【3話完結】騎士様に贈る嫉妬の呪い

恋人オスカーが街のご婦人方に囲まれても、彼女が機嫌を損ねることはなかった。それどころか、退屈したとばかりにオスカーを置いて勝手にふらふらと適当な店に入り、ほとぼりが覚める頃に戻ってくるような有り様だった。

それが、今日は恐ろしく機嫌が悪い。

昨日の夜、オスカーは騎士団の仲間に誘われて、王都の酒場に飲みに出掛けていた。
昔話と共に酒が進み、気分も良くなってきたところで、近くの席で飲んでいた若い女性のグループが声をかけてきた。そのうち一人が飲みすぎてしまったらしく、もう帰ると言うので、心配になったオスカーは家の近くまで送ることにした。掴まるようにと腕を差し出し、店を出たところで、彼女と出会った。
そういうえば今日は友人達と仕立て屋に行くと言っていたな。なんて昨日の会話を思い出す、
暗闇に隠れ、彼女の顔は見えないが、明らかに空気が冷たくなったのは、酔った頭でも理解出来た。