(モーション:キンゴサンガP)
この前「しゃち式日本さんにぱぴこ式モッズコート衣装を着せたい」という感じのコメントをいただいたのですが、そのときの私にはこの案件を着せ替え初心者(と思われる方)にうまいこと解説するのは不可能だと判断したので、すっごく申し訳ない感じだったのですが最終的には諦めていただくことになりました。
しかしながら、せっかく着せかえに興味を持ってくれたMMDerの方がコメントしてくださったのに、力になれなかったのが不本意というか、単純にくやしいなーと思ったのであれからいろいろ考えて、ちょっと邪道というかあまり良いやり方ではないですけど、なんとか初心者の方でもできそうな方法を思いついたので解説したいと思います。
今回も使用ツールは PmxEditor ver.0.2.2.2 です。
日本さんはしゃち様が制作された「AxisPowersヘタリア 日本 v1.883」、
衣装は、ぱぴこ様が制作された「MMD用お着替えパーツ:コートセット2種」の「コート&ハイネック_フルセット.pmx」をお借りしました。
今回はそれらに加えて、手の部分をHAL様制作の「土方十四郎 @ 銀魂 モデル Ver1.5」から
お借りしました。
それと、前提条件として ガチ初心者MMDerのための着せかえ講座 をひと通り視聴済みであることを想定して話を進めます。
それでは作業をはじめます。
◆使用規約の確認◆
- しゃち様、ぱぴこ様、HAL様、のお三方の使用規約をよく読んで、今回の着せ替え作業が規約に違反しないことをよーーく確認します。
◆苦肉の策◆
- ぱぴこ様のモッズコートには手がついてないので、本来はここでしゃち式日本さんの手を合成するのが筋(それがぱぴこ様の意向なのは重々承知してるつもりではありますが…)ですが、その場合は作業の難易度が跳ね上がってしまうので、今回はちょっと邪道ですがHAL式土方さんからお借りすることにしました。そのため、まずはモッズコート衣装に土方さんの手を合成する作業をはじめます。
◆モッズコートに土方さんの手を合成する◆
- PmxEditorに「土方十四郎@銀魂_Ver1.5_劇場版.pmx」を読み込んだら、不要な要素を削除していきます。
- 材質は「爪」「腕」の2点を残して、他はすべて削除します。
- ボーンは画像を参考にしてください。体幹部分と腕、手に関するものを残しました。
- モーフはすべて削除します。
- 剛体は画像を参考にしてください。今回は腕、手と上半身に関するものを残しました。
- ジョイントはすべて削除します。
- 「コート&ハイネック_フルセット.pmx」を「追加」で読み込みます。
- 名前をつけて保存します。今回は「ぱぴこ式モッズコートにHAL式土方さんの手」としました。
◆しゃち式日本さんの準備◆
- 「ヘタリア日本v1.883.pmx」を新規で読み込んだら、不要な要素を削除していきます。
- 削除する材質とボーンは画像を参考にしてください。
- 削除する剛体、ジョイントも画像を参考にしてください。
◆大きさ、位置の調整と合体◆
- 「ぱぴこ式モッズコートにHAL式土方さんの手.pmx」はサイズ調整:0.93 倍にしました。(日本さんの身長に合わせるため小さくしました)
- 日本さんはサイズ調整:0.93 倍にして、位置オフセットを Y:1.4 、Z:0.15 にしました。(顔と衣装の大きさのバランスを調和させるために少し小顔にしました。それと、この工程を PmxEditor で行う場合は事前に【PMXEで作業する場合の注意点】の 01:00 ~ 02:45 に目を通しておいてください。)
- imgフォルダの「b2.png」をコピペして、GIMP2にて色相:-4 、彩度:-21 、明るさ:33 にしました。
- 日本さんの頭を読み込んだ状態からモッズコートを「追加」で読み込みます。
- 首元のあたりの肌が豪快にはみ出しているので修正します。
◆首のあたりの調整◆
- ここの工程はブロマガ記事「MMDモデルをお着替えしたときの首の調整」(ar605942)を先に一読していただくことを強くおすすめします。
- しゃち式日本さんはどちらかというと「古きよき日本男児」みたいな体型なのに対し、ぱぴこ様のモッズコートは現代人風の体型です。そのまま合成すると日本さんの首だけが太く見えて不自然なので、頭と体のバランスを考えて首をすこし細くしようと思います。
- PmxViewの「選択」は「頂」、「範囲」は「δ」、左下のアイコン群は左から2番目と3番目、右下の「mode」は「wire+」を選択して、右上のハンドルみたいなアイコンを選択解除します。
- 「小窓」の「絞」で材質マスキングのウィンドウを出して、「全表示」から「材質」に切り替えて、「0:顔」のチェックを外してから「反」のボタンをクリックします。
- 首を細くする前に、豪快にはみ出してる部分は削除しちゃおうと思うので、頂点/材質マスキングの「全表示」と「材質」を何度も切り替えてみて、だいたいどのへんの範囲を削除するのか妄想します。
- 範囲が決まったら、マウスをドラッグして削除する範囲を一筆書きで囲います。
- 選択された頂点はオレンジ色のつぶつぶで表示されるので、意図しない場所まで選択されちゃってないかをよく確認します。
- 大丈夫そうならキーボードの Shft + Delete を押して削除します。
- いろんな角度から眺めてみて大丈夫そうなら、首を細くする作業に移行します。
- 首を細くする範囲を妄想したら、PmxViewの視点を調整してから一筆書きでドラッグして頂点を範囲選択します。
- 「小窓」の「動」をクリックして「オブジェクト操作」のウィンドウを出して、下の方にある「選択オブジェクトの記憶」のところにあるMSの「1」ボタンをクリックして、さっき選択した頂点を記憶させます。
- 「値指定」のタブを選択したら、「スケール」のボタンの下に3箇所の数値欄があるので、最上段と最下段に「0.98」と入力します。
- PmxViewを見ながら「スケール」のボタンを何回かクリックして、首の太さがいい感じになるようにします。(今回は4回クリックしました)
- PmxViewの表示をいつもの感じに戻していろんな角度から眺めてみると、まだ首が太いのでセーターの輪郭線が欠けちゃってるのが確認できました。でもこれ以上首を細くすると日本さんの体格的なイメージから大きく逸脱してしまうので、次はセーターの襟を太くする方向で調整してみます。
- さきほどと同様の手順で、今度は「26:セーター」だけを表示させます。
- 襟のいちばん上の部分の頂点を選択します。
- 「選択オブジェクトの記憶」のところにあるMSの「2」ボタンをクリックして、さっき選択した頂点を記憶させます。
- 「値指定」のタブを選択したら、「スケール」のボタンの下に3箇所の数値欄があるので、今度は最上段と最下段に「1.02」と入力します。
- PmxViewの表示をいつもの感じに戻して、首のあたりを見ながら「スケール」のボタンをクリックしていきます。(今回は6回クリックしました)
- いろんな角度から眺めてみて大丈夫そうなら、名前をつけて保存(今回は「しゃち式ぱぴこ式HAL式日本さんモッズコート衣装」にしました)して、MMDでモーションを流し込んで動作確認します。
◆ちょっと気になったので、さらに調整◆
- 完成した日本さんの動作確認をしてると、なんとなく腰が引けた感じに見えるときがあったので、ボーンの位置を調整します。
- 「ぱぴこ式モッズコートにHAL式土方さんの手 x093.pmx」の各ボーンの座標をメモします。(とりあえずは上半身、上半身2、腰、下半身、下半身先、上半身2先、腰キャンセル左右の8点)
- 「しゃち式ぱぴこ式HAL式日本さんモッズコート衣装」の各ボーンの座標に、先ほどメモした数値をコピペします。
- 名前をつけて保存してMMDで動作確認して完了です。
- ちなみに今回の作例では、あまりハードな動きをさせるとアングルによっては首元の空洞部分が見えちゃうかも知れません。その場合はモーション修正で対応していただければいいなーと思います。もともと腕が埋まりやすい形状の衣装なので、どのみちモーション修正は必須だと思いますので。
◆さいごに◆
- 今回はウェイト再描写やSDEF関連の処理などのガチ初心者MMDerの方にはハードルの高い作業を、なかば強引にすべて回避したので、本当にあまり褒められた方法ではありません。
- それでもやっぱり、好きなモデルさんに好きな衣装で踊ってもらうのはとてもワクワクすることなので、邪道な方法で恐縮ですがなんとか初心者の方でもできそうなやり方を提示させていただきました。