千葉県警は11日、同県印西市の老人ホームで、同僚らに睡眠導入剤を混ぜたお茶を飲ませ、交通事故を起こさせて殺害しようとしたとして、殺人未遂容疑で同市の准看護師波田野愛子容疑者(71)を逮捕した。

 逮捕容疑は5月15日、当時勤務していた市内の老人ホーム事務室で、車で帰宅することを知りながら、同僚の女性(69)と運転手の夫(71)に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませ、交通事故を起こさせようとした疑い。

 お茶を飲んだ2人の車は帰宅途中でワゴン車と衝突。女性が肋骨(ろっこつ)を折る全治1カ月の重傷で夫が軽傷、ワゴン車を運転していた男性(56)も軽傷。同容疑者は先月、別の同僚女性に睡眠導入剤を混ぜた飲料を飲ませたとして、傷害の疑いで逮捕されている。

 同僚だった別の女性によると、波田野容疑者が勤務を始めたのは昨年10月。今年2月ごろから、何人もの同僚の間から「意識がもうろうとする」「うまく歩けない」などの体調不良の訴えが続出。自家用車を壁などにぶつけた人も複数いた。「体調不良で病院に行っても、血液検査で薬物検査をするわけではないから原因が分からなかった。まさか自分も…と多くの人が思っています」と話した。同僚と仲が悪い様子もなく、ホームの入居者らともトラブルはなかった。「小柄でかわいらしい女性。対応も優しかった」という。

 県警によると、睡眠導入剤の混入は認めている。殺意については認否を明らかにしていないが「死亡事故を起こしても構わない」という未必の故意があったとみて捜査する。