転生した私は第2王子の精神安定剤

自分はいつもいつも家族に恵まれない。
何度も思ったことを今更考えながら、部屋の隅で小さく蹲るウズクマ日々を過ごす。

突然だが私には前世の記憶がある。
前世は人間で、しかもこの世界とは異なる世界の住人。

令和と呼ばれる時代を生きていた1人の人間だった。
その人生は最悪で、死因といえば親からの虐待死。

過度の暴力を振るわれ、日常から休まる日々はない。周りは誰も助けてくれなかった。
友達もいないし教師なんて私に関わろうとしなかった。


ある日風邪をひいて水を飲もうとしたら「そんなに水が飲みたいなら飲ませてやる」なんて浴槽に顔を突っ込まれての溺死デキシだった。
苦しかった。


人間不信でもう人間なんて信じないと決めた。

短い人生で悟りを開き切った私が次に生まれたのは、魔法の世界だった。

しかも人間ではなく獣人。

だからといって人生イージーモードとは程遠く、野心家な父は権力ばかりを追って悪いことをしまくっているロクでなし代表みたいなやつだった。

しかも家庭内暴力は当たり前。
生まれ変わったところで最悪の親だ。
母親？前世も今世も知らないうちに消えていた。
生死すらもわからない。