上の画像はちょっと誤解を与えるかもしれないね。まず始めに言っておこう。アシダカグモは益虫だ。ゴキブリや蛾(ガ)、時にはネズミまで食べてくれる益虫なんだ。だからむやみに殺さないで欲しい。ただし、沖縄・奄美諸島などハブがいる地域は除いて。どうしてかって?じゃあ、一緒にアシダカグモについて調べてみよう!
害虫やゴキブリを食べてくれるアシダカグモ
みんな『アシダカグモ』って聞いたことあるかな?ない人が多いかもしれないね。でも、見たことがある人は多いと思う。下の写真がそうなんだ。風呂場だったり、台所だったり、居間でも庭でも、ほぼ、僕たち人間が生活するあらゆる場所に姿を現す。
で、『クモ』って聞いただけで嫌な顔をしたり、気味悪い・恐いっていう人がいるけど、噛まれたっていう話は僕の周りでは聞いたことがない。でも、見かけるとみな執拗(しつよう)に追いかけて叩き殺すか、殺虫剤で殺しちゃう。
でもね、実は、上の写真の『アシダカグモ』って僕たちが生活する住居の中や外の害虫を食べてくれるんだよ!知ってた!?そんなアシダカグモは、ゴキブリを食べてくれるんだ。僕は実際にワモンゴキブリを捕まえて食べる瞬間を見たんだけど、それはもう感動した!あのすばしっこいゴキブリを『えいやっ!』って捕まえちゃうんだからね!じゃあ、そのアシダカグモについて調べてみよう!
アシダカグモってどんな蜘蛛(くも)?
網を張らずに徘徊して餌を探すんだ
クモの生活は、網をはってそれに餌がかかるのを待つものと、自分で歩きまわって餌を捕まえる、大きく2つに分けられるんだ。これを『造網性(ぞうもうせい)』、そして『徘徊性(はいかいせい)』というんだ。
アシダカグモは網を張って餌を捕まえるんじゃなくて、自分の足で歩きまわって餌を取る徘徊性(はいかいせい)のクモなんだ。日本の徘徊性のクモの中では一番大きいんだって。だから家のあちこちで見掛けるんだね。
主に温暖な温かい地域に生息している。日本だけじゃなくて世界中にいるんだ。元々は外国にいたんだけど、人間が貿易をする時の荷物の中にまぎれこんで入り込んだみたいだ。
子グモの時からゴキブリが好物
アシダカグモの子グモは体が小さいから、捕まえる餌も小さいんだ。タマバエ・ユスリカ・ショウジョウバエなんかを捕まえて食べる。子グモは歩きまわって捕まえるんじゃなくて、じっとして近づいたものを捕まえる。
アシダカグモは捕まえた餌を糸でぐるぐる巻にはしないみたい。で、子グモはゴキブリの幼虫を好んで食べるんだって!どっちも夜行性で生活の場所も一緒だからなんだってさ!
寿命は5年~7年ぐらい
アシダカグモは寿命の長いクモで、平均して雌(メス)が約7年、雄(オス)が約5年。人間と一緒でメス(女性)が長生きなんだね。
アシダカグモは益虫だから殺さないで
はい、もうこの時点でアシダカグモに対する嫌悪感もだいぶ和(やわ)らいだんじゃないだろうか。で、今までは、アシダカグモを見かけた時、みんなこうしていたんじゃないかな。
アシダカグモは本当にゴキブリの天敵と呼べるのか?
ゴキブリの生活区域と一致する
アシダカグモの生活区域と、ゴキブリの生活区域がほぼ一致するんだ。そして、どっちも夜行性であり、隠れる場所も台所の隅っこや物置部屋の隅っこなど似たような場所に隠れるから天敵の要因を満たしているね。
近づくゴキブリを次々と捕まえていく
アシダカグモは、えさが多い時は捕まえた獲物をじっくりと食べないんだ。つまり、捕まえては噛み付く、捕まえては噛み付くんだ。台湾で行われた実験では、一晩に、一匹のアシダカグモが二五匹のワモンゴキブリを殺したことがあるんだ!
ゴキブリ(害虫)対策の殺虫剤で死んでしまう
ゴキブリなどの害虫を駆除するための薬剤はアシダカグモにも影響を与えて殺してしまうんだ。ゴキブリを追いかけてゴキブリホイホイに一緒にかかることもあるんだ。知らない人はゴキブリもクモも一緒に捕えたと喜ぶ人もいるかもしれないけど、ちょっと悲しいことなんだ。
人間の無知が一番アシダカグモにとっても危険
もし、台所にアシダカグモとゴキブリが一緒に現れたらどうするだろうか。恐らく、大半の人はクモを先に追いかけて殺そうとすると思う。そう、僕たち人間がアシダカグモにとって一番恐い存在なのかもしれない。もしゴキブリの目の前でアシダカグモを殺した時、ゴキブリは勝利と喜びの歌を歌い始めるかもしれない・・・。
猛毒ハブ(蛇)はアシダカグなどの蜘蛛を食べる
屋内にアシダカグモを入れない家
萱嶋泉(かやしまいずみ)さんという農学博士がアシダカグモの調査のために南西諸島の奄美大島に調査に行った時の話。中村さんというご家庭に泊まった時、屋内で見かけたアシダカグモを執拗(しつよう)に追いかけて殺してしまったそうです。しかも、アケビコノハという害虫を捕食している場面を見かけても。
理由を聞くと、アシダカグモはハブの好物で、家の中にアシダカグモがいるとハブが入ってきてしまう。だから屋内のアシダカグモを殺し、入ってこないようにするのだ、と。そして、翌朝、萱嶋さんは玄関の床下で殺されている太ったハブを見かけます。どうしてもハブがアシダカグモを食べたのか調べたいと、解剖をすることに。
解剖の結果、ハブの胃袋をからはアシダカグモ四匹、ハシリグモの仲間二匹、コモリグモの仲間二匹が出てきたのです。ハブは恐ろしい猛毒の持ち主。2103年現在、沖縄本島でハブの異種交配が進み新種のハブも生まれているという。そのハブたちは果たしてアシダカグモを捕食するのだろうか。引き続き調べたいと思います。