディングに「You Shook Me」付き。

この日も「Kashmir」が始まったあたりから
キーボード周りでトラブル発生、曲中も
周期的に低音のフィードバック・ノイズが鳴っており
メンバーの集中力に影響を及ぼしている
(そのノイズ障害は「No Q」イントロまで続く)。

「タンジェリン」エレクトリックバージョンはバッチリ。
英国ということでリラックスしているのか
アコースティックセットでのプラントは、実によく喋る。
この辺はホントにイベントっぽい感じがして良い雰囲気だ。
「スノウドニアの小屋」でのジミーのプレイも楽しい。

「Trampled」の後半は未収録(他ソースあり)。
ここでもブレイクでとっ散らかり、支離滅裂。

それにしても「フィジカル」収録曲の構成は、
ことごとく全滅である。
特にボンゾであるが、母国での大舞台だからなのか、
すっかり舞い上がっており、極めて残念。

「幻惑」は、さすがに堂々とした演奏。
今までの集大成のような感じで、じっくりと楽しめる。
ジミーは多少乱れる箇所もあるが、気迫で引っ張っている。
プラントはここぞとばかり、オープニングとエンディングで
ハイトーン・シャウトを決める。
「天国」もなかなか聴かせる演奏で、特にジミーのソロは
フレーズも熱く、ひょっとすると 5日間で最良バージョンかもしれない。
アンコール。
ファンク~テルミン・コーナーは切れが良くカッコイイ。

いい時代だった。
この一連のアールズ・コートライブを聴くと、
本当にいい時代だったなあ、と懐かしい気分になる。
アールズ・コート・アイテムが熱烈な支持を集めているのも
その辺に理由があるのだろう。







May 24
- London, England


参考音源 :アナログ&各種 AUD / SB&VTR映像
ソースの状態 :
SBはバランスが悪い(低音ブースト推奨)

長らく「アールズ・コートと言えば、この日!」みたいな
ヴィンテージにされていたが、何故そのような評価だったのか
プレイを聴く限りでは、個人的にはあまり理解できなかった。
ただ単に、アナログ時代の有名音源がこの日の演奏だった、という、
そんな程度の理由なのかもしれない。

そのヴィンテージ・オーディエンスLP音源は、
選曲の妙もあって雰囲気的にスペシャル感あるものだが、
サウンドボードとされているほうの音源は、
この日収録されていた映像の音声トラックであり、
楽器間のバランスが悪く非常に聴きづらい。
また「Tangerine」などの各種ハモリパートも省かれている。
映像付きなら、話はまた別だろうが
他の日の音源も多数出回っている今となっては
そこまで重要扱いされるほどのものでもないだろう。

プラントの声は相変わらず出し惜しみ風で裏返りまくり
ボンゾを筆頭に、特に「フィジカル」収録曲の構成など
間違いまくっているのも、前日と同じ。
映像や音で確認する限りでは、元気そうではあるので
単にリハ不足か、または「キレ過ぎ」によるものだろう(後述)。
また、撮影ということで気負いがあるのか
肝心のジミーのギターフレーズにも、どこか熱さが感じられず
音が涌き出てくるというよりは、捻り出そうとして
もがき苦しんでいるような印象を受ける。

この日の「死にかけて」は、ボンゾのミスを修正し
公式DVDに収録された。

アコースティック・セットでのジミーは、さすがに本領発揮。
映像でも見られるとおり、実に楽しそうで
水を得た魚の如く弾きまくっており、本来の姿を垣間見られる。
またアコースティックセット全体のパフォーマンスも、
なかなかリラックスしたものとなっており、その辺の雰囲気の良さが
この日のライブを、名演と言わしめる理由ともなっているようだ。
残念ながら、サウンドボード音源は「Going To California」が未収録。

「Moby Dick」でのボンゾもキレまく りで
ソロ自体も長大だが、途中でドラムマーチを披露したり
歌いながらプレイしたりと、内容もやりたい放題。
この二日間で聴かれる、普段のボンゾらしからぬ数々の凡ミスは
実は「キレ過ぎ」によるコントロール不能状態なのでは?と
そんなことまで想像させるような大パフォーマンスである。

「幻惑」は前日の延長上にある演奏で、
なかなか聴き応えがある。
この日の「Wood Stock」部分は抜粋され、
ヴィンテージLP音源として長年聴かれていたもの。
後半戦、ジミーが激しいフレーズを紡ぎ出している、
その真っ最中に何故かボンゾが、
無理矢理エンディングに持ち込んでしまう。
疲れてしまったのかもしれないが、これは残念。

映像は映像なりの楽しみ方もある。
音自体はサウンドボード音源と変わらないものの
オーディエンスと一体になったり、楽しんでもらおうとする努力、
サービス精神のようなものは、プラントのMCや
彼らのパフォーマンス全体から強く感じられ、そうした姿を
実際、動く画で見るとグッと来るのも確かである。

この日の映像及び、それに付随する音源に関しては
Zepの「演奏の凄さ」を十分伝えている、とは言い難く
あくまで 75年型 Zep(全盛-後期)のメモリアル・アイテムとして
意味があるのだろう、と思われる。
当サイト・ポリシーとしては、24日ならオーディエンス(LP)を、
SB&映像なら翌25日のアイテムのほうを推薦しておく。







May 25
- London, England


参考音源 :GREAT TASTE LAST NIGHT / SB&動画あり
ソースの状態 :
SBはバランス悪いので低音「超」ブースト推奨

歴史的イベントも遂に最終日である。
吹っ切れたのか、パワー全開でプレイしている様子が伝わってくる。
全体的に溌剌とした演奏だ。
その内容、そしてオフィシャル化というお墨付きもあり
今では、この日のサウンドボード音源と映像が
アールズコート決定版」的な位置づけとなっている。

母国イギリス・ロンドンでのライブは
1972年暮れのアレクサンドラ・パレス以来のことであり
73年、75年の全米でのツアー成功、
新譜「フィジカル・グラフィティ」の成功を受け
凱旋帰国となった、この「アールズコート」ライブが
盛り上がったのは理解できる。
実際、バンド側も大盤振る舞いで
セットリストや機材面でも独自のものとなっている。
だが、音のみに関していえば、前日までのZepは、
3月頃の全米ツアーのレベルを
「取り戻そうとしているだけ」の状態であり
必ずしも、手放しで絶賛できるほどではないのも確かである。
最終日となったこの日は、そういう意味では
やっと 本来の奔放さを取り戻した と言えるだろう。
USツアー・ラストの地、LAでの出来が散々であったこともあり
この年のライブ集大成という見方もできるかもしれない。

冒頭からメンバーの掛け声が期待を煽り、
前日までとはまったく違うハイテンションな勢いで開始。
「死にかけて」の「You Shook Me」が引き伸ばされていたり
超高速での「永遠の詩」など、全開ぶりが伝わってくる。
「No Q」ピアノソロはアランフェス入り。
ジミーも早弾きしまくり。

この日のアコースティックセットは
公式DVDに収録されたので、そこでも観ることができる。
最終日ならではのリラックス振りが微笑ましい。
「スノウドニアの小屋」の前でブルーズ風セッションが聴かれるなど
プラントも楽しんでいる様子で余裕が窺える。

「幻惑」は、ところどころ
意思の疎通が不足している部分もあるが
要所要所ではジミーも激しいプレイを聴かせ、
なんとか気迫で最後まで引っ張っており、
エンディングもパシッと決められている。
同曲がライブ演奏されるのは、これが最後となった。

「天国」ソロでは勢い余ってギターの弦切れが発生。
その場面も含め、気迫のテイク全編が公式DVDに収録された。

アンコールは「胸いっぱい~Black Dog」に加え、
最終日スペシャルで「Heartbreaker」と
さらに追加で「Communication Breakdown」が演奏されている。
いずれも、ジミーがイントロでじらすなど
イヴェントに有りがちな趣向たっぷりで楽しめるテイク。
「Communication」後半部では、お馴染みの
「Death Wish II 風スロウファンク」に乗せて自由な展開となり
プラントも「D'yer Mak'er」の歌詞を口ずさむなど遊んでいる。


人は良いことのみ記憶してゆくものである。
また、最後の印象が強く残ってゆくものでもある。
メンバー、オーディエンス双方ともに
素晴らしかった、という意見で一致していることは
まったく否定しないし、また、それは事実だろう。
だが、過去の自分達を踏襲しているだけの様な演奏は
どこか「Farewell コンサート」のようでもあり
寂しい気持ちになってくるのも確かなのである。
あくまで、英国のファンに対するお披露目、
お礼のコンサートと捉えるべきもののような気がする。
一連の Earl's Court 音源の中に皆が見ているのは
もし自動車事故による中止が無ければ、この年後半のツアーや
この後の活動はどうなっていただろう?というような夢なのかもしれない。
この最終日の演奏では、次を期待させる要素も
いくつか垣間見られるだけに、ツアー中止は本当に残念に思う。
結果的に Zepにとって、また70年代 Rockを愛する人々にとっても
このイヴェントは最後の輝きとなってしまった。

事実上、この「Earl's Court 5 Days」を以って
Zepライブ第二の全盛期も終了ということになる。













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1970
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