今日大好きな王子様にお別れを言いました

未だ嘗て無い怒りを感じてしまってアメリアは奥歯を噛み締めた。

「なんでなんでなんでなんで」という思いしか浮かんでこなくて怒りが沸騰中。

そんなことで厭味を言われる筋合いなんか無い、仕方ないことじゃないか！！と怒りで我を忘れてしまった。
いつもそうだ、いつもいつもそうだ。勝手に不機嫌になって勝手に怒って勝手に！！！

つい、頭の中に浮かんだ言葉。それを怒りに任せて



「リチャードなんて大嫌い！！」



勢いで、口から吐き出してしまった。す
るとその瞬間、今の今まで怒りの表情を浮かべていたアメリアの恋人であるリチャード・ドロワはスッとその顔を消して無表情へと変貌する。

その変わりように一瞬にして「やってしまった」と我に返った。
慌てて口元を押さえて視線を逸らして逃げる、物凄く気まずい雰囲気が両者の間に流れどちらも身動きをとらない。

謝るべきだろうか？でも私は悪くないよな･･･？今の発言はダメだったかもしれないけど。と、色々頭の中で考えつつ、無表情のリチャードの怖さにアメリアの足が一歩逃げかけたその瞬間



「･･･そうですか、わかりました」



リチャードその言葉だけを告げ踵を返してその場を去ってしまった。