工事・計画

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静岡県伊東市/新図書館基本計画・設計/マル・アーキテクチャに  [2021年7月15日9面]

東側からの建物イメージ

 静岡県伊東市は14日、公募型プロポーザルを実施した「伊東市新図書館基本計画、基本設計および実施設計等業務」の委託先にマル・アーキテクチャを選定したと発表した。今後は図書館計画と施設計画のソフト・ハード一体で検討を進め、機能や規模などを固める。2022年11月までに実施設計を完了させる。23年7月に着工、24年9月の完成を目指す。
 同社の提案によると、人工地盤で丘をつくり、その上に3層の施設を整備する。主な図書フロアを浸水ラインより上に配置することで本や資料を守る。メインフロアを構成する上部はS造とし、図書館に求められる多様で自由な空間を創出。人工地盤を構成する下部はRC造とし、斜面形状や人工土壌の整備に対応する。人工地盤の内部空間は駐車場に充てる。
 施設内は、各フロアに「ひだ」と呼ぶ特徴的な放射状の壁面を配置し、自然通風の誘引など室内環境を整える。太陽光発電や地下水の冷暖房利用などさまざまな手法を取り入れ、1次エネルギー消費量の50%削減を目指す。
 全体事業費の的確なコントロールにも取り組む。提案では工事費を24億8600万円(税込み)と試算。同種建物のコスト実績値や物価動向を分析し、各工事種別の金額が妥当な構成比となるように計画する。その上で仕様のグレードを検証し、全体のコストを適正化するとした。
 審査講評では、「ひだ」で用途を細分化しながらフロア全体を構成する手法は新規性が高いと評価。今後、市関係部局や図書館、市民との連携で設計を進めることで「国際観光温泉文化都市いとう」のシンボルとなり得る図書館が実現する可能性が最も高いとした。
 マンダリンホテル跡地(桜木町2)に建設する新図書館には交流、情報センター、児童コーナー、生涯学習センター、ICT(情報通信技術)など七つの機能を導入する。市は延べ5000平方メートル程度、事業費は25億円(税込み)以内などを条件にプロポーザルを実施。参加表明した全5者が2次審査に進んだ。次点は山下設計。

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