チャトランガとシャトランジ

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●将棋のルーツ

チャトランガ(Chaturanga)とはインドの古代のボードゲームで将棋やチェスのルーツと言われています。だいたいBC2000年頃から行われていたのではないかとも言われていますが、最初は下記のようなレースゲームであったようです。

4人で遊びます。各々は3個のコマを使用し、それぞれの出発点からサイコロにより駒を進め、最終的に真ん中に到達することを目標とします。

これはウル王朝のゲームと似たパターンですが、4人で遊ぶ点が異なっています。同じマスに駒が同居した時にどうしたのかまでは分かりませんが、このゲームを「発見」したユーリー・アウエルバッハは、同じマスに入った場合相手の駒はスタート地点に戻されたのではないかとしています。(「チェスはどのようにして生まれたか」)それだと完全に双六型ゲームということになりそうです。

●4人版チャトランガ(アシュタパダ)Chaturanga

やがて上記のレースゲームから4人制のチャトランガが生まれたとされます。右記に示すのは8×8の盤を使用するもので「アシュタパダ」ともいいます。この他に10×10の盤を使用する「ドゥサパダ」というのもあったそうです。なお、右下の図はこのゲームを日本に紹介した本の図です。

ルーツとなったレースゲームとの違いは駒の進み方がルートに沿って1個ずつではなく各々固有の動きをするようになったこと。そのためサイコロによって何個動かすかを決める必要がなくなり、1人ずつ回していけばよいようになったこと。そしてゲームの目的はどこかに到達するのではなく敵の王を取ることとなりました。逆に言えば相手の目的地を移動させることができるようになったとも言えます(追い回し・乙女の追跡型と考えることも)。ルートを自由にしたことでより複雑なゲームに進展した訳です。

【各駒の動き】
王 ラージャー全方向に1ずつ 象 ハスティ 斜め前後に2歩。駒を飛び越えられる。
馬 アシュワ チェスのナイトと同じ。
船 ロカー  将棋の飛車と同じ。駒は飛び越せない。
歩 パダチ  将棋の歩兵と同じ。


●2人版チャトランガとシャトランジ

この4人制チャトランガから(バリエーションとして?)2人制チャトランガが生まれたとされます。このゲームはお隣のペルシャではシャトランジ(Shatranj)と呼ばれました。微妙なルールの違いはありますが、ほぼ同種のゲームです。

 チャトランガシャトランジ
ラージャーラジャーシャー
将軍(大臣)マントリフィルツェーン
ハスティ ガジャ フィール
アシュワ ファラス
船(戦車)ロカーラータルク
歩兵パダチ パダティバイダク
新しい駒として大臣(将軍)というのが加わっています。これは斜め前後に1つずつ進む駒です。中国象棋の士はこの系統の駒でしょう。なお、歩兵が最後のラインまで到達した場合、チャトランガではその列の駒に昇進します。つまり船の前にいる歩は船に、馬の前にいる歩は馬に昇進します。これに対してシャトランジでは全て将軍に昇進します。

それからチャトランガ・シャトランジ共通のルールとして、王はゲームの中で1度だけ馬の動きができることになっています。

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