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「この方が、お前と婚約して下さる方だ。」

「え…。」

人生って突拍子もないことばっかりなのね。
父上からの伝言で''急いで部屋に来なさい''と呼ばれたと思ったら、見知った顔の男の写真を見せられて婚約者として紹介されるんですもの。


私は、平凡な家の令嬢で、特にそれ以外これといって目立つ特徴なんてない。
まぁ強いていうのであれば、この国の王太子様と幼なじみ、ということくらいだろう。これもたまたまが重なったに過ぎない。

小さい頃から見知った顔ではあったけれど、いやはやまさか婚約者…。

じゃなくて!

「どういうこと?私結婚相手は自分で決めたいと言っていたのに...」

「向こうからの申し出だ。」

王家相手に受けないわけにいかないだろう、何て娘を気遣ってる風を装って笑顔でいう父上。父上は嬉しい事だろう。この平凡な侯爵家の娘が王家に嫁ぐというのだから。


「まぁ、お前も知った顔なら安心だろう。確かに王家に嫁ぐとなると面倒ごとも多いかもしれないが…エドワード様ならば大丈夫だろう。」

いや何が大丈夫なんだ、というか別に王家とかそういうのが嫌なわけではない。

「私の都合は聞いて下さらないのですか?」

「お前もそうは言っていられない歳だし、御伽話しに憧れるばかりじゃダメだろ?そろそろ親を安心させてくれるな?」

あ、ダメだ今日の父上は何を言っても話が通じない。
はぁ、とため息をついて''考えておきます''とだけ言っておいた。
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