▼行間 ▼メニューバー
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた~落第剣士の学院無双~ 作者:月島 秀一
421/422

桜の国チェリンと七聖剣【百九十一】


 十八号さんと別れた俺たちは、無人島の奥へ足を進めていく。

 無言のまましばらく歩き続けると、木々の合間から生々しい戦いの跡が見えてきた。

 ゼオンの闇に染められた大地・ディールの猛毒に(おか)された森・フォンの砂で削られた岩――激しい死闘の跡を垣間見たレイア先生は、ハッと息を呑む。


(このおぞましい霊力の残滓(ざんし)、まさかゼオンがこちらの世界に出てきたのか!? ……いや、違う。この闇からは、アレンの(・・・・)強い怒り(・・・・)が感じられる……)


 彼女は険しい表情のまま、漆黒に侵された土を指でつまむ。


(自我を保ったまま、これほどの力を引き出したということは……まさか『道』を繋げたのか……!? いや、あり得ない。それは道理が通らない。もし本当にそう(・・)だとするならば、わざわざ『撤退』を選ぶはずがない。間違いなく、ディールとフォンをその場で『八つ裂き』にしていたはずだ)


 霊力の残滓を分析しているのか、先生は押し黙ったまま動かない。


(しかし、どういうことだ!? あの(・・)ゼオンからこれほどの力を引き出しておきながら、何故アレンは無事でいられる……? ……ダリア。もしかしてお前、何か私に『隠し事』をしていないか……?)


「あの、先生……? 何かあったんでしょうか……?」


「……すまない。ちょっと考え事をしていた。――先へ急ごうか」


 どこか歯切れの悪い回答を口にした彼女は、多くを語ることなく、無人島の奥へ進んで行った。


 そしてついに『あの場所』へ到着する。


 バッカスさんが最期の一撃を、桜華一刀流奥義鏡桜斬を解き放ち、光る粒子となって消滅したあの場所。

 そこにはなんと――これまで見たことのないほど立派なお墓が建てられていた。


『桜華一刀流十六代継承者バッカス=バレンシア 此処(ここ)に眠る』


 墓石にはバッカスさんの名が刻まれている。


「これは……いったい誰が……?」


 ローズの呟きの直後、


「――両手をあげて、三秒以内に出て来い。不審な動きを見せたら、即座に殺す」


 レイア先生が、これまで見せたことのない『本気の殺気』を放った。


「「「「「「……ッ」」」」」」


 その重さ(・・)は、まさに『別格』。

 少年ヤイバを読んでケタケタ笑っている普段の彼女からは、想像もできないほどの圧だ。


  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
★新作を始めました!★
下のタイトルを押すと作品ページに飛びます!

俺だけの【翻訳】スキルが最強だった件~落第貴族の翻訳無双~

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。