(モーション:スタイリッシュP)
今回は「『ヘタリア』のイギリスさんにギャルソン衣装を着てもらって、さらに上半身は
ワイシャツ+ネクタイ衣装にお着替えしたい」みたいな内容の、ちょっと難易度が高そうな
コメントをいただきました。
顔部分のイギリスさんは中背で標準体型、上半身部分のトルコさん(ワイシャツ)は大柄で
がっちり体型、下半身部分のギャルソン衣装はやや小柄でかなりスレンダーと、体型の調整
に難儀しそうな組み合わせです。
これらを何も考えずに無調整で合体させちゃうと、かなり残念な感じの体型になってしまうので、今回は初心者の方にできる範囲内で調整をしてみようと思います。
なお、今回はコメントぬし様がPMXEではなくPMDEをお使いのようなので、使用ツールは
PMDEditor ver. 0.1.3.9 で解説しますのでご注意ください。
顔部分は roco様制作の「roco式イギリス_ver1.04.pmx」、
上半身は kanaha様制作の「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00.pmd」、
下半身は ごまもり様制作の「ギャルソン衣装後ろ開き.pmx」をお借りしました。
それと、前提条件として ガチ初心者MMDerのための着せかえ講座 をひと通り視聴済みであることを想定して話を進めます。
それでは作業をはじめますが、今回は作業量がかなり多いので、かならずご自分のペースで適度に休憩を挟みながら作業するようにしてください。あまり根を詰めるとつまらないミスが増えて残念な感じになりかねないので、精神衛生上危険です。
◆使用規約の確認◆
- roco様、kanaha様、ごまもり様、のお三方の使用規約をよく読んで、今回の着せ替え作業が規約に違反しないことをよーーく確認します。
◆作業の流れを考える◆
- 今回は①イギリスさんにワイシャツを着てもらう、②ワイシャツ衣装の下半身のパーツを削除する 、③ギャルソン衣装の上半身のパーツを削除する、④それらを合体させる。という流れにしようと思います。
- イギリスさん、ワイシャツを着ているトルコさん、ギャルソン衣装のモデルデータやテクスチャ画像をひとつのフォルダにまとめます。
◆イギリスさんを顔だけにする◆
- PMDEditorを起動したら「roco式イギリス_ver1.04.pmx」を新規で読み込みます。
- 画像を参考にして不要な材質とボーンを削除します。
- 画像を参考にして不要な剛体とジョイントを削除します。(画像は削除後の状態です)
- 名前をつけて保存します。(今回は「roco式イギリス_ver1.04 あたまー.pmx」としました)
◆トルコさんを体だけにする◆
- PMDEditorを再起動したら「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00.pmd」を新規で読み込みます。
- 画像を参考にして不要な材質を削除します。
- ボーンは「くるん」「両目」「左目」「右目」、「くるん先」「右目先」「左目先」「両目先」の合計8つを削除します。
- 剛体は「首」「頭」「くるん」の合計3つを削除します。
- ジョイントは「くるん」を削除します。
- 名前をつけて保存します。(今回は「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00 からだー.pmd」としました)
◆イギリスさんにワイシャツを着てもらう◆
- PMDEditorを再起動したら「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00 からだー.pmd」を新規で読み込みます。
- 「roco式イギリス_ver1.04 あたまー.pmx」を「追加」で読み込んでみます。
- 頭と体の大きさのバランスを見ます。がっちり紳士のトルコさんと中肉中背のイギリスさんとではだいぶ体格がちがいますね。
- まずトルコさんの上半身をよく観察して、イギリスさんの顔の大きさとバランスが取れるサイズまで縮小してから、イギリスさんの顔の位置をトルコさんの体に合わせる感じにしてみます。
- 調整の結果、トルコさんは サイズ変更:0.90 にして「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00 からだーx090.pmd」と名前をつけて保存しました。
- イギリスさんは位置オフセット Y:-1.1 Z:-0.2 にして「roco式イギリス_ver1.04 あたまーosy-110z-020.pmx」と名前をつけて保存しました。
- このあたりで一度PMDEditorを再起動させます。
- 「roco式イギリス_ver1.04 あたまーosy-110z-020.pmx」を新規で読み込んだら、続いて「トルコ ワイシャツ捻り ver1.00 からだーx090.pmd」を「追加」で読み込んで、名前をつけて保存します。(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体.pmx」としました)
- なんだか少しちびっ子になりましたが、この工程で大事なのは顔と上半身との大きさのバランスをとる事なので、身長が縮んだことに関しては現時点では華麗にスルーします。
- とりあえずこの状態でMMDに読み込ませてモーションを流し込んで動作確認してみます。大丈夫そうな感じです。
◆肌色の調整◆
- 「TRb.tga」をコピペして「TRb - うで.tga」を作ったら、GIMP2 にて明るさ111にします。続いて色相:-5、輝度:79、彩度:29 にしたら上書きエクスポートして、「20:材質3」のテクスチャを「TRb - うで.tga」に変更します。このへんの工程は「ガチ初心者~調整編」の 03:20 ~ 05:00 あたりを参考にしてみてください。
- 環境色、エッジ、トゥーンやスフィアの設定を「0:肌」からコピペします。
- ついでに「材質0」から「材質6」までのエッジのサイズを 0.6 にしておきます。
- ここで名前をつけて保存しておきます。(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 肌色調整.pmx」としました)
◆ワイシャツのイギリスさんから下半身のパーツを削除する◆
- PMDEditorを再起動したら「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体肌色調整.pmx」を新規で読み込みます。
- 「17:材質0」「21:材質4」「22:材質5」の合計3つの材質を削除します。
- 画像を参考にして、不要なボーン、剛体を削除します。
- ここで名前をつけて保存しておきます。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 上半身.pmx」としました)
◆ギャルソン衣装から上半身のパーツを削除する◆
- PMDEditorを再起動したら「ギャルソン衣装後ろ開き.pmx」を新規で読み込みます。
- 画像を参考にして不要な材質を削除します。
- 画像を参考にして不要なボーンを削除します。(画像は削除するボーンを選択した状態)
- 画像を参考にして不要な剛体、ジョイントを削除します。
- ここで名前をつけて保存しておきます。
(ここでは「ギャルソン衣装後ろ開き 下半身.pmx」としました)
◆上半身と下半身を合体させてみる◆
- ためしに「追加」で「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 上半身.pmx」を読み込んでみます。
- 前から見るとそんなに悪くない感じですけど、横から見るとひどい感じです。がっちり体型の上半身とスレンダー体型の下半身のミスマッチを実感します。
(横からの画像は見やすくするためにエプロンを非表示にしてあります)
- とりあえず下半身が貧弱に見えてかわいそうなので、下半身をもっと大型化すればいいのでは?と妄想してみます。
◆上半身と下半身の調整◆
- 下半身を大胆に大型化してみます。
- 「ギャルソン衣装後ろ開き 下半身.pmx」を新規で読み込んだら、サイズ変更:1.14 にして、名前をつけて保存します。(ここでは「ギャルソン衣装後ろ開き 下半身x114.pmx」としました)
- 大型化した下半身にあわせて上半身の位置を移動します。
- 「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 上半身.pmx」を新規で読み込んだら、位置オフセット Y:2.7、Z:-0.3 にして、名前をつけて保存します。(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 上半身osy270z-030.pmx」としました)
◆合体と確認◆
- PMDEditorを再起動したら「roco式イギリス_ver1.04 最初の合体 上半身osy270z-030.pmx」を新規で読み込みます。
- つづいて「ギャルソン衣装後ろ開き 下半身x114.pmx」を「追加」で読み込みます。
- 名前をつけて保存します。(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体.pmx」としました)
- MMDに読み込ませてモーションを流し込んで動作確認します。
- 「省エネ」が選択状態だったら外してからメニューの「物理演算」から「常に演算」と「剛体表示」にチェックを入れてみます。(省エネを解除するのは、暴れている剛体がないかの確認をするためです。 省エネ状態だと、できるかぎり物理演算をさぼろうとするので、暴れている剛体があっても気付きにくいです。)
- これはひじの部分でしょうか?初期位置に置き去りにされている剛体があります。
- というか、腕や手のねじりボーンの挙動が不可解です。2014年現在主流のものとは異なる動作をしているようです。ワイシャツ部分をお借りしたkanaha様制作のトルコさんが公開されたのは 2011年4月のことなので、これはちょっと古い世代の仕様なのだと思われます。
- あ、あとついでにネクタイの色をイギリスさんのイメージカラーであるグリーン系にしたいなーと思いました。
◆「準標準ボーン追加プラグイン」の導入◆
- シャバドゥビPのブロマガ記事(ar285448)が分かりやすいと思いますので、参考にしながら導入してみてください。
◆ねじりボーンの調整◆
- PMDEditorを起動したら「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体.pmx」を新規で読み込みます。
- 画像を参考にして、腕と手のねじりボーンを削除します。(画像は削除寸前の状態)
- Pmx編集の「編集」から「プラグイン」→「User」→「準標準ボーン追加(PMX)」と進み、「腕捩れボーン」「回転軸自動補正」「手捩れボーン」「肩キャンセルボーン」「ボーン表示枠に自動登録」にチェックを入れてボーンを追加します。
◆剛体の調整◆
- 剛体「右ひじ回転」「左ひじ回転」は、おそらく古い仕様のねじり動作に必要だったものと思われるので削除しちゃいます。
- 名前をつけて保存します。
◆身長の調整◆
- ここで試しに標準状態の「roco式イギリス_ver1.04.pmx」を「追加」で読み込んでみると、ずいぶん背が高くなっちゃったのが確認できたので、本来のイギリスさんの身長に戻します。
- 「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体ねじれ.pmx」を新規に読み込んで、サイズ変更:0.93 倍にします。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体ねじれx093.pmx」としました)
- んーーー、MMDで標準状態のイギリスさんと並べて動作確認していたら、ちょっと頭のサイズが小さい気がしてきました。
- 一度気になっちゃうとそこばかり意識しちゃってなかなか払拭できないので、そんな場合はもう諦めて顔のサイズの再調整をします。
◆ふたたび顔の大きさの調整◆
- PMDEditorを再起動して「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体ねじれx093.pmx」を新規に読み込み、不要な材質を削除します。
- 画像を参考にして不要なボーンを削除します。
- 画像を参考にして不要な剛体とジョイントを削除します。
- モーフをすべて削除します。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体 からだー.pmx」としました)
- 「roco式イギリス_ver1.04 あたまー.pmx」を新規で読み込んで、位置オフセット Y:0.2、Z:-0.4 とします。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 あたまーosy020z-040.pmx」としました)
- PMDEditorを再起動して「roco式イギリス_ver1.04 あたまーosy020z-040.pmx」を新規で読み込みます。
- 「追加」で「roco式イギリス_ver1.04 二度目の合体 からだー.pmx」を読み込みます。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 三度目の合体.pmx」としました)
◆ネクタイの色◆
- 「TRb.tga」をコピペして「TRb - ネクタイ.tga」を作って、GIMP2 でテキトーに緑色っぽくしたら上書きエクスポートします。
- 「17:材質1」のテクスチャを「TRb - ネクタイ.tga」に変更します。
◆最終段階の微調整◆
- Pmx編集の「情報」タブの項目にお借りしたモデルのデータを入力します。
- Pmx編集の「表示枠」タブの「体(上)」「体(下)」「ジャケット」を削除します。
- 標準状態のイギリスさんと身長を合わせるためサイズ変更:0.99 にします。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 ギャルソン腕まくり.pmx」としました)
- MMD上でモーションを流し込んで動作確認し、問題なければ作業完了です。
◆おまけ◆
- 少しでも表示の破綻を防ぎたいというこだわり派の方には価値のある作業だと思いますが、私ならこのくらいだったら放置しちゃうかもなーという程度の修正作業です。
- 今回お着替えしたイギリスさんの首を大きく傾けると、首がシャツにめり込んでしまう場面があります。私だったらこのくらいならモーション修正で対応しちゃいますし、そもそもこんなに首を傾けるモーションなんて早々ないと思います。それでもモデル側で回避させたいというのであればウェイトの描写が必要になります。
- PMDViewの「選択」を「頂」と「骨」にして「mode」を「weight」にします。
- PMDView右上にあるハンドル表示のアイコンは選択解除しておきます。(選択状態だと作業のじゃまになります)
- 「小窓」の「絞」で頂点/材質マスキングを出して「18:材質2」だけを表示させます。
- 視点を動かして横から見る感じにしたら、「小窓」の「塗」をクリックしてウェイト描写のウィンドウを出します。
- ウェイト値を 50 にします。
- Pmx編集の「ボーン」タブにて「首」ボーンを選択すると、PMDViewの首ボーンの場所が赤くなります。そこをキーボードの Shift を押しながらクリックします。
- 対象が「首」、親が「上半身2」,子が「頭」なのを確認します。大丈夫なら「開始」をクリックします。
- 整髪料などの缶スプレーを吹き付ける感覚で、シャツの頂上部分のやや上をドラッグしていきます。
- 塗り終わったら再び「開始」ボタンをクリックして終了します。
- 名前をつけて保存します。
(ここでは「roco式イギリス_ver1.04 ギャルソン腕まくり首修正.pmx」としました)
- MMD上で首ボーンを動かして動作確認します。ある程度までは首を傾けてもシャツが変形して破綻を防いでくれてるはずです。問題がなければ今度こそ作業完了です。ここまで完遂できた方はほんとうにお疲れ様でした。
◆さいごに◆
- 今回は「もしかしてこれガチ初心者の領域を超えちゃってるんじゃないの?」なんてことを思いながら記事を作りましたが、どうなんでしょうか?ちょっと不安です。
- おまけのウェイト描写は、今回はじめてウェイト描写の作業をするという方を想定して、もっとも簡単でシンプルな手段を選びました。そのため完全な対処とはなっていないので、気になる方は「ウェイト描写」などのワードでググって見てください。
- 今回は作業量がとても多いので、私もかなり一杯一杯な感じで書き上げたので、おそらく説明がわかりづらい部分もあると思います。今回のコメントぬし様に限らず「記事のここらへんの説明がよくわかんねーよ!」みたいに感じる方がいらっしゃいましたら、この記事の下のほうにコメントいただければ、(あくまでも私にできる範囲で、ですが)対応させていただきますー。
おかげ様で無事着せ替えさせることができました。
おまけのウェイト描写やボーン追加まで大変丁寧でとても助かりました。
本当にありがとうございました!