5歳児死亡のオブジェ火災、元学生2人に有罪 地裁判決
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東京・明治神宮外苑のイベント会場で2016年、木製オブジェが燃え、中で遊んでいた幼稚園の男児(当時5)が死亡した火災で、重過失致死傷罪に問われた建設業の男(23)と大学院生の男(24)に、東京地裁は13日、それぞれ禁錮10月、執行猶予3年(いずれも求刑禁錮1年)の判決を言い渡した。2人は当時未成年で、オブジェを展示した日本工業大(埼玉県)の学生だった。
下津健司裁判長は判決理由で、2人はオブジェ内に投光器を置いて点灯した際、熱を感じていたとして「オブジェ内の木くずが接触して発火し、火災を発生させ、周辺の人の生命や身体に危険を及ぼすことは十分に予見できた。注意義務違反の程度は著しく、重大な過失だ」と認定した。
「わが子を目前で亡くした父親らの悲痛な心情は察するに余りある」と述べた上で「大学の教員や上級生から適切な指導がなく、2人のみを強く非難するのは相当とは言えない」と指摘し、執行猶予を付けた。
2人は「火事になるとは夢にも思わなかった」と無罪を主張していた。
判決によると、16年11月6日午後4時40分ごろ、大量の木くずで装飾したオブジェ内で、投光器の白熱電球を点灯して放置。約35分後に出火して男児を焼死させ、助けようとした父親に重傷を負わせた。
2人と共に書類送検された教員は不起訴となったが、検察審査会が20年10月、「投光器の危険性を指導すべき立場だった」として「不起訴不当」と議決。東京地検は再捜査の結果、今年3月に再び不起訴とした。〔共同〕